【日本国内は市販禁止】メラトニンの効果15選
2023年7月20日更新

執筆者

薬剤師・公認上級妊活マイスター・公認スポーツファーマシスト

牛尾 真智子

製薬会社2社で乳がん・肺がん・大腸がんなど8つの抗がん剤領域を経験。
患者様の人生に携わること・医療業界での知識と経験を生かして、医療と予防医学の懸け橋となる存在になりたいと考えています。また、少しでもお客様のお悩みに寄り添えるよう公認上級妊活マイスター・公認スポーツファーマシスト・メンタルケアカウンセラーの資格を取得。納得感のある、心が軽くなる情報を届けることで、皆様のより良い生活の一助になれるよう邁進いたします。

メラトニンとは?特徴や注意点

メラトニンは身体の中でどのように作られ、どんな特徴があるのでしょうか。日本で禁止されている背景についても知っていただきたいと思います。

1.動物の体内リズムの維持に欠かせないホルモン

メラトニンは睡眠や起床など睡眠リズム(概日リズム)の調整に欠かせないホルモンです。体内で自然に生成され、その量は0.1〜0.9mg。分泌量は年齢により異なり、20代後半がピークで年齢とともにゆっくりと減少します。年齢が高くなると眠りの悩みを抱えがちになるのは、メラトニンの分泌量が低下することが原因だとも言われています出典[1]出典[2]

メラトニンは松果体で合成され、視交叉上核(眼球奥に存在する神経)を介して知覚する明暗のサイクルで分泌量が調整されます。日の入り後など周囲が暗くなると分泌量は増加し、自然な眠気が促され、太陽光など明るい光を受け取ると体内量が低下し、脳が覚醒します。このように暗闇になると分泌量が増加するため、メラトニンは「暗闇のホルモン」と呼ばれる事もあります出典[3]

一方で夜間でも光にさらされる事が多い現代人はメラトニン不足に陥る事が少なくなく、メラトニンの市販が合法な米国(日本は市販禁止)においては直近20年でメラトニンサプリの利用率が5倍にもなったいう報告があります出典[4]

 

2.幸せホルモン「セロトニン」から「メラトニン」へと変化

体内のメラトニンは、タンパク質を構築する必須アミノ酸(トリプトファン)が幸せホルモンの「セロトニン」へと変化し、最終的に「メラトニン」へと変化します出典[5]

従って、原料となるトリプトファンの摂取やセロトニンの分泌増加に繋がる行動が、結果的にメラトニンの増加要因となります。

実際に、33 人の男子大学生を対象に行った実験では、トリプトファンが豊富な朝食と日中の明るい光への曝露が夕方のメラトニン分泌を促進したことが示されました出典[6]

上記の臨床試験でも行われている光を浴びる事に加えて、ランニングやウォーキングなどのリズム性運動もセロトニンの分泌を促進する活動です。
17名の男性に8週間、中程度の負荷量の有酸素運動を行わせた実験でも、結果的にメラトニン量が増加していると報告がされています出典[7]

ただし、トリプトファンやセロトニンを摂取すると、すぐにメラトニンの増加に繋がるわけではありません。数時間は必要であると一般的に言われています。そのため、就寝時間から逆算し、戦略的に摂取や行動を起こす必要があるのです。

 

3.日本では医薬品指定なので市販禁止

海外ではメラトニンはサプリメントなどにも使われていますが、日本では神経ホルモン剤として医薬品として使用される成分です。従ってOTC(いわゆる市販薬)を含め市販は禁止されています。国内において健康被害は報告されていませんが、医薬品成分が検出されている健康食品等の利用により、健康被害が発生するおそれが否定できないと考えられます出典[8]

なお2019年1月に小児神経学会より、厚生労働大臣に早期承認の要望があったことで、メラトニンは、神経発達症(自閉症スペクトラム障害やADHDなど)の小児に対する入眠困難の改善に適応が認められました。しかし、成人の方への睡眠薬としての処方は禁止(適応外)である状況が継続しています(2023年7月現在)。

いずれにせよ、メラトニンの摂取による効果や安全性は、個々の遺伝的背景、体質、既存の疾患や薬物の使用などによって大きく変わる可能性があるため、専門的な医療指導の下で使用するべきとの考えが日本においては重視されています。

 

学術的に報告されているメラトニンの15の効果

メラトニンは眠りへの効果が多く報告されている成分です。しかし、実際には睡眠以外においても数多くの効果が報告されています。ここからは眠りへの好影響を含め、メラトニンの学術的に確認されている効果をご紹介します。

1.寝つきの改善

メラトニンには寝付きの良さを改善する効果が期待できます。

体内量が増加する事で副交感神経が優位な状態となり、深部体温や血圧が低下。眠りに適した身体の状態となるためです。

実際にメラトニンの寝付きへの効果は数多くの臨床試験で確認されています。
例えば、2010年のイギリスでの試験。746名の寝付きに悩みを抱える被験者にメラトニン2mgを就寝2時間前に摂取させた結果、入眠までの時間が明らかに短くなりました。特に55歳〜80歳のグループにおいて効果的だったと報告されています出典[9]

また、入眠に悩みを抱えがちなシフトワーク勤務者を対象した試験も存在します。3mgのメラトニンを就寝30分前に摂取させた結果、睡眠効率が82.1%から85.5%へと改善し、寝付くまでの時間も4.2分短くなりました。

メラトニンは、体内量の増加により眠りやすい身体の状態となることで、寝付きの改善効果が期待できます。


2.睡眠時間の増加

メラトニンを摂取する事で体内時計が正常化すると、眠るべき時間にしっかりと睡眠を取れるようになり、睡眠時間増加効果へも期待が持てます。
最適な睡眠時間は多くの要因によって左右されるため、個々に合わせて調整する必要があるといわれています。しかし、結果(パフォーマンス、認知機能、精神・身体的健康、生活の質など)を最適化するために必要な睡眠量として一般的には7 時間が最適とされています出典[10]

イギリス、アメリカ、イスラエルの研究グループが125人の子供を対象にした実験では、13週にわたり2mg〜5mgを継続的に摂取させた結果、平均して約1時間も睡眠時間が延びたとのこと出典[11]

また、睡眠時間が短くなる傾向にあるご老人にもメラトニンは効果的である可能性があります。アメリカ・マサチューセッツの大学病院で24名の老人(平均年齢64.2歳)を対象とした試験では、5mgのメラトニンを2週間服用した結果、睡眠効率が著しく高くなり、睡眠時間が長くなりました出典[12]

以上の結果より、寝つきの改善だけではなく実際に眠っている時間も長くなることが期待できます。


3.睡眠リズムの安定化

メラトニンの摂取や増加により、本来眠るべき時間に入眠出来るようになるといわれています。特に、眠れないわけではなく、単純に寝る時間が遅くなってしまっている状態、つまり『つい夜更かししてしまい通常の眠りのサイクルに戻せない』とお困りの方に適しているといえます。

そもそも睡眠サイクルが不安定な場合は、メラトニンの分泌が始まる時間が遅くなっていることが原因と考えられます。メラトニンを含むサプリメントなどを摂取することで、リズムが整い適切な時間に眠る事が出来るというわけです。

オーストラリアのメラトニン研究グループにより、睡眠覚醒スケジューリングとメラトニンの組み合わせ療法を実施した試験があります。

対象者は通常の時間に睡眠をとろうとした際の入眠障害と、起床困難をもつ被験者116名です。希望睡眠時間の1時間前にメラトニンを4週間服用したところ、平均入眠時刻が午前1時32分から午後11時41分に早まりました。
同じ行動療法を行いつつプラセボを飲んだ群と比べて30分以上の改善となります。

睡眠覚醒スケジュールと組み合わせてメラトニンを摂取することは、睡眠のリズムを整えるのに効果的だといえます出典[13]


4.ジェットラグ(時差ボケ)の改善

メラトニンの摂取は時差ボケの解消にも効果的である事が分かっています。

メラトニンは、前述の通り光の影響を受けるため通常は夜になると分泌量は増えます。しかしながら長時間のフライトにより外部からの明暗サイクルとの不一致が生じると、目的地の眠るべき時間にメラトニンの分泌量が不十分となり、時差ボケが発生してしまいます。その場合は、夜になってもうまく眠れないためメラトニンを外部から摂取することで、体を眠りやすい状態に導くことができます。

実際に、11のランダム化試験を含む4つの系統的レビューをメタ解析した結果、メラトニンの使用が時差ボケに関連する症状を軽減すると結論付けられています出典[14]

乱れた体内時計を自力で直すのは至難の業。そんな中メラトニンは時差ボケの緩和に対する効果が期待できます。

 

5.中途覚醒を予防し、睡眠の質を改善

寝付きや時差ボケの解消ほど大規模なデータがあるわけではないものの、中途覚醒の予防にも効果が期待できるのがメラトニンの特徴です。

睡眠に悩みを抱える被験者51人を対象とした試験では、中途覚醒を被験者が感じた日数は3.1日から1.6日へと減少し、夜間覚醒期間の平均持続時間は17分短縮されたと報告されています出典[15]

睡眠の質を高めるためにも途中で目覚める頻度を下げることは大切であるため、メラトニンは睡眠全般に大切な役割を果たしていると考えられます。

 

6.一時的な抑うつ気分の改善

メラトニンはうつ症状の緩和にも効果を発揮します。特に太陽や日照時間など季節的な変化が原因として発生する気分の落ち込みに効果的。そもそも季節性の鬱病や感情障害は、日照時間の変化に内分泌系がついて行けず、分泌タイミングがずれる事や結果的に血中濃度が低い状態に保たれてしまう事が原因だと言われています出典[16]

そのため、メラトニンの摂取で血中濃度を調整すると、抑うつ的な症状の緩和に繋がるのです。
オレゴン健康科学大学からの報告によると、68 人の季節性感情障害( SAD) をもつ被験者が低用量(0.075mg~0.1mg)のメラトニンを 2 時間間隔で数回摂取する生活を3週間継続した結果、ほとんどの 被験者が午後に摂取するメラトニンから恩恵を受けることを示唆しています出典[17]

一時的な鬱気分。特に季節的に感じてしまうものにメラトニンは効果的な可能性があります。

 


7.目の健康状態の改善

メラトニンは強い抗酸化作用を持つ物質であり、網膜の細胞を活性酸素から守り、健康的な状態を維持する効果も報告されています。

ノルウェーの研究グループは、メラトニンが緑内障の緩和や加齢黄斑変性という老化に伴う視力低下の病気に効果的であると示唆しています出典[18]

実際に加齢黄斑変性の被験者100名に3mgのメラトニンを6〜24ヶ月摂取させた実験では、網膜を保護し、視野の透明性の維持に効果的だったと報告があります出典[19]

また、ネズミを用いた実験では、メラトニンが網膜症を緩和しました。網膜症とは網膜に悪影響を与え、最終的に盲目となる重病です出典[20]

メラトニンが網膜や眼に与える影響についてはサンプル数も少なく限定的にしかわかっていません。過信は禁物ですが、眼の健康のために摂取するというのも1つの利用法かもしれません。


8.胃食道逆流症の緩和

胃の中の食べ物が食道へ逆流する「胃食道逆流症」の治療にメラトニンが役立つ可能性があります。

この効果はメラトニンの2つの作用によるものです。1つ目は胃酸の分泌をブロックすることで食道に炎症を引き起こすことを和らげます。2つ目は下部食道の筋肉を弛緩させ、胃酸が食道に入るのを促進する一酸化窒素の生成を減少させます。

エジプトで36人を対象とした研究では、メラトニン3 mgを胃食道逆流症の薬「オメプラゾール 20 mg」と併用すると、4 週間および 8 週間服用後に胸やけや不快感の軽減に効果があることが示されました。同実験では、メラトニン単独で摂取した時にも効果があったとのこと出典[21]

更に、ブラジルからの報告では胃食道逆流症患者351人を対象に、オメプラゾールと、メラトニンやアミノ酸、ビタミン、植物化合物を配合したサプリメントの効果を比較しました。

40日間の臨床試験後、メラトニン含有サプリメントを摂取した人の100%が症状の軽減を報告しましたが、オメプラゾールを摂取したグループではわずか65.7%でした出典[22]

メラトニンは胃酸の分泌と一酸化窒素の合成をブロックします。薬との併用はもちろんのこと、メラトニン単体での摂取でも、胸やけや胃食道逆流症の症状を軽減するのに効果的である可能性があります。


9.偏頭痛の改善

メラトニンは片頭痛改善に効果があることが確認されています。

偏頭痛のメカニズムは完全に解明されているわけではありません。しかし、現在は三叉神経(顔の感覚を支配している神経)の​​異常な活性化が原因とする説が主流です。
この神経節に存在する受容体がメラトニンと結合する事で、痛みが緩和されると言われています。
実際に過去数十年にわたって行われた研究により、メラトニンは片頭痛に関与する酵素の制御に効果的な抗酸化物質であることがわかっています出典[23]

ブラジルの研究グループは月に2〜8回の片頭痛を感じる被験者196人を3群にわけて研究を行いました。この中でメラトニン3mgを摂取した人は平均して2. 7日も偏頭痛を感じる日数が減少しました。偽薬を摂取したグループの減少日数は1. 1日。この比較からメラトニンが偏頭痛の予防に効果的だと結論付けています。さらに偏頭痛治療薬のアミトリプチリン25mgを摂取したグループと比べ、副作用が発生する割合も低かったとのこと出典[24]

メラトニンは実薬に匹敵する程、片頭痛に効果的な可能性が示唆されました。


10.骨粗鬆症の予防

体内のメラトニンが増えると骨粗鬆症の予防に繋がる可能性があります。

加齢やホルモンの乱れから骨の代謝のバランスが崩れ、破骨細胞による「骨吸収」が骨芽細胞による「骨形成」を上回ってしまうと、骨量(骨密度)が減ってスカスカの状態(骨粗しょう症)になってしまいます。ここでメラトニンがもつフリーラジカル消去作用と抗酸化作用により、骨芽細胞の増殖と分化を促進し、破骨細胞の分化を阻害することで、過度な骨吸収を防ぐことができます出典[25]

ピッツバーグにあるデュケイン大学より閉経周期女性18名に対する結果が報告されています。メラトニン3mgは骨形成と骨吸収において時間の経過とともに 骨形成の比率が大きくなる傾向がありました。更に 骨代謝の不均衡を修復して、骨量の減少を防ぐ可能性も示唆されています出典[26]

本研究よりメラトニンは、閉経周辺期に伴う身体症状を改善し骨代謝の不均衡を回復することが期待できるでしょう。

 

11.軽度認知症の改善

メラトニンがアルツハイマー患者の睡眠と神経伝達を改善するという朗報もあります。メラトニンはアミロイドベータ(本来は脳内から排除されるべきたんぱく質)の攻撃から神経細胞を保護し、疾患の進行を減少させる可能性が示されています出典[27]

軽度認知障害50名のうち半数に、9~18か月間、毎日就寝時にメラトニン3~9mgを服用させたところ、精神状態検査およびアルツハイマー病評価する検査において有意に優れた成績を示しました出典[28]

軽度認知症の改善にメラトニンが一助となる可能性があります。


12 耳鳴りの改善

メラトニンは海外で慢性耳鳴りの治療にも使用されています。実際に慢性的な耳鳴りを抱える61人の被験者に30日間、メラトニン3mgを服用させた臨床試験において有効性が確認されています。臨床試験の結果、聴力検査および自己評価における耳鳴りスコアの大幅な減少が報告され、特に男性やうつ病の方、これまで耳鳴りの治療を受けたことがない方に効果的だったと結論付けられています出典[29]

慢性的な耳鳴りで悩んでいる方はメラトニンの摂取を検討する価値はありそうです。ただし、日本では医薬品(かつ適応外)であるため、医療機関に相談をする必要があります。


13 高血圧改善

メラトニンには抗酸化作用があるため高血圧の改善が期待できます。血管内の蓄積したコレステロールが酸化することで血管が硬直化します。その結果、血管の内腔が狭くなり高血圧となってしまいます。メラトニンにはこの酸化を防ぐ抗酸化作用があるため高血圧の改善が可能なのです。

実際にポーランドのウッチ医科大学の報告によると、メタボリックシンドロームの被験者30人が就寝前に2か月間メラトニンを5mg服用したところ、LDLコレステロールと血圧の改善が示されています出典[30]

更に、香港中文大学によるメタ分析と体系的レビューでは、メラトニンサプリメントは睡眠時の最高血圧を3.57mmHg低下させると結論づけています出典[31]

高血圧に悩んでいる方は食生活や運動習慣に加えメラトニンを併用することも有効と言えそうです。

 

14 アスリートの炎症対策

メラトニンには運動後の炎症を改善する効果が期待できます。運動をすることで酸化ストレスという身体の炎症を誘発する物質が生成されます。特に激しいトレーニングともなると酸化ストレスの上昇と比例して炎症も増加します。メラトニンはこの運動後の炎症の原因となる酸化ストレスを軽減する効果があるのです。

実際にメラトニンが運動後の炎症を抑制したと報告するデータがあります。50 km ( 2,800 m の坂道が続き、非常に変わりやすい気候条件) のコースを走った人を対象とした研究では、メラトニンを摂取することで、酸化ストレスを軽減するのに効果的であることが証明されました。(脂質過酸化レベルが低下し、抗酸化酵素活性が大幅に増加)これにより細胞が保護され、二次的な組織損傷が軽減されると報告されています出典[32]

アスリートのような激しい運動をしている方は身体に大きく負担をかけていることが考えられます。炎症が継続することで怪我のリスクが高まるため、ハードなトレーニングをする方にはメラトンの摂取は効果的かもしれません。


15.成長ホルモン(GH)の分泌促進

メラトニンは成長ホルモンを増加させる効果が期待できます。成長ホルモンと聞くと小児期に必要なホルモンのイメージがあるかもしれませんが、成人後も健康体を維持する上で重要なホルモンです。例えば、免疫や代謝など健康状態を実現する上で必須の部分だけでなく、筋肥大や生殖機能のコンディショニングにも関わります。そんな成長ホルモンをメラトンが上昇させたと報告するデータがあります。

7名の男性を対象とした研究で、メラトニン5mgを1回投与した後に 8 分間自転車運動を行ったところ、運動誘発性の成長ホルモン濃度の増加が確認されています出典[33]

更に、イタリアからの報告で32人の男性被験者においてもメラトニン10 mg投与により、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)によって誘発される 成長ホルモン(GH) 量が約 2 倍になったと報告されています出典[34]

成長ホルモンは健康維持に必須のホルモンと言っても過言ではありません。メラトニンが毎日の健康に役立つと言えそうです。

 

メラトニンの摂取による副作用

アメリカではメラトニンは一般のドラッグストアなどでも市販されています。食品医薬局も特に禁止してはおりません。そのため、多くのアメリカ人にとってメラトニンは身近な成分と言えます。

しかしながら、日本においてはあくまで医薬品成分です。市販は禁止されています。
実際にいくつかの危険性や副作用が軽度から中程度とはいえ、報告されているためです。

2019年にイギリスの研究グループが37の臨床試験結果を分析しました。その結果、1日のメラトニン用量は0.15 mgから12 mgの範囲で行われる事が多く、副作用としては日中の強い眠気が最も多かったとのこと。
続いて頭痛、その他の睡眠関連障害めまい低体温の順で副作用が確認されています出典[35]

このようにメラトニンは比較的安全性が高いとはいえ、副作用が全くないわけではありません。だからこそ日本国内では市販が禁止されている成分なのです。
海外からの個人輸入では比較的簡単に手に入れる事ができますが、利用時には十分に注意をし自己責任でのご利用となること注意が必要です。

 

メラトニンの効果的な服用量や時間など飲み方

最後に、メラトニンの適切な量や時間帯、海外では普及しているといわれるグミの危険性についてご紹介します。

1.身体の調子を見ながら摂取量は調整する事


理想的なメラトニンの摂取量は一概に決められません。実際の生体リズムと理想的なリズム(起床就寝時間)のズレや、メラトニン摂取に対してどの程度反応するのかを判断して飲む量を調整した方が良いと考えられます。

先ほどご紹介した睡眠に関する試験をはじめ、多くの研究においては2mg〜5 mgのメラトニンが使用されています。
多い用量では、軽度認知障害の被験者を対象とした3〜9mg。成長ホルモンに対する効果をみた試験で10mgが利用されています。

また、メラトニンの致死量(上限)は臨床的に確立されていません。成人を対象とした高用量メラトニン(10 mg/日以上)に関する安全性研究の最近の系統的レビューとメタアナリシスでは、安全性プロファイルについて確実な結論を導き出せる研究は限られていると結論づけられています出典[36]

上記のようにメラトニンの最適な摂取量は明確に決められてはおりません。日本国内では医師の診断のもと、処方される成分です。その場合には医師の指示に従った摂取量を必ず守るようにしてください。また、個人で輸入した場合は自己責任の範囲内にはなりますが、10mg/1日の摂取量は超えないような摂取が推奨となります。少量から身体の調子を見ながら調整するようにしてください。

 

2.飲むタイミング:睡眠改善目的なら就寝30分〜60分前

メラトニンを飲むべき時間は求める効果により異なります。
寝付きや中途覚醒の予防を目的に飲む場合には、就寝の30〜60分前が最適なタイミングです出典[37]

概日リズムや生物学的体内時計の調整のためにメラトニンを活用する場合、就寝の2時間から3時間程度は空けた方がいいとされています。

時差ボケ解消目的には、目的地のタイムゾーンにおける就寝時間で摂取するようにしてください。移動先の時間に合わせてメラトニンの体内量を制御する事で、睡眠のリズムが適切な状態へと近づくため時差ボケの解消に効果的です出典[38]

目の健康状態の維持など、睡眠以外の健康メリットを目的にメラトニンを摂取する場合、明確に飲むべきタイミングが定められているわけではありません。重要な事は継続的に摂取する事となりますので、用法用量を守り体調と相談しながらご利用ください。

 

3.メラトニンのグミの危険性

アメリカではメラトニンのグミの利用も一般的です。特にコロナ禍では睡眠やリラクゼーションを目的に消費が増加しているという背景があります。日本でも個人輸入サイトなどで購入が可能ですが、危険性も報告されているため注意が必要です。

販売されているメラトニングミを分析した結果、多くの製品が含まれるホルモンの正確な量を偽って表示しており、そのうちの1つは報告されている用量の3倍を超えていることが判明しました。想定以上の含有量となる傾向にあるようです。

実際にそれにより手中治療室への入院などもアメリカ国内では問題になっているため危険が潜んでいるといえるでしょう。

個人輸入サイトでメラトニンのサプリメントやグミ製剤を購入することはできますが、正しい成分が配合されているか、身体への影響等の問題があるので危険性は認識しておく必要があります出典[39]

 

まとめ:日本では市販禁止成分。代替栄養素を上手に使おう

メラトニンは様々な効果が期待できる一方で副作用リスクもあり、日本では市販禁止の成分です。

利用の際は医師の指示のもと、もしくは海外製品の品質保証についてはしっかり自己管理をする必要があるため注意が必要です。

また、日本国内で健康食品に分類されており安全に利用ができる一方で、機能性表示を取得し機能が認められている成分も存在します。

寝つきの改善であれば、『GABA』や『グリシン』、『テアニン』などがあります。中途覚醒の予防や眠りの深さが目的なら『ラフマ』や『クロセチン』が機能性表示成分です。

また、上記の成分を複数配合したサプリメントも存在します。

毎日飲むものだからこそ安全性も考え、メラトニン以外にも上記のようなサプリメントを検討すると良いでしょう。

 

LINEで専門家に無料相談

365日専門家が男性の気になる疑問解決します
LINEからメッセージを送るだけで薬剤師やパーソナルトレーナー、睡眠指導士やサプリメントアドバイザーなどNP所属の男性ヘルスケアの専門家があなたの疑問や質問に直接回答します!