執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
ジインドリルメタン(DIM)とは
ブロッコリーやチンゲン菜、キャベツ等の野菜に含まれるジインドリルメタン(DIM)には、筋肉量アップに役立つほか、女性ホルモン(エストロゲン)などの体内のホルモンバランスを整える働きがあります。
まずは、ジインドリルメタンの体内での働きや、ジインドリルメタンが豊富に含まれる食材について見ていきましょう。
1.どんな栄養素?
ジインドリルメタン(DIM) はブロッコリーやチンゲン菜、キャベツ等のアブラナ科の野菜に多く含まれる成分です出典[1]。
ジインドリルメタンは、野菜を加熱調理することで濃度が上昇することが分かっています。この現象は、野菜に含まれる酵素であるミロシナーゼが熱で活性化することによって起こります。
例えば、茹でてないキャベツと茹でたキャベツを比較すると、茹でたキャベツの方がジインドリルメタンの濃度が6倍増加していることが報告されているのです出典[1]。
2.女性ホルモン(エストロゲン)の調整に関与する
体内に吸収されたジインドリルメタンは、女性ホルモン(エストロゲン)を調節する働きを持っています出典[1]。
エストロゲンの大幅な増加や減少を防止することによって、エストロゲン代謝に強い影響を及ぼし、身体を守るホルモンバランスの維持に役立ちます。
また、ジインドリルメタンの代謝によりインドール-3-カルビノール(IC3)と呼ばれる物質が生成されます。インドール-3-カルビノールは、女性ホルモンの増加によってリスクが高まりやすいがん(乳がんや子宮頸がんなど)の増殖を抑える作用があるのです出典[2]。
3.どんな食材に含まれている?
ジインドリルメタン(DIM) はブロッコリーに含まれる成分として知られていますが、この他にもチンゲン菜やキャベツ、カリフラワー、ケールなどアブラナ科の野菜に豊富に含まれています出典[1]。
また、食品でのジインドリルメタンの含有量は2〜24mgといわれており、これらは私たちの体にとって安全な量とされています。
ジインドリルメタン(DIM)に確認されている作用や効果
ジインドリルメタンには男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を正常に保つ作用があり、乳がんや甲状腺がんなど性ホルモンと関連する病気の予防・治療効果が期待されています。
ここからは、ジインドリルメタンに期待されている健康効果についてご紹介します。
1.テストステロンの上昇をサポート
男性ホルモンであるテストステロンは、筋肉を肥大や男性更年期障害のリスク低下に関わっています。そのため、筋トレをされている方や更年期障害の疑いがある方にとって、ジインドリルメタンの摂取は重要なサポートになるといえるのです。
前立腺がん患者におけるテストステロンとジインドリルメタンの影響について分析した研究が行われました。限局性前立腺がんの男性40名を被験者として、ジインドリルメタンのカプセル 225mgを1日2回、14〜72日間経口投与した結果、15名の患者でテストステロンについて平均76ng/mLの増加が観察されました出典[3]。
普段運動習慣のない男性にとっても、更年期障害を予防するためにテストステロンのコントロールは重要なポイントです。ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜を食生活にプラスしたり、ジインドリルメタンのサプリメントを使ったりしてテストステロンの低下を防ぎましょう。
2.がんの予防のサポート
ジインドリルメタンは、女性ホルモン(エストロゲン)の調節に作用します。そのため、乳がんや甲状腺がんなど、女性ホルモンの分泌異常により進行するがんの予防に有効である可能性があります。
ジインドリルメタンが豊富に含まれるアブラナ科野菜をより多く摂取する女性の方が、乳がん再発率が52%減少したことが報告されており、乳がんの予防効果が期待されています出典[4]。
女性130名を被験者とした研究によると、150mgのジインドリルメタンを1日2回、12ヶ月間投与したグループについて、エストロゲンの代謝促進と乳がんの進行を抑える物質(性ホルモン結合グロブリン)の増加といった、乳がん予防に有効な作用が現れていることが分かりました出典[4]。
また、エストロゲンの過剰が要因となるがんの一種として、甲状腺がんが挙げられます。甲状腺がんの女性患者7名を対象とした研究によると、1日あたり300mgのジインドリルメタンを14日間投与した結果、エストロゲン代謝が正常に調節されていることが明らかになりました出典[5]。
乳がんや甲状腺がんは、閉経前後などの女性ホルモンの大きな変動によって発症リスクが高くなるとされています。がん予防が気になる方は、ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の野菜を食生活にプラスするのも検討の余地ありです。
3.エネルギー生成のサポート
私たちが食事をすることで体内に吸収される糖(グルコース)は、膵臓から分泌されるインスリンによって体を動かすエネルギーに変えられます。
ジインドリルメタンは、こうしたインスリンによるルギー生成をサポートすると考えられているのです。
高脂肪食で肥満を誘発させたマウスを対象とした実験によると、ジインドリルメタンを投与することでマウスの体重と血液中のグルコース濃度が低下したことが分かりました出典[6]。
普段の生活で活力が不足している・よりエネルギッシュに過ごしたいと考えている方にとって、ジインドリルメタンによるエネルギー生成は重要なポイントです。ジインドリルメタンの多い食事やサプリメントを取り入れて、元気な毎日に繋げていきましょう。
4.抗炎症作用
私たちの体に炎症が起こると、がんや関節リウマチなど様々な病気を引き起こすことが分かっています。ジインドリルメタンは炎症を誘発する物質(サイトカイン)の発現を抑制する効果が確認されているため、炎症が原因となる病気の緩和に役立つ可能性があります。
関節リウマチを誘発させたマウスを対象とした実験によると、ジインドリルメタンを投与したマウスにおいて、血液中のサイトカインの発現レベルが減少し、マウスの膝関節の炎症が軽減されたことが報告されました出典[7]。
ジインドリルメタンが豊富な野菜やサプリメントを食生活に取り入れることで、関節リウマチなどの炎症を抑える可能性があります。炎症が原因となる病気が気になる方は、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜やジインドリルメタンのサプリメントの使用を検討するのも良いでしょう。
ジインドリルメタン(DIM)の摂取方法や注意点
ジインドリルメタンの推奨量についてはまだまだ研究段階ですが、女性ホルモン(エストロゲン)の代謝の調整には1日あたり300㎎が効果的とされています。
また、ジインドリルメタンはサプリメントとしても広く販売されていますが、一度に大量に摂取すると副作用が発生する場合があるため注意が必要です。
ここからは、ジインドリルメタンの適切な摂取量や副作用について解説します。
1.どれくらい摂取すれば良い?
ジインドリルメタンは、1日あたり300mgの摂取によって女性ホルモン(エストロゲン)の代謝調整の効果が確認されています出典[5]。
また、乳がんの改善をサポートする効果についても1日あたり300mgによって効果が現れるとされています。
これらの研究結果から、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスを整えることが目的の場合は1日300mgを目安に摂取することがおすすめです。
2.副作用はある?
ジインドリルメタンの副作用については、一度に300mgを摂取すると1日または2日後に頭痛や吐き気が発生する可能性があります。
健康な男女24名を被験者として、ジインドリルメタンの投与用量と副作用の発症についての研究が行われました。ジインドリルメタンを1回あたり50、100、150、200、300mgの用量でそれぞれ投与したところ、200mgまではジインドリルメタンの副作用は引き起こされませんでした。300mgの用量では、摂取した6人の被験者のうち1人が軽度の吐き気と頭痛を訴え、別の1人は嘔吐も発生しました出典[8]。
また、別の研究ではジインドリルメタンを200mg、400 mgの用量を1日2回、4週間投与したところ、それぞれの用量において副作用は報告されませんでした出典[8]。
ジインドリルメタンは食品にも含まれている成分であるため、必ずしも副作用が発生する訳ではありませんが、サプリメントを一度に大量に摂取することは避けておきましょう。
さらに、ジインドリルメタンのサプリメントには、ブロッコリーやキャベツなどアブラナ科の野菜のエキスが使われていることがあります。これらの野菜にアレルギーがある方は、サプリメントの摂取も避けた方がよいでしょう。
まとめ:ホルモンバランスを整えて精力的に!!
ジインドリルメタン(DIM)は、ブロッコリーやキャベツ、ケールといったアブラナ科の野菜に含まれる成分です。
ジインドリルメタンは、筋トレのサポート以外にも男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン)のバランスを整える、グルコース取り込みを促進するなど様々な研究結果が報告されています。
サプリメントでジインドリルメタンを摂取する場合は、副作用を防ぐために製品に表示された1日あたりの摂取量を守った上で飲むようにしましょう。また、アブラナ科の野菜にアレルギーがある方は、サプリメントに野菜エキスが使われていないかチェックし、体調不良を感じたら摂取を中止することをおすすめします。
出典
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