監修者
睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級
室井優作
心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
そもそも寝る前のココアが良いとされるのはなぜ?
寝る前のココアが良いと聞いたことはありませんか?もしかしたら実践している人も多いかもしれません。
そもそもなぜ寝る前のココアが良いと言われているのでしょうか?
一般的に期待されている代表的な効果は主に3つ。
1つ目は睡眠の質の向上効果。テオブロミンやトリプトファンが睡眠のポジティブな影響を及ぼすと考えられています。
2つ目はダイエット効果ですね。含まれるカカオポリフェノールが血糖値を抑制することが噂の発端だと考えられます。
最後は美肌効果。カカオポリフェノールが抗酸化作用等により肌荒れを抑制すると思われてるようですね。
しかし、果たして本当なのでしょうか?
噂をただ鵜呑みにして実践するのはリスキーです・・・。
真相を徹底的に確かめていきましょう。
寝る前のココアはNG?5つの真相を解明
それでは寝る前のココアが実際のところどうなのかを解明していきましょう。
真相1.栄養素だけを見ると睡眠の質が高まる可能性は低い
まずは、睡眠の質へのココアの関与について解明しましょう。
睡眠へ関係するのは、ココアに含まれるテオブロミン。たしかにテオブロミンは、睡眠で重要な自律神経を整える働きが確認されています。
成人に250mg、500mg、1000mgのテオブロミンを投与した結果、250mgの用量で気分が改善する作用が発揮されました出典[1]。
しかし、ここで注目するべきなのは摂取量。
この実験では250mgより多くても意味がなく、用量が増えると嫌悪感が増すという結果もでているんです・・・。
たった5gのココアパウダーに含まれるテオブロミンの量は100mg。
一杯のココアを作るのに15~20gのパウダーを使用するとなると、300mg~400mgのテオブロミンが含まれる計算になるんです。
適切な量のテオブロミンを摂取するのにはあまり向いていないわけですね。
また、ココアに混ぜる牛乳にはトリプトファンが含まれます。
このトリプトファンはアミノ酸の一種で、睡眠の質を高めるという報告があります出典[2]。
トリプトファンはセロトニン、メラトニンなどの睡眠に関わる物質に変化するため、眠りにも良い影響を及ぼすわけですね。
しかし、研究ではトリプトファンを1回1.2gや2.4gという高用量を投与。
対して牛乳に含まれているのは200mLあたり約80mg。
睡眠の質をよくする可能性自体はあります。たた、栄養素の含有量から推測すると、ココアや牛乳で睡眠の質が大きく改善できるとは言えないでしょう。
真相2.ただし、ホットなら睡眠の質向上が期待できる
次に、ホットドリンクによるリラックス効果について解明しましょう。
結論、寝る前のホットココアは、リラックスするためにはポジティブだと言えるでしょう。
ココアの温かい飲み物を飲むと深部体温が一時的に上がり、下がるときの下げ幅が増えます。
これがリラックス作用をもたらす根幹。実際に深部体温が自律神経の状態に影響して、興奮やリラックスに関わっているというデータがあります出典[4]。
以上から、夜のホットココアがリラックス効果を高める可能性が分かります。
睡眠では深部体温を低下させることが大切と言われています。実際の研究でも就寝後に深部体温が低下する幅が大きいほど睡眠の質が高まることは確認済み出典[3]。
さらに睡眠では深部体温を低下させることが大切と言われています。実際の研究でも就寝後に深部体温が低下する幅が大きいほど睡眠の質が高まることは確認済み出典[3]。
つまりホットココアを飲むと深部体温が低下して、結果的に睡眠の質が高まる可能性があるんです。
真相3.ダイエットどころか太るリスクがある
続いては、気になる方も多いであろう「ダイエット効果」について。
残念ながら寝る前にココアを飲むと痩せるどころか太るリスクの方が高いんです・・・。
そもそも、ココアには脂質や炭水化物なども含まれているためカロリーは高め。実際にココアには糖質や脂質が含まれています。
例えばミルクココアに砂糖を20gを使うとなると約300キロカロリー以上ということになります出典[5]。
痩せるためには、摂取カロリーが消費カロリーを上回る必要があるなんてもはや常識。にもかかわらず普段の食事にさらに追加でカロリー摂取をしても痩せることは考えにくいんです。
さらに単純にカロリーの問題だけでなく、これは寝る前というタイミングも良くない。
夜には脂肪を蓄えるBMAL1と呼ばれる遺伝子が増える事がわかっているんです・・出典[6]出典[7]。
特に深夜0時~朝6時にBMAL1が増えるため、夜中に甘いホットココアを飲んだら高カロリー摂取と脂肪貯蔵のダブルパンチ・・・。
寝るのが夜中になりがちな人は要注意です。
真相4.ニキビはむしろ悪化する可能性がある
それでは、美肌効果についてはどうでしょうか。
確かにココアにはニキビ予防に良いカカオポリフェノールが含まれているので、期待は高まりますよね・・・。
ですが残念。美肌どころか、むしろニキビを悪化させる可能性もあるんです。
実際にココアと同じ原料であるダークチョコレートでは、ニキビが悪化したという報告があります出典[8]。
いくらカカオポリフェノールが良いとはいえ、他の成分による悪影響を打ち消すことは難しいわけですね。情報を鵜吞みにしてココアの過剰な摂りすぎは控えたほうが良いかもしれません。
余計な成分が含まれないサプリメントの摂取の方が効率的
ここまで、寝る前のココアの影響について解説してきました。
結論としては、あまりオススメはできないのが正直な見解にはなりますね・・。
確かに、飲み物によっては健康効果がある成分が含まれているものがあります。
実際に各含有成分だけを見ると良いかもしれません。ですが、含有する他の成分で阻害されることも多いのです。
睡眠やダイエット、美肌などハッキリとした目的がある場合に寝る前の飲み物を用いるのであれば、有効的な栄養素で作られたサプリメントの方が効率的でしょう。
出典
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