監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。
執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
寿司の筋トレ効果5選
魚と白米をおいしく食べられる寿司は、健康食として国内外から広く人気を集めています。もちろん寿司はトレーニーとも相性がよく、トレーニングの質を高める様々な効果を得られます。
まずは寿司の栄養素に注目し、それぞれに期待できる筋力トレーニングへの効果を解説しましょう。
1.消化によいシャリで疲労回復効率UP
炭水化物の摂取源として知られる穀類には白米のほかにも、パンやパスタ、蕎麦にうどん、オートミールなど様々な種類があります。
中でも寿司に用いられる白米に特徴的なのは、消化や吸収の速さでしょう。
白米はパンやパスタ、蕎麦に比べて、消化速度を緩やかにするたんぱく質や食物繊維の量が少なめです。そのため血糖値を急激に上げ、インスリンの分泌量を増やしやすいという性質があるのです。
インスリンは、血中の余分な糖をグリコーゲンの形で筋肉へと蓄えるよう促す働きがあります。インスリンの分泌量が多いほど、筋グリコーゲンの貯蔵効率も高まります。
トレーニングで消耗したグリコーゲンを速やかに再補充できれば、筋疲労の回復速度も早まるでしょう。
また、寿司のシャリの味付けに用いられるお酢には、唾液や胃酸の分泌を促して食欲を増やす作用があります。運動後の疲れた状態での糖質補給にシャリを活用すれば、無理なく必要量の糖質を摂取できるでしょう。
2.良質なたんぱく質のネタが筋肉の合成や修復を促す
生でおいしく食べられる寿司ネタの魚介類は、効率的なたんぱく質の供給源として活用できます。
サーモンやタイなどの魚類には平均して100gあたり約20g、イカやタコ、貝類などにも100gあたり13~17g程度のたんぱく質が含まれています。
筋力トレーニングに欠かせないと言われる肉類のたんぱく質含有量も、平均して100gあたり約20g。肉類と遜色ないたんぱく質補給が行える寿司ネタの刺身類は、筋肉の合成効率を高めるための食品としても適しているでしょう。
また、動物性食品である魚介類や甲殻類は、たんぱく質の量に加えて質も優秀です。筋肉を効率よく合成するために必要となるのは、筋肉の材料として使われる必須アミノ酸です。必須アミノ酸は体内で合成できないため、食事から摂取しなければいけません。
魚介類や甲殻類は、必須アミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」が最大値の100であることで知られています。魚介類や甲殻類をおいしく食べられる寿司を活用して、筋肉の合成効率を高めましょう。
3.タウリンがエネルギー貯蔵を効率化
タウリンというアミノ酸は、疲労回復効果が期待できるため栄養ドリンクの成分としてよく加えられています。魚介類の中でもイカやタコ、貝類などから多く摂取でき、肝臓の機能をサポートするように働きます。
トレーニーに嬉しい効果としては、疲労回復効果に加え、タウリンのエネルギー貯蔵を効率化する働きに注目すべきでしょう。
タウリンはインスリンの分泌を高めることに加えて、インスリンの感受性に関わる「IRS-1」や、糖を取り込む輸送体「GLUT4」を増やす作用があることが判明しているのです出典[1]。
2013年にイギリスのスターリング大学から発表された論文によると、タウリンの摂取により3kmのタイムトライアルのタイムが平均11.9秒短縮され、持久力パフォーマンスが大幅に改善されたと報告されています出典[2]。
タウリンが豊富な魚介類の摂取により、長時間のトレーニングにおいてもパフォーマンスを維持しやすくなる効果が期待できるでしょう。
4.ω‐3系脂肪酸には筋肉痛防止効果も
寿司ネタに用いられる魚類はほとんどが生食。熱を加えない状態で食べることで、熱に弱い栄養素も効率よく摂取できます。
魚における重要な栄養素のひとつである「ω‐3系脂肪酸」も、熱に弱い性質を持ちます。ω‐3系脂肪酸であるEPAやDHAは強力な抗酸化物質として機能します。
抗酸化物質により、トレーニングにより過剰に発生した活性酸素の働きを抑えやすくなります。筋肉へのダメージを軽減する効果が期待できるため、筋疲労や筋肉痛の防止に役立つでしょう。
2021年に中国南華大学で発表された論文において、ω-3系脂肪酸には筋肉痛や筋肉疲労の指標となる、クレアチニンキナーゼや乳酸デヒドロゲナーゼ、ミオグリビンの血中濃度を低下させる働きがあることが示されています出典[3]。
筋肉痛や疲労を防止できれば、運動のパフォーマンスも高まります。同じく2021年に明治大学から発表された論文によると、EPAやDHAの摂取により運動直後の筋肉の可動域が44%改善されたという結果が得られています出典[4]。
ω‐3系脂肪酸を効率よく摂取できる寿司を食べて筋肉痛を防止・軽減させれば、高いパフォーマンスでトレーニングを継続しやすくなるでしょう。
5.飽和脂肪酸の摂取を最小限に
ブリやマグロのトロ、さんまなど、脂質含有量の多い魚は多数存在します。しかし魚類は体脂肪合成に使われやすい飽和脂肪酸の含有量が少なく、体脂肪合成のリスク低下に役立つという嬉しい特徴があります。
肉類で脂質が豊富なバラ肉やサーロインと、魚類で脂質が豊富なさんまなどの魚の飽和脂肪酸量を比較してみましょう。
【食品100gあたりの栄養素(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)出典[5]】
エネルギー(kcal) | 脂質(g) | 飽和脂肪酸(g) | |
さんま | 287 | 25.6 | 4.84 |
ブリ | 222 | 17.6 | 4.42 |
ブリ・ハマチ(養殖) | 217 | 17.2 | 3.96 |
牛サーロイン | 273 | 23.7 | 10.85 |
牛バラ | 338 | 32.9 | 13.05 |
豚バラ | 366 | 35.4 | 14.6 |
さんまは牛サーロインよりも脂質量の多い魚ですが、飽和脂肪酸量は半分以下。魚類にはエネルギーとして優先的に使われやすい不飽和脂肪酸の含有量が多いため、体脂肪合成のリスクを抑えたエネルギー補給が可能です。
もちろん、牛肉や豚肉もまた良質なたんぱく質の摂取源であることには変わりありませんが、飽和脂肪酸の摂取には注意が必要です。体脂肪合成のリスクが少ない動物性食品として、魚類は非常におすすめの食品です。
飽和脂肪酸の少ない魚類を活用して、体脂肪合成を抑えた体づくりに役立てましょう。
たんぱく質が多めの寿司ネタランキング
筋力トレーニングへの活用を考えて寿司を食べる際、やはりネタごとのたんぱく質量はある程度把握しておきたいものですよね。
まずは一般的な寿司ネタのエネルギー、たんぱく質、脂質をまとめた表を確認してみましょう。
【食品100gあたりの栄養素(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)出典[5]】
エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | |
いくら | 252 | 32.6 | 15.6 |
くろまぐろ(養殖) | 153 | 24.8 | 7.6 |
ぶり | 222 | 21.4 | 17.6 |
ぶり・はまち(養殖) | 180 | 21 | 12 |
まだい | 129 | 20.6 | 5.8 |
サーモン | 218 | 20.1 | 16.5 |
えんがわ(ひらめ) | 96 | 20.0 | 2.0 |
甘エビ | 85 | 19.8 | 1.5 |
まあじ | 112 | 19.7 | 4.5 |
赤エビ | 73 | 19.1 | 0.7 |
さんま | 287 | 18.1 | 25.6 |
やりいか | 79 | 17.6 | 1 |
まだこ | 70 | 16.1 | 0.9 |
ずわいがに | 59 | 13.9 | 0.4 |
ほたて貝 | 66 | 13.5 | 0.9 |
全てのネタのたんぱく質量を覚えるのは至難の業です。そのため寿司を食べる際には、以下のことを覚えておくとネタ選びの参考になるでしょう。
- 魚卵は高たんぱくかつ高脂質
- 魚類のたんぱく質量は概ね20g前後
- エビ、カニ、イカ、タコ、貝はいずれも低脂質
ここからは、トレーニーが最も優先すべきたんぱく質含有量に注目し、高い順におすすめのネタとして紹介します。
1位:いくら
軍艦巻きとして食べることの多いいくらは、100gあたり32.6gという驚異のたんぱく質含有量を誇ります。
軍艦巻きの中にはいくらが10gほど入っているため、2貫で約6.5gのたんぱく質を摂取できる計算になります。寿司ネタの中で、これほど効率的にたんぱく質を摂取できるネタはおそらく他にないでしょう。
しかしいくらは脂質も豊富でありカロリーが増えやすいため、いくらばかりに偏った寿司の食べ方は禁物です。以下に紹介する他のネタを取り入れ、様々な食品からたんぱく質を摂取できるようにしましょう。
2位:まぐろ赤身
まぐろの赤身は魚類の中でトップクラスのたんぱく質含有量を誇ります。赤身は脂質量も少ないため、減量期において脂質量をカットしたい方にも適した食品です。
さらにたんぱく質量にこだわりたい場合には、天然もののマグロを選んでみましょう。天然のくろまぐろは養殖よりもさらに高たんぱくかつ高脂質であるため、減量期のトレーニーにはとくにおすすめです。
【くろまぐろ100gあたりの栄養素(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年より)出典[5]】
エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | |
養殖・赤身 | 153 | 24.8 | 7.6 |
天然・赤身 | 115 | 26.4 | 1.4 |
養殖・脂身 | 321 | 18.6 | 28.9 |
天然・脂身 | 308 | 20.1 | 27.5 |
なお、大トロなどの脂身には当然ながら脂質が多く、ω‐3系脂肪酸の摂取源として重宝します。赤身には及びませんがたんぱく質量も十分にあるため、増量期には大トロなどの脂身も適宜活用するとよいでしょう。
3位:ぶり・はまち
ぶりやはまちもたんぱく質の供給源として適しています。いずれも100gあたり20g以上のたんぱく質を含み、大トロに比べて価格の面で食べやすいため、良質な脂質の摂取源としても活用できます。
なお、たんぱく質量にはぶりもはまちも大差ありませんが、脂質はぶりの方が多めです。ω‐3系脂肪酸を効率的に摂取したい場合には適していますが、減量期でカロリーや脂質をより抑えたい方は、はまちを意識して選ぶとよいでしょう。
4位:まだい
タイは白身魚の一種です。スズキやタラに代表される白身魚は、味が淡泊で食べづらい印象があるかもしれませんね。
しかしまだいは脂質含有量が比較的多く、ぶりっとした歯ごたえを楽しめる白身魚です。調味液に漬けて味を持たせたネタが提供されることもあるため、同じタイでも様々な味わいを楽しみやすいのもポイントです。
まだいにはグルタミン酸やイノシン酸などの旨味成分も含まれているため、あっさりとしていながら深い味わいを楽しめます。白身魚をあまり食べないという方は、まずタイの寿司から試してみてはいかがでしょうか。
5位:サーモン
サーモンはトレーニーに人気の赤身魚です。高たんぱく質であることはもちろん、豊富な脂質からω‐3系脂肪酸の摂取源としても適しているでしょう。
ω‐3系脂肪酸に加え、サーモンからはアスタキサンチンという機能性成分を摂取できます。アスタキサンチンはサーモンの鮮やかな赤い色を作る色素成分であり、強い抗酸化作用を持つことで知られています。
アスタキサンチンにも同様に、筋肉痛の原因となる炎症性サイトカインのIL-1β、IL-6、TNF-αを減少させる効果があることが、2012年にイタリアのキエーティ大学から発表された論文において示されています出典[6]。
アスタキサンチンは熱に強いことでも知られています。加熱しても抗酸化能力が失われないというメリットもありますが、もちろん生で摂取しても同様に効果を発揮します。
ω‐3系脂肪酸とアスタキサンチンのダブルの抗酸化作用で、筋肉痛に負けない体を作りましょう。
6位:えんがわ
えんがわとはヒラメやカレイの部位のことです。淡泊な味わいの通り非常に低脂質であるため、減量期のたんぱく質源として活躍するでしょう。
また、えんがわからはエネルギー代謝に欠かせないビタミンB群を多めに摂取できます。シャリに含まれる豊富な炭水化物を効率よくエネルギーに変えるには、ビタミンB1やナイアシンなどの働きが欠かせません。
速やかなエネルギー代謝のためにも、ビタミンB群の補給としてえんがわを活用してみましょう。
7位:甘えび・赤えび
甘エビや赤エビは高たんぱくかつ低脂質であるため、えんがわと同じく減量期向きのネタと言えます。
また、エビの赤い色素にもサーモンと同じアスタキサンチンが含まれています。エビ類には脂質が少ない分、ω‐3系脂肪酸による抗酸化効果は得られません。
しかしアスタキサンチンもまた優秀な抗酸化物質として機能するため、筋肉痛を軽減するように働いてくれるでしょう。
さらにエビからはタウリンも摂取できます。インスリン分泌を促し、筋グリコーゲン貯蔵を高める効果も期待できそうですね。
8位:まあじ
アジはあまりメジャーなネタではないかもしれませんが、たんぱく質を豊富に含む魚類です。
また脂質も多すぎず適度に含まれているため、カロリーを抑えたいけれど淡泊すぎるネタは避けたいという方にはおすすめの食品です。
アジにもえんがわと同様にビタミンB群、とくにビタミンB1が豊富です。シャリの糖質代謝をスムーズに行い、エネルギーを効率よく生成するために役立つでしょう。
9位:さんま
さんまはたんぱく質もさることながら、100gあたり25.6gと、圧倒的な脂質含有量を誇ります。カロリーが増えやすいため食べ過ぎは禁物ですが、ω‐3系脂肪酸の供給源としては非常に適しています。
また、高脂質であることは、脂溶性ビタミンの吸収率を高めるためにも役立ちます。さんまをはじめとした、ほかの魚にも多いビタミンDを効率よく吸収するため、さんまの良質な脂質が活躍するでしょう。
ビタミンDには、筋肉の合成効率を高める働きをする男性ホルモン、テストステロンを増加させる働きがあります。
テストステロンとビタミンDとの関係はオーストリアのグラーツ医科大学が複数の論文で示しています。
たとえば2010年には、2000人以上の男性を対象とした横断研究から、血中ビタミンD濃度が高い人ほど血中テストステロン濃度も高く測定されたことが明らかになりました出典[7]。
さらに2014年にはヒトの精巣細胞を用いた研究において、ビタミンDがテストステロンの合成を活性化させる働きがあることが確認できています出典[8]。
ビタミンDの効率的な供給源として、さんまのような高脂質の魚を上手に活用してみましょう。
10位:イカ・タコ
イカやタコは非常に低脂質な食品。たんぱく質含有量は15g前後と、魚類やエビ類と比べるとやや少なめではありますが、筋肉の合成効率を高める食品として十分機能するポテンシャルを持っています。
タウリンの多さもイカやタコの特徴です。インスリン分泌を促進して筋グリコーゲン貯蔵を効率化したり、疲労回復を促したりするために役立つでしょう。
なお、イカやタコはコレステロールを多く含むため、血液をドロドロにして血流を悪化させる可能性がかつては指摘されてきました。しかしタウリンにはコレステロールを調節する作用があることもまた判明しています。
コレステロールを材料とする「胆汁酸」とタウリンが結びつくことでコレステロールの消費を増やすため、余分なコレステロールを減らすように働くのです出典[9]。
このようなタウリンの作用により、イカやタコが血流を悪化させるリスクは低いと今では考えられています。食べ過ぎによる食品の偏りには気を付けて、イカやタコの寿司も適度に楽しみましょう。
筋トレと寿司に関するよくある質問
トレーニーが寿司を食べるにおいて、1回分のカロリーやたんぱく質、注意すべきネタなど、気になる点は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、寿司に関する質問の中から、よく寄せられるものを回答します。寿司を食べる際の参考として、ぜひお役立てください。
寿司10貫の糖質量やたんぱく質量は?
寿司10貫、5皿分のカロリーや栄養素はどの程度になるのでしょう。
寿司一貫の重さは20~35gほどです。店舗にもよりますが、シャリは15~20gほどでしょう。ネタは食材によって大きく異なりますが5~15gの幅に大抵は収まり、平均8g前後であることが多いようです。10貫食べればシャリは150~200g、ネタは80gほどと計算できそうですね。
炊いた白米100gの単糖当量は38.1gであるため、150~200gのシャリを食べれば約57~76gの糖質を摂取できる計算になるでしょう。
また、魚類のたんぱく質含有量を100g中約20gとみなすと、10貫中のネタ約80gに含まれるたんぱく質量は約16gと計算できます。
トレーニング後にはどれだけ食べればいい?
トレーニング後の食事として寿司を食べる場合、何貫を目安にすればよいのでしょうか。
グリコーゲンの再貯蔵をより効率的に行うには、運動後30分以内の速やかな食事が重要です。そして1時間に体重1kgあたり1.0~1.2gの糖質摂取を、運動後すぐから4~6時間後まで続けるべきと言われています出典[10]。
体重60kgの方であれば、1時間あたり60~72gの糖質摂取が目安となります。寿司10貫の糖質量が57~76g程度であるため、糖質量については10貫で必要量を満たせていると考えられるでしょう。
また、筋肉の合成を促すため、たんぱく質は体重1kgあたり1.6g以上を摂取することが推奨されています出典[11]。
体重60kgの方であれば96g以上の摂取が推奨される計算です。朝、昼、夕に均等にたんぱく質を摂取すると想定すると、1食あたり32gのたんぱく質が必要であり、10貫あたりのたんぱく質量16gでは到底足りません。
糖質とたんぱく質を理想的な範囲に収めるには、刺身での注文を間に挟む、ネタが大きめで高たんぱくな寿司を選んで食べる、などの工夫が必要になるでしょう。
また、回転寿司店ではダイエットや糖尿病の食事管理のため、シャリの量を半分にした寿司を注文できる場合があります。こういったサービスを活用して、糖質とたんぱく質のバランスを取れるよう調整してみましょう。
避けるべき寿司ネタは?
基本的に魚介類であれば体脂肪合成のリスクをそこまで警戒する必要はありません。しかしいくらや大トロ、さんまのような高脂質なネタばかり注文するのはやはり控えた方がよいでしょう。
また、回転寿司など家族連れが訪れることの多いチェーン店においては、魚介類以外のネタも多様に扱われています。肉を使用した牛カルビやハンバーグなどは、当然ながら飽和脂肪酸が多く、ω‐3系脂肪酸など良質な脂肪酸の摂取が見込めないため避けるべきでしょう。
また、マヨコーンやえび天など、子ども向けの軍艦もトレーニング後には不向きです。マヨコーンにはたんぱく質食品が含まれていないため、筋肉の合成効率を上げることができません。また揚げ物に含まれる過酸化脂質は酸化ストレスを増やし、筋肉の回復を妨げる可能性があります。
以下の点に注意すると、筋力トレーニングの質を落とさず寿司を楽しめるでしょう。
- 魚介類のネタを選んで食べる
- イクラや大トロの食べ過ぎに注意
- チーズやマヨネーズなどのトッピングは避ける
- 揚げ物は厳禁
脂質の少ない寿司ネタは?
寿司のネタに用いられる魚類はある程度の脂質を含んだものが多い傾向にあります。そのため低脂質にこだわりたい場合には、エビ、カニ、イカ、タコ、貝類を積極的に選びましょう。
脂質が比較的控えめな魚類のネタは、えんがわ、タイ、アジ、マグロの赤身などです。白身魚であるえんがわやタイは歯ごたえやうま味を楽しみやすく、アジやマグロの赤身魚は鉄分やω‐3系脂肪酸の摂取源として役立ちます。
ただし減量期においても、脂質の絞りすぎはパフォーマンスの低下に繋がります。魚介類の脂質は体脂肪合成に繋がりにくい性質があるため、摂取を恐れすぎる必要はない点は覚えておきましょう。
まとめ:寿司を活用して効率的に筋肥大しよう!
寿司はエネルギー源であるシャリ由来の糖質と、筋肉の合成に役立つ魚介類由来のたんぱく質を同時に摂取できる、非常に効率的な料理です。
ω‐3系脂肪酸やタウリン、ビタミンDなど、トレーニングと相性がよい様々な成分を効率よく摂取できるため、ぜひ積極的に取り入れてみましょう。
いくらやマグロの赤身はトップクラスのたんぱく質含有量を誇ります。しかし食品によって含まれる栄養素や機能性成分が異なる以上、どれか一つのネタに絞って摂取するのは非常にもったいない食べ方です。
様々なネタを楽しみながら、糖質やたんぱく質、ω‐3系脂肪酸などを効果的に取り入れましょう。
出典
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