寝る前のドリンクとしてオススメされる甘酒。

もしかしたら実践している人も多いかもしれません。

寝る前の甘酒には安眠効果や美肌、ダイエット効果があると噂されていますが、本当なのでしょうか？

今回は、寝る前の甘酒についての真相を解明していきたいと思います。
 

早速、寝る前の甘酒に関して学術的観点から4つの事実を解説しましょう。

1.リラックス作用は期待できる

まずはリラックス作用について。

寝る前に甘酒を飲むとリラックスできるでしょうか？

はい、寝る前に温かい甘酒を飲むことはリラックスする上でプラスに働くでしょう。

ただし、冷えたものではなく温かい甘酒であることが大切です。

温かい飲み物を飲むと、反動で身体の中心の温度である深部体温が低下。深部体温が下がると、脳や体は休息状態になり眠気が訪れるのです。

実際に、寒冷や高温などの刺激によって深部体温を変化させると、それに伴い自律神経が影響を受けることがわかりました^出典[1]。

深部体温が低下することで、体の緊張がやわらいで就寝に適したリラックス状態になることが期待できますね。

2.ただし、糖質が睡眠を妨げてしまう恐れあり

寝る前の温かい甘酒でリラックスはできるのですが、じつは睡眠の質が良くなるとは言えないんです。

理由は、甘酒に含まれる糖質が睡眠を妨げてしまう可能性があるから。

糖分を摂取すると血糖値が上がるのですが、それを下げるために膵臓からインスリンというホルモンが分泌。

その反動で血糖値が下がりすぎてしまい、今度は交感神経を高め血糖値を上げようとします。

もちろん交感神経が高まることで興奮作用が強くなるため、結果的に睡眠にとっては悪影響に。

実際に30～45歳の26人に対し、食事内容と睡眠について調査した研究があります。その結果、砂糖の摂取量が多いほど睡眠が浅くなり、夜間覚醒が増加することが示されました^出典[2]。

”甘”という字からもわかるように、甘酒には糖分が含まれているので、寝る前に飲むと睡眠を妨げてしまう可能性があるんです。

3.眠りの質が悪くなると肌の調子も悪くなる

眠りの質が悪くなるということは、残念ながら肌の調子も悪くなるということ。

60人の女性に対し睡眠と肌の質を調査した研究によると、睡眠の質が悪い人は良い人と比較して、シミ、シワ、キメなどの肌状態が悪かったことがわかりました^出典[3]。

また、睡眠の質が良い人は紫外線にさらされてから24時間後の肌の回復が良好であったこともわかっています^出典[3]。

お肌のゴールデンタイムという言葉もある通り、肌にとって毎日の睡眠がいかに重要であるかがわかりますね。

睡眠の質が悪くなるのであれば「寝る前に甘酒を飲むと美肌になる」とは言えないでしょう。

4.ダイエット効果よりも太る可能性の方が高い

では、気になる方も多いであろう「ダイエット効果」について。

寝る前の甘酒で痩せるのでしょうか？

いいえ…残念ながら、むしろ太る可能性のほうが高いんです。

じつは、1日のエネルギー量を夜の時間帯に多く摂取するほど、肥満になる確率が高くなることがわかっています^出典[4]。

ただでさえ、夕食は朝や昼に比べて豪華になりがち。さらに就寝前の甘酒でカロリーを増やすのは、「痩せる」とはほど遠い行動なわけですね。

また、就寝中は活動時に比べて安静時代謝量が約10％も低下しています^出典[5]。

つまり、夜間は代謝が下がってカロリー消費が少ないため、寝る前に食べるとより脂肪になりやすいんです。

甘酒に限らず、就寝直前のカロリー摂取は控えた方が良いでしょう。
 

ここまで、寝る前の甘酒に関する噂を検証してきました。

結論、あまり推奨できるものではありません。

しかし、あくまで寝る前に飲むことが問題であり、甘酒自体は栄養豊富で健康に良いのは事実です。

発酵食品である甘酒は、必須アミノ酸やビタミンB群、食物繊維などの栄養を含んでおり、腸内環境の改善にうってつけ。

腸内環境が良くなることで、美肌やダイエット効果も期待できます。

甘酒は、寝る前ではなく朝や日中に飲むようにしましょう。