監修者
睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級
室井優作
心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
そもそも睡眠において室温は大切なのか?
寒くなるこの季節、寝るときに寝室が冷え切っていますよね。
布団に入っても寒くてブルブル震え、なかなか寝付けなかったりトイレに行きたくなってしまったなどという経験がある人もいるのではないでしょうか?
そんな時に気になるのは、寝る前に暖房をつけるかどうか。電気代が高騰しているし、ストーブは危ないって感じる人もいるでしょう。
一体どうすればよいのでしょうか?
そもそも室温はそこまで大切になるのでしょうか?
睡眠と室温に重要な関係があるとしたら、知りたいところです。
結論から言うと、実は非常に大切。
睡眠においては、脳や内臓の温度である深部体温を低く保つことが大切です。出典[1]
深部体温が下がることで副交感神経が優位になるので、眠気が誘発されるんです。
そのため、夏でも冬でも室温や湿度が高いと深部体温が下がりにくいために寝苦しくなって、睡眠の質が下がりやすいのです。
つまり体温を適切に保つためにも室温は必須な要素なわけですね。
寝る前に暖房はつけても良い。重要なのは寝床内環境
では、結局のところ寝る前に暖房はつけるべきなのでしょうか?
極論、深部体温が最適化されれば暖房の有無はどっちでも良いんです。
意識するべきなのは、「寝床内環境」とも呼ばれる布団の中の温度や湿度。
適切な寝床の温度は32~34度で、湿度は50%だと言われています。出典[2]
実際に、室温が低くても寝床内の環境が整っていれば睡眠状況に影響しないことが確認されました。
また、厚生労働省によると、室温の理想は25~26度で湿度が50~70%が理想。
厚生労働省の報告でも寝床内の温度は33度程度であることが重要としています。
さらに、室温の許容温度範囲は13~29℃。
暑いよりも寒いほうが睡眠には向いているようです。出典[3]
この寝床内温度を目指して調整してみましょう。
この温度調整がどれほど多くのメリットをもたらすかをぜひ知ってほしいと思います。
寝床内環境を調整して寝ることによるメリット9選
ここからは、適切な寝床内環境を保つことが、どんなメリットをもたらすのかを9つのポイントで解説します。
1.睡眠障害の改善
深部体温が最適化されれば、当然睡眠のお悩みは改善していきます。
実際のデータでも気温が高いと睡眠の質が悪いことが分かっています。
逆に言えば、深部体温を適切に保てば、眠りは良くなる可能性が高いのです。出典[4]
適切な寝床内環境を整えて、室温を高くしすぎないことで睡眠障害が改善できそうです。
2.疲労感の回復
2つ目のメリットは、疲労感の回復です。
睡眠と疲労は密接に関わりがあるんです。
実際に睡眠の質が低い人は、疲労感、不安、憂鬱さ、怒りなどが起きやすく、気分障害が多い事が分かりました。
睡眠の質が悪い人は、身体的疲労だけでなく、身体的疲労が高い結果に。出典[5]
これらのことから、睡眠の質をあげることで、疲労感の回復が得られやすくなると言えます。
睡眠環境を整える適切な寝床内温度や室温は重要ですね。
3.集中力や記憶力などの認知機能の向上
睡眠は集中力や記憶力などの脳機能にも深く関わります。
実際に様々な研究で十分な睡眠は記憶力等の認知機能にポジティブな影響をもたらすことは確認済み。
とある研究によると、6~9時間の睡眠時間を確保している人では、睡眠の質だけでなく、認知スコアも一番良い結果となりました。出典[6]
さらに睡眠の質や睡眠時間が高齢者の主観的な睡眠の質、睡眠時間、睡眠障害と認知力に負の相関があるとするデータもあります。出典[7]
しっかりと体温を最適化して眠るだけで、日中のパフォーマンスが高まる可能性もあるんです。
4.運動能力の向上
有名なスポーツ選手に睡眠を大切にしている人が多いという話を聞いたことがあるかもしれません。
実際に、睡眠不足や睡眠の質の低下によって、筋力やスピードなどの身体パフォーマンスが発揮できない可能性があることが判明。
さらに、ケガのリスクを高めるだけでなく回復を妨げる可能性もあり、アスリートにとっては、睡眠は選手生命にも関わる重要事項だとも言えます。出典[8]
睡眠は、運動において重要な状況判断や創造性など臨機応変な認知パフォーマンスにも関わっているのですね。
5.メンタルの改善
睡眠不足の人はメンタルが不安定になりやすく、精神的苦痛を感じている人が多いと言われています。
特に平均睡眠時間が6時間未満では、その傾向が2.5倍にもなり、睡眠時間確保の大切さがわかりました。出典[9]
さらに、高齢患者の睡眠の質と睡眠時間は、認知機能と正の相関。出典[10]
睡眠の質が悪くなればなるほど、認知機能が低下してしまい、不安や憂鬱がより深刻になります。
普段から睡眠の質と時間に注意することが、いかに重要かが分かりますね。
6.テストステロンの向上
実は、男性ホルモンであるテストステロンは寝ている間に多く分泌されるため、睡眠がとても大切。
実際、睡眠の質が低下してしまうと、テストステロンが低下してしまうんです。
さらに、テストステロンを補充することによって睡眠の質も改善されることから、テストステロンが低いことが睡眠の質に影響がでる可能性もあるんです出典[11]
男性としての魅力を失わないためにも、しっかりと睡眠を確保することは大切なわけですね。
7.血流の改善
さて、睡眠不足になると血圧などに影響が出やすいなどと言われていますが、実際はどうなのでしょうか?
実際の研究によると、高血圧患者や心血管イベントのある患者の睡眠の質のスコアが悪く、睡眠の質低下と血圧上昇に関係があることが分かっています。出典[12]
これには、次のような働きが関係しています。
睡眠の質が悪いと活性酸素が正常に除去されないので、血管に酸化ストレスが与えられます。
さらに睡眠不足によって、神経の興奮状態が続いて心拍数が高まることで、血管にダメージを受けるのです。
健康維持のためにも、睡眠はとても大切だということが分かりますね。
8.免疫の強化
昨今の感染症流行で免疫力低下の話題を度々耳にすることがある人もいるのではないでしょうか。
実は、睡眠はとても免疫力に関係しているのです。
ここで重要なのは睡眠時間だけでなく、毎日の睡眠リズム。
免疫細胞には、夜間寝ている間の早い時間帯に多く作られるものと日中起きている間に多く作られるものがあります。
免疫細胞ごとに、体内時計で何時ごろどういう条件(寝てるか起きてるか)で多く作られるというのが決まっているのです。
これはワクチン接種後の交代価にも関係。
接種後に夜睡眠をとることによって、抗体がより多く持続的に作られることが明らかに。出典[13]
睡眠が体の健康維持にも欠かせないことがよくわかりますね。
9.血糖値の正常化
実は、睡眠の質の低下は、血糖値を乱し糖尿病のリスクを高めることがわかっています。
これは、夜間睡眠がしっかりと取れているとインスリンが分泌され、血糖値が低下します。
夜間でも睡眠初期にインスリンが分泌され、睡眠の後半には寝る前と同等になることが分かったのです。
つまり、夜にしっかりと眠れることで血糖値を正常化されるんです。
逆に、睡眠障害があると耐糖能に悪影響があることがわかりました。 出典[14]
糖尿病は症状もなく進行し、様々な生活習慣病にもつながるので、怖いですよね。
そういう意味でも、夜に良質な睡眠をとることが重要だといえますね。
睡眠の質は日々の習慣でも高められる
ここまでしっかりと寝室を適温に保つことで得られるメリットを紹介してきました。
しかし、睡眠の質に影響するのは、寝床の中の環境だけではありません。
睡眠の質を高める理想的な習慣も紹介しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。¥
出典
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