監修者
睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級
室井優作
心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。
執筆者
管理栄養士/分子栄養学カウンセラー
岡かな
大阪市立大学食品栄養科、大学院修士課程修了。医療機関に勤務し、糖尿病や高血圧など生活習慣病の栄養管理に取り組む。その後はヘルスケア事業に移り、年間500人以上のダイエットをサポートする。現在はダイエットサポートの他、特定保健指導や健康に関わる分野の執筆も行っている。誤った情報で10キロ以上リバウンドした自分自身の経験から、科学的根拠に基づく正しい情報の発信を心掛けている。
寝る前のトマトが注目されるのはなぜ?
寝る前に食べると良いと噂されているトマト。
なぜ、寝る前のトマトが注目されているのでしょう?
一つは睡眠の質が高まると考えられているからです。
トマトには入眠ホルモンであるメラトニンが多く含まれるため、睡眠前に摂取することで体内のメラトニン量が増加し睡眠の質が向上すると言われているんです。
また、他にどんな効果が期待できるのか気になりますよね。
今回は、寝る前のトマト摂取で得られる効果について、学術的に解説していきましょう。
寝る前のトマトに期待できる6つの効果
早速、寝る前のトマトで得られる7つの効果について解説しましょう。
1.ダイエットのサポート効果
毎日のトマト摂取には、ダイエットのサポート効果が示されています。
「痩せホルモン」として知られるアディポネクチン。アディポネクチンは、脂肪の分解を促進します。
そして、トマトに多く含まれるリコピンにはアディポネクチンを増やす作用が確認されているんです。
実際に20~30歳の25人の女性に対して、毎日280mLのトマトジュース(リコピン32.5mgを含む)を2か月間飲んでもらった結果、血中のアディポネクチン濃度が増加し、さらに体重、体脂肪、腹囲が減少したことがわかりました 出典[1]。
体重を減らしたい人やメタボが気になる人は、毎日の食生活にトマトやトマトジュースを取り入れてみましょう。
2.肌のコンディションを整える
ダイエットにプラスになるだけでなく、トマトで美肌になる可能性も十分にあります。
リコピンの抗酸化作用により、しわやシミを改善し美肌効果が得られることが示されているんです。
実際に、トマトベースのサプリメントを使用してもらい皮膚の状態を評価した研究があります。
被験者は、サプリメントを摂取した群28人とプラセボ群32人に分けられ、16週間の摂取の後、専門家による肌診断やアンケート調査を受けました。
その結果、プラセボ群では変化がなかったのに対し、サプリ群ではしわの深さが5.6%減少しました 出典[2]。
また、小じわに関してもプラセボ群に比べてサプリ群では1.4倍減少率が高かったことがわかっています 出典[2]。
さらに、サプリメントを摂取することで、肌の明るさ、透明感、滑らかさ、ハリと潤いが良くなったと実感する割合が増加していました出典[2]。
トマトでしわが改善され肌状態が良くなることを感じられるのであれば、食べない理由はないですよね。
しわが気になっている人、しみや肌の明るさに悩んでいる人はぜひ試してみてください。
3.睡眠の質を高める
寝る前のトマトで特に注目を浴びている快眠効果。
確かに、寝る前のトマトで睡眠の質が向上することが示されています。
そもそも質のよい睡眠ためには、入眠ホルモンの「メラトニン」が不可欠。
トマトにはメラトニンが多く含まれるため、睡眠前に摂取することで体内のメラトニン量が増加し睡眠の質が向上することが示されているんです。
実際に36人の被験者に対し、寝る2時間前にトマト250gを8週間摂取してもらい睡眠の質を調べた研究があります。
その結果、トマトを食べたグループは、食べていないグループに比べて睡眠の質が大幅に改善されました。
さらに、メラトニンレベルはトマトを食べていないグループよりも10倍高かったことがわかっています出典[3]。
睡眠の質を高めたい人は、寝る前のトマトを実践してみましょう。
4.悪玉コレステロールを減らしてメタボの予防
「 悪玉コレステロールが上がってきた…。」「メタボが気になる…。」
年を重ねるほど悩みがちな問題ですよね。
じつは、トマトを摂取することで悪玉コレステロールを減らしてメタボを予防する可能性があります。
リコピンは悪玉コレステロールが酸化されてしまうことを防ぎ、動脈硬化のリスクを抑えることが示されているんです。
実際に、トマトの摂取が血清コレステロールに及ぼす効果を調べた12件の研究をまとめた報告によると、1日25mg以上リコピンを摂取すると、LDLコレステロールが約10%低下することがわかりました出典[4]。
リコピンによるコレステロール低下作用は、コレステロールを下げる薬の効果に匹敵するとも言われるほど。
また、リコピンの摂取量が多いほど、メタボリックシンドロームの罹患率が下がるという研究結果もあります出典[5]。
悪玉コレステロールが上がってきた人やメタボが気になる人は、食事にトマトを取り入れてみましょう。
5.脳機能も改善する可能性あり・・
トマトに多く含まれている赤色色素であるリコピンは、ポリフェノール化合物(カロテノイド)の一種です。
そして、カロテノイドの抗炎症作用と抗酸化作用で脳機能をも改善する可能性が示されています。
実際に、91人の被験者に対し1年間カロテノイドのサプリメント摂取してもらい脳機能を調査した結果、プラセボ群に比べてサプリメント群では記憶力が向上したことがわかりました出典[6]。
さらにこの研究では、血中のカロテノイド濃度が高いほど、学習能力テストのエラー数が減少したことが示されています出典[6]。
継続的なカロテノイド摂取は脳機能にも影響を及ぼすということですね。
記憶力に自信がなくなってきた人や勉強や仕事の効率を上げたい人は、長期的にトマト摂取を続けると良いでしょう。
6.筋肉の維持にも働く
加齢と共に筋肉量が減少していくことは、よく知られていますよね。
加齢による筋肉減少の原因はいくつか考えられていますが、その一つが食事の酸塩基バランス。
野菜や果物などのアルカリ食品が少なく肉や魚などの酸性食品を多く含む食事は、血液が酸性に傾いた状態(代謝性アシドーシス)を導き、そのことが筋肉の消耗を促進すると言われているんです出典[7]。
さらに、年を重ねるほど低下していくのが腎機能。
腎機能の低下により水素イオンを排出できなくなることで、ますます代謝性アシドーシスが促進し、加齢に伴い筋肉が減少してしまうんです。
そこで注目を浴びているのがトマト。
トマトには多くのカリウムが多く含まれており、カリウムが酸塩基バランスを調整することで筋肉量の維持に効果があることが示されているんです。
実際に、65歳以上の384名に対し、尿中カリウム量と筋肉量を調査した研究によると、尿中カリウム量が多い人ほど筋肉量が多いことが示されました出典[7]。
年をとって筋肉が減ってきたと感じている人は、たんぱく質だけでなくカリウムにも注目してみましょう。
7.精子の質にもポジティブ
男性不妊の原因の1つは、精子の質が低下すること。
精子や精巣内の酸化ストレスが高くなると細胞の老化が進み、精子の濃度や運動性が低下するんです。
抗酸化作用をもつリコピンは、活性酸素を減少させることで精子の質にもポジティブな影響をもたらす可能性が示唆されています出典[8]。
実際に動物実験では、男性不妊症の原因の1つである精索静脈瘤のラットにリコピン(10mg/kg)を投与すると、精子の質と精巣損傷を改善することがわかりました出典[9]。
また、不妊症の男性30人に対し2mgのリコピンを1日2回、3ヶ月間摂取してもらい精液分析をした研究では、精子の濃度、運動性、形態がそれぞれ66%、54%、46%の人で改善したことがわかっています出典[10]。
ただし、不妊症に対するリコピンの効果を示すには、さらに精度の高い大規模な研究が必要であるとされています。
必ずしも不妊症が治るとは言いきれませんが、リコピンの抗酸化作用には期待できそうですね。
ただし、トマトだけでは摂取量は不足してしまう可能性が高い
トマトに含まれるリコピンやカリウムによって様々な健康効果が得られることを解説しました。
リコピンは、トマトなどの緑黄色野菜に多く含まれている栄養素。リコピンの多くはビタミンA(β-カロテン)の状態で含まれています。
カリウムは野菜や果物全般に多く、もちろんトマトにも豊富に含まれています。
しかし、これらの栄養素は、残念ながらトマトだけで補うことは難しいんです。
例えば、トマト1個(赤色トマト/果実/生/250g)に含まれる栄養素の量は、リコピン1.35mg、カリウム535mgです出典[11]。
一方、厚生労働省の発表している「日本人の食事摂取基準2020」では、カリウムの目標量(15歳以上)は、男性で3000mg/日以上、女性で2600mg/日以上出典[12]。
さらに、LDLコレステロールが低下するリコピン摂取量は1日25mg以上という研究出典[4]にもある通り、トマト1個では必要な栄養素が不足する可能性は非常に高いんです。
サプリメントも取り入れてパフォーマンスを高めよう
栄養素を効率的に摂取するにはサプリメントもおすすめ。
ダイエットのサポート効果を得るならリコピン32.5mg/日、悪玉コレステロールの低下を狙うなら25mg/日以上を摂ると良いでしょう%%%出典1,4%%%。
ただし、サプリメントで栄養素を摂取する場合、過剰摂取に注意が必要です。
例えば、カリウムを過剰摂取すると高カリウム血症を発症することも。
サプリメントに記載の含有量を確認した上で、適切な量を摂取しましょう。
出典
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