罪悪感ゼロの甘味!筋トレにおすすめの和菓子を紹介
2023年12月22日更新

監修者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

筋トレと和菓子は好相性!

ダイエットや体を引き締める目的で筋力トレーニングをしている人にとっては、甘いものをおやつに食べてもよいのか悩ましいところですよね。

和菓子のような甘いものは厳禁、と我慢されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、筋力トレーニングと和菓子の相性はかなり良いことが分かっています。砂糖や穀類で出来ている和菓子は、糖質の供給源として非常に有効です。

甘いものはつい食べ過ぎてしまうから、と全て制限するのではなく、筋力トレーニングの効率UPに繋がる、適切な食べ方をすることが重要ですね。

 

和菓子と洋菓子の比較

つい食べたくなる甘いものといえば、和菓子の他にも洋菓子がありますね。

日本のお菓子である和菓子と、海外の洋菓子。筋力トレーニングとの関係で見たとき、この2つはどのように違うのでしょう。

和菓子と洋菓子の例として、1つあたり90~100gほどの大福(つぶあん)と、1つあたり100~120gほどの苺ショートケーキの栄養成分を比較してみましょう。

【100gあたりの菓子類の栄養価(日本食品標準成分表2020年度版(八訂)より)】出典[1]

 大福ショートケーキ
エネルギー223314
たんぱく質4.76.9
脂質0.614.7
炭水化物52.842.7

また、これをもとに、和菓子と洋菓子の特徴についてまとめると以下のようになります。

【和菓子と洋菓子、栄養成分や消化特性の特徴】

 和菓子洋菓子
糖質量多い多い
脂質量ほぼゼロ多い
カロリー低め高い
消化速度速い遅い
腹持ちやや不足満足感高め
たんぱく質豆由来卵や乳由来

和菓子も洋菓子も、甘さを出すために砂糖が使われています。

しかし洋菓子にはバターや生クリームなどの動物性油脂が使われていることが多く、多量の乳脂肪により脂質の含有量が多くなりがちです。そのためカロリーは洋菓子の方が高くなりますね。

また、和菓子にも洋菓子にもある程度のたんぱく質が含まれますが、使われている食材は大きく異なります。洋菓子は乳製品や卵からのたんぱく質が多くを占めています。一方の和菓子は、小豆やエンドウ豆、大豆といった豆類からのたんぱく質が多めです。

洋菓子の特徴として、脂質が豊富に使われていることで、食べ物全体の吸収速度が緩やかになるという点が挙げられます。洋菓子はゆっくり吸収されるため、腹持ちもかなりよく、高い満足感が得られます。

一方、糖質中心の和菓子は洋菓子と比べて吸収が速く、速やかにエネルギーとなり、消化にも時間がかかりませんが、洋菓子ほど腹持ちはよくありません。

和菓子と洋菓子は、その材料や成分からこれだけの違いがあります。

洋菓子よりも低カロリーで糖質が豊富であり、消化も良い和菓子が、糖質の供給源として優れているというのは、この特徴だけでも感覚的に分かりやすいのではないでしょうか。

 

豆類と砂糖、穀類の組み合わせに見る、和菓子のメリット4選

和菓子に欠かせない食材といえば、大福やまんじゅう、羊羹にきんつば、もなかなどに使われる「あんこ」ではないでしょうか。

この「あんこ」を穀類で包んだり、他の糖類と混ぜ合わせたりしたものが和菓子の中には圧倒的に多く、豆類、砂糖、穀類の組み合わせは和菓子の大きな特徴であると言えるでしょう。

あんこは小豆と砂糖で出来た、和菓子に欠かせない食材です。この小豆と砂糖の組み合わせが筋力トレーニングの効率を上げるのに役立つ可能性があります。

以下ではこれに穀類をプラスした和菓子が、筋力トレーニングに与えるメリットについて4つほど解説します。

小豆のポリフェノールやたんぱく質などが筋トレ効率をUP

和菓子といえば砂糖やもち米の糖質だけで構成されているイメージかもしれません。しかし和菓子によく使われる小豆には、たんぱく質やポリフェノールなど、特徴的な成分が複数含まれています。これらが筋力トレーニングに与える良い影響について確認してみましょう。

たんぱく質

小豆のたんぱく質は、植物性食品の中でも良質です。アミノ酸組成のバランスが取れており、必須アミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」が、米や小麦などの穀物よりも高いことで知られています出典[2]

筋肉の合成効率を高めるためには、バランスの取れた必須アミノ酸を十分に摂取する必要があります。小豆を含んだ和菓子を食べることで、筋肉の合成効率を高める効果が期待できますね。

ビタミンB群

小豆にはビタミンB1、B2、B6など、栄養素の代謝に関わるビタミンB群が豊富に含まれています。特にビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素であり、和菓子など、糖質の多い食品を効率よくエネルギーとして使うために活躍してくれます。

ビタミンB1が不足した状態では、糖質食品を摂取しても、十分にエネルギーを合成できません。運動時にはエネルギーの需要が高まり、ビタミンB1の必要量も増えるため、十分に摂取することが重要ですね。

ポリフェノール

小豆の皮から抽出されるポリフェノールには、様々な種類の活性酸素を除去する、強力な抗酸化作用が確認されています出典[2]

活性酸素は乱れた食生活や激しい運動、過度のストレスなどによって多量に発生し、血管や細胞などに「酸化ストレス」としてダメージを与えることで知られています。動脈硬化を促進し、生活習慣病の原因にもなる活性酸素ですが、運動時においては筋疲労の蓄積や、その後の回復速度の低下に関係しています。

多量に発生した活性酸素を速やかに除去することで、筋疲労を軽減する効果が期待できます。また血管へのダメージを防ぐことで血流が良好な状態に保たれ、筋肉へのエネルギーを速やかに供給できるようになります。

 

種類の異なる糖質でエネルギーの持続性が高まる

小豆も砂糖も、糖質を主とする食材ですが、その性質は大きく異なります。

砂糖は単糖類であるブドウ糖で構成されていますが、小豆には多糖類であるでんぷんが豊富に含まれています

単糖類であるブドウ糖は速やかに消化・吸収されます。食べてすぐに血糖値を大きく上げるために役立ち、速やかなエネルギー供給に役立ちます。

血糖値の上がりやすさを示す「グリセミック・インデックス(GI値)」の高い食品と、低い食品をそれぞれ運動後に摂取することによる、筋肉へのグリコーゲン貯蔵量を調べる試験が行われました。

これによると、運動後に高GI食品を摂取したグループは、低GI食品を摂取したグループと比較して、インスリンの分泌量や筋肉のグリコーゲン貯蔵量がより多く増加していました出典[3]

ブドウ糖が多く含まれる和菓子も、基本的には高GI食品に分類されます

食べてすぐに血糖値を上げられる和菓子は、速やかなエネルギー補給やグリコーゲン貯蔵に適していると言えるでしょう。

一方のでんぷんは、吸収するために消化酵素のはたらきを受けて、単糖まで分類する必要があるため、エネルギーとなるまでに時間がかかります。

そのためエネルギーの供給はブドウ糖よりも遅れて行われます。ブドウ糖のエネルギー供給は速やかですが持続性がないため、このデメリットを、消化と吸収に時間のかかるでんぷんが補ってくれるのです。

エネルギー補給の即効性と持続性を併せ持った「あんこ」は、長時間のトレーニングにおいて特に役立つと言えるでしょう。

 

低脂質のため運動パフォーマンスを落とさずエネルギーを補給できる

和菓子の大きな特徴として、脂質がほとんど含まれていない、ということが挙げられます。

卵や小麦粉を使ったカステラにおいても、脂質は100gあたり5.0gと、ショートケーキのおよそ3分の1ほどに抑えられています。

筋力トレーニングにおいて、脂質を豊富に摂取することはおすすめできません。

確かに脂質を摂ることで、骨格筋のミトコンドリアを増加させて、筋肉の活動を活発にしたり、運動中の脂質利用量を増加させたりといったメリットが確認されています。

しかしそれ以上にデメリットが大きく、体脂肪量や体重を増加させたり、エネルギーを代謝するための酵素の働きを抑制したりすることも分かっています。

これらの問題により、ヒトにおいては明確な疲労軽減効果や運動パフォーマンスを向上させる効果は認められていません。

特に高強度の運動時においては、パフォーマンスが悪化するケースも報告されています出典[4]、嗜好品としての菓子類から脂質を摂取するのはなるべく避けるべきと言えるでしょう。

脂質をカットしつつ甘いものを摂取したい、トレーニングのパフォーマンスを落とすことなく糖質補給を行いたい、という場合に、脂質量の低い和菓子は役立ちそうですね。

 

食物繊維を同時に摂れる

和菓子に使われる小豆や大豆、エンドウ豆などの豆類には、食物繊維が豊富に含まれています。

筋力トレーニングにおいて筋肥大をねらう際には、肉類やプロテインなどからたんぱく質を十分に摂取する必要があります。しかしたんぱく質を多量に摂取すると、腸内環境が悪化するリスクが高まります。

腸内環境の悪化により、ビタミン類の吸収率が下がったり、便秘や免疫力低下などの不調を招いたりする可能性があります。食物繊維は腸内の善玉菌のエサとして機能し、善玉菌を増やしやすくすることで、悪玉菌の増殖を抑える効果をもたらします。

十分な食物繊維を摂取することで、腸内環境を整える効果が期待できますね。

 

和菓子を摂取したいベストタイミングは?

このように、筋力トレーニングに相性の良い面がいくつも確認されている和菓子ですが、どのように摂取すればよいのでしょう。以下では和菓子を食べるタイミングについて解説します。

運動60分前のエネルギー補給に最適

糖質を中心に構成された和菓子は、バナナなど、他の糖質食品の摂取と同様に、トレーニングの60分前に摂取することで、効率的にエネルギー補給を行うことができます出典[5]

トレーニングの10分前など、直前に摂取することは避けましょう。食べてすぐの運動によりわき腹の痛みが生じやすくなり、トレーニングのパフォーマンスが大きく下がってしまいます。

食べてすぐの体は、消化のために胃腸への血流を増加させています。この血流を供給するために、脾臓という組織が収縮しています。このときに運動を開始すると、筋肉にも多くの血流が必要になるため、脾臓が更に収縮してしまいます。この脾臓の強い収縮により、痛みを生じると言われています。

また、トレーニングにより筋肉へ血流を取られるため、胃腸の消化能力が低下します。折角食べた和菓子が、消化・吸収されにくくなる可能性もあるため、消化の時間を60分は確保するようにした方がよいでしょう。

 

運動後のエネルギーチャージにも

吸収の早い糖質は、運動後のグリコーゲン再貯蔵としての摂取にも適しています。

また、小豆に含まれるたんぱく質も、筋肉の合成効率UPに役立ちますね。

炭水化物とたんぱく質を同時に摂取することで、吸収に悪影響が出ないかと気になる方もいるかもしれませんね。しかしこの二種類の栄養素は、同時に摂取してもお互いの吸収や代謝を妨げないことが明らかになっています出典[6]

筋肉へのエネルギーチャージとアミノ酸補給を同時に行えるという点において、運動後の和菓子は役立つと考えられますね。
 

 

筋トレにおすすめの和菓子は?

和菓子には様々な種類がありますが、筋力トレーニングの効率を上げるためには、どのようなものを選べばよいのでしょうか。

以下では和菓子を選ぶときの参考になる、和菓子の選び方やおすすめの和菓子、注意点などについて解説します。

小豆を使った和菓子は「つぶあん」がおすすめ

和菓子によく含まれる「あんこ」には、こしあんとつぶあんがあります。

つぶあんは小豆の粒をそのまま炊き上げているのに対し、こしあんは小豆を潰してから、布などで「こす」作業を行い、皮を取り除いています。

この取り除かれた皮にこそ、食物繊維やポリフェノールがたっぷり含まれているのです。

食物繊維やポリフェノールによる効果を得るためには、つぶあんの和菓子を選ぶようにしましょう。

 

豆大福やおはぎ

豆大福やおはぎは、もち米と小豆やエンドウ豆、砂糖の組み合わせが特徴的です。ずっしりとした食べ応えで満足感を得やすく、腹持ちが良い和菓子ですね。

速やかにエネルギーとして供給される砂糖と、GI値の高いもち米、消化に時間がかかる小豆やエンドウ豆と、様々な糖質が豆大福やおはぎには含まれています。

それぞれエネルギーに変わる時間が異なるため、糖質の持続的・段階的なエネルギー供給ができるのも大きなメリットですね。

 

羊羹やきんつば

羊羹は、小豆と砂糖を寒天で固めた和菓子です。きんつばは羊羹の表面に小麦粉を薄く付けて焼いたものであり、羊羹よりも硬めな味わいとなっています。

寒天は海藻由来の食物繊維食品であり、たんぱく質の多量摂取で荒れがちな腸内環境を整える効果が期待できます

練り羊羹の炭水化物量は100gあたり69.9gと、非常に高いことも特徴です。より効率的な糖質補給を期待する場合には、羊羹やきんつばを選ぶようにするといいでしょう。

 

甘納豆

甘納豆、という名前ではありますが、納豆や大豆は使われていません。

小豆やインゲン豆などの豆類を砂糖で煮詰めた和菓子であり、これも豆類と砂糖の組み合わせですね。

すぐに吸収される砂糖と、ゆっくり吸収される豆類との組み合わせで、豆大福やおはぎと同じく、段階的・持続的なエネルギー供給ができます

甘納豆独自のメリットとしては、量の調整がしやすいことが挙げられます。1つ丸々の摂取が基本となる大福とは異なり、甘納豆は粒が小さいため、トレーニングの強度や時間によって数を容易に増減でき、余分に食べすぎることがないというメリットがありますね。

 

カステラ

小豆などの豆類が使われていない和菓子として、カステラがあります。

ショートケーキのようなスポンジ生地が特徴のカステラですが、バターやマーガリンなどの油脂は使われていません

主な材料は小麦粉と卵と砂糖で、他の和菓子と比較すると、たんぱく質の量がやや多いのが特長的です。良質な動物性たんぱく質を摂取できるため、筋肉の合成効率を上げるためにも役立ちますね。

 

どら焼きやせんべいには注意

脂質の含有量が少ない和菓子ですが、中には思わぬ形で高脂質になっているものもあり、注意が必要です。

たとえばどら焼きやタイ焼きなどは、一般的なつぶあんの入っているものであれば、高糖質低脂質な和菓子として食べることができます。

しかしコンビニやスーパーで売られているものの中には、カスタードクリームやチョコレートクリーム、ホイップクリームが入っている場合があります

パッケージや成分表をチェックして、あんこのみのどら焼きやタイ焼きであることを確認してから買うようにしましょう。

また、米を主原料とするせんべいですが、調理法によって焼きせんべいと揚げせんべいに分けられます。揚げせんべいの場合は植物油が使われており、脂質量が増えるため注意が必要ですね。

もちろん、これらのクリームや植物油を使った和菓子を完全に絶つ必要はありません。しかし筋力トレーニングの効率UPとしては不向きであるため、あくまで嗜好品として、たまに少量を楽しむようにしたいですね。

 

筋トレ前後の和菓子でトレーニングのパフォーマンスを最大化しよう!

和菓子は筋力トレーニング期間にも摂取できる、高糖質低脂質の食品です。運動前にはエネルギー補給として60分前に、運動後には筋グリコーゲンの再補充目的に食べることで、筋力トレーニングの効率UPに繋がります。

甘いものを我慢しすぎるのもストレスのもと。甘い和菓子を取り入れて、より良い筋トレ生活を過ごしましょう。

 

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