減らしすぎ注意!テストステロンを増やす脂質の摂り方
2024年2月22日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

テストステロンは脂質を材料として作られる

男性ホルモンの代表格であるテストステロンは男性が健康に生活する上で重要なホルモンです。

筋骨隆々とした男らしい体を作るだけでなく、勃起や精子形成などの男性機能、精神面にも関わります。

テストステロンはコレステロールを原料として作られるので、普段の食事からの脂質の摂取が大事です。

2021年にイギリスのウスター大学で行なわれた研究で行なわれた研究では、低脂肪食(脂肪分20%以下)を食べるとテストステロンが10-15%も低下することが示されています出典[1]

太ることを気にするとついつい脂質を摂ることを避けてしまいがちです。しかし、男性がテストステロンを高め、心身ともに健康的な生活を送るためには脂質の摂取は欠かせません。
 

テストステロンを増やすために必要な脂質量は?

テストステロンを作るために脂質を摂ることは欠かせません。

不足してしまうとテストステロンは低下してしまいます。

しかし、やみくもに脂質を摂ればよいわけでもありません。脂質の摂り過ぎは肥満の原因となり、テストステロンの低下に繋がったり、動脈硬化のリスクを高める恐れがあったりするため注意が必要です。

2013年にニューヨーク州立大学で行なわれた研究では、BMIが25を超える男性は標準体重の男性と比べて40%もテストステロンが低いことが示されています出典[2]

では、どのくらいの量の脂質を摂るのが良いかと言うと、総エネルギーの20~30%程度です。

先程、紹介した2021年のイギリスのウスター大学の研究では食事中の脂質量が総エネルギーの20%以下の時だけでなく、40%以上の時もテストステロンが低下することが示されています出典[1]

脂質は摂りすぎでも、摂らなさすぎでもテストステロンに悪影響を与えますので、摂取量には注意しましょう。
 

積極的に摂るべき脂質

必要量の脂質は摂った方が良いのは間違いありません。

しかし、脂質なら何でも良いわけではありません。摂るべき脂質と避けるべき脂質があります。

まず、積極的に摂るべき脂質はω-3脂肪酸です。

ω-3脂肪酸は多価不飽和脂肪酸のうち、炭素鎖のメチル末端から数えて3番目の炭素に最初の2重結合がある脂肪酸です。

体内で合成することのできない必須脂肪酸であり、血液の流れを良くしたり、神経の機能を高めたりするなど健康の維持に重要な役割を持ちます。代表的なものはαリノレン酸やDHA、EPAなどです。

2020年に南デンマーク大学で行なわれた研究で、ω-3脂肪酸を摂取している男性ほど、遊離テストステロンが高いことが明らかにされています出典[3]

ω-3脂肪酸を豊富に含む食品は次の通りです。

  • サバ
  • イワシ
  • サンマ
  • くるみ

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、ω-3脂肪酸の摂取量の目安は1日に2.2g程度が目安です。サバやイワシなど1匹分に相当します。
 

摂りすぎも摂らなさすぎもよくない脂質

ω-3脂肪酸はテストステロンを増やすために摂るべき脂質です。

脂質の中にはテストステロンを高める効果はあるけど、摂りすぎるとかえって悪影響を及ぼしてしまうものがあります。

摂りすぎも摂らなさすぎもよくない脂質を3つ紹介します。

ω-6脂肪酸

摂りすぎも摂らなさすぎもよくない脂肪酸の1つ目はω-6脂肪酸です。

ω-6脂肪酸は多価不飽和脂肪酸のうち、炭素鎖のメチル末端から数えて6番目の炭素に最初の2重結合がある脂肪酸です。ω-3脂肪酸と同じく必須脂肪酸であり、皮膚や脳など身体のさまざまな組織を構成する主要な成分となります。代表的なものはリノール酸やアラキドン酸です。

摂り過ぎると体内で炎症が引き起こされ、動脈硬化を進行させるので注意が必要です。しかし、ω-6脂肪酸は、精巣でテストステロン合成を円滑にするために非常に重要な栄養素です出典[4]

テストステロンの材料となるコレステロールは精巣で脂肪酸と結合した状態で貯蔵されています。そしてホルモン感受性リパーゼという酵素の働きによって、脂質と切り離され、テストステロンの材料として使用されます。

コレステロールは様々な脂肪酸と結合していますが、特にω-6脂肪酸と結合したコレステロールが優先的に切り離され、テストステロンの合成に使われるのです出典[4]

つまりω-6脂肪酸が十分に体内に存在することで、スムーズにテストステロンを多く作れる可能性があるんです!

ω-6脂肪酸を豊富に含む食品は次の通りです。

  • ごま油
  • 大豆油
  • なたね油
  • クルミ
  • 卵黄
  • 豚レバー

日本人の食事摂取基準では、成人男性の1日の目安量は10gです。

スナック菓子やインスタント食品などにも含まれていて摂取過多になりやすいので注意しましょう。

 

一価不飽和脂肪酸

2つ目は一価不飽和脂肪酸です。

不飽和脂肪酸の中でも炭素の二重結合が1個つしかないのが、一価不飽和脂肪酸です。体内で合成できる脂肪酸なので必須脂肪酸ではありません。代表的なのはオリーブ油などに含まれるオレイン酸であり、摂取する一価不飽和脂肪酸の8割以上を占めます。

一価不飽和脂肪酸も適量であればテストステロンを増やす効果があります。

2013年にモロッコのアッサン II ド・カサブランカ大学で行なわれた研究で、オレイン酸が豊富に含まれているオリーブ油を3週間摂取することでテストステロンが20%近くも高まることが示されています出典[5]

しかし、摂りすぎると体内で炎症が発生してしまい、精巣がダメージを受けテストステロンが減ってしまいますので、摂り過ぎには注意しなければなりません。

一価不飽和脂肪酸を豊富に含む食品は次の通りです。

  • オリーブ油
  • ひまわり油

一価不飽和脂肪酸は体内で合成できるため、摂取目安量は設定されていません。しかし、摂り過ぎには注意してください。

 

飽和脂肪酸

3つ目は飽和脂肪酸です。

飽和脂肪酸は炭素間に二重結合を持たない脂肪酸です。飽和脂肪酸も体内で合成できるタイプの脂肪酸ですので必須脂肪酸ではありません。飽和脂肪酸は、コレステロールの元となったり、細胞膜の構成成分となったりします。代表的なのはパルミチン酸やステアリン酸です。

飽和脂肪酸はコレステロールの元となるのでテストステロンを増やす作用もあります。2024年の東フィンランド大学の報告では、他の脂肪酸に比べて飽和脂肪酸は摂取量とテストステロン濃度の相関関係が大きいことが示されています出典[6]

しかし、飽和脂肪酸も摂りすぎると肥満や心血管系疾患リスクを高めてしまい、逆にテストステロンを低下させてしまうので摂り過ぎには注意しなければなりません。

飽和脂肪酸を豊富に含む食品は次の通りです。

  • 牛脂
  • ラード
  • 牛肉
  • 豚肉
  • バター
  • チーズ

飽和脂肪酸は肉類や乳製品などの動物性脂肪に多く含まれています。日本人の食事摂取基準では、18歳以上の男女の飽和脂肪酸摂取の目標は、総摂取エネルギーの7%相当以下です。飽和脂肪酸はお菓子類にも多く含まれるので注意してください。
 

避けるべき脂質

最後に摂取することを避けるべき脂質を紹介します。

ズバリ、トランス脂肪酸です。

トランス脂肪酸は体内で分解されにくく、細胞にダメージを与えやすい油です。血管に炎症を起こし血流を悪くするだけでなく、精巣にダメージを与えテステロンを低下させます出典[7]出典[8]

2017年にハーバード大学で行なわれた209人の男性を対象とした臨床試験で、トランス脂肪酸を最も摂取した被験者は、最も摂取していない被験者と比べ、テストステロン値が15%も低いことが分かっています出典[9]

トランス脂肪酸が多く含まれている食品は次の通りです。

  • マーガリン
  • ファットスプレッド
  • ショートニング
  • バター
  • マヨネーズ

他にも揚げ物やお菓子を作る際の油にも含まれているので、揚げ物やお菓子の食べ過ぎにも注意しましょう。
 

テストステロンを増やすなら脂質以外も重要

今回はテストステロンを最大化するための脂質の摂り方について解説しました。

テストステロンはコレステロールから作られるため脂質の摂取は欠かせません。良質な脂質を十分摂ることを心掛けましょう。

またテストステロンの分泌には脂質以外の栄養素や、その他の習慣が大きく関わっています。

脂質だけ意識してもテストステロンは増えないのです…。

以下の記事では科学的に正しいテストステロンの増やし方を説明しています。

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