【テストステロン2.0】男性ホルモンを増やす最新戦略
2024年7月5日更新

執筆者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識できるよう日々邁進中。

SNS上のテストステロン情報はデマが多い?

みなさん、いきなりですがテストステロン増やすために以下ような行為はしていませんか?

  • 朝起きたらすぐに冷水シャワー
  • 3ヶ月以上のオナ禁
  • 亜鉛を1日に50mg以上摂取

これらはSNS上でよく見かけるテストステロンの増やし方の1例です。

しかし、3つともテストステロンを増やす効果はないのです!

例えば冷水シャワーに関して言うと、1991年に兵庫医科大学で行われた研究では、運動後に身体を冷水で冷やすと血中のテストステロン濃度が10%も低下することが示されています出典[49]

またオナ禁に関しても、1週間程度であればテストステロンを高めるデータはありますが、別の研究では3か月以降行うとテストステロンは37%低下することが明らかに…出典[50]

SNS上で推奨される方法はテストステロンを上げるどころか、むしろ下げてしまうのです….。

「じゃあどうすればいいんだよ!」と思ったあなた。ご安心ください。

本記事では、年間10,000本の論文を読む筆者が科学的にテストステロンを増やす方法を体系化しました。

この記事を読むとテストステロンの本質を掴むことができ、効率的にテストステロンを増やすことができることでしょう。

誤った方法でテストステロンを下げたくない方は、是非最後まで見てくださいね。

 

テストステロンが増えることのメリット

本題に入る前に、まずは簡単にテストステロンを増やすことのメリットについて解説します。

テストステロンが最適化された後の姿をイメージすると、テス活もより捗ることでしょう。

これまでの研究で明らかにされたテストステロンが増えることのメリットは以下の通り。

テストステロンが増えることのメリット

つまり、テストステロンを増やすことで、男らしい強靭な心身を手に入れることができるのです...!

逆にテストステロンが少ない状態でいると、勃起不全出典[8]サルコペニア(急激な筋肉減少)出典[9]肥満出典[10]うつ病出典[11]などを発症する恐れがあります。

テストステロンの分泌量は20代をピークに年1~2%ずつ減少していきます出典[12]。何もしないでいると、男らしさは失われていく一方なんです。

いつまでも枯れない男でいるために、今日からテストステロンを増やす習慣を意識しましょう。
 

テストステロンを最大化する3つのアプローチ

それでは、いよいよ本題の「テストステロンの増やし方」に入っていきます。

筋トレや日光浴、サプリメントなどテストステロンを増やす方法は多くあれど、実はテストステロンを最大化するアプローチは大きく分けると以下の3つしかありません。

  1. テストステロンを「作る」
  2. テストステロンを「守る」
  3. テストステロンを「ブーストする」

テストステロンを増やす最新戦略

ここでは、それぞれの概要をご説明します。

1.テストステロンを「作る」
テストステロンを「作る」

1つ目はテストステロンを「作る」です。当たり前のことですが、テストステロンを最大化するためには、そもそもテストステロンがなければ話にはなりません。

テストステロンは脳の指令によって、精巣で合成されます。そして血流にのって、筋肉や脳、皮膚などの各組織に届けられることで、効果を発揮します出典[13]

一般的に健康とされる生活を意識することで、テストステロンは正常に分泌されます。例えば十分な睡眠時間を確保する、基礎栄養を不足なく摂る、といったことが重要です。

ここを整えないと、どれだけ質の良いサプリメントを摂っても、効果は半減してしまいます。

健康なライフスタイルを意識して、正常なテストステロンの分泌を整えましょう。

 

2.テストステロンを「守る」

せっかく作ったテストステロンもいくつかの要因によって減少の道を辿ります。

最初にテストステロンが減るのは分泌の直後。テストステロンの40〜60%はSHBGというたんぱく質と結合して、不活性化してしまうのです出典[14]

また、不活性化から逃れたテストステロンはアロマターゼ5-αリダクターゼという酵素のはたらきによって別のホルモンに変換されてしまいます出典[15]

テストステロンをいっぱい作っても、減らしてしまっては効率が悪いですよね。年収を上げても無駄金を使っていると貯金ができないのと同じです。

テストステロンは作った分だけ、守る必要があるのです。

 

3.テストステロンを「ブーストする」
テストステロンを「ブーストする」

ここまでの「作る」「守る」はテストステロンの分泌量を100%にするアプローチ。

常人以上の性欲や筋肉、活力を求める方はテストステロンを「ブーストする」習慣を意識して、120%まで引き上げる必要があります

テストステロン値が桁外れに多い男性は、高強度のウエイトトレーニング出典[16]や質の高いサプメンテーション出典[17]、競争環境に身を置く出典[18]、など一般的な健康を超えた行為を習慣化しています。

高いパフォーマンスを獲得し、周囲より抜きんでた存在になるために是非とも意識してほしいアプローチです。

次の章からは各アプローチにて、実際にどんな取り組みを意識すべきかについて解説します。

確実にテストステロンを増やすために是非最後までご覧ください。
 

1.「作る」- テストステロン分泌に関わる組織を正常に働かせる

まずはテストステロンを正常に「作る」ために重要な習慣について解説します。

テストステロンを「作る」プロセスは以下の4つ出典[13]

  • GnRHを正常に分泌させる
  • LHを正常に分泌させる
  • 精巣での合成を円滑にする
  • 血流を整えてテストステロンを各組織に運ぶ

各プロセスで有効な取り組みについてご紹介します。

GnRHを正常に分泌させる

GnRHを正常に分泌させる

GnRHは性腺刺激ホルモン放出ホルモンのこと。脳の視床下部という部分から分泌されるホルモンです。

性ホルモンの分泌量を調整しており、このホルモンがテストステロンを作るか否かの最初の判断を行っています

しかしGnRHの分泌は活性酸素によって抑制されてしまいます出典[19]。活性酸素は、細胞にダメージを与えてしまう通常より活性化した酸素。

普段は体内に備わっている抗酸化システムによって、活性酸素の量が過剰にならないように調整されています。

しかし、睡眠不足や慢性的なストレス、疲労の蓄積によって、活性酸素の除去が追いつかなくなるとGnRHの分泌が抑制され、テストステロンは分泌されにくくなります

特に睡眠不足は注意が必要です。有名な研究では、5時間睡眠が1週間続くだけでテストステロン値が10~15%低下したことが報告されています出典[20]。また中途覚醒が多い場合も、テストステロンは減少するとか・・・出典[21]

GnRHが分泌されなければテストステロンの合成は始まりません。どれだけ忙しくても最低7時間は睡眠を確保するようにしましょう。

<GnRHの正常な分泌に有効な取り組み>

  • 7時間の睡眠の確保
  • 質の高い睡眠
  • ストレスケア
  • 疲労の管理
  • 抗酸化物質の摂取

関連記事:5時間睡眠はテストステロンが15%低下!?7つの睡眠で気を付けるべきこと

 

LHを正常に分泌させる
LHを正常に分泌させる

GnRHは分泌されると脳の下垂体前葉という部位に作用し、LHが分泌されます。LHは黄体形成ホルモンのこと。テストステロン生産向上である精巣に作用して、テストステロンを合成するように指令を出します

LHを正常に分泌させる上では、まずカロリーを十分に摂取する必要があります。実際に1日の総摂取カロリーが1,350~2,415kcalの人は、1日の総摂取カロリーが2,145~3,537kcal、2,564~4,345kcalの人よりもテストステロンが30~40%程度低いことが示されています出典[22]

また、男性向けサプリメントによく含まれる亜鉛も黄体形成ホルモンの分泌に関与しています。

亜鉛不足の男性が亜鉛のサプリメントを6週間摂取した研究では、黄体形成ホルモンとテストステロンの双方が増加したことが報告されています出典[23]

亜鉛の1日の必要量は11mg。牡蠣や牛肉を食べたり、亜鉛のサプリメントを活用して、不足しないようにしましょう。

<LHの正常な分泌に有効な取り組み>

  • 十分なカロリーの摂取
  • 十分な亜鉛の摂取

関連記事:亜鉛は本当に精力に効果的なのか?テストステロンとの関係4つ

 

精巣での合成を円滑にする
精巣での合成を円滑にする

LHの指令を受けた精巣はコレステロールからテストステロンを作り始めます。ご周知のようにコレステロールは体脂肪や脂質に豊富に含まれる物質。

そのため、過度な脂質制限をしていると、材料不足でテストステロンを作ることができなくなってしまうのです出典[24]

また精巣に存在するビタミンD受容体がビタミンDと結びつくことで、テストステロンの合成が円滑になります。具体的にはコレステロールからテストステロンを作るために必要な酵素を活性化するはたらきがあります出典[25]

ビタミンDは食事からの摂取以外にも、日光を浴びることでも体内の分泌量を高めることができます出典[26]

十分なビタミンD生成に必要な時間は、地域や季節によって違いはありますが、1日30分を目安に浴びると大きな間違いはないでしょう出典[27]

<精巣での合成を円滑にする習慣>

  • 十分な脂質の摂取
  • 日光浴

関連記事:デスクワークは男を蝕む!?ビタミンDとテストステロンの関係3つ

 

血流を整えてテストステロンを各組織に運ぶ
血流を整えてテストステロンを各組織に運ぶ

精巣で作られたテストステロンは、血液によって各組織に運ばれます。血流を正常に保つことで円滑にテストステロンを筋肉や脳に運ぶことができるでしょう。

血流を正常にするために重要なのがNO(一酸化窒素)という物質。一酸化窒素と聞くと身体に悪そうなイメージがありますが、ご安心を。体内では血管を柔らかくし、血圧を下げたり、運動パフォーマンスを高めたりする役割があるんです出典[28]

NOはランニング・ジョギングなどの有酸素運動や緑の葉っぱ系の野菜を食べることで、増やすことができます。

その他にもNOブースターと呼ばれるサプリメントを摂取することも1つの方法です。

血流を整えて、テストステロンのはたらきを間接的にサポートするとよいでしょう。

<血流を整える習慣>

  • 適度な有酸素運動
  • 緑の葉っぱ系の野菜の摂取
  • NOブースターの摂取

 

2.「守る」-テストステロンを減らす3つの原因と対策

テストステロンを十分に「作る」ことができたら、次は作ったテストステロンを減らさないようにする必要があります。

テストステロンが減る原因は以下の3つ。

  • 不活性化
  • 女性化
  • 過剰な男性化

ここでは原因ごとに有効な取り組みを解説します。

原因1.不活性化

様々なプロセスを経て作られたテストステロンも、実は全てが力を発揮できるわけではありません。40~60%のテストステロンは、SHBGというたんぱく質と結合して不活性化してしまうからです出典[14]

厄介なことにSHBGは「加齢とともに増える」という性質を持ち合わせています出典[29]。歳を重ねると性欲が低下したり、筋肉量が減ったりするのはSHBGが原因と言えるでしょう。

その他にもたんぱく質の摂取量が足りないとSHBGは増えてしまいます出典[30]

対策として、LJ100というサプリメントを摂取することは1つです。LJ100はトンカットアリという植物を、有用成分を一定量含むように規格化した素材。SHBGを減らし、活性化したテストステロンの分泌量を増やす可能性があると言われています出典[31]

加齢によるSHBGの増加は避けられないため、40代以降の男性はLJ100を摂取することをおすすめします。

<不活性化を防ぐ習慣>

  • 十分なたんぱく質の摂取
  • LJ100の摂取

 

原因2.女性化

テストステロンはアロマターゼのはたらきによって女性ホルモンに変換されてしまいます。アロマターゼは体脂肪に豊富に存在する酵素。つまり太っているとテストステロンが減り、女性ホルモンが増えるということですね。

実際に研究ではBMIが25を超える男性は、健康体重の男性よりテストステロンが40%低かったことが報告されています出典[32]。お腹周りのお肉が気になる方は、まずはダイエットから始める必要があるでしょう。

体脂肪を減らすための原則は、「消費カロリー>摂取カロリー」。身体を動かす量を増やすか、食べる量を減らす、もしくは両方に取り組むことで痩せることができます。

もちろん、急激に運動量を増やしたり、修行僧のような断食を始める必要はありません。

「エスカレーターではなく階段を使う」「間食を1回我慢する」など小さなことから始め、徐々にライフスタイルを変えていくとよいでしょう。

<女性化を防ぐ習慣>

  • 日常の身体活動量を増やす
  • 摂取カロリーをコントロールする

 

原因3.過剰な男性化

テストステロンは女性ホルモン以外にも、ジヒドロテストステロンというホルモンに変換されます出典[33]

ジヒドロテストステロンはテストステロンより2倍強力な生理活性を持つ男性ホルモンです。思春期の性器の成長や筋肉の増加、体毛の成長などに関わり、男性が男らしく成長するために欠かせません。

ここまで聞くと、テストステロンを変換して増やした方がよいホルモンのように思えます。

しかしジヒドロテストステロンは抜け毛や皮脂の分泌を促進してしまうのです出典[34]

テストステロンを増やすことでどのくらいジヒドロテストステロンが増えるかに関しては、明らかになっていませんが、もし脱毛やニキビなどに悩んでいる方はテストステロンからジヒドロテストステロンへの変換はできる限り抑えた方がよいでしょう。

テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を抑える方法として栄養素の摂取があります。例えば以下のような栄養素があります。

<過剰な男性化を防ぐ栄養素>

3.「ブーストする」-テストステロンを120%まで増やす方法

「作る」「守る」でテストステロンを100%まで高めたら、最後はテストステロンを「ブーストする」習慣で120%まで引き上げましょう。

ここではテストステロンを「ブーストする」習慣として以下2つについて解説します。

  • 高強度の運動
  • ブースターサプリメント

高強度の運動

2020年にラクイラ大学が、運動とテストステロンの関係について調査した48の研究を分析した論文では、中〜高強度の運動は運動後30分以内にテストステロンを急激に上昇させることが示されています出典[40]

高負荷の運動はテストステロンの増加に効果的

ここで「中~高強度」というのが大きなポイント。ホルモン分泌量を100%以上にするためには、一般的な健康を維持するために求められる強度以上の運動量が必須と言えます。

中~高強度は、ランニングであれば息が上がり喋ることが出来ない程度の強度、筋トレであれば6~15回ギリギリ挙げられる程度の負荷で行うことを指します。

強度が高ければどんな運動でも構いませんが、何をすればいいか迷う人はHIITから始めるとよいでしょう。

HIITとは高強度インターバルトレーニングのことで、短時間で強度の高い運動を、短いインターバルを挟んで繰り返す運動です。

有酸素運動と筋トレの中間のような運動で、短時間で身体を追い込むことができます。最短4分で終わるため、忙しい人にもおすすめです。

HIITの詳しいやり方は以下の記事で解説していますので、興味のある方は是非ご覧ください。

関連記事:たった4分!テストステロンを高めるHIITの方法とは
 

ブースターサプリメント

更なるテストステロンを求める方に是非とも取り入れてもらいたいのが、テストステロンブースター

テストステロンブースターは「作る」「守る」のシステムを活性化し、体内のテストステロンを爆増させる栄養素全般を指します。

テストステロンブースターサプリメントとは

例えば以下のような成分があります。

これらはいずれも、日本人が普段の食事から摂取することができない希少な有用成分を豊富に含んでいます。摂取することで日常とは異なる刺激を身体に与えられるというわけです。

そしてテストステロンブースターの1番のメリットはテストステロンのベース値を上げられることです。

オナ禁出典[46]や美女との会話出典[47]、狩り出典[48]といったことでもテストステロンはブーストされます。しかし、これらは一時的なもの。行動が終われば、数時間後には元の値に戻ってしまいます。

高負荷の運動も、基本的にはテストステロンを一時的にしか上げることができません。(一部の研究では運動によりベースのテストステロンレベルが上がる可能性が示唆されていますが、まだ明確にはなっていません。)

そんな中でテストステロンブースターサプリメントは、いくつもの研究にてベースのテストステロンレベルが上がることが示されているのです。

例えば、120名の36~55歳の健康な男性を対象に200mg/日または400mg/日のテスノアを摂取してもらった研究では、56日後にベースのテストステロン値が200mg/日群は39.16%、400mg/日群は48.28%増加していたことが報告されています出典[41]

とはいえ、もちろんサプリメントも万能ではありません。サプリメントは逆に、即効性が期待しにくいのがデメリットと言えるでしょう。実際にほとんどの研究で2~3ヶ月摂取することで効果が見られたとするものがほとんどです。

高負荷の運動とテストステロンブースターを併用し、常に高いテストステロンを保つのがおすすめです。

 

「作る」「守る」「ブーストする」でテストステロンを最大化!

テストステロンを最大化するためには以下3つのアプローチが非常に重要です。

  1. テストステロンを「作る」
  2. テストステロンを「守る」
  3. テストステロンを「ブーストする」

今回の内容は様々な論文を読み、数多くの男性の皆さまのお悩みを解決してきた経験から導き出した結論のため、大きな間違いはないかと思います。

ただし、本記事では概論的な解説になっています。具体的な取り組みは人によって異なり、一方的に情報を提供する記事ではお伝えできないためです。

例えば運動1つとっても、もっと量を増やした方がいいのか、逆にオーバーワークになっているのか、あるいは運動の種類を変えた方がいいのか、人によって取り組むべきことは異なります。

自分に合わない方法で取り組んでも時間を無駄にしてしまうだけです...。最初にお伝えした通り、むしろテストステロンが減ってしまう恐れもあります。

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