筋トレのレップ数ってどんな意味?効果的な回数を解説
2024年2月26日更新

執筆者

NSCA-CPT、調理師免許

大里 亮太(筋肉料理研究家Ryota)

激太り&うつで入院するも入院中にTeststerone氏の「筋トレが最強のソリューションである」に出会い、退院後に筋トレとお料理で体重-25kgに成功。精神的にも立ち直り、パーソナルトレーナー資格のNSCA-CPTを取得。元々所有していた調理師免許を生かし、筋肉料理研究家として活動するように。昔の自分のように心身ともに悩んでいる方のサポートになればと、日々簡単ダイエットレシピを発信している。

筋トレにおけるレップ数とは?どんな意味?

筋トレをしている方なら、一度は聞いたことがあるはずの「レップ数」という言葉。

このレップ数の「レップ」とは英語の"Repetition(レペティション)”の略で、Repetitionは「反復」という意味。

つまり、筋トレにおけるレップ数とは、トレーニングの反復回数のことを指します。

例えば、ベンチプレスならバーベルを下ろして挙上するまでの1往復が1レップ。

高重量のトレーニングは負荷が大きい分低レップとなり、重量を減らせばそれだけレップ数は増やすことができます。

しかし、レップ数は単純に多ければ良いというものではありません

筋力向上や筋肥大などのトレーニングに対する目的、またトレーニング種目などの違いによって最適なレップ数は変わってきます。

次の項目では、そのレップ数を決めるための3つの要素をご紹介しましょう。
 

どう決めればいい?レップ数を決める3つの要素

レップ数を決めるための要素は、主に以下の3つに分けることができます。

  • トレーニングボリューム
  • トレーニング時間
  • 身体的・精神的疲労

この項目ではエビデンスを交えながら、1つずつ解説していきましょう。

1.トレーニングボリューム

じつは、トレーニングボリュームが同じであれば、レップ数が違っても筋肥大の効果に違いはありません

ここで、2017年にニューヨーク市立大学リーマン校が発表した論文をご紹介しましょう出典[1]

実験では、17名のトレーニング経験のある若年男性が、以下の2つのグループに分けられています。

  • 90秒のインターバルで10RM×3セットのトレーニングを行う中重量群
  • 3分のインターバルで3RM×7セットのトレーニングを行う高重量群

※「RM」とは"Repetition Maximum”の略で、重量に対して何回持ち上げられるかを表した値のこと。

さらに両群は、レップ数に挙上重量をかけたもの、つまりトレーニングボリュームが等しくなるように調整されました。

その上で被験者たちは8週間のトレーニングを行い、その後に1RMや上腕二頭筋の筋厚を測定。

すると、筋力に関しては高重量群の方がその数値を伸ばすという結果に。

しかし、上腕二頭筋の筋厚に関しては両群とも大きく増加していたものの、その数値に差は見られませんでした

この結果を受けて論文では、少なくとも短期間で見れば、ボリュームが同じならレップ数に関係なく筋肥大する、と示しています。

なお、このデータは上腕二頭筋のみのもので他の筋肉にも当てはまるとは限らない、との注釈も。

しかし、効率よく筋肥大するためには、レップ数はボリュームを最大化できるような回数を選択するのが良いと言えるでしょう。

 

2.トレーニング時間

筋肥大において差が出ないのであれば、高重量低レップで行うトレーニングの方が筋力も伸びて、一見優れているように感じます。

しかし、現実はそう甘くありません。

なぜなら、高重量低レップのトレーニングには、時間がかかり過ぎてしまうというデメリットがあるのです。

じつは、先ほど紹介した論文内でも、中重量群と高重量群の間にはトレーニング時間に大きな差がありました出典[1]

なお、中重量群は1回のトレーニングで1部位を鍛える「ボディビル型」のトレーニングを実施。

一方、高重量群は1回のトレーニングで全身を鍛える「パワーリフティング型」のトレーニングを行っていました。

これを踏まえて、同じボリュームのトレーニングを終えるのにかかった時間は中重量群が平均約17分。

ところが、高重量群は平均約70分と、何と中重量群の約4倍もの時間がかかっていました

このことから論文内では、筋肥大目的ならボディビル型トレーニングの方が時間効率が高い、と述べています。

つまり、例え筋力が伸びたとしても、高重量低レップのトレーニングが優れているとは言い切れないのです。

 

3.身体的・精神的疲労

また、高重量低レップのトレーニングは身体的・精神的疲労が高くなってしまうということも考慮に入れておく必要があるでしょう。

じつは、先ほどの論文には、高重量群の被験者は大きな肉体的・精神的疲労を感じていた、との記述もあります%出典[1]

対する中重量群はトレーニング時間の延長を嫌がることもなく、ボリュームを増やしても耐えることができました

加えて論文では、高重量のパワーリフティング型のトレーニングを行うと、ケガの可能性が高まることにも言及されています。

なぜなら、非常に重い負荷でトレーニングをすることは、関節や軟部組織に大きなストレスを与えることになるからです。

実際に研究では、スタッフの監督下にあったにも関わらず、高重量群の被験者のうち2名がひざや肩の負傷のために途中離脱

一方で、中重量群はトレーニングに関するケガの報告はなかったと示されています。

そのため論文では、高重量低レップでトレーニングを行う場合はトレーニング量を減らす必要がある、と結論づけています。

これらを踏まえると、ケガを防ぐためにも、適度に中レップ・低レップのトレーニングを挟む必要があると言えるでしょう。
 

レップ数の目安

それでは、具体的に何を目安にしてレップ数を設定すれば良いのでしょうか。

ここでは、エビデンスを交えながら、種目別のレップ数目安をご紹介します。

バーベルを用いたコンパウンド種目:3~6レップ

スクワット・ベンチプレス・デッドリフトなどのバーベルを用いたコンパウンド種目は、複数の関節を使うことが可能。

そのため、大きな力を発揮できるので高重量を扱え、筋力アップも狙いやすくなります

しかし、その分高レップで行うと精神的にもキツく、また全身運動のため呼吸が辛くなってしまうことも。

従って、これらのコンパウンド種目は3~6レップを目安にした低レップのトレーニングがおすすめ。

ただし、初心者が慣れないうちから高重量を扱うと、前述のようにケガのリスクを高めてしまうことに。

いくら効果が高いトレーニングでも、安全が確保できなければ行うべきではありません。

そのため、いきなり高重量に挑むのではなく、まずは丁寧にコントロールできる重量からはじめ、徐々に負荷を高めていきましょう。

また、例え上級者でも1セット目から本番の重量で始めては関節への負荷が大きくなってしまいます。

ケガを防ぐためにも、ウォーミングアップで身体を温めるなどして準備を整えてから本番セットに臨みましょう。

 

ダンベルやマシンを用いたコンパウンド種目:6~12レップ

一方、ダンベルやマシンで行うコンパウンド種目は、バーベルほど高重量を扱うことができません。

そのため、これらの種目ではボリュームを稼ぐことに焦点を当て、6~12レップで行うのがおすすめ。

例えば、胸のトレーニングならダンベルプレス、背中のトレーニングならワンハンドダンベルロウなどは中重量で行うとより効果的。

特に、これらのダンベル種目はバーベルに比べて重量が扱えない分、可動域を広く取ることができます

従って、丁寧なフォームで伸展から収縮まで負荷をかけられれば、さらに効率よく筋肉を刺激できるでしょう。

また、慣れないうちはマシンでフォームを練習してから、ダンベルなどのフリーウェイト種目に望むのもおすすめ。

マシンのコンパウンド種目は、例えば胸のトレーニングならチェストプレスマシン、背中のトレーニングならシーテッドロウなど。

マシン種目で関節や筋肉の動かし方を習得すれば、フリーウェイトのトレーニングもよりスムーズに行うことができるでしょう。

 

アイソレーション種目:12~20回

アイソレーション種目とは、例えば腕ならダンベルカール、脚ならレッグエクステンションなどの種目。

これらの種目は1つの関節しか使うことができず、発揮できる力も小さいため、あまり重量を扱うことができません。

むしろ高重量で行うとフォームが崩れてしまい、対象筋以外の筋肉が使われてしまいます

それを防ぐためにも、アイソレーション種目は12~20回の高レップで行うのがおすすめ。

じつは、アイソレーション種目は関節が1つしか使えない反面、対象筋に負荷を集中させやすいという特徴があります。

その特徴を生かし、軽重量でテンポよくトレーニングを行って筋肉を刺激していきましょう。

ただし、30回も40回も反復できるようでは軽すぎて、効果もあまり期待できません。

また、マシンで行う場合はウエイトの数値が同じでも、メーカーや品番によって負荷のかかりかたが変わってくることも。

そのため、種目によって最適な重量をチョイスできるように、その都度アプリやノートに記録を取っておきましょう。
 

レップ数に関してよくある質問

ここでは、レップ数に関してよくある質問にお答えします。

ウォーミングアップセットはどのくらいのレップ数で行うのがよいですか?

ウォーミングアップに関してのレップ数に、特に決まりはありません。

筋肉を温めたりフォームを確認するために、5~10レップを1~3セット行うのが良いでしょう。

ただし、本番セットと同じ重量で行って疲れてしまっては意味がありません。

そのため、まずは40%程度の軽めの重量で高レップを行って、体温を上げるのがおすすめ。

続けて、70~80%程度の重量で低レップを行いフォームを確認すれば、本番セットもスムーズに行うことができるでしょう。

また、早朝や冬にトレーニングする場合は、膝や肘などの関節も縮こまりやすくなりがち。

加えて、体温が低いと筋肉はうまくパワー発揮ができず、収縮感も落ちてしまいます。

従って、寒いときにトレーニングをするときは、普段よりも丁寧にウォーミングアップするのがおすすめです。

 

筋力アップに効果的なレップ数はどれくらいですか?

筋力をアップさせたい場合は、低レップでのトレーニングが有効です。

前述の論文でも、中重量群と高重量群は同じボリュームのトレーニングを行っていましたが、高重量群の方が筋力を向上させています出典[1]

具体的には、実験前後でベンチプレスの1RMは中重量群が平均8kg伸ばしたのに対し、高重量群は平均12kg伸ばしました

また、スクワットの1RMは中重量群が平均22kg伸ばしたのに対し、高重量群は平均27kg伸ばしています

つまり、同じボリュームであれば、高重量群の方が4~5kgも最大重量をアップさせたという結果に。

ただし、先ほどもご紹介したように、高重量低レップのトレーニングは疲労が溜まりやすいことに注意が必要。

適度にオフを設けたり、低重量や中重量のトレーニングを挟むなどして、関節を休められるようにしましょう。
 

ベンチプレスはどのくらいのレップ数で行うのがよい?

ベンチプレスは複数の関節が使えるコンパウンド種目のため、高重量を扱うことができます。

そのため、筋力アップが狙える3~6レップの低レップで行うのがおすすめ。

ただし、ベンチプレスは高重量で行うと肩や手首、肘などを痛めやすい種目でもあります。

それを防ぐためにも、まずは軽〜中重量、スミスマシンなどで正確なフォームを習得しましょう。

関節や筋肉の動きに慣れたところで重量を上げていけば、より効果的に筋肉を刺激することができるでしょう。

また、重量が上がってきたら手首を保護するリストストラップや、肘をサポートするエルボースリーブを着用するのもおすすめ。

ギアを利用することで関節の動きが安定し、より大きな力発揮ができるようになるのはもちろん、ケガの防止にもつながります。
 

種目ごとにレップ数を使い分けて効率的に筋肥大しよう!

筋トレにおけるレップ数の意味や決めるための要素、さらに目安などについてご理解いただけたかと思います。

ただし、ご紹介した種目別のレップ数はあくまでも目安。

BIG3を10レップ行う日もあれば、アイソレーション種目を低レップで行う日があっても良いでしょう。

人間は慣れる生き物とはよく言ったもので、筋肉も同じ刺激ばかり与えていると成長が停滞します。

それを防ぐためにも、たまには負荷のかけ方を変えてあげることが必要です。

ぜひ、記事で紹介したエビデンスをベースにして筋肉にいろいろな刺激を与え、効果的に筋肥大を目指してください。
 

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