監修者
睡眠健康指導士/ロジスティクス管理3級
室井優作
心と体の健康の要となる睡眠のスペシャリスト。眠りに悩みを抱える方のコンサルティングを日々行っている。プロボクサーを目指しており、運動やダイエットに関する指導も可能。おすすめの寝具はウェイトブランケット。
執筆者
管理栄養士/分子栄養学カウンセラー
岡かな
大阪市立大学食品栄養科、大学院修士課程修了。医療機関に勤務し、糖尿病や高血圧など生活習慣病の栄養管理に取り組む。その後はヘルスケア事業に移り、年間500人以上のダイエットをサポートする。現在はダイエットサポートの他、特定保健指導や健康に関わる分野の執筆も行っている。誤った情報で10キロ以上リバウンドした自分自身の経験から、科学的根拠に基づく正しい情報の発信を心掛けている。
寝る前にみかんは食べていいの?
「寝る前に何か食べたい…。みかんくらいなら、食べても大丈夫でしょ!」
そう思っている人は多いかもしれません。
それどころか、寝る前のみかんにはダイエット効果や美肌効果があるという噂まであります。
しかし本当なのでしょうか?隠された危険などはあるのでしょうか?
今回は、寝る前のみかんについての真相を解明していきたいと思います。
寝る前のみかんにまつわる5つの真相
早速、寝る前のみかんに関して、学術的観点から5つの真相を解説しましょう。
真相1.ダイエット効果は期待できない
まずは、気になる人も多いであろう「ダイエット効果」について。
寝る前のみかんで痩せるのでしょうか?
いいえ…残念ながら、ダイエット効果は期待できないでしょう。
なぜなら、体重は摂取カロリーと消費カロリーのバランスで決まるから。
摂取カロリーが消費カロリーより多ければ体重が増え、消費カロリーより少なければ体重が減ります。
つまり、痩せるためには摂取カロリーを消費カロリーよりも小さくしなければなりません。
しかし、みかんを食べる行為は摂取カロリーを増やすことに繋がってしまうため、ダイエットとはかけ離れてしまうんです。
そもそもカロリーを摂取する時点で、ダイエット効果は期待できないでしょう。
真相2.むしろ太る可能性はある
寝る前のみかんは、ダイエット効果が期待できないどころか、むしろ太ってしまう可能性があります。
というのも、そもそも寝る前に食べる習慣があると、1日の総エネルギー摂取量が増えることがわかっているんです。
実際に59人の健康な被験者に対し、食事のタイミングとカロリー摂取量の関係を調べた研究があります。
その結果、最後の食事タイミングが遅いことと、入眠開始に近い時間に食べることは、より多くのカロリー摂取量と関連していることがわかりました出典[1]。
より多くのカロリーを摂取してしまうのですから、痩せるどころか太る可能性は否めませんよね。
さらに別の研究では、1日のエネルギー量を夜の時間帯に多く摂取するほど、肥満になる確率が高くなることがわかっています出典[2]。
ただでさえ、夕食は朝や昼に比べて豪華になりがち。
さらに就寝前のみかんでカロリーを増やすのは、「痩せる」とはほど遠い行動なわけですね。
みかんに限らず、就寝直前のカロリー摂取は控えた方が良いでしょう。
真相3.美肌効果が期待できる栄養素は含まれている
では、美肌効果はどうでしょうか?
寝る前にみかんを食べることで、美肌を手に入れることはできるのでしょうか?
結論、みかんには肌のコンディションを保つ栄養素が含まれているため、寝る前に限らず美肌効果が期待できるでしょう。
その栄養素は、美肌成分として有名なビタミンC。
みかんに豊富に含まれているビタミンCは、非常に抗酸化作用が強く、活性酸素から細胞を保護し皮膚の機能を正常に保つ効果が示されています。
実際に、2008年にアメリカで行われた国民健康栄養調査を用いた分析研究では、40~74歳の女性4025人を対象に、ビタミンCの摂取量と皮膚の老化の関連が調査されました。
その結果、ビタミンCの摂取量が多いほど、しわが見られるリスクが低下することが判明しました出典[3]。
さらに、ビタミンCは肌のハリや弾力を保つ働きのあるコラーゲンの合成にも欠かせない成分。
ビタミンCは抗酸化作用とコラーゲンの合成により、美肌に必要不可欠な栄養素と言えますね。
このように、みかんに豊富に含まれているビタミンCには美肌効果が期待できますが、寝る前でなければ効果がないわけではありません。
ダイエットの妨げになることを考えると、就寝前ではなく日中に食べると良いでしょう。
真相4.目安は3~4個
みかんには美肌効果が期待できるビタミンCが豊富であることを解説しました。
それでは、ビタミンCをしっかり補給できるみかんの適量はどれくらいなのでしょうか?
結論、一日あたり3~4個が目安です。
厚生労働省の発表している「日本人の食事摂取基準2020」では、ビタミンCの推奨量(12歳以上)は、男女共に100mg/日となっています出典[4]。
みかん1個(うんしゅうみかん/じょうのう/普通/生/可食部75g)に含まれているビタミンC量は、24mg出典[5]。
推奨量に相当するみかんの量は4個(ビタミンC含有量96mg)になるんです。
また、ビタミンCを過剰に摂取しても消化管からの吸収率が低下し、尿として排出される量が増えるため、広い摂取範囲で安全と考えられており、ビタミンCの耐容上限量は定められていません出典[4]。
みかん以外の食事によるビタミンC量は、考慮しなくても問題ないでしょう。
真相5.食べるなら就寝から3時間以上あけるのが理想
寝る前といっても就寝から3時間以上はあけて食べるようにしてください。
というのも、睡眠時間の3時間以内に食べると睡眠の質が大幅に下がってしまうことがわかっているからです。
実際に、オーストラリアで18〜29歳の793人の大学生を対象として、食事タイミングと睡眠の質の関係を調査した研究が行われました。
その結果、睡眠前の3時間以内に食事をすると、中途覚醒の確率が約40%増加することが明らかになったんです出典[5]。
寝る前に食べると睡眠の質が下がり、さらにダイエットにもデメリットになるため、就寝から3時間以上あけて食べるようにしましょう。
みかんは寝る前を避けて食べよう
ここまで、寝る前のみかんに関する噂を検証してきました。
結論、みかんは寝る前ではなく日中に食べると良いでしょう。
みかんにはビタミンCが豊富に含まれており、美容効果の高い食品です。
しかし、寝る前に食べるとダイエットの妨げになるばかりでなく、睡眠の質も低下してしまう可能性があります。
みかんは1日3〜4個を目安に、就寝から3時間以上あけて食べると効果的ですよ。
出典
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