監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
目次
体脂肪率が高いとテストステロンは減る
テストステロンは男性ホルモンの代表格であり、男性が心身ともに健康的な生活を送る上で欠かせないものの1つです。
筋骨隆々とした男らしい体を作るだけでなく、勃起や精子形成などの男性機能、性欲やモチベーションなどの精神面にも関わる重要なホルモンです。
多くの研究から、体脂肪率が高くなるとテストステロンは低下してしまうことがわかっています出典[1]。
体脂肪が増えることでテストステロンが低下する理由は複数あります。
例えば、体脂肪が増えると血液中の炎症性のサイトカインや脂質量が増え、精巣などのテストステロン合成系にダメージを与えてしまうことです出典[2]。
他にも、脂肪が増えることでテストステロンを女性ホルモンに変換する酵素(アロマターゼ)が増えることなども関与しています出典[3]
2024年の北京協和医学院の研究では、体脂肪率が1%増えるごとにテストステロンが11.97 ng/dL低下することが明らかにされています出典[1]。
体脂肪率が高くなることはテストステロンにとって良くないことですので、食事や運動などの生活習慣に気をつけて、体脂肪が蓄積しないようにするのが大事です。
体重を5%減らすごとにテストステロンは58ng/dL増える?
体脂肪が増えるとテストステロンは減ってしまいます。
安心してください。
ダイエットなどで体脂肪を減らすことができれば、テストステロンの量を高めることができます。
2017年のオーストラリアのメルボルン大学で行なわれた研究で、5%の体重減少によりテストステロンが58 ng/dL (2 nmol/L)増加することが明らかにされています出典[4]。
とはいえ58 ng/dLのテストステロンの増加がどのくらい大きな効果は想像がつきにくいかと思います。
ここで2001年のアメリカのドリュー大学で行なわれた研究を紹介しましょう。
2001年のアメリカのドリュー大学で行なわれた研究では、テストステロンが100 ng/dL増加するごとに、除脂肪体重(筋肉)が0.6 kg増加することも示されています出典[5]。
つまり、5%の体脂肪減少は0.3kgの筋肉量増加と同じくらい意味のあることと言えるのです。
体脂肪率が低すぎてもテストステロンにはよくない
これまで体脂肪率が高いとテストステロンにとって良くないことを紹介してきました。
痩せること(体脂肪を減らすこと)でテストステロンを高めることができますが、限度があります。過度な減量などによる痩せ過ぎ(体脂肪率の下げ過ぎ)もテストステロン低下を招く要因です。
2013年にアメリカのフィッチバーグ州立大学で行われた研究では、ボディビルダーが体脂肪率を14.8%から4.5%に落とすとテストステロンが70%以上も低下することが報告されています出典[6]。
テストステロンは体内に蓄えられた脂肪に含まれるコレステロールを原料にして合成されています。過度な減量によって体の脂肪分が減ってしまうと、原料となるコレステロールも少なくなってしまい、テストステロンが作られにくくなるのです。
体脂肪を減らすにしてもほどほどが大事と言うことです。
テストステロンが最適化される体脂肪率は?
テストステロンにとって体脂肪率は高すぎでも低すぎでも良くありません。
では、テストステロンにとって最適な体脂肪率はどのくらいでしょうか?
ズバリ、体脂肪率10%前後(8~12%)の時です。
2024年の北京協和医学院の研究では体脂肪率が10%の時が最もテストステロンが高く、体脂肪率が1%増えるごとにテストステロンが11.97 ng/dL低下することが明らかにされています出典[1]。
逆に、先程紹介した2013年のアメリカのフィッチバーグ州立大学の研究では、体脂肪率を14.8%から4.5%に落とすことでテストステロンは70%以上低下してしまいます出典[6]。
つまり、テストステロンを高めるためには10%の体脂肪率をキープするのがベストであるのです。
体脂肪率は増やしすぎず減らしすぎずでテストステロンを最適化しよう
今回はテストステロンと体脂肪率の関係について解説しました。
テストステロンは男性が心身ともに健康的な生活を送る上で欠かせないホルモンです。
体脂肪率は高すぎでも低すぎでも良くありません。
理想は体脂肪率10%前後です。
運動や食生活など日々の生活習慣を見直すことで体脂肪率が理想的な数値のボディーを手に入れて、テストステロンを高めるようにしましょう。
出典
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