男性における牡蠣の効能8選!効果的な摂り方も解説
2024年6月20日更新

監修者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

牡蠣ってどんな食べ物?

牡蠣は食卓に高頻度で登場する食材というわけではありませんが、濃厚な味わいとぷりぷりの食感から人気の高い貝類のひとつです。

まずは牡蠣の特徴について簡単に解説しましょう。

別名「海のミルク」

牡蠣は非常に栄養価の高い貝類として知られており、「海のミルク」とも呼ばれています。

日本でよく食べられる貝類の主な栄養素を比較してみましょう。

【貝類100gあたりの栄養素(日本標準食品成分表(八訂)増補2023年より)出典[1]

 エネルギー(kcal)たんぱく質(g)脂質(g)
かき(養殖)586.92.2
ほたてがい6613.50.9
しじみ547.51.4
はまぐり356.10.6
あさり295.70.7

牡蠣は良質なたんぱく質と、魚介類に特徴的なω‐3系脂肪酸を効率よく摂取できる食品です。安価で食卓に取り入れやすいアサリやシジミよりはややカロリーが高いものの、いわゆる「ヘルシー」な部類であることがわかるでしょう。

ほかの貝類よりも脂質がやや多く、濃厚な味わいを楽しめることも「海のミルク」と呼ばれる理由のひとつであるようです。

 

亜鉛の効率摂取に最適

貝類は亜鉛やマグネシウム、カルシウム、鉄など、ミネラルの摂取源として適しています。牡蠣においてはとくに亜鉛の含有量に注目すべきでしょう。

【食品100gあたりの栄養素(日本標準食品成分表(八訂)増補2023年より)出典[1]

 亜鉛(mg)
かき(養殖)14.0
豚肉レバー6.9
カシューナッツ5.4
ほたてがい2.7
しじみ2.3
はまぐり1.7
あさり0.9

このように、牡蠣は貝類のなかではもちろん、全食品を含めてもトップクラスの亜鉛含有量を誇ることがわかります。

令和元年度の国民健康・栄養調査では、20歳以上の男性の亜鉛含有量が平均9.2mgと報告されています出典[2]。一方、18歳以上の男性における亜鉛の推奨量は「日本人の食事摂取基準」において11mgと設定されており出典[3]、やや不足傾向にあります。

亜鉛をはじめとするミネラルを効率よく摂取できる食品としても、牡蠣は重宝するでしょう。

 

男性が牡蠣に期待できる効能8選

では、男性が牡蠣を食べることでどのような効果が期待できるのでしょう。

牡蠣に特徴的な栄養素や機能性成分に注目しつつ、得られる可能性のある効果について解説します。

抗疲労効果

牡蠣からはグリコーゲンやタウリンを効率よく摂取できます。グリコーゲンは肝臓や筋肉へエネルギー源として蓄えられるため、運動時や空腹時のエネルギー切れを防ぐために役立つでしょう。

2018年に中国華南農業大学から発表された論文では、牡蠣の加水分解物をマウスに補給したところ、筋グリコーゲンの含有量が45.65%、肝グリコーゲンが49.01%増加したと報告されています出典[4]

タウリンと疲労の関係においてはタウリンの持つ抗酸化作用にも注目すべきでしょう出典[5]。同じく牡蠣由来の牡蠣ペプチドにも酸化ストレスを減らす効果がある可能性が指摘されています出典[6]

ほかにも、マグネシウムやω‐3系脂肪酸といった成分も抗酸化物質として機能します。抗酸化作用を持つさまざまな物質が、疲労の軽減をサポートしてくれるでしょう。

<抗疲労効果と牡蠣の関係>

  • グリコーゲンの貯蔵によりエネルギー切れを防ぐ
  • 多様な抗酸化物質が疲労の蓄積を防ぐ

 

運動パフォーマンスの向上

牡蠣から摂取できる栄養素や機能性成分は、運動のパフォーマンスを高めるためにも役立つでしょう。たとえば牡蠣由来のたんぱく質は筋肉を合成するために欠かせない必須アミノ酸のバランスがよいため、運動により筋肉の合成効率を高めたい方に適しています。

加えてグリコーゲンの摂取も運動パフォーマンスの向上において重要です。牡蠣のグリコーゲンが筋肉や肝臓に効率よく蓄えられることが示された動物実験では、マウスの水泳運動時間が67.79%増加したとも報告されています出典[4]。グリコーゲンの蓄積によりパフォーマンスが大きく向上したことがうかがえますね。

また運動中の発汗により消費されるさまざまなミネラルを牡蠣から摂取すれば、いち早く体内のミネラルバランスを整えられるでしょう。運動とミネラルの関係について複数の研究を分析した論文では、少なくとも次のようなミネラルの減少が起こると報告されています出典[7]

亜鉛 尿中の亜鉛量が通常の約400μg/日から運動後には約700μg/日まで増加
 5時間の運動後の血中亜鉛濃度が運動前よりも約19%低下
   マグネシウム 激しい運動後に血中マグネシウム濃度が約10%低下
セレン セレン強化食を摂取しても、運動後には血中セレン濃度が減少する

亜鉛やマグネシウム、セレンの損失をカバーするための食品として、牡蠣は優れていると言えそうです。

さらに牡蠣に含まれる抗酸化物質には、激しい運動後の筋肉痛を軽減する効果もあります。マグネシウム、タウリン、牡蠣ペプチド、ω‐3系脂肪酸など、さまざまな抗酸化物質を摂ることで、筋肉痛によるパフォーマンスの低下を抑えられるでしょう。

<運動パフォーマンスと牡蠣の関係>

  • 良質なたんぱく質が筋肉の合成効率を高める
  • グリコーゲンの蓄積でより長時間の運動が可能に
  • 運動で消費されるミネラルを効率補給
  • さまざまな抗酸化物質が筋肉痛を防止

 

血中脂質の改善

牡蠣由来のたんぱく質、およびω‐3系脂肪酸であるDHAやEPAには、血中の中性脂肪やコレステロールを減らす働きが確認されています。

たとえば2012年に長崎大学から発表された論文においては、ラットが牡蠣由来のペプチドを摂取したところ、血中コレステロール濃度が約6割に、血中の中性脂肪濃度は半分以下にまで低下したとの結果が得られました出典[8]

さらに牡蠣に含まれる抗酸化物質は、脂質の酸化を防ぐためにも役立ちます。高脂肪、高カロリーな食事により増えすぎたLDLコレステロールが酸化すれば、血管を傷付けて動脈硬化の引き金にもなるでしょう。

将来の心筋梗塞や脳卒中のような疾患のリスクを下げるためにも、中性脂肪やコレステロールのコントロールは非常に重要です。比較的低カロリーであり血中脂質を減らす効果の高い牡蠣は、脂質異常症の予防に役立つでしょう。

<血中脂質と牡蠣の関係>

  • 牡蠣ペプチドやω‐3系脂肪酸が中性脂肪やコレステロールを下げる
  • さまざまな抗酸化物質が脂質の酸化を防止
  • 低カロリーであり余分な脂質を生じにくい

 

血圧の改善

牡蠣に豊富なタウリンは血圧を整える効果があり、高血圧の予防に役立つ可能性があります。

2016年に中国人民解放軍第三軍医大学から発表された論文では、高血圧の傾向がある患者へのタウリン補給を12週間続けたところ、対称群と比較して次のような血圧変化の差が確認されました出典[9]

 タウリン補給群対照群
収縮期血圧の低下量(mmHg)7.22.6
拡張期血圧の低下量(mmHg)4.71.3

タウリンの補給により、治療中の血圧が収縮期血圧で2倍以上、拡張期血圧で3倍以上大きく低下したことがわかるでしょう。

また、牡蠣から摂取できるさまざまな抗酸化物質も血圧のコントロールに役立ちます。LDLコレステロールが酸化して血管にダメージを与えると、修復の過程で血管が硬くなってしまいます。

過酸化脂質による動脈硬化が進むと血圧のコントロールも難しくなります。抗酸化物質で過酸化脂質の発生を抑えて、血管の弾力性を保ちましょう。

<血圧と牡蠣の関係>

  • タウリンが血圧を低下させる
  • さまざまな抗酸化物質が動脈硬化を防ぐ

 

性機能の改善

牡蠣には男性ホルモンであるテストステロンを増やす、あるいは保護するために重要な成分が多数含まれています。

テストステロンは性機能のほか、やる気や活力、筋肉の合成効率にも関わるホルモンです。体内量は20代がピークであり、40歳を過ぎると急速に低下します。加齢による減少をいかに抑えるかが、男らしさやたくましさを保つためのカギとなるでしょう。

まずはテストステロンの分泌を促すホルモン「黄体形成ホルモン(LH)」の分泌を促す効果に注目しましょう。亜鉛やセレン、タウリンなどにLHを増やす効果が確認されており出典[9]出典[10]、テストステロンの合成を活発にするよう働く可能性があります。

また、抗酸化物質の働きも見逃せません。テストステロンの合成場所である精巣は、体のなかでも酸化ストレスにとくに弱い組織です。ω‐3系脂肪酸やマグネシウム、タウリン、セレン、牡蠣ペプチドなど、さまざまな抗酸化物質がテストステロンを守るように働きます。

さらにマグネシウムには、テストステロンのなかでも活性の高い「遊離テストステロン」の割合を増やす効果が期待できます。テストステロンの98%以上はたんぱく質のような物質と結びついて存在する「結合型」であり、活性のある遊離型の維持は非常に重要です。

マグネシウムにはテストステロンの結合物質のひとつ「性ホルモン結合グロブリン(SHBG)」の結合をブロックする働きが確認されています出典[11]。結合型の割合を減らすことで、相対的に遊離テストステロンを増やす効果を得られるでしょう。

<血圧と牡蠣の関係>

  • 亜鉛、セレン、タウリンがLHの分泌を促す
  • 抗酸化物質が精巣へのダメージを軽減する
  • マグネシウムが遊離テストステロンを増やす

 

免疫機能の維持

牡蠣に豊富な亜鉛は、免疫機能を維持するためにも重要なミネラルです。亜鉛の欠乏や亜鉛の補給による免疫機能の変化として、次のようなことが判明しています出典[12]

  • 亜鉛不足によりT細胞やNK細胞の活性が低下する
  • 亜鉛補給によりT細胞やNK細胞の機能が回復する
  • NK細胞の活性は体内で利用できる亜鉛の量が多いほど高まる
  • 亜鉛不足により炎症性サイトカインのIL-6の分泌が増加する

T細胞はウイルスを記憶し速やかに排除するための「獲得免疫」を、NK細胞は異物の認識と攻撃の基本となる「自然免疫」を担います。自然免疫や獲得免疫の機能を維持するため、亜鉛を十分に摂取する必要があるでしょう。

<免疫機能と牡蠣の関係>

  • 亜鉛は自然免疫や獲得免疫の機能を保つ
  • 亜鉛不足によりT細胞やNK細胞の機能が落ちる

 

味覚の維持

私たちは主に舌にある味蕾で味を感じており、亜鉛は味蕾の機能を整えるために重要です。味蕾の成長や発達には、唾液に含まれる亜鉛含有たんぱく質のガスチンが関係しています。

唾液中のガスチン、および亜鉛濃度の低下は味覚の低下と関係しているため出典[13]、亜鉛不足は味覚障害のリスクを高めると言えそうです。

なお、亜鉛が欠乏状態にあっても、採血で確認できる血中亜鉛濃度は正常値を示す場合があり、亜鉛不足が発見されにくい場合があります。体内の亜鉛のうち、血中に存在するものは僅か1%程度のため、血液検査では亜鉛不足を見つけづらいと言われています。

しかし血中亜鉛濃度が正常である場合でも、亜鉛の補給により改善がみられる場合も多いようです出典[14]

亜鉛は日常の食事において深刻な不足をきたすことはないと言われています。しかし欠食や偏食が多い場合や、インスタント食品や加工食品を主に食べている場合には、亜鉛不足のリスクも高まるでしょう。

味覚障害は食事のおいしさを大きく損なうほか、ただの水にも強い苦みを感じるなど、水分補給も困難になる場合があります。亜鉛不足の解消手段として、ぜひ牡蠣を取り入れてみましょう。

<味覚と牡蠣の関係>

  • 亜鉛不足による味覚障害を改善する
  • 血中亜鉛濃度が正常範囲でも、亜鉛の補給で改善がみられる場合がある

 

貧血防止

牡蠣からは貧血予防に関わる栄養素である、ビタミンB12と鉄を摂取できます

ビタミンB12は赤血球の正常な形成をサポートするビタミンです。貧血の一種である巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸の不足により、機能を持たない巨大な赤血球が作られてしまうことで生じます。

日本人の食生活ではビタミンB12の不足はほぼ見られません出典[15]。しかし食事量が減少した高齢者においては、栄養性の巨赤芽球性貧血が生じる場合があるようです。

欠食や菜食主義などによりビタミンB12が不足しやすい方は、貧血防止のため、牡蠣がビタミンB12の補給手段として有効である点を覚えておくとよいかもしれません。

また、鉄は鉄欠乏性貧血の予防に有効です。鉄欠乏性貧血は女性に多く見られる疾患のイメージがあるかもしれませんが、運動をおこなう若い世代では男女問わず鉄欠乏や貧血のリスクがあります出典[16]

激しい運動では酸素や栄養素をより多く運搬するため、赤血球の成分として機能する鉄は大量に消費されます。激しい運動をおこなうアスリートやトレーニーの鉄補給手段として、ぜひ牡蠣を活用してみましょう。

<貧血防止と牡蠣の関係>

  • ビタミンB12の補給で巨赤芽球性貧血を予防
  • 鉄の補給で鉄欠乏性貧血を予防

 

牡蠣の効能を高める食べ方

このように、男性が牡蠣を食べることでさまざまな健康効果が期待できます。

ここからは牡蠣の効能を高めるため、気を付けたい食べ方のコツについて解説しましょう。

1日4~5粒までを目安に

牡蠣の摂取量を考える際には、含有量が全食品のなかでもトップクラスである亜鉛の量で計算するとよいでしょう。

厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」では、亜鉛の摂取量を次のように設定しています出典[13]

推奨量
(ほとんどの人口が必要量を満たす量)
11mg/日(18~74歳の男性)
 
耐用上減量
(摂取を続けても無害とされる最大値)
40mg/日(18~29歳、64歳~の男性)
45mg/日(30~64歳の男性)

牡蠣は100gあたり14.0mgもの亜鉛を含む食品です。1粒15gの牡蠣であれば5粒で10.5mg、1粒20gの牡蠣であれば4粒で11.2mgの亜鉛を摂れる計算になります。男性の場合、牡蠣4~5粒を食べれば十分に推奨量を満たせることになりますね。

なお、亜鉛を必要以上に摂取しても、運動のパフォーマンスがより高まったり、味覚がより鋭敏になったり、性機能が向上したりといった効果は期待できません

たとえば2009年にドイツスポーツ大学が発表した論文では、すでに1日あたり11.9~23.2mgの亜鉛を摂取できている男性へさらに亜鉛を補給しても、テストステロンは増加しなかったと報告されています出典[17]

牡蠣の亜鉛は、日頃の生活で亜鉛の不足が心配される場合の補給手段として用いましょう。亜鉛の過剰摂取による吐き気や嘔吐、食欲不振に免疫の低下などを防ぐため、牡蠣の摂取は多くても4~5粒までとすることをおすすめします。

 

天ぷらやフライは避ける

牡蠣を高頻度で食べる際には、天ぷらやフライなどの揚げ物を避けて調理しましょう。牡蠣の揚げ調理には2つのデメリットがあります。

  • カロリーが増えやすい
  • 高温加熱によりω‐3系脂肪酸が失われやすい

生の牡蠣は100gあたり58kcalと低カロリーな食品であるため、食べ続けることで肥満のリスクが高まるようなことにはなりません。しかし揚げ調理では衣や揚げ油の摂取により、カロリーと脂質量が格段に増えてしまいます。

【食品100gあたりのマグネシウム含有量(日本標準食品成分表(八訂)増補2023年より)出典[1]

 カロリー脂質
牡蠣(養殖・水煮)90kcal3.6g
牡蠣(養殖・フライ)256kcal11.1g

水煮とフライではこのように、カロリーや脂質に約3倍の差があります。毎晩カキフライを食べるような極端な摂り方は避け、揚げ物はたまの楽しみにしておきましょう。

また、高温での揚げ調理はω‐3系脂肪酸を減らしやすいため、牡蠣の効能の低下につながる可能性がある点にも注意すべきです。

サンマのω‐3系脂肪酸の減少を調べた研究では、揚げ調理の残存量が51~58%と、グリル焼きやフライパン焼きの残存量78~92%と比較して大幅に低いことが判明しています出典[18]

揚げ調理は180℃程度の高温でおこなうため、ω‐3系脂肪酸の摂取手段としては適していません。茹で調理であればカロリーを抑えつつ、100℃程度の調理でω‐3系脂肪酸の損失を抑えやすいでしょう。

 

柑橘類と相性抜群

牡蠣に豊富な亜鉛の吸収率を高めたい場合には、付け合わせを工夫してみましょう。

亜鉛はビタミンCやクエン酸と同時に摂ることで効率よく吸収されます。牡蠣とビタミンCやクエン酸をあわせて摂る方法としては、次のようなレシピがおすすめです。

  • 殻ごと焼いた牡蠣にレモンを絞る
  • 牡蠣鍋に輪切りにしたすだちを加える
  • 牡蠣とレモンをあわせてバターソテーにする

酸味のある柑橘系の果汁と、濃厚な味わいの牡蠣は相性もよいため食べやすいでしょう。

 

十分な加熱で感染防止

牡蠣は二枚貝の一種であり、ノロウイルスの感染源となる場合があります。ノロウイルスへの感染では激しい吐き気と下痢が特徴的であり、ヒトからヒトへの感染力が非常に高いことでも知られています。

牡蠣からのノロウイルスの感染を避けるためには、加熱によるウイルスの失活が重要です。感染を避けるためには生食を避け、十分に加熱したものを食べるようにしましょう。

「生食用」として売られている牡蠣は、ノロウイルスを含まないことを保証するものではありません。生食用にもノロウイルスが存在している可能性があるため、リスクがあることを承知の上で食べましょう。

ノロウイルスが感染力を失うためには、牡蠣の中心温度85℃以上で、かつ1分30秒以上加熱する必要があります。牡蠣鍋やアクアパッツァなど、十分に加熱できる料理を選び、ノロウイルスの感染を防ぎましょう。

 

牡蠣に関するよくある質問

ここからは牡蠣に関する質問のなかから、よく寄せられるものについて回答します。

牡蠣の効能についてより詳しく知りたい方、牡蠣を食べる際の注意点を把握しておきたい方は、ぜひ参考にしてください。

牡蠣に即効性はある?

牡蠣に含まれるビタミンやミネラル、機能性成分などには多数の効能が確認されていますが、いずれも食べてすぐに効果を発揮するものではありません

たとえば1996年にデトロイトのウェイン州立大学で発表された論文で確認できた、亜鉛不足の高齢男性におけるテストステロンの増加には、亜鉛補給に6か月の期間を設けています出典[19]

また、2016年におこなわれた高血圧の傾向がある患者へのタウリン補給では、12週間続けることで血圧の低下が確認できています出典[9]

このように、期間の長短はあるものの、牡蠣を食べてすぐに効果が得られるものはほとんどありません。

唯一、運動前に牡蠣を摂ることでグリコーゲンを効率よく蓄える効果が期待できます。ほかの体質を改善するような効能については、毎日の摂取を根気よく続ける必要があることを覚えておきましょう。

 

牡蠣は肝臓にいい?

タウリンには肝臓の損傷を抑える効果や、脂肪肝の発症リスクを下げる効果が確認されています

2009年に中国の瀋陽農業大学から発表された論文では、アルコール性肝疾患のラットにタウリンを3か月間投与することで、炎症性サイトカインのIL-6やIL-2、TNF-αなどを低下させ、炎症部位の割合を減らしたとの結果が得られています出典[20]

アルコールの処理には肝臓に大きな負担がかかるため、多量の飲酒が習慣化すると肝損傷のリスクも高まります。肝臓への負担を抑えるための食品として、タウリンを豊富に含む牡蠣が役立つかもしれません。

 

牡蠣を食べると太る?

牡蠣自体は100gあたり58kcalと比較的低カロリーです。毎日4~5粒食べても50kcal程度の摂取にしかならないため、肥満のリスクを高める食べ物とは言えないでしょう。

一方で、牡蠣フライや天ぷら、アヒージョやバター炒めなど、脂質の多い料理を多用するとカロリーオーバーを生じやすい点には注意が必要です。肥満を防ぎたい場合には脂質を使わない調理法を心がけましょう。

おすすめは、ポン酢やレモン果汁などであっさりと食べられ、かつノロウイルス失活のための十分な加熱をおこなえる牡蠣鍋です。野菜を具材として加えれば高い満腹感を得られるため、ストレスなく摂取カロリーを落とせるでしょう。

 

まとめ

牡蠣にはビタミンやミネラルをはじめ、ω‐3系脂肪酸やタウリンなど、さまざまな栄養素や機能性成分が含まれています。抗酸化物質として機能するものが多く、体の若々しさを保ち、加齢にともなう病気を予防する効果が期待できそうですね。

亜鉛含有量の高さゆえに、牡蠣の摂取は1日4~5粒までに留めるべきです。またフライや天ぷらのような揚げ調理ではカロリーが増えやすいため、毎日食べる場合には焼いたり鍋に加えたりといった脂質の少ない調理法を意識しましょう。

牡蠣によるノロウイルス食中毒を防ぐため、十分な加熱を心掛けることも重要です。安全に食べるためには生食を避け、中心温度85度以上、1分30秒以上の加熱を徹底しましょう。
 

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