執筆者
NSCA-CPT、調理師免許
大里 亮太(筋肉料理研究家Ryota)
激太り&うつで入院するも入院中にTeststerone氏の「筋トレが最強のソリューションである」に出会い、退院後に筋トレとお料理で体重-25kgに成功。精神的にも立ち直り、パーソナルトレーナー資格のNSCA-CPTを取得。元々所有していた調理師免許を生かし、筋肉料理研究家として活動するように。昔の自分のように心身ともに悩んでいる方のサポートになればと、日々簡単ダイエットレシピを発信している。
断食とテストステロンの関係とは
断食とはファスティングとも呼ばれ、文字通り一定期間食事を断つこと。
内臓を休めて体内の毒素を排出したり、新陳代謝を高めたりなどの健康効果があるとして注目を集めています。
次からの項目では、そんな断食がテストステロンに与える影響を解説します。
基本的に断食はテストステロンを減らす可能性が高い
一口に断食と言っても、最近は週末断食やプチ断食、このあと紹介する16時間断食など、いろいろな方法が紹介されています。
SNSなどで有名人が挑戦している姿を見て、「自分もやってみようかな…」と考えたことのある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、テストステロンはタンパク質や脂質、ビタミンやミネラルなど、さまざまな栄養素により生成されるホルモン。
そのため、断食により栄養が不足すると、テストステロンは減少してしまいます。
例えば、2005年にイランのビルジャンド医科大学から発表された論文では、断食を行うことでも知られるイスラム教のラマダン中に、若年男性のテストステロンがラマダン前に比べ8割程度に低下してしまったというデータが紹介されています出典[1]。
もちろん、断食の期間や個人の体質によって表れる効果はさまざまです。
しかし、長期的な栄養不足はホルモンバランスを乱すだけでなく、体への負担も大きくなってしまうことに。
従って、例えラマダンほど本格的なものでなくてもテストステロンを維持したいなら、断食はおすすめできません。
夕食を抜くだけでもテストステロンは減少する
断食とは行かないまでも、「仕事や家事が忙しくて1食抜いてしまう」ということなら現代人にはよくあることです。
しかし、テストステロンのレベルをキープしたいなら、たった1食だけでも食事を抜くのはNG。
実際に、2010年にワシントン大学から発表された論文では、1回夕食を抜くだけでも翌朝のテストステロンが20%ほど低下してしまうことが分かっています出典[2]。
テストステロンは睡眠中に最も多く分泌されるため、本来なら起床時にピークを迎えるはずです。
ところが、夕食を抜いただけで低下するということは、それだけ男性ホルモンのバランスはエネルギー不足に敏感だということ。
従って、テストステロンを維持するためには、例え忙しくてもプロテインや軽食を利用して空腹の時間を短くするのがおすすめです。
ちなみに先ほどの論文内では、夕食を抜いた翌朝の朝食後にはテストステロンが大きく回復したとも述べられています。
このことから、何らかの理由で食事を抜いてしまった場合でも、できるだけ早く栄養を補給するようにしましょう。
流行りの16時間断食もテストステロン的にはNG
「16時間断食」とは、1日24時間のうち16時間は何も食べずに、残りの8時間は自由に食事をしても良いという断食方法。
腸内環境を整えたり、飢餓状態により細胞を生まれ変わらせる「オートファジー」の効果があるとして注目を集めています。
しかし、この16時間断食も、やはりテストステロンにとってはNG。
2022年にイリノイ大学から発表された論文では、16時間断食と筋トレを併用した研究において、健康的な若年男性のテストステロンが減少してしまったというデータが紹介されています出典[3]。
ただし、論文内では脂肪量が減少し、筋肉量と筋力には悪影響が出なかったとの記述も。
そのため、16時間断食を行ったからと言って、筋トレをしていれば直ちに筋肉が落ちてしまうということはなさそうです。
しかし、前述の通りエネルギー不足は一時的なものでも、男性ホルモンの減少を招く原因に。
さらに、そのままテストステロンの低い状態が続けば、代謝や筋肉の合成、性欲などに悪影響を与える可能性もあります。
従って、体組成改善のために16時間断食を実施する場合でも、無理のないスケジュールを設定するようにしましょう。
肥満なら断食でテストステロンが増える...?
ここまで、主に断食のマイナス面を紹介してきたので、「絶対に食事は抜かない!」と思われた方も多いかもしれません。
しかし、研究により男性はBMIが高いほど、つまり体脂肪が多いほどテストステロンが低くなってしまうことが分かっています出典[4]。
※BMIとはボディマス指数のことで、体重と身長から算出される肥満度の指数。
そのため、肥満の方は断食によって体脂肪を落とすことで、テストステロンを増やすことができるかもしれません。
ただし、実際に肥満男性らが10日間の断食を行った研究では、被験者たちの体重は減ったものの、テストステロンも大きく減少してしまったというデータがあります出典[5]。
当然ながら食べずにダイエットを行うと、テストステロンを生成するための栄養素を摂取することができません。
また、例え体重を減らせても、ホルモンバランスの乱れは体調不良や生殖機能の低下を招くことにもなります。
従って、肥満の解消が目的であっても運動・食事・睡眠のバランスを整えて、無理のないダイエットを心がけましょう。
合わせて読みたい:【テストステロン2.0】男性ホルモンを増やす最新戦略
テストステロンを増やすために食事で意識すべきこと
最後に、テストステロンを効率よく増やすために、日々の食事において意識すべきことを5つご紹介します。
- 3食しっかり食べる
テストステロンを合成するためには十分なエネルギーに加え、ビタミンDや亜鉛などの微量栄養素も必要です出典[6]。前述の通り、夕食を1回抜くだけでもテストステロンは大きく減少してしまうので、まずは3食しっかり食べるようにしましょう。 - 十分なタンパク質を摂取する
筋肥大のために必須のタンパク質は、テストステロンにとっても重要。タンパク質が不足すると体内でテストステロンを不活性化させる酵素が増えてしまうため、積極的に摂取したい栄養素なんです。特に、羊肉や牛肉などの赤身肉ならタンパク質はもちろん、テストステロンの分泌を促す働きがあるカルニチンや亜鉛も豊富。また、脂質の少ない鶏むね肉やささみなら、カロリーを抑えながら良質なタンパク質を摂取することができます。 - 良質な脂質の摂取
脂質はテストステロンを始めとするホルモンを作るための材料となる栄養素。従って、良質な脂質を含む青魚やナッツなどを食べれば、よりテストステロンが分泌されやすくなります。ただし、脂質の摂り過ぎはカロリーオーバーを招いて体脂肪の増加にもつながるので、摂取量には注意しましょう。 - サプリメントを活用する
毎日3食バランスの良い食事ができれば一番ですが、仕事や学業で忙しく、どうしても時間が取れないということもあるはず。そんなときは、プロテインやマルチビタミンなどのサプリメントを活用しましょう。食事で取れない栄養をサプリメントで補えばエネルギー不足を防げ、テストステロンも効率よく高めることができます。 - 継続する
どれだけ完璧な食生活も、三日坊主で終わってしまっては意味がありません。
1食抜くだけでもテストステロンは減少してしまいますが、ホルモンバランスを整えるための食生活は継続が重要。
ときには息抜きを挟みつつ、マラソン感覚で細く長く続けられるようにしましょう。
テストステロンを高めるなら断食はNG
ここまで解説してきたように、断食は期間に関わらず、テストステロンを減少させてしまいます。
女性のみならず、男性においてもホルモンバランスは非常に繊細なもの。
そのため、テストステロンのレベルを維持したいという方は、できるだけエネルギー不足に陥らないようにしましょう。
健康のために短期的な断食にチャレンジする場合でも、無理のないスケジュールを設定し、体調を崩さないようご注意くださいね。
出典
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