テストステロン(男性ホルモン)を下げる食べ物・飲み物5選
2024年7月2日更新

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

テストステロンが減るとどうなる?

まずは、テストステロンがどんなホルモンなのかを改めて解説しておきましょう。

テストステロンは男性ホルモンの代表的な存在。

ガッチリと男らしい体型や骨格を作ったり、生殖機能や精神面の健康にも関わったりなど、さまざまな働きを担うホルモンです

男性の場合は約95%が精巣の中で作られ、残りは副腎で合成・分泌されると言われています。

テストステロンの分泌量は一般的に20歳ごろにピークを迎え、その後は加齢とともに徐々に減少

また、加齢以外にも食習慣や生活環境、ストレスなどによっても減少してしまうことが分かっています。

個人差はありますが、テストステロンが減ってしまうと以下のような症状を招くこともあるので注意が必要です。

  • 筋肉量の減少
  • 体力の低下・慢性的な疲労感
  • 性欲の減退・生殖機能の低下
  • 意欲や集中力の低下
  • 不眠や寝付きの悪さ
  • 動悸や息切れなどの自律神経の不調

それだけでなく、テストステロンの低さは、死亡リスクを高めてしまう可能性もあります。

実際に2022年に米国のベイラー大学から発表された論文によると、テストステロンの値が低い男性ほど、年齢に関係なくほとんどの疾患において死亡率が高くなるというデータが示されています出典[1]

分析では、特に60歳以降の死亡リスクの上昇幅が大きく、心臓病や脳血管疾患、アルツハイマーとも関わっていることが判明。

従って、体作りのためだけでなく長く健康的に過ごすためにも、テストステロンを下げないようにすることが大切なんです。
 

テストステロンを下げる可能性がある食べ物5選

冒頭の解説で、テストステロンの重要性についてはお分かりいただけたはず。

ここからは、大切なテストステロンを減少させてしまうかもしれない食べ物を、エビデンスを交えながら5つご紹介します。

1.大豆食品

豆腐や納豆などの大豆加工食品は高タンパクで栄養価も高く、毎日の食事に取り入れている方も多いはず。

しかし、大豆加工食品に含まれるイソフラボンには、テストステロンを低下させてしまう可能性があるんです

2022年に昭和大学藤が丘病院から発表された論文では、3年間毎日豆乳を1.2L飲んでいた54歳の男性の症例が紹介されています出典[2]

男性は勃起不全や女性化乳房などの症状が表れて診察を受けたところ、テストステロンが大幅に低下していることが判明
※女性化乳房とは、男性が女性のように乳房が肥大する状態。

受診後に飲用を中止した後は、男性のテストステロン値は大きく回復していたということです。

もちろん、毎日豆乳を1L以上も飲んでいるという方は珍しいかもしれません。

また、信頼性の高い研究においても、イソフラボンの摂取によるテストステロンの低下は否定されています出典[3]

しかし、不安な方はイソフラボンの摂取量は1日100mg以下に抑えておくのがおすすめです

代表的な大豆加工食品のイソフラボンは以下に表にしているので、参考にしてみてください。

【食品中100gあたりのイソフラボン含有量(厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)より】

食品名平均含有量
きな粉266.2
大豆140.4
納豆73.5
煮大豆72.1
味噌49.7
油揚げ39.2
豆乳20.3
豆腐20.3
おから10.5
しょうゆ0.9

 

2.揚げ物

ジューシーな唐揚げやサクサクのとんかつなどの揚げ物は、いつの時代も幅広い年代に人気のメニュー。

しかし、テストステロンにとっては、あまり好ましいものではなさそうです。

2019年に台北医学大学から発表された論文では、中高年男性の食生活とテストステロンの関係を調査出典[4]

分析の結果、揚げ物や加工食品の摂取量が多いほどテストステロンが低くなるということが分かっています。

さらに、ファーストフードを食べる機会が多いという方も注意が必要。

2019年にオーストラリアのフリンダース大学から発表された論文では、食事に含まれる脂質が精巣に与える影響を調査しています出典[5]

分析の結果、高脂質なファーストフードを摂取すると、食後1時間以内に血液中のテストステロンは25%も低下することが判明。

ところが、食事内容と同じ濃度の脂質を静脈注射で投与しても、テストステロンには変化はありませんでした。

このことから、腸管での脂質の吸収がテストステロンの低下を引き起こす可能性が示されているんです

従って、テストステロンのレベルを下げたくないという方は、高脂質な揚げ物やファーストフードを食べるのは控えておきましょう。
 

3.パンやスイーツ

栄養に詳しくない方でも、「トランス脂肪酸は体に良くない」という話は聞いたことがあるのではないでしょうか。

トランス脂肪酸とは、脂質の構成成分である脂肪酸の一種

過剰摂取すると心筋梗塞などの疾患を引き起こすと言われ、肥満やアレルギー性疾患との関連も認められている成分です。

しかも、トランス脂肪酸はテストステロンをも減少させてしまう可能性があるんです。

実際に2016年にハーバード公衆衛生大学から発表された論文では、トランス脂肪酸を最も多く摂取している男性は、最も摂取量の少ない男性に比べてテストステロンが15%も低いということが明らかになっています出典[6]

ちなみに、トランス脂肪酸はマーガリンやファットスプレッド、ショートニングなどに多く含まれています。

そのため、これらが原材料としてたくさん使われる、パンやスイーツにも注意が必要。

2018年に台北医学大学から発表された論文では、テストステロンと食生活の関連を調査するために125名の男性を分析しています出典[7]

その結果、パンやスイーツを最も多く食べる人は、そうでない人に比べてテストステロンが50%以上も低くなることが判明。

従って、テストステロンを下げたくないなら、パンやスイーツも食べるのを控えておきましょう。
 

4.甘いジュース

最近はコンビニなどで、「食後の血糖値上昇をゆるやかにする」などと表示された飲み物が多く販売されています。

この「血糖値」とは、血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のこと。

血糖値はごはんやパンなどの炭水化物を食べると上昇し、食後はインスリンというホルモンの働きによってコントロールされます。

血糖値が高い状態が続くと血管の壁が傷つきやすくなったり、血液が詰まって糖尿病などの疾患を引き起こす可能性も。

さらに、急激な血糖値の上昇、いわゆる「血糖値スパイク」はテストステロンを低下させてしまう原因にもなるんです。

2013年にマサチューセッツ総合病院から発表された論文では、74名の男性に対して75gのブドウ糖を経口摂取させる試験を実施したところ、平均で25%もテストステロンが低下したというデータが紹介されています出典[8]

ちなみに、ブドウ糖は甘いジュースや炭酸飲料、清涼飲料水などに多く含まれている栄養素。

ジュースは水分のため、ごはんやパンに比べて吸収が早く、ガブガブ飲んでしまうと血糖値スパイクを招いてしまいます。

そのため、テストステロンを下げたくないなら、甘いジュースを飲むのは控えておきましょう。
 

5.お酒

お酒好きのトレーニーは意外と多く、「トレーニング終わりのビールがやめられない」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、アルコールもテストステロンにとってはNG。

2004年にオランダの研究機関から発表された論文では、実験で中年男性に40gのアルコールを摂取させたところ、血液中のテストステロンが6.8%も減少してしまったというデータが紹介されています出典[9]

もちろん、アルコールの分解能力には体格や性別・年齢など個人差があります。

しかし、テストステロンを維持したいなら、厚生労働省が示す「純アルコール量で20g程度」に留めておくのがおすすめ

ちなみに、「純アルコール量」というのは飲むお酒の量、アルコール度数、アルコール比重0.8をかけ合わせたもの。

例えば、アルコール度数5%のビールをレギュラー缶1本(350ml)飲んだとすると…

350ml×5/100(5%)×0.8=14g

という感じで純アルコール量を算出することができます。

代表的なアルコール飲料の純アルコール量20gは以下の表で紹介しているので、参考にしてみてください。

【純アルコール20gに相当する酒量(サントリー「お酒との正しい付き合い方を考えよう」より】

ビール(5%)ロング缶1本(500ml)
日本酒(15%)1合程度(180ml)
ウイスキー(43%)ダブル1杯(60ml)
焼酎(25度)グラス1/2杯(100ml)
ワイン(12%)グラス2杯弱(200ml)
チューハイ(7%)レギュラー缶1本(350ml)

合わせて読みたい:【テストステロン2.0】男性ホルモンを増やす最新戦略

 

食習慣を見直してテストステロンを最大化しよう!

冒頭でも解説した通り、テストステロンはストレスによっても減少してしまいます。

そのため、我慢することがかえってストレスになるということであれば、紹介した食べ物や飲み物を完全に断つ必要はありません。

しかし、ほんの少しの意識の違いが、年齢を積み重ねたときに大きな違いとなって表れてきます。

思い当たる節がある方は食生活を見直し、ぜひご自身の肉体的・精神的な健康を守ってください。
 

LINEで専門家に無料相談

365日専門家が男性の気になる疑問解決します
LINEからメッセージを送るだけで薬剤師やパーソナルトレーナー、睡眠指導士やサプリメントアドバイザーなどNP所属の男性ヘルスケアの専門家があなたの疑問や質問に直接回答します!