

監修者
上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー
関川裕大
睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。

執筆者
管理栄養士/分子栄養学カウンセラー
岡かな
大阪市立大学食品栄養科、大学院修士課程修了。医療機関に勤務し、糖尿病や高血圧など生活習慣病の栄養管理に取り組む。その後はヘルスケア事業に移り、年間500人以上のダイエットをサポートする。現在はダイエットサポートの他、特定保健指導や健康に関わる分野の執筆も行っている。誤った情報で10キロ以上リバウンドした自分自身の経験から、科学的根拠に基づく正しい情報の発信を心掛けている。
妊活中の食べ物で起こるトラブル
食べ物は男性の生殖機能にどのような影響を与えるのでしょうか。
まずは、妊活中の男性の体に起こる、食べ物でのトラブルについて解説しましょう。
性行為がスムーズに進まなくなる
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妊活が上手くいかない原因のひとつに、性欲の低下や勃起不全、射精障害などの男性機能の低下が挙げられます。
そこで生殖機能に重要になってくるのが、男性ホルモンであるテストステロン。
テストステロンは、筋肉や骨の形成だけでなく、性欲や勃起機能、精子の形成など妊活に欠かせない役割を担っているんです。
とくに、性欲がなくなったり射精がスムーズに行われないと、妊活に必要な性行為が円滑に進みませんよね。
つまり、性欲や男性機能向上に欠かせないテストステロンが低下する食事は、妊娠から遠ざかると言えるんです。
妊活を行う場合は、これから解説するテストステロンの分泌が低下する食べ物に注意しましょう。
妊娠率が下がり自然妊娠が困難に

精子の量や質、運動率なども妊娠率を上げるためには重要な要素。
WHO(世界保健機関)が定めている自然妊娠が期待できる基準値では、妊娠には精子量、精子濃度、精子運動率、精子正常形態率が定められています。
ちなみに、精液の中には5%以下しか精子がないと言われています。
精子のうち、受精できる能力がある精子が少なければ、当然妊娠の確率は大きく下がりますよね。
このように、精子の量や質によっても妊娠率が変わるため、精子の量や質を高める食生活が大切なんです。
とくに、精巣にダメージを与える食べ物を摂り過ぎていたり、精子の形成に欠かせない栄養素が不足していると、精子の質が悪くなります。
また、精子の形成にもテストステロンが関わっています。
テストステロンの分泌を高めることは、質の良い精子を作るためにも重要と覚えておきましょう。
妊活男性が食べてはいけないもの7選
ここからは、妊活中の男性が食べてはいけない、妊娠率を下げてしまう食べ物7選を解説しましょう。
甘いお菓子や清涼飲料水

甘いお菓子や清涼飲料水にたっぷり含まれている、大量の砂糖。
大量の砂糖を摂取すると、血糖値が急上昇し、その後に反動で血糖値が急降下する血糖値スパイクが発生します。
血糖値スパイクは活性酸素を発生させるのですが、活性酸素により血管や精巣が傷ついてしまうんです。
そして、精巣がダメージを受けると、テストステロン濃度や精子の量の低下に繋がることがわかっています。
実際に、19~74歳の74人の男性に対し、75gの経口ブドウ糖負荷試験を行いテストステロン濃度を測定した研究では、血糖値スパイクによりテストステロンの濃度が平均25%低下したことが明らかになりました出典[1]。
また、高血糖状態が生じやすい糖尿病患者は、健康な男性に比べて精子の運動性や精子のDNA、精液の成分など、男性の生殖能力が低下しやすいこともわかっています出典[2]。
妊活中の男性にとって、いかに食事で血糖値スパイクを起こさないかが大切であることがわかりますね。
妊活中は、甘いお菓子や清涼飲料水を最小限にとどめましょう。
高脂肪の乳製品

高脂肪の乳製品はカロリーが高い傾向にあります。
例えば、4枚切り食パン90gをそのまま食べると223kcalですが、バター(無発酵/有塩)20gを塗り、バタートーストにすると363kcalになります出典[3]。
また、おつまみとして枝豆(ゆで50g)を食べると59kcalですが、クリームチーズを50g食べると157kcalにもなります出典[3]。
このように、高脂肪の乳製品は他の食品に比べてカロリーが高いため、食べ過ぎると肥満のリスクが高まります。
そして、肥満により脂肪組織が増えると炎症を起こし、テストステロンを減らす炎症性サイトカインが大量に発生してしまうんです。
また、乳製品には自然由来のエストロゲンが含まれており、体内のテストステロンを減らすように作用する可能性も示唆されています。
実際に、20~35歳の男性11人に対し牛乳1Lを飲んでもらったところ、牛乳摂取の30分後に血中テストステロン値が5.14ng/mlから3.46ng/mlへ、さらに1時間後には3.25ng/mlへ減少したことがわかりました出典[4]。
とくにバターは、乳製品の中でもエストロゲン濃度が高いことが示されています出典[5]。
一方、牛乳に含まれるエストロゲンはごく少量で、テストステロンに影響を及ぼさないとする意見もあります出典[6]。
乳製品由来のエストロゲンが男性ホルモンにどのように影響するかは、まだ研究段階ではありますが、乳製品の過剰な摂取は避けることが安心ですね。
ジャンクフード
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ジャンクフードとは、栄養価が低く、糖分や脂肪が多い食品を指します。
ジャンクフードの栄養面での特徴として以下が挙げられます。
・ビタミンやミネラルがほとんど含まれていない
・糖分や脂肪が多い
・塩分が高い
ジャンクフードでお腹を満たしていると、テストステロンの生成や精子の形成に必要なビタミン、ミネラルが不足してしまいます。
妊活でとくに重要な栄養素といえば「亜鉛」。
亜鉛はテストステロンの分泌や精子形成、精巣の保護など、妊活中の男性にとって必要不可欠な成分なんです。
しかし、亜鉛は通常の食事であっても不足しやすい栄養素。ジャンクフード中心の食生活では、高確率で亜鉛が不足するでしょう。
また、ジャンクフードは糖分や脂肪が多いため、肥満になりやすいです。
肥満になると炎症性サイトカインが増加し、テストステロンが減少してしまうのでしたね。
実際に、体重とテストステロン値を調べた研究では、BMIが35~40kg/m2を超える男性は、痩せた男性と比較して総テストステロン値と遊離テストステロン値が50%以上低下することが明らかになりました出典[7]。
さらに、ジャンクフードは塩分が高いため味が濃く、「もっと食べたい」という気持ちが高まりやすいんです。
「ポテトチップスを一度食べ始めると止まらない…!」という経験は誰しもありますよね。
このようにジャンクフードは、テストステロンや精子形成に必要な栄養素が少なく、肥満を助長して男性機能を低下させてしまうんです。
とくに妊活中はジャンクフードを食べないようにしましょう。
加工肉

加工肉や、先に紹介したジャンクフードは高脂質かつ高塩分。
これらの食品に起こりがちな「もっと食べたい」という気持ちには理由があります。
その理由は、高塩分であると満腹感を感じにくいということです。
48人の健康な成人を対象とした研究では、塩と脂肪を含むソースで料理した食事を摂取してもらい、濃度の違いによって食事摂取量が増えるかどうかを検証しました。
その結果、塩分が高いソースを使った料理を食べると、脂肪濃度とは無関係にエネルギー摂取量が11%増加したことが明らかになりました出典[9]。
高脂肪食品を塩分で濃く味付けしたものは満腹を感じにくく、食べ過ぎのリスクが高まることが読み取れます。
生鮮食品の肉よりも高脂肪・高塩分である加工肉は、食べ過ぎてしまいやすく、肥満によるテストステロン低下を招く可能性があると言えるでしょう。
また、加工肉の摂取は精子の形態にも影響を及ぼすことがわかっています。
実際に、155人の男性の精子を調査した研究によると、加工肉の摂取量が多いほど精子の形態が悪いという結果が発表されました出典[8]。
さらにこの研究では、魚の摂取量が多い男性ほど、精子数と正常な精子の割合が増加することもわかっています出典[8]。
肉類中心の食生活よりも魚類中心の食生活の方が、精子の質を保ちやすいと言えますね。
妊活中はとくに、塩分や脂質の多い加工肉の摂取を避け、ヒレ肉やロース肉などを調理して食べるようにしましょう。
アルコール
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アルコールを飲みすぎると、酸化ストレスが発生し、体内の抗酸化活性が落ちることがわかっています出典[10]。
とくに精巣は酸化ストレスの影響を受けやすいため、酸化ストレスによりテストステロンの合成能力や性機能の低下に繋がることがわかっているんです出典[11]。
また、アルコールの摂りすぎによりアロマターゼという酵素が増え、テストステロンが女性ホルモンであるエストラジオールに変換されることもわかっています出典[12]。
さらに、アルコールにはテストステロンの分泌を促すホルモンの合成を阻害する作用もあるため、ますますテストステロンが増えにくくなるでしょう出典[13]。
しかし、アルコールを一滴たりとも飲んではいけないわけではありません。
アルコール摂取が男性の生殖健康に及ぼす影響を調べた40件のデータをまとめた発表では、週あたり7単位(純アルコール換算で140gまで)であれば性ホルモンへの影響が生じなかったと結論付けられました出典[13]。
週7単位は、純アルコール換算で1日20g程度に相当します。
一般的に言われている適正飲酒の範囲ですね。
ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)、焼酎は0.6合(110ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)程度が該当します。
妊活のために断酒をする必要はありませんが、適正飲酒を心がけましょう。
大豆製品の摂りすぎ

大豆製品に豊富に含まれているイソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンに似た構造をもつことが知られています。
エストロゲンに似た働きをする作用もあるため、男性ホルモンであるテストステロンに影響を及ぼさないか心配な人も多いかもしれません。
具体的には、イソフラボンが体内のエストロゲン受容体に作用し女性ホルモン様の働きをすることで、テストステロンの合成が抑制されてしまう、という噂があるんです。
イソフラボンの摂取により、テストステロンが低下してしまうのは事実なのでしょうか?
結論、「テストステロンには影響を及ぼさない」と結論付けられた研究がほとんど。
しかし、一部の報告ではイソフラボンの摂りすぎによりテストステロンが低下したというデータが存在するのも事実です。
実際に、イソフラボンを1日100mg以上摂取した8件の研究のうち、2件でテストステロンが減少していることが明らかになっています。
上記の発表では、1日に75mgまでのイソフラボン摂取であればテストステロンに影響を及ぼさないとされていますので出典[14]、イソフラボンの摂取量は、1日あたり75mgまでに留めましょう。
大豆製品の組み合わせの例とイソフラボン量は、下記を参考にしてくださいね。
【大豆製品の組み合わせとイソフラボン量(mg)出典[15]】
・納豆 1パック(40g:約30mg)+豆腐 半丁(175g:約35mg)
→イソフラボン量の合計:65mg
・煮大豆 小鉢1皿(50g:約35mg)+油揚げ みそ汁1杯分(20g:約8mg)+豆腐 みそ汁1杯分(30g:約6mg)+豆乳 (100mL:約25mg)
→イソフラボン量の合計:74mg
プラスチック製品入りの弁当や総菜

私たちの暮らしに欠かせない電子レンジ。
電子レンジで加熱する際に、電子レンジの調理に対応している容器かどうかを確認しているでしょうか?
じつは、電子レンジでの調理に対応していないプラスチック容器を加熱すると、容器の成分が溶け出して、精子に悪影響を与える化学物質を体に入れてしまう可能性があるんです。
とくに生殖機能に影響する可能性が示唆されているのが「フタル酸エステル」。
男性の精液と尿中のフタル酸エステルの濃度を調べた研究によると、尿中のフタル酸エステルの濃度が高い人ほど、精子の運動性やテストステロンが低下し、異常精子数や精子DNA損傷が増加したという結果が出ています出典[16]。
電子レンジ対応でないプラスチック容器は絶対に加熱せず、他の容器に移し替えるようにしましょう。
また、電子レンジ対応との記載がある場合でも、ワット数や加熱時間を必ず確認し、想定以上の加熱をしないよう注意が必要です。
妊活中は食べ物を厳選して精子を守ろう
妊活中の食べ物次第で、テストステロンが減少して性欲が落ちたり、精子の量や質に悪影響を及ぼす可能性があります。
肥満を招いてテストステロンを低下させやすい高脂肪の乳製品、ジャンクフード、加工肉はなるべく避けるようにしましょう。
とくにジャンクフードや加工肉は、塩分が多量に含まれているため食べ過ぎに繋がりやすいです。
また、アルコールや大豆製品は、完全に断つ必要はありませんが適量摂取が大切です。
電子レンジ調理に対応していないプラスチック容器から、思いがけず精子に悪影響を与える物質を摂取してしまう可能性もあります。
用途に合っている容器かどうか、今一度確認しましょう。
出典
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