

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
50代の男性はなぜ疲れやすくなるのか?
50代の男性は疲れが見られやすく、体力の低下や無気力感などに悩まされることが増えるといいます。年を取ったからと受け入れてしまいがちですが、50代の疲れにはさまざまな原因が考えられるのです。
まずは50代の男性が疲れやすくなる理由について解説します。
ホルモンバランスの乱れ

加齢とともに起こるホルモンバランスの変化により、疲れやすい体になっている可能性があります。
肉体的な疲労や精神的な無気力感に関係しているのが、男性ホルモンのテストステロン。テストステロンは性欲や勃起力のような性機能全般を支えるホルモンと思われがちですが、実は筋力ややる気など、肉体面、精神面にも影響を及ぼすことが分かっています。
男性におけるたくましさ全般をサポートするホルモンとして、テストステロンは重要です。しかしテストステロンのピークは20代。その後は徐々に減少し、とくに35~40歳を過ぎた頃からは増加率が年に1~3%になるとのデータも存在します出典[1]。
テストステロンの減少による体調の変化は、男性の更年期障害の症状として問題になることも出典[2]。
更年期障害の症状として、性欲減退や勃起不全はもちろんのこと、筋力や体力が低下したり、無気力や抑うつの状態になったりといった、疲れに関わる問題が生じることもあります。
若い頃のような元気ハツラツな状態を保てなくなった場合、テストステロンの減少が関係しているのかもしれません。
抗酸化能力の低下
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加齢とともに起こる問題のひとつに、抗酸化能力の低下があります出典[3]。抗酸化能力とは、過剰な活性酸素による酸化ストレスから体を守るように働く力のこと。
私たちは呼吸や代謝などあらゆる生命活動による酸素消費とともに活性酸素を発生させています。生活習慣の乱れやストレスなどで活性酸素が過剰になると、酸化ストレスとして細胞にダメージを与え、組織の機能を損なうこともあるでしょう。
たとえば激しい運動では活性酸素が大量に発生。筋肉が酸化ストレスによるダメージを受け、筋肉の損傷や疲労を引き起こします出典[4]。筋肉のコンディションが低下すれば、疲れも感じやすくなるでしょう。
また、抗酸化能力が低下した体では血中脂質の酸化が起こりやすく、酸化したコレステロールによる動脈硬化が進展するリスクも高まります。動脈硬化を起こした血管では血流が低下。血流が滞った状態では早めに疲労を感じやすくなることが、人為的な血流阻害を起こしたときの実験により検証されています出典[5]。
突発性慢性疲労の患者においては、活性酸素をはじめ、マロンジアルデヒド(MAD)やTNF-αなどの酸化パラメータの有意な上昇も見られています出典[6]。
酸化ストレスが高いほど、疲労のトラブルが起こりやすくなると言えるでしょう。
睡眠の質の悪化

睡眠の質の悪化も、50代の疲れにおいては無視できない問題です。
50代の男性は家庭でも会社でも重要な立場に置かれることが多く、ストレスが溜まりやすい状況にあり、精神面を原因として寝付きが悪くなることも多いようです。また多忙により睡眠時間を十分に取れないことも問題となるでしょう。
ストレス解消のためにと手を出したタバコやお酒が、余計に睡眠の質を悪化させている可能性もあります。
また、加齢により減少するテストステロンには、体内時計を調節して睡眠のリズムを整える役割も確認されています出典[7]。テストステロンの減少にともない、若い頃よりもぐっすり眠れなくなったり、寝付きが悪くなったりするのは、ある程度自然な変化と言えるのかもしれません。
自然な変化として加齢とともに睡眠の質が下がる可能性があることを踏まえると、50代の男性が睡眠の質を高めるためには、睡眠時間を十分に摂るとともに、入眠をスムーズにしたり、深夜覚醒を減らしたりできるような体質を目指す必要があると言えそうですね。
夜更かしを避けるため、夜にスケジュールを詰め込みすぎないことはもちろん、覚醒作用や利尿作用のあるカフェイン飲料やお酒を避けることも重要です。コーヒーやエナジードリンクは夕方以降控える、寝酒をしない、などの徹底により、寝付きをよくしたり、夜中の目覚めを減らしたりする効果が期待できるでしょう。
<H2>疲労回復におすすめしたいサプリメント7選
50代からの男性では、さまざまな理由により疲れを感じやすいことが分かりました。過ごし方を見直すことも重要ですが、疲れを摂るためのサポートとしてサプリメントを活用すれば、よりエネルギッシュな毎日を過ごしやすくなるかもしれません。
ただしサプリメントは体質改善を目的とするもの。飲んですぐに疲れを取るような即効性のあるものではない点に注意しましょう。2~3か月を目安に飲み続けることをおすすめします。
以上を踏まえ、おすすめしたいサプリメントとして今回は7種類紹介します。サプリメントで疲れをより取りやすくしたい方は、ぜひ参考にしてください。
テスノア

まず紹介するのはテスノア。ザクロ由来のプニカラギンを3.5%、カカオ由来のテオブロミンを0.5%含むよう規格化されたサプリメントです。
50代の男性に見られる「テストステロンの減少」「抗酸化能力の低下」「睡眠の質の悪化」すべてにアプローチできるポテンシャルがあるため、疲労の問題を解決したい場合のサプリメントとして非常に優秀です。
まずテストステロンですが、テスノアのテストステロンを増やす効果は、36~55歳、40~70歳など、中高齢の男性を対象とした研究においても確認されています出典[8]出典[9]。
次に抗酸化能力についてですが、プニカラギンもテオブロミンも強力な抗酸化物質として機能する成分です。体内で発生した酸化ストレスを減らし、ダメージを抑えて疲労を軽減する効果も期待できそうですね。
実際に、疲労感を主観的に評価する多次元的疲労尺度(MFI)による身体的・精神的疲労感の軽減や出典[9]、ストレスを主観的に評価する知覚ストレス尺度(PSS-10)のスコアにも改善が見られています出典[8]。テスノアの摂取は身体的、精神的、両方の疲れに効果的と言えるでしょう。
さらに40~70歳を対象としたテスノアの摂取では、睡眠の質を主観的に評価するピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)のスコアにも改善が見られていました出典[9]。睡眠の質を高める作用により、リカバリを効率化する効果も期待できそうですね。
LJ100

LJ100はトンカットアリ抽出物として、22%のユーリペプチド、40%のグリコサポニン、ポリサッカライド20%、1%のユーリコマノンを含むよう規格化されたサプリメントです。
ユーリペプチドやユーリコマノンにはテストステロンの体内量を増やすよう働きかける効果が出典[10]、グリコサポニンには抗酸化作用が、ポリサッカライドには血糖値の急上昇を抑えて活性酸素の過剰発生を防ぐ効果が、それぞれ確認されています。テストステロンや抗酸化能力にアプローチできる、優秀な成分と言えそうですね。
トンカットアリにはテストステロンの増加効果や、ストレスの減少効果に加え出典[11]、起床時の眠気を軽減する効果や出典[12]、筋力トレーニングと併せて摂ることで筋肉の増加効率を高める効果も確認されています出典[13]。
熟睡した感覚がなく悩んでいる方や、体を鍛えて疲れにくい体を目指したい方にも、筋トレと併せたトンカットアリの摂取が役立つかもしれません。
トンカットアリはとくに中高年以上の男性を中心に、研究での成果が多く見られているため、50代の男性の摂取にも適しているでしょう。
なお、トンカットアリはテストステロンを増やす効果がある成分として、とくに性機能の向上を謳うサプリメントに多く含有されています。しかしドラッグストアなどで購入できるサプリメントのなかには、含有量が不十分なものも。効果を得るために必要な量を確実に摂れる商品として、ぜひ規格化成分のLJ100を活用しましょう。
バイオドーパ

次に紹介するのはバイオドーパ。ムクナ豆由来のL-DOPAを30%以上含むよう規格化されたサプリメントです。
L-DOPAにはテストステロンを増やすために役立つ2つの特徴があります。一つ目が高い抗酸化能力を持つこと。テストステロンの合成場所である精巣は、酸化ストレスにとくに弱い組織のため出典[14]、抗酸化物質の摂取により精巣を保護できれば、テストステロンを増やしやすくなるでしょう。
二つ目が、L-DOPAがドーパミンの前駆体として機能すること。ドーパミンはやる気や意欲に関わる神経伝達物質であると同時に、テストステロンの分泌を促す作用を持つことでも知られています。抗酸化物質とドーパミンのダブルの効果で、より効率よくテストステロンを増やせるでしょう。
実際に不妊男性75名がムクナ豆粉末を1日5g、3ヶ月間継続摂取したケースでは、総テストステロンに加え、意欲や集中力に関わる神経伝達物質が次のように増えていました出典[15]。
【ムクナ豆粉末の摂取によるホルモンや神経伝達物質の変化】
総テストステロン | 約27~39%UP |
ドーパミン | 約18~75%UP |
アドレナリン | 約37~85%UP |
ノルアドレナリン | 約30~54%UP |
うつ病患者へのL-DOPA投与により、喜びを感じられない無気力な状態からの回復が見られたケースも確認されています出典[16]。バイオドーパからL-DOPAを効率よく摂ることで、精神的な消耗からの回復を促す効果が期待できるかもしれませんね。
マカ

マカは標高4000~4500mほどの中央アンデスで生育する、カラフルなカブのような見た目をしたアブラナ科の植物です。特殊な環境で自生する植物のため、日本では乾燥品をサプリメントとして摂る方法が一般的ですね。
ビタミン、ミネラル、不飽和脂肪酸など、さまざまな栄養素を含むスーパーフードとしてよく知られていますが、疲労との関係においては、血流改善効果のあるアミノ酸のアルギニンと、抗酸化物質として機能するポリフェノールのアントシアニン、イソチオシアネート、グルコシノレートなどに注目したいところ出典[17]。
まず血流血流の改善により栄養素や酸素を効率的に全身へ供給できるようになれば、疲労を感じるタイミングを遅らせたり、疲労からの回復を早めたりする効果が期待できると考えられます。
また血中や筋肉の酸化ストレスを減らす効果や、筋肉における抗酸化酵素の活性を高める効果も認められており出典[18]、運動による疲労の軽減にとくに効果的と言えそうですね。
マカの抗疲労効果は、女性のシャトルランの成績や、男性のサイクリングの成績などの持久力パフォーマンスの向上において確認できます出典[19]出典[20]。
なお、マカといえば性欲を高める効果がよく知られていますが、性機能に関わるホルモンのテストステロンを増やす作用は確認されていません出典[21]。テストステロンの減少による体の不調を改善したい場合には、テストステロンを増やす効果が確認できる、テスノアやLJ100などを選びましょう。
クロセチン

睡眠の質をメインに改善したい場合に役立つ可能性が高いのが、クロセチンのサプリメント。クロセチンとはクチナシの実やサフランから摂取できる黄色い色素であり、カロテノイドの一種(鮮やかな黄色)を示すことで知られています。
抗酸化物質として知られるクロセチンは、睡眠の質を改善することで知られています。クロセチンの継続摂取においては、夜間の覚醒回数の減少や出典[22]、起床後の眠気の軽減や爽快感の向上などが確認されていました出典[23]。
さらにシングルチャネル脳波計という機械を用いて睡眠パラメーターを観測したところ、深い睡眠状態を示すデルタの波長、デルタパワーがより多く観測されたとの結果も出典[23]。
クロセチンには深い眠り、いわゆるノンレム睡眠と呼ばれる部分の質を高めて、より効率的に脳の疲労を回復する効果が期待できそうですね。
また、クロセチンの抗酸化作用は血流の改善や運動時の疲労の軽減にも役立つことが分かっています出典[24]出典[25]。
抗酸化物質が血流の改善に効果的である理由は、血管を拡張するための一酸化窒素(NO)が酸化されやすい性質を持っているから。NOを抗酸化物質が守ることで、血管をスムーズに拡張でき、血流を良好に保てるようになるのです。
熟睡できない方をはじめ、血行不良や筋肉痛に悩んでいる方にもクロセチンは役立ちそうですね。
アリウムSAC

次に紹介するアリウムSACは、とくに熟成にんにくに豊富な成分、S-アリルシステイン(SAC)を効率的に摂れるサプリメントです。
にんにくにはアリインと呼ばれる硫化アリルの一種が豊富であり、砕いたりすり潰したりすることで、強いにおいと辛みが特徴的な抗酸化物質、アリシンに変わることはよく知られています。このにんにくを砕かずに熟成させると、アリインからSACに変化。風味はアリインと大きく異なりますが、同じく強力な抗酸化物質として機能します。
血流を改善したり、精巣を保護してテストステロンを増やしたりする効果が期待できるでしょう。
SACをマウスに与えたケースでは、血中テストステロンは投与前の2倍以上、精巣のテストステロンは約1.5倍に増加したと報告されています出典[26]。
また、血管拡張物質であるNOを保護するとともに、NOを増やす効果も確認されています出典[27]。血管を拡張して血流を改善する効果も高いと言えそうですね。
さらにSACを4週間継続摂取したケースでは、PC作業後の脳の疲労が軽減されたことが、疲労感を評価するVASスコアにより確認されています出典[28]。
SACを効率よく摂れるアリウムSACは、テストステロンの減少や血流改善のほか、PC画面を注視するデスクワークでの疲れにも効果を発揮する可能性がありそうですね。
マルチビタミンミネラル
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最後に紹介するのはマルチビタミンミネラル。体に欠かせない必須栄養素を効率よく補うためのサプリメントです。
ビタミンやミネラルは体の調子を整える栄養素。不足すれば代謝に支障が生じ、疲労回復効率も落ちてしまいます。たとえばビタミンB群の不足ではエネルギー代謝が滞り、十分にカロリーを摂っていてもエネルギーに変換できず、体の怠さを感じる場合もあるでしょう。
体の不調を防ぐためには、まず必須栄養素の不足を補うことが重要。インスタント食品やジャンクフードの多い生活をしている場合には、とくにビタミンやミネラルの不足が起こりがちです。これらの食品の頻度を見直すとともに、マルチビタミンミネラルで栄養状態の改善をはかりましょう。
ビタミンやミネラルの充足はテストステロンを増やすためにも重要です。テストステロンの合成や分泌に関わる栄養素として、主に亜鉛とビタミンDが知られています出典[29]出典[30]。
実際に亜鉛やビタミンDの不足が見られたケースでは、テストステロンの体内量も減少していました出典[31]出典[32]。自身の食習慣を振り返り、欠食や偏食の傾向がある場合には、マルチビタミンミネラルによるこれらの栄養素の充足が役立ちそうですね。
一方で、普段の食事からこれらの栄養素を不足なく摂れている場合には、テストステロンを増やす効果は期待できない可能性があるため注意が必要です出典[33]。目立った欠食や偏食の習慣がない場合には、テストステロンの分泌能力をより高められるテスノアやLJ100などを試してみましょう。
サプリメントの継続摂取で疲れやすい体質を改善しよう
50代の男性の疲れやすさには、テストステロンの減少による筋力の低下や無気力感、抗酸化物質の低下による疲労しやすさ、睡眠の質の低下による回復能力の低下などが原因として考えられます。疲れにくい体づくりのために、サプリメントが役立つ場合もあるでしょう。
テストステロンを効率的に増やしたい場合にはテスノアやLJ100、抗酸化能力をより高めたい場合にはアリウムSACやクロセチンなどがおすすめです。
欠食や偏食が目立つ場合には、まず栄養状態を整えるためのサポートとしてマルチビタミンミネラルを摂る方法もおすすめです。
いずれも飲んですぐに効果が出るものではなく、またサプリメントのみで疲れ知らずの体になれるわけでもありません。暴飲暴食や夜更かしなどの生活習慣の乱れを正す取り組みと組み合わせて、疲れにくい体質を目指しましょう。
出典
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