執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
はじめに
食事を制限しなければならないのはわかっているけど、カロリーを計算するのは面倒くさい。そんなあなたはこの記事は必見です。近年の研究では食べ物の質に拘れば、細かい数字は気にする必要がない可能性が示されています。今まであなたのダイエットがいつもうまく行かないのは適切な食べ方を知らなかっただけかもしれません。
カロリー制限はもう古い!?ダイエットは食べ物の質に拘るべき!
これまで、糖質制限ダイエットや低脂質ダイエットなど、カロリーに重点を置き厳しく制限するタイプの減量法が多く流行してきました。もちろん摂取エネルギーが消費エネルギーを上回らないよう日々の食事に気を配ることは重要ですが、糖質や脂質ばかりを目の敵にしたストイックな制限はなかなか長続きしないものです。
近年、そうした「糖質」「脂質」といったカロリーの高い栄養素にのみ注目するのではなく、良質なものを積極的に取り入れることで糖質や脂質の摂取量を無理なく適正化する、というやり方が注目されつつあります。この記事では食べ物の質や特定の栄養素が体にもたらす様々な影響について解説し、その後、自然な減量を導くためにできる食事への工夫について紹介しています。
満腹感を高める食べ物
食欲は複数のホルモンによってコントロールされています。たとえば食べ物が消化されて胃が空になると、グレリンというホルモンが分泌され、これにより空腹感が発生し食欲が増進します。一方で体内の脂肪からは、体に潤沢なエネルギーが蓄えられていることを脳に伝えるべく、レプチンというホルモンが分泌されます。このレプチンによって食欲が抑制されるほか、エネルギー消費も高まります。また食事により血糖値が上昇すると分泌されるインスリンというホルモンは、血糖値を下げるほかに食欲を抑制する作用も持つことが分かっています。
食欲調節のホルモンの作用機序は様々ですが、いくつかのホルモンについては食べ物によって分泌量をコントロールできます。たとえば食物繊維の豊富な炭水化物は胃を物理的に満たしやすくして、食欲を増進させるグレリンの分泌を抑制します。またタンパク質を十分に摂取すると、満腹感を高めるホルモンであるCKK(コレシストキニン)の分泌が増加します。
食欲を増進させるホルモンの分泌は抑えつつ、満腹感を与えるホルモンの分泌を増加させるような食品の選び方を心掛けると、ストレスなく食事量をコントロールできるでしょう。
脂肪燃焼につながる食べ物
健康的なダイエットにおいて、減らすのは筋肉や骨ではなく脂肪でなければいけません。効率的に脂肪を燃焼させるため、脂肪燃焼に繋がる食べ物を意識的に選ぶ必要があるでしょう。
私達の摂取した食べ物は胃を始めとする消化器官にて消化を受けます。消化に必要なエネルギーは食事誘発性熱産生という言葉で表されますが、その量は食べ物により大きく異なります。脂質の場合は摂取エネルギーの4%、炭水化物は6%ですが、タンパク質では30%ものエネルギー消費が食事誘発性熱産生により起こります。タンパク質の多い食品を摂取することにより、効率的にダイエットを行うことができるのです。
また、体の活動を活発にするシグナルである交感神経系、これを刺激して脂肪燃焼に繋げることのできる食べ物も幾つか判明しています。コーヒーや緑茶、紅茶に多く含まれるカフェインを摂取し交感神経系を優位にすると、体内の脂肪を分解してエネルギーに変えようとする働きが活性化します。運動と組み合わせることでより高い脂肪燃焼効果が得られるでしょう。
過食を招く食べ物
食欲を抑制する方向に働く食べ物がある一方で、食欲を増加させてしまう食べ物もまた判明しています。
たとえば清涼飲料水などに使用される砂糖には満腹ホルモンのレプチンの働きを弱め、その結果食欲が増加することが分かっています出典[1]。
またスナック菓子やインスタント食品など、飽和脂肪酸を多量に含む食品は、過剰に摂取することで体内に脂肪を増やします。満腹ホルモンのレプチンは脂肪組織から分泌されるため、一見脂肪が増えると食欲が低下するように思われます。しかし実際は脂肪が増えれば増えるほどレプチンの効き目が悪くなるため、食欲の抑制機能が効かなくなり、食べ過ぎを誘発してしまいます。
さらに清涼飲料水やスナック菓子は、何種類もの砂糖や塩を使うことで味に深みを出し、人が何度も食べたくなるように作られています。また甘くておいしい加工食品はそれ自体が高カロリーでダイエットの大敵と言えるでしょう。
魅力的な食べ物は精神面に健康をもたらしますが、身体を不健康にするリスクが高いため注意が必要です。
ダイエットを成功に導く食事15選
摂取エネルギーを消費エネルギーよりも減らし健康的にダイエットを成功させるためには「食欲を上手にコントロールすること」と「脂肪の燃焼を促進すること」の二点が重要です。以下では健康的なダイエットのために明日から日々の生活へと導入できる、食べ物や飲み物の選び方について紹介します。
炭水化物は白から茶色へ
食欲は血糖値によってもコントロールされています。具体的には血糖値が低いと食欲が高まり、食後など血糖が高まる場合は食欲が低下します。
そして炭水化物は血糖値を大きく変動させる栄養素です。炭水化物を摂取すると血糖値は急激に上がり、インスリンが一気に分泌されるため満腹感を得ることができます。しかし急激に上昇した血糖値は、その分急激に下がるため、食べてもすぐに食欲が増進されてしまいます。よって、炭水化物を食べる時は、血糖値の上昇が緩やかな食品を選ぶ必要があります。
食品の選び方としては「白いものより茶色いもの」を心掛けましょう。茶色い炭水化物は白いものより血糖値の上昇が緩やかです。白米よりも玄米が、うどんよりも蕎麦がおすすめです。
実際に、日本での介入研究においても、精製小麦パンを全粒小麦パンに置き換えた食事において内臓脂肪が有意に減少したことが確認されています出典[2]。筋肉ではなく脂肪を落とすための健康的なダイエットとしても、茶色い炭水化物を選んで食べることには意義があると言えるでしょう。
野菜は茶色よりも鮮やかな色のものを
野菜、と聞くとどんなものを思い浮かべるでしょうか? ダイエットのための野菜として、ジャガイモやサツマイモ、トウモロコシを思い浮かべた方は要注意です。それら茶色い野菜は葉物野菜などと比較してダイエットに有効な効果が少なく、逆に豊富な糖質により体重が増えることになりかねません。
ダイエットに有効な野菜には共通して、食物繊維が多く、糖質が少ないという特徴があります。食物繊維はそれ自体が十分な「かさ」を持つため、胃を効率的に満たすことができます。これによりグレリンの分泌が減り、食欲を抑えることができるでしょう。
また糖質の少なさは過剰なエネルギー摂取を防ぐ他に、血糖値の乱高下を防げるというメリットもあります。野菜料理を献立に加えれば、食事全体の血糖上昇をある程度抑えることもできます。
糖質の少ない野菜の摂取により体重の減少が、糖質が多く食物繊維に乏しい野菜の摂取により体重の増加が、それぞれ大規模な介入試験により確認されています。カリフラワーやブロッコリーなどアブラナ科の野菜、また芽キャベツ、ほうれん草などの葉物野菜により高い体重減少効果があったことが判明されており出典[3]、これらを積極的に摂取するとよいでしょう。
パンを1枚目玉焼きに
タンパク質含有量の多い食品は、より高い食事誘導性熱産生を誘発します。また、タンパク質を多く含む食品は満腹感を生じさせるホルモンであるCCKにより、より少量での満腹感を得ることができます。
日本での食事はうどんやラーメン、お好み焼きなど、特に炭水化物に偏りやすくなっています。そのため朝のパンやご飯などの量を調節し、減らした分をタンパク質含有量の多い食品に置き換えることで、脂肪燃焼効果を高めることができます。
タンパク質含有量の多い食品には鶏むね肉などが挙げられますが、手軽に食事へと取り入れられるという点から卵の導入をオススメします。生卵や温泉卵などの状態で食べるよりも、ゆで卵や目玉焼きなど熱を通した状態で食べる方が、消化により多くのエネルギーを消費します。固ゆで卵を複数作っておき、朝食に1つずつ食べるようにしてみましょう。手軽なタンパク質補給源となり、高い食事誘発性熱産生により脂肪燃焼効果も得られます。
朝ごはんに納豆をプラス
納豆もまた、手軽に朝食へと取り入れられるタンパク質食品としてオススメできます。朝がご飯食の方には是非取り入れていただきたい食品です。
納豆や豆腐の原料である大豆には豊富なタンパク質と良質な脂質が含まれています。タンパク質はそれ自体が満腹感を促すホルモンを分泌させるようにはたらく他、高い食事誘導性熱産生により脂肪燃焼効果も期待できます。
また大豆特有の成分として、イソフラボンという特殊なフラボノイドが挙げられます。このイソフラボンを摂取する介入研究においては、脂質の生成抑制、蓄積された脂肪の減少が確認されました出典[4]。ダイエットをサポートする栄養素の供給源として、積極的に摂取したいところです。
牛丼よりも鶏丼
健康的なダイエットのために過剰な資質摂取は禁物ですが、どんな脂肪でも摂取すれば体重増加に繋がるという訳ではなく、特に体重を増加させる脂肪があることが分かっています。
アメリカの男女の脂質摂取量と体重の変化について4年ごとに調べた研究において、動物性食品に主に含まれる飽和脂肪酸や、マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸、これらの摂取と体重増加に強い関連性が見られています出典[5]。体重増加の引き金となる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取は、日頃から控えめにしておくべきでしょう。
牛丼に使われている牛バラ肉には飽和脂肪酸が多く含まれているため、習慣的に丼ものを摂取する方は丼の中身に工夫が必要です。親子丼や鳥丼など、飽和脂肪酸の少ないものを選んで食べるようにしましょう。
アメリカの12万名を対象に10年以上の追跡調査を行った研究においては、赤身肉や加工肉の摂取で体重の増加が、皮なしの鶏肉の摂取で体重の減少がそれぞれ確認されています出典[6]。体重増加を起こしやすい肉と起こしにくい肉を区別するための目安として、肉の色に注目するとよいでしょう。牛肉などの「赤い肉」は避けて鶏肉などの「白い肉」を摂取することで、体重減少の効果が期待できます。
ω-3が豊富なサバ缶は常にストック
良質な脂質として、多価不飽和脂肪酸であるω-3系の油が挙げられます。魚、特にサバなどの青魚に豊富に含まれており、長期的な摂取を行う介入研究においては体重減少も確認されています出典[7]。
魚などの生鮮食品を日々の食事に取り入れるための工夫として、缶詰などの保存食を使う方法が挙げられます。サバ缶はみそ煮など味付けのものや、調理に使いやすい水煮のものとがあります。ω-3系脂肪酸の供給源として、サバ缶を購入し、自宅へとストックしておくと常にω-3系脂肪酸を不足なく摂取できます。味付けはそのまま食べる分のおかずの一品として、水煮はパスタなど調理に盛り込むための食材として、効果的に日々の食事へと取り入れるとよいでしょう。
ドレッシングにはえごま油を
野菜をサラダとして摂取する際にかけるドレッシングですが、その選択には少し注意が必要です。胡麻ドレッシングやシーザードレッシングは脂質が豊富であり、過剰にかけると折角サラダで低めに抑えたエネルギーが余分に増えてしまいます。
またカロリーを調整したドレッシングも見かけますが、こうした低カロリードレッシングには糖質や食塩が多めに添加されています。脂質は舌の上に味を長く留めておく効果があり、この脂質を欠いたドレッシングでは味が口の中に残りにくくなっています。そのため砂糖でより強い味付けをする必要があり、結果的に糖質の過剰摂取を招きかねません。
ドレッシングに代わるものとして、少量の食塩または酢を、良質な油に混ぜてかけることをオススメします。良質な油として、一価不飽和脂肪酸を含むオリーブオイル、ω‐3系脂肪酸を含むえごま油やアマニ油などが挙げられますが、ω-3をより多く含むえごま油がより適しているでしょう。
脂質の効果により少量の食塩でも味がしっかりと舌の上に残り、確かな満足感を得られます。サラダの摂取によるダイエット効果を高めるため、是非ドレッシングをえごま油に置き換えてみてください。
甘いものが食べたいときは果物を
生クリームやショートニングを使った洋菓子、あるいはスナック菓子を好んで食べていませんか? フライされた菓子はもちろんのこと、動物性脂質からなる生クリーム、トランス脂肪酸からなるショートニング、これらの摂取は体重増加に繋がるため、できるだけ避けるべきです。
甘いものが食べたくなった時には果物を選びましょう。洋菓子やスナック菓子よりも低エネルギーであることに加え、フラボノイドと呼ばれる成分が果物には豊富です。フラボノイドには、摂取したエネルギーを脂肪へ蓄えるのではなく、筋肉でのエネルギー源として消費する方向へ誘導するという働きがあり、高い減量効果が見込めます。
最も減量効果が高いとされているのは、フラボノイドを多く含むブルーベリーです。プルーン、リンゴ、イチゴ、ブドウ、グレープフルーツなども減量効果を発揮することが分かっています出典[8]。
ただし果物に含まれる果糖、フルクトースの取りすぎには注意が必要です。いくら食べてもよいという考えではなく、洋菓子やスナック菓子の置き換えとして、適量を楽しむようにしましょう。果物の摂取目安量は1日200gとされているため、リンゴであれば1個、中粒のイチゴであれば8個程度になります。
ファーストフードは週に1回までに
カップ麺やハンバーガー、スナック菓子や清涼飲料水などに代表される超加工食品ですが、これらの習慣的な摂取は避けるべきです。多量の糖質と脂質で構成されている超加工食品は、過剰なエネルギー摂取を招きがちであるからです。
超加工食品は適量摂取が難しい食べ物でもあります。「あと一口だけにしよう」と思っていたのに、いつの間にかスナック菓子の袋を空にしていた、という経験はありませんか? 超加工食品に含まれるフルクトースや飽和脂肪酸は満腹感をもたらしにくいため、つい食べ過ぎてしまうのです。また超加工食品に使われている複数の糖質や食塩が「もっと食べたい」と感じるような深みのある味を作っているため、適量でやめることはより困難です。
超加工食品を食べ過ぎてしまうのは成分や味付けの特性上、無理もないことです。そのため最初は強く意識して超加工食品を制限する必要があるでしょう。仕事終わりの金曜の夜だけにする、食事の用意が面倒な休日の昼だけにする、など、週1回までの摂取が理想です。
超加工食品は、量と頻度が増えるほど、摂取をやめるのが難しくなります。自然と体が超加工食品を求めなくなるまで、強く意識して摂取を控えましょう。
小腹満たしにはナッツ
小腹を満たすために超加工食品を摂取するのは最もよくない方法です。高エネルギー高脂質であることに加えて、超加工食品の食べ過ぎを誘う性質により、「小腹を満たす」程度の摂取量に抑えることが非常に難しく、体重増加の引き金となってしまうためです。
少量で小腹を満たせる食品として、日頃から持ち歩けて保存も効くナッツ類をオススメします。食物繊維および不飽和脂肪酸が豊富であり、食べ過ぎと体内での脂肪蓄積を防ぐ効果が期待できます。よく噛んでゆっくりと食べることで、少量で空腹感を減少させることができるでしょう。
ただしナッツ類で高い満腹感を得るのは難しいということも、介入研究により明らかとなっています出典[9]。あくまでもナッツ類は小腹を満たし空腹を凌ぐための間食として用いましょう。ナッツ類だけで十分な満腹感を得ようと思うとかなりの量が必要になり、エネルギーの過剰摂取に繋がってしまいます。
デザートにはヨーグルト
乳製品は身体の維持のみならず、体重管理にも有益な食品であることが分かっています。成人を対象とした介入研究において、エネルギー制限食の一部として乳製品の摂取を増やすと、筋肉や骨の減少が抑制される一方で、体重および脂肪量の減少がより大きくなるという結果が出ました出典[10]。このことから乳製品は、筋肉を落とさず脂肪を落とすために有益であると言えます。
乳製品で十分なタンパク質を摂取することにより、食欲を抑制するホルモン、CCK(コレシストキニン)などの分泌が高まり、食欲を増加させるホルモン、グレリンの分泌が減少します。このように食欲をコントロールする面においても、乳製品は有効に働くことが分かっています。
ただしチーズなど、脂質のより多い形で習慣的に食べることは控えるべきです。牛乳として飲むことももちろん効果的ですが、デザートとしてヨーグルトを活用することをオススメします。食事の最後にヨーグルトを摂取することで食欲が抑制され、腹八分目でも満足した状態で食事を終えやすくなります。ブルーベリーやイチゴなど、少量の果物を上にトッピングすれば、フラボノイドの働きと併せてより高いダイエット効果が見込めるでしょう。
コーラはダイエットコーラに
清涼飲料水や炭酸飲料などの超加工食品は、エネルギーの過剰摂取を招くため控えるべきです。しかし飲み親しんだ嗜好飲料を絶ち、明日から水やお茶、ブラックコーヒーのみの生活を始める、という挑戦はとても困難に感じるかもしれません。
最終的には嗜好飲料は無糖・無脂肪のものにすることが推奨されますが、超加工食品から無糖・無脂肪のものへと移行する間の調整として、人工甘味料を用いたゼロカロリー飲料を活用するとよいでしょう。ゼロカロリー飲料にはフルクトースが入っておらず、食欲増進の働きを防ぐことができるため、コーラの摂取量を減らすよりは、ダイエットコーラに置き換えてからその摂取量を減らしていく方が容易です。
ただし、ダイエットコーラに含まれるアスパルテームやアセスルファムといった人工甘味料は、それ自体にエネルギーはないにもかかわらず、強い甘さを得られる食品です。大量かつ継続的に摂取していると、脳が「甘いものではエネルギーにならない」と学習し、いくら甘いものを食べても満足できなくなってしまいます。ダイエットコーラなどのゼロカロリー飲料はあくまでも移行のための嗜好飲料として、一時的に活用するのがよいでしょう。
ペットボトル1本分の緑茶が脂肪を減らす
嗜好飲料のところでも言及しましたが、普段口にする飲み物は水やお茶、ブラックコーヒーなど、無糖・無脂肪のものにすることが理想です。特にお茶の中でも、緑茶には様々な減量効果があることが分かっています。出典[1]
12週間以上の長期にわたり緑茶の摂取を続ける研究においては、肥満の被験者の体重やBMIを減少させる効果が示されています出典[11]。また10年以上の長期に渡り緑茶の摂取が習慣になっている人は、摂取を習慣化していない人に比べて体脂肪率が低い傾向にあることも分かっており出典[12]、嗜好飲料として緑茶を選ぶことはダイエットの面で有益であると言えるでしょう。
緑茶の体重減少効果については、茶カテキンと呼ばれる成分のうち、EGCGという物質が担っている可能性があります。また緑茶にはカフェインが含まれており、交感神経が活性化することでエネルギー代謝を高め、脂肪を燃焼させる効果をもたらします。
前述した研究において、体重の減少効果をもたらした緑茶摂取量は1日500ml以上でした。ペットボトル1本分の緑茶を飲むことを目標に、毎日の摂取を心掛けましょう。
コーヒーで脂肪燃焼&集中力UP
嗜好飲料の2つ目として、ブラックコーヒーをオススメします。コーヒーのカフェイン濃度は緑茶の倍以上であり、効率的にカフェインを摂取したい場合は毎朝1杯のコーヒーを習慣化するのがよいでしょう。
また、コーヒーにはポリフェノールも豊富です。中でもクロロゲン酸と呼ばれるポリフェノールは脂肪燃焼効果を持つことで注目されています。コーヒーの摂取量と体脂肪率について調査したメタ分析においては、特に男性において、摂取量が多いほど体脂肪率が低い傾向にあることが判明しました出典[13]。カフェインの効果と併せて、より高いダイエット効果が期待できます。
ポリフェノール類は摂取後数時間で代謝されてしまうため、1日2~3回に分けてコーヒーを摂取すると、より持続的な脂肪燃焼効果が得られるでしょう。
それ以外の水分補給は水がおすすめ
夏場の熱中症予防のため、またはスポーツ時の水分補給のために、甘いスポーツドリンクやミネラルウォーターを飲むことが習慣になっている方もいるかもしれません。確かに脱水を防ぎたい場合、砂糖や塩を添加した液体の方が細胞への吸収効率が上がります。しかし体内へ水分を取り込むのに必要な砂糖や塩の量はごく僅かです。市販のスポーツドリンクのように美味しさを感じる量では、砂糖や塩を余分に摂取してしまっているのです。
脱水予防に、あるいはスポーツ時の水分補給に摂取する分は、経口補水液など甘さを感じない程度のものに留めるべきです。それ以外の、喉を潤すための水分補給に関しては、何も添加されていない水を飲むようにしましょう。
清涼飲料水やフルーツジュースなど、グルコースやフルクトースを含む飲料を習慣的に摂取している群と、水で済ませている群を追跡調査したところ、水で済ませている群で体重増加が抑制されていることが分かりました出典[14]。高エネルギーである清涼飲料水などを水に置き換えることは、そのままカロリーカットに繋がります。良質な食品でエネルギーを摂れるよう、余分なエネルギー摂取を控えることがダイエットへの近道に繋がります。
まとめ
無理のない減量のためには、食べ物や飲み物の質に注意して食べることが重要です。過食を誘発する食品は極力避け、良質なものを選んで食べることで、食欲を上手にコントロールしたり、脂肪を効率的に燃焼したりすることができます。
また、これらの食べ方による減量効果をより高く引き出すため、適度な運動を習慣付けたり十分な睡眠を確保したりすることも重要です。運動、睡眠においても良質な方法を積極的に取り入れ、減量しやすい生活習慣を身に付けていきましょう。
出典
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参考文献
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- 加藤保子, 中山勉 | 食品学Ⅱ 食品の分類と利用法 改訂第2版 | 南江堂 | 2013年
- 武田英二 | 臨床病態栄養学 第3版 | 文光堂 | 2013年
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