起床15時間で飲酒時と同じ状態に?睡眠不足時に集中力を維持する5つの方法
2022年10月4日更新

監修者

上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー

関川裕大

睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。

執筆者

株式会社アルファメイル

NP+編集部

「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。

睡眠不足と認知機能の関係3つ

まずは睡眠不足によってどれくらい認知機能の低下が引き起こされるかご説明します。

起床15時間後は酔っ払いと同じ状態に!

みなさんは朝起きてからどのくらいの間ベストパフォーマンスが出せますか?

1997年にnature誌に掲載された研究によると、起床後15時間経過した脳のパフォーマンスは“酒気帯び運転”と同じくらいに能力が低下していることが明らかにされています出典[1]

つまり朝6時に起きた人が9時から18時の定時勤務後に残業をして21時を過ぎると、お酒を飲んでいなくても“酒気帯び運転”と同じくらいに能力が低下してしまうということです。

長時間覚醒による疲労がいかにパフォーマンスを低下させるか、おわかりいただけましたか。脳の機能が低下しないうちに大事な用件は済ませ、睡眠もきちんと確保したほうが仕事効率が上がるかもしれません。

 

2週間の6時間睡眠は2日の徹夜相当

あまり実感が湧かないかもしれませんが、2週間6時間睡眠を続けると2日間徹夜した時と同じくらい認知機能を低下させてしまいます。15時間起きているだけで飲酒時と同じくらい認知機能が低下することを考えると、かなり頭がはたらきにくい状況になっていることは想像に難くないでしょう。

2003年に睡眠時間と認知機能の関係を調査した研究では、8時間眠った被験者たちには14日の実験期間中、認知機能の低下や、注意力の減退、あるいは運動能力の低下は見られませんでした。

一方で6時間しか眠らなかった被験者たちは、日を追うごとにパフォーマンスを低下させていきました。そして2週間後には、6時間睡眠のグループのパフォーマンスは、連続2日間睡眠をとらなかった時と同じ程度まで低下していたとのことです出典[2]

睡眠不足が慢性化した状態を睡眠負債といい、2、3日たっぷり寝たくらいでは解消できなくなってしまいます。普段から負債をためないようにしっかり眠ることが脳にとって重要です。

 

5時間睡眠は認知症リスクが2倍

睡眠不足は一時的な認知力低下だけでなく、将来の認知症リスクを増加させる可能性もあります。睡眠は身体の回復だけでなく、脳の回復においても重要な役割を担っています。睡眠時間が足りないと脳内のごみであるアミロイドβという物質が溜まり、脳のパフォーマンスが低下します出典[3]

アメリカで行われた調査では睡眠時間が5時間未満の高齢者は、睡眠時間が7〜8時間の高齢者と比較して認知症の発症リスクが約2倍でした。また、入眠障害で眠るまでの時間が30分を超えてしまう高齢者は、30分未満の高齢者と比較して認知症の発症リスクが45%増加するということでした出典[4]

睡眠時間が短いと認知症のリスクが高くなるという結果はいくつもの研究で報告されています。中高年期でも短時間睡眠が認知症発症のリスクを30 %上昇させるといわれています出典[5]

早いうちから睡眠の重要性を知り、認知症の発症リスクを回避しましょう。
 

ビジネスマン必見!睡眠不足時に集中力を維持する5つの方法

睡眠不足が認知機能を大きく低下させることがご理解いただけたかと思います。とはいえ、仕事や家庭の関係でどうしても十分に睡眠時間を確保できない方もいることでしょう。ここからは睡眠不足の時に集中力をできる限り維持できる方法についてご紹介します。

なんといっても7時間の睡眠

いきなり期待を裏切る形になりすいません。しかし、いかなる睡眠テクニックも十分な睡眠時間の確保に勝るものはありません。

スマホを見ている時間、漫画を読む時間、テレビを見る時間など削れる時間がある人はできる限り睡眠に回しましょう

その他、乾燥機付洗濯機や自動掃除ロボット、冷凍弁当などを利用して家事の時間を減らすのも1つです。これらは少し高くつきますが健康に勝る宝はございません。

日々のパフォーマンスを上げ、脳の健康を守るためにしっかり眠りましょう。

 

仮眠を利用する

夜間にまとまった睡眠時間が取れない場合は、仮眠がおすすめです。パワーナップとも呼ばれる昼寝を15分するのもいいでしょう。10分〜30分程度であれば深い睡眠に入る前に目覚めるので、起床後に頭がぼーっとすることもありません。ほんの短い時間でも脳の疲労が回復するといわれています。

実際に短時間の昼寝によって高齢者の認知機能の低下が減少したとの研究報告もあります出典[6]

ただし寝不足だからといって長時間の仮眠は禁物。体内リズムを崩し、睡眠障害を悪化させることがあります。パッと寝てパッと起きて仕事に取り掛かりましょう。

 

チロシンのサプリと摂取する

食品中のタンパク質に含まれる栄養素であるチロシンは、ストレスに対する治療薬として最近注目されています。

チロシンは非必須アミノ酸の一種で体内で作られます。そのため不足することはほとんどありませんが、不規則な生活などで不足すると意欲低下、抑うつ症状が見られます。

1995年にアメリカの海軍航空宇宙医学研究所が実施した研究では、24時間起きていた被験者にチロシンを投与したところ、集中力低下が抑制され、その効果は3時間も継続したことが報告されています出典[7]

根本的な解決にはなりませんが、どうしても寝不足で行わなければならない仕事のとき、チロシンが役立ってくれるかもしれません。

 

息が上がるきつさで走ってみる

寝不足の時に走りたいと思う人はほとんどいないかと思います。実は睡眠不足の時に中程度のきつさで走ることで認知機能の低下が抑えられる可能性が日本の研究で示されています。

2020年に新潟医療福祉大学は、24時間起き続けた被験者に中強度の有酸素運動を行わせ、認知機能を評価する実験を行いました。その結果、中強度の有酸素運動が睡眠不足状態の認知機能を向上させ、眠気を改善することが明らかになりました出典[8]

現代では夜間の労働や海外渡航など一過性の睡眠不足に陥る機会も増えています。寝不足の状態で運動が可能な場合は有酸素運動がおすすめです。ただし眠気や疲労感が強い場合は無理をしないことが大切です。

 

深呼吸

普段無意識にしている呼吸ですが、質の悪い呼吸をしているとしていると知らないうちに酸欠状に。深呼吸をすると血圧と心拍数が下がり、自律神経が整います。頭がすっきりとしたうえにリラックスすることができます。ひとは緊張状態だと呼吸が浅く短くなるので意図的に深呼吸をすることは有効な手段です。

生きるために酸素が必要なことは当たり前ですが、特に脳は多くの酸素を必要とするため酸素不足に陥りやすいのです。

普段から気軽に行うことができる深呼吸で、脳に酸素をたっぷり送り健康を守りましょう。睡眠にとってもリラックスすることは大切です。眠れないときにも試してみてください。
 

まとめ

日本人の睡眠時間は世界で最も短いですが、なんと国民一人当たりのGDPも先進主要国の中で最下位です。この関係性を重視し、睡眠を国家戦略としている国もあるそうです。睡眠不足は集中力、判断力、記憶力、気分など、ほぼすべての脳機能が低下します。寝ずに必死で働いた上に労働生産性が低く、老後に認知症を発症しては報われません。日々のパフォーマンスを上げ、脳の健康を守るためにしっかり眠りましょう。

LINEで専門家に無料相談

365日専門家が男性の気になる疑問解決します
LINEからメッセージを送るだけで薬剤師やパーソナルトレーナー、睡眠指導士やサプリメントアドバイザーなどNP所属の男性ヘルスケアの専門家があなたの疑問や質問に直接回答します!