やる気スイッチは一体どこに?仕事のやる気を高める10の方法
2022年10月19日更新

執筆者

薬剤師・公認上級妊活マイスター・メンタルケアカウンセラー

牛尾 真智子

製薬会社2社で乳がん・肺がん・大腸がんなど8つの抗がん剤領域を経験。
患者様の人生に携わること・医療業界での知識と経験を生かして、医療と予防医学の懸け橋となる存在になりたいと考えています。また、少しでもお客様のお悩みに寄り添えるよう公認上級妊活マイスター・メンタルケアカウンセラーの資格を取得。納得感のある、心が軽くなる情報を届けることで、皆様のより良い生活の一助になれるよう邁進いたします。

どうしてやる気がでないのか?考えられる4つの原因

仕事のやる気、ワークモチベーションとは 「目標に向けて行動を方向づけ、活性化し、そして維持する心理的プロセス」と定義されています出典[1]。つまりやる気を向上させるには心理面が大きく関わっているようです。しかしながら、そもそもやる気がでない理由は心だけの問題でしょうか。研究結果をもとにみてまいりましょう。

1、身体の疲れ

体調が悪い、花粉症、寝不足、、想像しただけで仕事の意欲が落ちそうな状況です。辛いけれど体に鞭を打ち仕事をしなくてはならない。そんな状態が続いていませんか。

日本疲労学会によると「疲労感」は疲労が存在することを自覚する感覚(全身倦怠感、だるさ、脱力感)で、多くの場合不快感と活動意欲の低下が認められるとされています出典[2]。なんだか意欲がわかないのは、体のSOSかもしれません、ご自分の体の声に耳を傾けてみてくださいね。

2、脳内ドーパミン不足

神経伝達物質のひとつであるドーパミンは、自発的な行動のために重要な調節因子といわれています出典[3]。やる気がでない原因は脳内のドーパミンの量が不足しているからかもしれません。

実際にドーパミンの量が変わることで、すぐに仕事への意欲が変化したという報告出典[4]もあるほど仕事をするうえで、大切な要素となるようです。

3、加齢とテストステロン低下

また、年齢とワークモチベーションにも関係性がみられ、加齢とともに学習へのモチベーションが低下することがわかっています出典[5]

加齢により有意に減少すると確認されているホルモンに、テストステロンがあります。テストステロンの産生低下により、抑うつ状態を主体とした精神症状などを誘発させるといわれています出典[6]

また、やる気が起きないなどの意欲の低下に繋がることも示されています出典[7]。実はモチベーションの低下は加齢とテストステロン低下が原因だったかも。。

4、頑張る理由が見出せない

『やる気』に必要なのは「動機づけ」であるという解釈もあります。

例えば、彼女に格好良いところを見せたい(動機付け)→【動機があることで、やる気がでる】→毎日の仕事を頑張る(行動)→成果を出す(結果)

上記のように動機づけがやる気に繋がる、と考えると動機となる「頑張る理由」がないことが、やる気の低下に繋がっている場合も考えられます。動機には、内発的なもの(自己成長や活動自体の楽しさなど)および外発的なもの(お金や賞賛など)があるといわれているため出典[8]、やる気が低下しているときは、自身の頑張る理由をみつける良い機会になるかもしれません。
 

 

10の方法で、やる気スイッチをオンに!

さぁ、いよいよ『やる気スイッチ』を押す時間です。フランスの哲学者アランは『幸福論』にて「悲観主義は気分、楽観主義は意志によりもたらすことができる」と論じています。

心構えとして「今からやる気スイッチを押すのだ!」という意志(成し遂げようとする心)をもってください。

準備はできましたか?一緒に貴方に適した方法を探していきましょう。 

1、正しく、姿勢を正す

冒頭にお伝えした通り、身体の不調もやる気の低下に繋がるため、まずは姿勢を正すところから始めましょう。

姿勢を正す=「背すじをピンと伸ばす」という思い込みが強いといわれていますが、ちょっと待ってください。背すじを伸ばそうとしすぎて(つまり、緊張しすぎて)結果、さまざまな全身の不調を生み出 しているようです出典[9]

まずは、一度裸足になり立ち上がってみましょう。意識することは背筋ではなく出典[10]

  1. 骨盤でしっかり上体を支え られるように腰を立てる
  2. 足裏の重心位置をつま先側とかかと側に均等に分布させる
  3. 体の中心軸を意識して、上から吊り下げれているように立つ
  4. 力を抜いて柔らかく立ち、立つため のギリギリの筋出力を意識する

 如何でしょうか。姿勢ひとつで意識が集中するのがわかると思います。この感覚が『やる気スイッチ』を押してくれる一歩になります。

2、ため息をつく

姿勢を正したところで、ひとつ試していただきたいのが「ため息」です。

大きく吸って、思いっきり(周りに人がいなければ『はぁぁぁー!』という声と共に)息を吐き出してみてください。

実は研究よりため息をついたグループは、普通の呼吸に比べてより多くの意欲が沸き、単調な作業を継続することができたという結果がでています。ため息には仕事をやる気にさせる機能があることが示唆されているため出典[11]、仕事の気合いを入れる前にはお勧めです。

3、盛り上がる音楽を聞く

音楽を聞く際に、感情的にピークになるときに脳内でドーパミンが放出されるという報告があります出典[11]。これは音楽のなかでも『そろそろ盛り上がりに差し掛かるぞ(予測)』→『(期待通りに)きたー-!!』と感じることでドーパミンが一気に放出されると考えられています。

先ほど述べたようにドーパミン不足は意欲の低下と繋がりますので、ぜひ痺れるような、気持ちが盛り上がる曲を聞いて、ドーパミンを増やしましょう。

4、テストステロンを増加させる運動をする

テストステロンがやる気と関わることに着目し、適度な運動を取り入れるのもお勧めです。NP+では具体的に、スクワットや腕立て伏せなど、手軽にできる無酸素運動(筋トレなど)をはじめ、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を19個紹介しています出典[12]

運動でやる気スイッチを押したい貴方は、テストステロンを増やすトレーニングを意識してみてくださいね。

詳しくは以下の記事をご参照頂けると幸いです。⇩

 

5、ビデオゲームをする

運動は苦手。。という貴方。もしゲームが好きであれば朗報です。実は必須タスクの直前にビデオゲームをすることでやる気が向上したという報告があります。

ゲームをする過程で失敗と挑戦を繰り返し、最終的に成功を果たすことで、自己効力感(自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知すること)出典[13]が身につくというのです。

そして現実の行動においてもやる気が向上すると考えられます。どんなゲームが良いのかも検討されており、難しいゲームよりも簡単あるいは普通の難易度のゲームがやる気を向上させる可能性があると示唆されています出典[14]

6、ルーティンを決める

プロアスリートにおいて、ルーティン(単純な行為)を取り入れることがプレイの成功率を向上させると考えられています。その理由として、精神状態を安定させ集中を高めること、心身の過度な緊張を解くこと、ネガティブな思考や焦りを排除し安心感を持つことなどの可能性が複数の 研究から示唆されています出典[15]

また、プロアスリート以外においても、作業の直前に行われるルーティンは、直後の作業の集中力を高める効果があるといわれています。ルーティン動作の例として、3種類の動作(袖をまくる、手を組む、腕を組む)が脳へもたらす影響を、脳波を使って研究した報告があります。結果、ルーティン動作は集中力を高め、安定した精度の高い作業成績を生み出しました出典[16]

ルーティンがない方は、今できるご自身のルーティンを決めてみましょう。たとえば、イチロー選手のルーティンは、素振り、屈伸に始まりユニフォームの肩をつかみ袖をたくしあげることであったといいます出典[17]。バッターボックスにたつご自身を仕事に取り組む姿と重ね合わせて、格好良いルーティンでやる気スイッチを押してみてくださいね。

7、ダークチョコレートを9ブロック食べる

心と体は繋がっています。沢山の食材がある中で、今回は手軽に手に入り、ある程度の期間保存もできるダークチョコレートについて紹介致します。

カカオ分 85%のダークチョコレートを30g(板チョコだと半分ちょっと、約9ブロック分)毎日摂取したところ、ネガティブな感情状態にプラスの影響を与えることがわかりました。これはチョコレートを食べない、または70%のグループでは得られなかった効果であり、カカオ含有量の多いダークチョコレートの摂取により腸内細菌の種類と量が変化したことで引き起こされる可能性があると示されています出典[18]

また、カカオに含まれるポリフェノールは強い抗酸化作用を持ち、酸化ストレスを低減させる効果があります。カカオポリフェノールには血管拡張を起こす効果もあるため、脳の血流が良くなり、エネルギーを効率的に脳へと運ぶことができるようになります。実際のメタ解析でもダーチョコレートやココア飲料などは、血圧を下げる特性が示されています出典[19]

エネルギー不足からやる気の低下が引き起こされることもあるため、チョコレート好きの方にはぜひ試していただきたいです。

また、NP+では、集中力向上に効く役立つ食べ物(玄米・納豆・カレー・くるみ・ブルーベリー・ラムネ・ガムなど)や飲み物について紹介している記事もありますので、ご自身の好みの食材で試してみてくださいね出典[20]

 

詳しくは以下の記事をご参照頂けると幸いです。⇩

8、コミットできる目標を紙に書き出す

様々な方法で後押しができたとしても、進むべき方向がわからなければ、やる気は継続できないものです。折角やる気スイッチを押すからには、やみくもに目標を考えるのではなく、下記3点を意識しましょう。効果的に目標を定めることで、高いパフォーマンスを発揮できることが明らかにされています出典[21]

  1. 具体的に説明できる:一生懸命頑張る、など漠然としたものではなく○○を△△までになど期日を設けるのが良いといわれています。
  2. チャレンジングである:簡単に達成できる目標よりも、少し冒険心をもって定めてみましょう。
  3. 目標にコミットしている(責任を持って深く関わる):単に人から与えられた目標よりも良いとされており、自身で目標を定めることがコミットの一歩になります。更に意識を高めるためにも紙に書き出す・大切な人に宣言するとより効果がupします。

目標を定める効果は、大規模なメタ解析によっても認められている出典[22]ことより、良い成果を生み出すためには必要な過程と考えられます。

また、長期的な目標を達成するためにも、短期目標は微調整が必要な場合があります。やる気がでないときは、再度目標を定め直す良い機会ととらえて、ぜひ実践してみてくださいね。

9、やる気が出ることで訪れる良い未来を想像する

人は、良い行動のメリットとデメリットのバランスが、メリット側に傾いていると感じる時は行動へのやる気になり、デメリット側に傾いている時は、やる気にはなりにくいそうです出典[23]

例えば、今頑張ることによって試験に合格できる確率があがると仮定します。

  • デメリット:疲れる。今やったことが試験に出ないと時間の無駄になる。

というデメリットが大きいと、当然やる気は起きませんよね。一方で

  • メリット:知識が増える、自身の脳を活性化することで老化防止になる、終わった後の達成感がある、試験に合格したらご褒美に美味しいご飯を食べられる、彼女とデートができる。

上記のように「メリット」の量を増すことで、重い腰が動く可能性が高いと考えられます。

もしメリットが少ないと感じた場合は、メリットに値するご褒美を用意するのも良いですね。貴方はどんな未来が待っていたら、やる気になりますか?

10、誰のために頑張れるのか?考える

最後に、精神論のようですが原動力となる大切なことをお伝えします。誰かのために物事に取り組んだ結果、自分のために頑張る以上に力を発揮できた、そんな経験はありませんか。実は、歳を重ねると20代の若者よりも、自分を犠牲にして他人の幸福・利益のために尽くすことができる、と1500人を超えるメタ解析から示されています出典[24]

やる気スイッチを押す上で「誰のために頑張れるのか?」上司、同僚、後輩、妻や子供、特別な人を思い浮かべることで、年々より気合いが入ると考えられます。リアルにイメージするためにも視覚に訴えるのがよいでしょう。

特にスマートフォンで撮った写真は、そのまま端末に保存する人が40%と最も多く、68.4%はプリントはしないというアンケート結果があります出典[25]。大切な写真がスマホの中に埋もれていませんか。見つからない場合は、仕事終わりに原動力となるとっておきの1枚を撮りに行くのも良いですね。

最後に

如何でしたでしょうか。『やる気スイッチを押すぞ!』と意思をもってお試しいただくことで、少しでも仕事の活力を生み出す一助になれると、嬉しい限りです。

最後までお読みくださりありがとうございます。皆様にとって、本日残りも充実した時間になりますように。

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