【男性妊活】シラジットの規格化成分・プリマビエとは?効果や飲み方について
2023年11月22日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

プリマビエとは

プリマビエ、もしくは精製シラジット、という成分を聞いたことはありませんか? 現在、その物質を摂取することによる健康効果が注目されています。この記事ではプリマビエの特徴や効能、使用上の注意点について説明します。

1.どんな栄養素?

ヒマラヤ山脈で採取できる、天然の腐植土と植物性有機物の混合物がプリマビエの原料であり、天然のものはシラジットと呼ばれています。夏にヒマラヤの岩からにじみ出る黒い粘着性の浸出液を集めたもので、ミネラル類やハーブの有効成分が豊富であるという特徴があります。

「薬草ミネラル」とも言い換えられるため、ミネラルを豊富に含む岩塩や、様々な薬効が確認されているコショウを精製したようなもの、と考えると分かりやすいかもしれませんね。

このシラジットは、古代インドのアーユルヴェーダ医学においては「活力を与える超物質」を意味する「マハラサス」、もしくは「若返りの秘薬」という意味の「ラサヤナ」という名で呼ばれていました出典[1]

土には少なからずミネラルが含まれているものであり、その含有量が野菜のミネラル量に影響を与えたりもしますが、ヒマラヤ山脈の腐植土に含まれるミネラルは非常に高濃度であることで知られています。これはヒマラヤ山脈がかつて海の底にあり、長い年月の中で隆起した結果今の標高に至っていることに由来しており、海洋生物由来の豊富なミネラルの塊がシラジットである、と考えられているようです。

 

2.シラジットの有効成分は?

豊富なミネラルを含むシラジットですが、ミネラル以外の固有の構成物質として「フルボ酸」が挙げられます。

シラジットの有効成分は、植物性物質の分解、そして多くの微生物の活動により生じた有機物です。これらの有効成分は水への溶解度や分子量によって「フミン」「フミン酸」「フルボ酸」に分けられます。

フミンは水に溶けにくく、フミン酸はアルカリ性の条件下で水に溶けます。フルボ酸は水に溶けやすく、フミンやフミン酸と比較して分子量が小さいため、腸管によく吸収されやすいことを特徴としています出典[2]

また、シラジットにはアミノ酸やポリフェノール、アルブミンなど、様々な分子が含まれており、この分子の種類や比率はシラジットの採取場所によってやや異なるとされています。

 

3.体の中でどんな働きをする?

シラジットに含まれるフルボ酸の特徴として、強い抗酸化作用を持つほかに、体の各組織への栄養素の輸送をサポートするという働きがあります。これにより摂取した食事やサプリメントの栄養を、体内へより効率よく吸収し、また利用できるようになります出典[1]

この生物学的利用能は「バイオアベイラビリティ」という言葉でも表されます。シラジットは天然のバイオアベイラビリティとして、様々な食事やハーブの効果を高める可能性があります。

現在、シラジットにより鉄の吸収率が高まること血液の酸素運搬能力が高まることエネルギー生成のサポートにより筋肉や骨や神経系をより早く回復させること、などが明らかになっています。

フルボ酸はまた、体からの老廃物や毒素の除去にも役立ち、筋肉や骨の劣化を防止する働きを持つことが分かっています。身体的・精神的ストレスを低減させる効果があり、高地での体の消耗や、二酸化炭素中毒を改善する効果があることも判明しています。

実際に、シラジットは高地での急性高山病(AMS)と呼ばれる、頭痛や眩暈、息切れや消化管障害などの治療に使用されています。これらの症状を緩和させる効果だけでなく、AMSの原因ともなる不安やストレスの低減にも役立つことが分かっており、高地での生活をサポートする優秀な天然物質として機能しています出典[2]

 

プリマビエに確認されている作用や効果

特殊な環境下で採取できるシラジットを精製した「プリマビエ」の、高地における健康効果は目覚ましいものがありますが、私たちが普段日常で使用する場合にはどのような効果が期待できるのでしょうか。以下ではプリマビエに確認されている作用について紹介します。

1.テストステロンの増加

「活力を与える超物質」として知られるプリマビエには、男性ホルモンであるテストステロンを増大させる効果が期待できます。

精製シラジットの摂取が男性のテストステロンと精子の質に及ぼす影響を調べた研究において、乏精子症を原因とする不妊男性患者が精製シラジットのサプリメント100mgを、食後に1日2回90日間続けて摂取した結果、テストステロンが23.5%増大したという結果が得られています出典[3]

同試験において、肝臓や腎臓の状態に変化がなかったことも確認されており、精製シラジットの一定量の継続使用は大きな副作用を生まないことが分かっています。このように、精製シラジットは安全にテストステロンを増大させる可能性があるようです。

 

2.精子形成の活性化

精製シラジットにはテストステロンの増大だけでなく、精子形成を活性化し、精子の数や量、形態などに良い影響を与えるほか、精子のダメージ軽減にも役立つと考えられています。

テストステロンの増大が認められた試験においては、他にも精子の状態に様々な変化が確認されていました。精子数の61.4%の増加や精液量の37.6%増加、精子の運動性や正常な形をした精子の割合の増加が確認され、さらにマロンアルデヒド(MDA)という、精子にダメージを与える過酸化脂質の量が減少したことも分かっています出典[3]

テストステロンの増大により精子の量や質や形態が改善され、フルボ酸の持つ抗酸化作用により酸化ストレスが低減され精子を保護するという二つの効果が確認されています。プリマビエの継続した摂取により、安全に性機能を向上する作用が期待できるでしょう。

 

3.脂質プロフィールの改善

プリマビエには中性脂肪やコレステロールなど、血清脂質の状態を改善する効果があると考えられています。

精製シラジットの摂取と血清脂質の変化について調べたランダム化比較試験において、健康な16~30歳の30名がシラジット2g/日の摂取を45日間続けました。その結果、精製シラジット摂取群ではプラセボ摂取群と比較して、中性脂肪、総コレステロール、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールなどが減少し、善玉と呼ばれるHDLコレステロールが増加するという、血清脂質全体の改善が確認されました出典[4]

また、精製シラジットの摂取により、血中のスーパーオキシドジスムダーゼ(SOD)やビタミンC、ビタミンEなど、抗酸化物質として機能する成分の増加が確認されています。フルボ酸が抗酸化物質として機能しているため、これらの利用が抑えられ、体内の抗酸化物質が潤沢になっているのではないかと考察されています出典[4]

過剰なコレステロールや中性脂肪、およびこれら血中脂質の酸化は動脈硬化のリスクを向上させます。プリマビエの摂取により血中脂質の改善を通して、動脈硬化を予防する効果も期待できるでしょう。

 

4.疲労の軽減

プリマビエに含まれるフルボ酸は、ミネラル類の細胞への輸送を助け、新陳代謝を活発にして体内のエネルギー産生を促進する効果があるとされています出典[1]。プリマビエ自体にもミネラルが豊富に含まれるため、体調を整え免疫力を向上させる効果が期待できます。

マウスを使用した動物実験においては、精製シラジットを補給したマウスにおいて、細胞内にあるミトコンドリアの機能が改善されていました。ミトコンドリアはエネルギーを産生する構造であり、これによりエネルギーであるATPをより多く産生できるようになったと報告されています出典[5]

また、精製シラジットにはテストステロンを増大させる効果があることも分かっていますが、これにより健康な男性においては除脂肪体重と筋肉量の増加が促進されたとも報告されています。健康な男性が精製シラジット500mg/日の摂取を8週間続けることにより、疲労への耐性および最大筋力レベルが向上したという研究結果も得られており出典[5]、筋力の増加により運動による疲労が軽減される可能性があります。

ミネラルの利用効率を高める、エネルギー産生を促進する、テストステロンの増大により筋肉量を増やす、など、プリマビエには疲労への作用が複数確認されており、摂取により毎日をエネルギッシュに過ごす効果が期待できそうです。

 

プリマビエの摂取方法や注意点

プリマビエは特殊な天然物質であるため、摂取の際にはサプリメントを利用することになります。以下ではプリマビエを摂取する際の方法や注意点について説明します。

1.どのくらい摂取すればいい?

プリマビエはヒマラヤ山脈にある岩石からの抽出物を採取し精製したものであり、褐色~黒色のペースト状をしています。この粘着質なペースト状のまま販売されているものもあれば、飲みやすいようにカプセル状に加工されたものもあるようです。

精製を行っていない生のシラジットを摂取すると、重金属イオンやフリーラジカルによる中毒を引き起こす可能性があることが分かっていますが出典[2]適切に精製されたプリマビエをサプリメントの形で摂取する分においては、肝機能や腎機能への副作用も認められず安全であるとされています。

有効量については、研究によって1日につき200mg~2g程度と幅があります。サプリメント販売会社では200~500mgを1日の推奨量としているところが多く、1日の目安量も多くがこの範囲で設定されています。サプリメントによってミネラル含有量などが異なる可能性があるため、細かな摂取量は個々のサプリメントの表記に従うのがよいでしょう。

ただしいずれの研究においても、精製シラジットは45~90日といった長期にわたる摂取により効果が確認できています。疲労回復やテストステロンの増大効果を期待する場合には、プリマビエの利用を継続することが重要となります。

 

2.相性の悪い成分

コーヒーや緑茶に豊富に含まれているカフェインは、ミネラルの吸収を阻害してしまいます。そのためプリマビエを利用する際には、カフェイン含有量の多い食品を同時に摂取しないよう気を付ける必要があるでしょう。

また、プリマビエのサプリメント販売会社において、温めた牛乳と一緒に飲むことでよりよい効果を得られるとされているものを多く見かけます。これはアーユルヴェーダ薬学の考えに基づいたものですが、実のところ、カルシウムを豊富に含む牛乳と、ミネラルを豊富に含むプリマビエの相性は良くありません。

牛乳に含まれる豊富なカルシウムにより、鉄や亜鉛、マグネシウムにリンなど、他のミネラルの吸収が抑制されることが明らかになっています。プリマビエのミネラルを十分に吸収するためにも、牛乳との同時摂取は控えた方がよいでしょう。

また、同じ理由からフィチン酸を含む食品もオススメできません。フィチン酸はキレート作用と呼ばれる、他のミネラルと結合する力が強いことで知られています。結合したキレートはそのまま体外に排出されるため、折角のプリマビエ由来のミネラルが十分に吸収されなくなってしまうのです。

フィチン酸は穀類や豆類の「外被」に多く含まれるため、未精製の小麦製品や玄米、インゲン豆やとうもろこしなどの過剰摂取には気を付けましょう。

 

まとめ

ヒマラヤ由来の天然物質であるシラジットを精製したプリマビエには、テストステロンの増大や疲労回復、血中脂質の改善など様々な効果が期待できます。摂取を継続することにより毎日をエネルギッシュに過ごすためのサポートを得られるでしょう。

 

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