たった4分!テストステロンを高めるHIITの方法とは
2024年4月5日更新

執筆者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識できるよう日々邁進中。

そもそもHIITってどんな運動?

HIITは”High Intensity Interval Training”の略語。日本語では「高強度インターバルトレーニング」と呼ばれています。

20秒〜4分の強度の高い運動を、10秒〜4分のインターバルを挟みながら、複数回実施するトレーニング全般を指します。

HIITの最大の特徴はなんといっても運動時間の短さにあります。方法にもよりますが、短いものだと4分で終わります

ただし、運動効果が低いわけではありません。研究では以下のような効果が確認されています。

「忙しくて運動する時間がとれない...」という方に、是非とも取り組んでほしい運動です。
 

HIITはテストステロンを増やすのか?

様々な運動効果が期待できるHIIT。筋肥大と持久力向上の両方の効果を得られることから、HIITは筋トレと有酸素運動の良いとこどりをした運動と言えるでしょう。

ではHIITにテストステロンを増やす効果はあるのでしょうか?テストステロンは男性ホルモンの1種で、性欲や活力の向上と深く関わっています。分泌量を高めることでエネルギッシュな男性に近づくと言われています。

テストステロンとHIITの関係について調べたのが、2021年にノースカロライナ大学の論文出典[6]。論文では、平均年齢27歳の若い男性が、90秒の強度の高いランニングと90秒のウォーキングを1セットとする運動を約14セット行うHIITを実施した後、テストステロンの濃度を測定しています。

その結果、運動後のテストステロン値はHIIT開始前の1.64倍になりました

同じ研究では、45分間、ややきついと感じる強度で走り続ける運動後のテストステロン値も調査していました。

しかしテストステロンの増加量は1.46倍であり、効果はHIITよりも少し小さいという結果に。

したがって、テストステロンの分泌に関しては、HIITは有酸素運動よりも高い効果が得られる可能性があります。

また2021年にグラナダ大学が、HIIT終了後のテストステロン値について調査した60の研究を分析した論文でも、HIITを行った直後にテストステロンが増加することが明らかにされています出典[7]

60もの研究を分析した上で導き出された結論であれば、信頼性はかなり高いと言えます。

いつまでも男らしくありたい男性はHIITに取り組むべきと言えるでしょう!
 

HIITの具体的なやり方

HIITの方法は以下の通りです。

  1. 20秒~4分間の息が上がる程度の運動をする
  2. 運動時間の0.5~2倍程度の時間、休憩をとる
  3. 1と2を4~20回程度繰り返す

運動習慣のない人がいきなり強度の高い運動を行うと怪我につながるため、最初は追い込みすぎないようにしましょう。慣れてきたら息が上がるまで強度を上げていくとよいでしょう。

運動の種類は1つでも複数でも問題ありません。自分が鍛えたい部位に注力するのもアリ、全身を満遍なく鍛えるのもアリです。

次の章でHIITのおすすめ種目を紹介しますので、自分に適したものを取り入れてみてください。
 

テストステロンを高めるために取り入れたいHIIT種目5選

ここからはHIITにおすすめの種目をご紹介します。HIITでテストステロンを高めるためにはある程度強度が高い必要があります。

そこで今回は身体に強い刺激を入れられる5種目に絞って紹介します。

1.バーピージャンプ

動く量が大きい全身運動。メインターゲットは下半身の筋肉ですが、大胸筋や上腕三頭筋、腹筋など上半身に筋肉も刺激を入れることが可能です。心拍数も急激に上昇させることができるため、心肺を鍛えたい人にもおすすめ。

●やり方

  1. 胸をやや張り、まっすぐ立つ
  2. しゃがみこみ、両手を地面につける
  3. 膝を後方に伸ばし、腕立て伏せの姿勢をとる
  4. 1の姿勢に戻る
  5. 垂直方向にジャンプし、開始姿勢に戻る

●注意点や意識すべきポイント

動作をできる限り素早く行う。腕立て伏せの姿勢やジャンプ時に腰を丸めない。

 

2.マウンテンクライマー

山を駆け上がるように脚を動かす運動。表面的には簡単そうに見えるかもしれませんが、長時間行うと間違いなく下半身がオールアウトします。1セットの運動時が1分を超えるタイプのHIITを行う場合は取り入れるのがおすすめ。

●やり方

  1. うつ伏せで両手とつま先を地面に着き、腕立て伏せの姿勢をとる
  2. 片足の太ももを前方に持っていく
  3. 元の位置に戻したら逆足も同様に持っていく

●注意点や意識すべきポイント

動作中、腰が丸まったり、お尻が上がりすぎたりしないようにする。

 

3.もも上げ

説明不要の高強度エクササイズ。その場で全力ダッシュをするイメージで、腿を上げ両手を振る運動。きつくなってきたところで、腿を上げる位置が下がらないように注意しましょう。

●やり方

  1. 胸をやや張り、まっすぐ立つ
  2. 片足の太ももをできる限り持ち上げる
  3. 持ち上げた足を戻し、逆足も同様に持ち上げる

●注意点や意識すべきポイント

太ももを上げるのに合わせて、腕もしっかりと振る。腰は丸めず、まっすぐを保つ。

 

4.腕立て伏せ

大胸筋や上腕三頭筋など、上半身の前側を中心に鍛えられるエクササイズ。HIIT種目は下半身や体幹を鍛える種目が多いなか、上半身をがっつり鍛えられる数少ないトレーニングです。全身を満遍なく鍛えたい人は必ず数セット取り入れましょう。

●やり方

  1. うつ伏せでつま先を床につけ、膝を完全に伸ばす。
  2. 手を肩の真下に下ろし、床につける。手の間隔は肩幅よりも5~8cm広くとる。
  3. 肘の角度が90°となるように身体を下ろす。
  4. 身体はまっすぐのまま、つま先を床につけたまま手で床を押し、肘を完全に伸ばす。

●注意点や意識すべきポイント

身体は一直線を保つ。下す時に腰から下げないように、上げる時に胸だけ上げないように注意する。

 

5.ジャンプランジ

下半身を重点的に鍛えられるエクササイズ。特に大臀筋に強い刺激を入れらるため、お尻を引き上げたい人は取り入れることがおすすめです。

●やり方

  1. 足を前後に広げ、前足が90°となるように腰を落とす
  2. 垂直方向に跳ぶ。
  3. 両脚を入れ替えて着地する

●注意点や意識すべきポイント

疲れてきた時もしっかりと深くしゃがみ込む。
 

HIITを行う際のポイント

どれだけ効果的なHITと言えど、正しく行なわなければテストステロンが上がりません。そこで、最後にHIITを行う際のポイントを3つご紹介します。

80~90%の体力を使うくらいの強度で行う

HIITが短い運動時間で高い健康効果が得られるのは、運動の強度が非常に高いためです。折角のHIITも運動強度が低ければ効果は半減以下になります。

ではどのくらいの運動強度が必要なのでしょうか?

HIITとテストステロンの関係について調査したメタ分析において、VO2MAXの90%以上の強度で行っているものをHIITとして定義付けています出典[8]

VO2MAXとは最大酸素摂取量のこと。つまり、限界の力で走った時に摂取できる酸素摂取量のうち90%は酸素を吸い込むくらいの強度で行う必要があるということです。

もちろんいきなり高強度で行うと、心臓に大きな負担がかかります。運動習慣があまりない方は、いきなり無理はせず、徐々に強度を高めていくとよいでしょう。

 

運動時間と休憩時間の比は2:1

HIITの効果を担保する上では、運動強度以外にも、運動時間と休憩時間の比率が重要です。例えば運動時間に対して、休憩時間が余りにも長すぎると、身体が回復してしまい、心肺や筋肉に高い負荷をかけることができません。

2014年にボーリング・グリーン州立大学が発表した論文では、運動時間と休憩時間の比率が4:1、2:1、1:1でどれが最も効果的かが調べられました出典[9]。その結果、4:1では休憩時間が短すぎて運動が継続できず、2:1と1:1では運動効果はあまり変わらないことがわかりました。

そのため時間効率を考えると、運動時間:休憩時間=2:1で行うのがよいと言えるでしょう。

運動を20秒行うならインターバルは10秒のイメージです。1/2のインターバルで身体を追い込みましょう。

 

週3回の頻度で継続する

どれだけHIITが優れた運動でも、1回行っただけでは大きな効果は得られないでしょう。運動を継続することで身体が適応し、強靭な身体になっていきます。

ただし、運動を行いすぎるとオーバーワークになり、かえってテストステロンが減少する恐れがあります。特にHIITは高強度のため、毎日行うことはおすすめいたしません。

2021年にクラクフ体育大学が35~45歳の男性30名を対象とした研究では、週3回のHIITを8週間継続することで、ベースラインのテストステロン値が36.7%増加したことが確認されています出典[10]

週3回は、HIITを実施してから1日以上休憩を挟むことができる頻度です。オーバーワークに気をつけながらテストステロンを高めらる良い頻度と言えるでしょう。

もちろん週3回でも疲労が溜まる場合は、さらに頻度を落とすことがおすすめですが、まずは週3回で継続するとよいでしょう。
 

HIITとその他習慣を整えてテストステロンを最大化しよう!

HIITはテストステロンに効果的な運動です。短いものであれば、たった4分で終わるため、忙しい男性にも是非とも取り入れてもらいたい運動です。

ただし、テストステロンの分泌量は運動以外にも様々な要素が影響しています。例えば活性酸素や日光浴、希少栄養素の摂取などが挙げられます。

運動以外の要素が整っていないと、HIITを行ってもテストステロンは上がらないのです...。

そこでNP+ではテストステロンの分泌量を最大化する方法を約50件の論文を元に体系化しました。

この記事を読めばテストステロンの本質を掴むことができ、効率的にテストステロンを増やすことができます。

テストステロンの実態を掴み、活力あふれる日々を過ごしたい人は是非ご覧ください。

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