寝ることも筋トレ!睡眠で気を付けるべき10のこと
2023年11月21日更新

監修者

上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー

関川裕大

睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。

執筆者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識できるよう日々邁進中。

睡眠不足が筋トレに及ぼす悪影響3つ

睡眠不足は筋肉や骨格の形成に影響を及ぼします。筋トレを頑張っているのに思うような効果が表れないと感じている方は、まずは睡眠と筋トレの密接な関係について知りましょう。

テストステロンの低下

睡眠不足は男性ホルモンの一種であるテストステロンを低下させます。テストステロンは男性らしさを象徴するホルモンの代表格です。健康や活力の源であり、意欲や骨密度、男性機能の維持に欠かせません。何よりもテストステロンはたんぱく質の合成を促進し、筋肥大に大きく関わるホルモンなのです。 

そしてテストステロンは睡眠中に多く分泌されることがわかっています。実際に若年成人男性を対象とした研究では、テストステロン値は入眠時に上昇し始め、一回目のレム睡眠時でピークに達し起床時まで同レベルを維持し続けることが報告されています出典[1]

筋肥大を目指すなら、睡眠時間を十分に摂ってテストステロンを低下させないことが大切です。


筋肉の回復が妨げられる

筋肥大はハードなトレーニングにより壊れた筋肉が修復される過程で起こります。そして筋肉の回復は主に寝ている間に行われると考えられています。睡眠不足であればトレーニング後の筋肉の回復が妨げられます。

実際、睡眠不足はホルモンの分泌に影響を与え、筋肉の合成に必要なテストステロンやインスリンを低下させます。その結果、体内でたんぱく質を合成する活動が低下し、筋肉量の減少または回復が妨げられると考えられています出典[2]

せっかくハードにトレーニングをしても回復を疎かにすると筋肥大につながりません。眠るだけで効果が上がるのなら、眠らない手はないですね。


パフォーマンスの低下

さらに睡眠不足は集中力やパフォーマンスの低下を招きます。短い睡眠時間や質の低い睡眠は脳の機能低下や体内での炎症を引き起こし、結果として筋トレのパフォーマンスを低下させます。

2017年に中国で16~30歳の大学生10,125人を対象に行われた研究では、6時間睡眠の男性は8時間睡眠の男性より筋力が弱かったと報告されています出典[3]

集中力、運動能力、筋力が低下すればケガのリスクも上がります。トレーニング前日は特にしっかりと睡眠を摂って筋トレ時間を充実させましょう。
 

筋トレの効果を最大化するための睡眠方法10個

睡眠不足が筋肉に及ぼす悪影響はおわかりいただけましたか。ここからは筋トレの効果を最大限に発揮させる具体的な睡眠方法をご紹介します。トレーニングメニューや食事と同じように睡眠にもこだわってみてはいかかでしょうか。

7時間の睡眠の確保

ここまで見てきた通り、睡眠不足はテストステロンの低下、回復の妨害、パフォーマンスの低下を通じて、筋肉に悪影響を及ぼします。では睡眠時間はどれくらいとれば適切なのでしょうか?

米国睡眠財団では若年成人および成人の場合は7~9時間、高齢者は7~8時間の睡眠を推奨しています出典[4]
またテストステロンと睡眠に関する有名な研究では、5時間の睡眠が1週間続くだけでテストステロン値が15%低下したことが報告されています出典[5]。その他、6時間睡眠の男性は8時間睡眠の男性より筋力が弱かったことからも出典[3]最低でも7時間は睡眠時間を確保するのがよさそうです。

7時間睡眠は難しい場合もありますが、睡眠時間が足りない人は筋トレの時間を一部睡眠に回す方が効果的かもしれません。

 

夜トレの時はカフェインを控える

コーヒーやエナジードリンクなどに含まれるカフェインは、覚醒作用があることがよく知られていますね。筋トレのモチベーションや集中力を高めようと摂取する人も多いのではないでしょうか?

ただ夜にトレーニングをする場合は要注意です。カフェインの覚醒作用は睡眠に悪影響を及ぼします。睡眠の質が低下しては翌日のトレーニングのパフォーマンスが低下してしまいます。そして睡眠不足によるパフォーマンス低下を補うためにカフェインを摂取するという悪循環に陥ります。

したがって夜にトレーニングをする場合はカフェインを控えましょう。まずはぐっすり眠り、疲れをとってからトレーニングにのぞみましょう。

 

筋トレは就寝2時間前までに終わらせる

筋トレなどの運動は適度な疲労感や体温調節を通じて睡眠の質を高めると祝われております。しかし就寝直前の運動は、交感神経を活性化させ、睡眠の質を低下させる可能性があるため、おすすめできません。

2021年に運動と睡眠の関係について調査したシステマティックレビューでは、就寝2時間前の運動は睡眠の質を低下させる可能性が報告されています出典[6]

夜遅く筋トレをする習慣のひとは、時間帯の見直しをしてみるのも1つでしょう。就寝前しか時間が取れない日は軽めのトレーニングがおすすめです。

 

就寝前はストレッチを行う

就寝前のストレッチは筋肉にも睡眠にも好影響を与えます。ストレッチは柔軟性を高め筋肉を大きく動かせるようになるのはもちろんですが、リラックス作用から入眠を促し睡眠の質を向上させる可能性があります。

実際に40~66歳の女性を対象に3週間、就寝前にストレッチを実施してもらった研究では、ストレッチをしなかったグループと比べて入眠までの時間が短くなったことが報告されています出典[7]

ストレッチは無理せず、ゆっくりと呼吸しながら行いましょう。数分程度、ベッドの上で簡単に行うだけで大丈夫です。習慣にできれば、より効果的。筋トレ後の筋肉を和らげ、疲れやコリを解消してぐっすり眠りましょう。

 

筋トレにも眠りにも悪いアルコールは控える

アルコールは睡眠だけでなく筋肉にも悪影響を及ぼします。睡眠においては寝つきは良くなるかもしれませんが、睡眠全体で見ると質は低下し、途中で目覚める回数が増えることが知られています出典[8]

では筋肉にはどのような影響があるのでしょうか。アルコール摂取で分泌するストレスホルモンのコルチゾールは筋肉の分解を促進させてしまいます。また飲酒量が多くなればテストステロンの減少を招くことに。実際の研究でもアルコールは筋たんぱく質の合成を低下させることが報告されています出典[9]

そのため特にトレーニング後のアルコールは控えてください。また筋トレ後1~2時間は筋肉の合成が一番高まる重要な時間です。直後に冷えたビールを飲みたくなりますよね。そこはぐっと我慢で、お酒は十分に時間をおいてからにしましょう。

 

就寝前はカゼインプロテインを飲む

筋肉を大きくするためには、食事を通じて血中のアミノ酸の濃度を高く維持することが重要とされています。しかし睡眠中は栄養補給ができないため、どうしても血中のアミノ酸濃度が低下します。

そこで就寝前のカゼインプロテインの摂取は睡眠中の血中アミノ酸濃度を保つために有効な方法です。カゼインとは牛乳から脂肪とホエイを取り除いた残りの不溶性固形成分のこと。カゼインプロテインは一般的なプロテインと比べ、ゆっくりと吸収されるため血中のアミノ酸濃度を長時間にわたり高い値で維持できます。そのため寝る前に飲むことで更なる筋肥大が望めます。

実際に就寝前のプロテイン摂取に関する複数の研究をまとめたレビューでは、カゼインプロテインの摂取が就寝中の筋たんぱく合成を増やし、結果的に筋肥大につながる可能性があると報告されています出典[10]

一晩に筋肉タンパク質の合成速度を大きく増加させるには、少なくとも40gのタンパク質が必要とされています。ただ、少なからず睡眠中に胃腸を活動させるため、睡眠の質の低下を感じる場合は控えましょう。

 

身体に合った寝具を使う

充分な疲労回復のために、身体に合った寝具を使うことが大切です。体形や寝る時の姿勢は個人差が大きいため、合わない寝具では休まらないだけでなく身体のコリや痛みを招くかもしれません。

マットレスは体圧分散性、高反発や低反発などのサポート性、素材などから好みのものを選んでみてください。枕は高さや形状なども人それぞれ合うものが違います。僧帽筋などの発達から通常の枕では満足できない場合もあります。

また着て寝るだけのリカバリーウェアを検討するのもひとつ。リカバリーウェアとは特殊繊維などで作られた血流改善、疲労回復などを目的としている衣類です。なかでも一般医療機器の認定を取得しているものがおすすめです。

 

ストレスを取り除く

ストレスは睡眠にとって大敵であると同時に、筋肉にも悪影響を及ぼします。

ストレスは寝つきを悪くし、深い睡眠を妨げ睡眠の質を低下させます出典[11]。睡眠不足が筋肉にとって良くないことはもうおわかりですよね。

さらにストレスを感じると交感神経が優位になり筋肉は固くなります。またストレスに対応するためコルチゾールという覚醒ホルモンが分泌されます。このコルチゾールには筋肉の分解を促進させる作用があります。

ストレスといっても様々ですが、解消法を見つけてリラックスすることを心掛けてください。トレーニングの成果がいまひとつと感じる場合は、ストレスケアも考えてみてはいかがですか? 

 

昼寝を取り入れてみる

睡眠時間が短いひとや眠気を感じている場合は昼寝を取り入れてみてはいかがですか。眠気を我慢して筋トレに励むよりも、ほんの短い時間休息したほうがトレーニングの効果を最大化できます。

実際に睡眠不足のアスリートにとって仮眠はパフォーマンスの向上や疲労の軽減につながり、また主観的な疲労感も軽減する可能性があることが示されています。具体的には20~30分の昼寝によりスプリントとジャンプのパフォーマンスが改善しました出典[12]

ただし昼寝は30分以内にしてください。深い睡眠に入る前に起きるので目覚めもよく、短時間の昼寝であれば夜の睡眠に影響を与えることもありません。

 

オーバートレーニングは避ける

疲れや痛みがあっても筋トレを休まない人は要注意。オーバートレーニングは睡眠障害を引き起こす可能性があります出典[12]。過剰なトレーニングが続くと、疲労の回復が追いつかず、慢性的な疲労状態に陥ります。特にストイックな人ほどトレーニングを頑張りすぎてしまいます。

筋トレにおけるオーバートレーニングの兆候は以下の通りです。どれかに当てはまる場合は、一度トレーニングを休むのがよいでしょう。

  • 高い疲労感  
  • パフォーマンスの低下
  • 不安感やイライラ
  • 入眠困難
  • 睡眠中の足の重さ 

オーバートレーニングは回復に時間がかかり、長期間パフォーマンスが低下することがあります出典[12]。前述の兆候に思い当たることがあれば休息が必要です。睡眠障害になる前に無理なトレーニングを避けましょう。
 

まとめ

睡眠が筋トレにいかに重要かおわかりいただけましたか。眠るだけで筋肉に良い影響があるのであれば、眠らない手はないですね。まずは十分な睡眠時間を確保した上で、睡眠の質の向上にも気を配ってください。しっかり眠って疲れをとり、筋トレのパフォーマンスを最大化しましょう。
 

LINEで専門家に無料相談

365日専門家が男性の気になる疑問解決します
LINEからメッセージを送るだけで薬剤師やパーソナルトレーナー、睡眠指導士やサプリメントアドバイザーなどNP所属の男性ヘルスケアの専門家があなたの疑問や質問に直接回答します!