執筆者
管理栄養士/分子栄養学カウンセラー
岡かな
大阪市立大学食品栄養科、大学院修士課程修了。医療機関に勤務し、糖尿病や高血圧など生活習慣病の栄養管理に取り組む。その後はヘルスケア事業に移り、年間500人以上のダイエットをサポートする。現在はダイエットサポートの他、特定保健指導や健康に関わる分野の執筆も行っている。誤った情報で10キロ以上リバウンドした自分自身の経験から、科学的根拠に基づく正しい情報の発信を心掛けている。
二度寝は誰もがしてしまう習慣だが・・
ついついスヌーズをかけて二度寝をしてしまう・・・。
そんな方は多いのではないでしょうか?
実は、二度寝は非常に体に良くないと言われている行為なんです。
しかし、二度寝によって体調が悪くなったと実感したことはあるでしょうか?
なんとなく体に悪いのはイメージできるけど、実際にどんな影響があるかは分からないですよね。
そこで今回は二度寝がもたらす影響について徹底的に分析しようと思います。
二度寝すると体にどんな変化がある?
まずは二度寝が体にどんな変化をもたらすのかを深掘りしましょう。
早速結論ですが、二度寝によって体に起こる変化は、「概日リズム」の乱れです。
概日リズムとはいわゆる”体内時計”とも呼ばれる働き。ホルモンの分泌、体温、睡眠/覚醒サイクル、内臓の働きなどが約24時間周期でリズムを作り繰り返されている働きのことです出典[1]。
例えば、朝には脳を覚醒させるホルモンが分泌され目覚めのレベルが高まり、夜には眠りを誘うホルモンが分泌され眠たくなるのも、概日リズムによるものですね。
二度寝は本来体が起きようとしているにも関わらずそれに逆らう行為。体内の自然なリズムに逆らう行動をすると、概日リズムは狂ってしまうのです出典[2]。
実際にスヌーズを用いて二度寝してしまうと、浅い睡眠の時間が長くなり、結果として起床後に”睡眠慣性”と呼ばれる眠気状態が続くことがわかっています出典[3]。
つまり二度寝によって睡眠のサイクルが乱れ、なかなか脳が覚醒状態にならないわけですね。
脳の睡眠状態が引き伸ばされることで、結果的に1日を通して概日リズムが乱れてしまうんです。
二度寝をしない方が良い5つの理由
二度寝が体にもたらす影響は分かりました。
では結局なぜ概日リズムが乱れると良くないのでしょうか?
具体的な理由を5つ解説しましょう。
理由1.日中に眠気やだるさをもたらす
日中に眠気やだるさを感じたことはありませんか?
実はそれ、二度寝の影響かもしれません。
仕組みをご説明しましょう。そもそも概日リズムを作り出すのは、 脳内視床下部の視交叉上核。視交叉上核は覚醒や睡眠の定着などをコントロールしています。
二度寝や時差ボケなどで睡眠サイクルが急激に変化すると、この調節が混乱し体内時計の働きが乱れてしまうんです出典[4]。
そして、体内時計の乱れは日中の過度な眠気やだるさを引き起こすことも調査されていました出典[4]。
日中に眠気やだるさを感じる人は、二度寝をやめるだけでも改善される可能性もあるんです。
理由2.脳機能が大幅に低下する
概日リズムの乱れは、脳の認知機能をも低下させる可能性があるので要注意出典[5]。
実際にアスリートが概日リズムを乱してしまうと、不注意やミスの増加、全体的なモチベーションの低下など、脳のパフォーマンスに影響が出ることが報告されているんです出典[6]。
二度寝によって不注意やミスが増えてしまうと、仕事や学業にも影響が出てしまいますね。
理由3.運動能力も低下する
アスリートだけでなく運動習慣がある全ての人にとっても、二度寝は大敵かもしれません。
なぜなら概日リズムの乱れによって運動能力が低下してしまうから。
海外への移動が多いアスリートは時差ボケによる概日リズムの乱れが頻発しますよね。すると運動パフォーマンスが低下し、さらに怪我もしやすくなることがとある研究で報告されているんです出典[7]。
運動のパフォーマンスを向上させたい方は、概日リズムを乱してしまう行為は避けましょう。
理由4.イライラやうつ症状などメンタルが乱れる
恐ろしいのがメンタルへの影響。
概日リズムの乱れは不安やイライラ、うつなどの症状の原因にもなるんです・・。
実際にとある研究ではうつ病や双極性障害などの気分障害は、概日リズムの乱れと強く関連があることが判明出典[8]。
さらに時差ぼけの形で概日リズムが乱れると、双極性障害の発症が誘発されることが報告されているのです出典[9]。
それだけではありません。概日リズムを乱す環境で飼育したマウスは、脳にある不安に関連する神経細胞が変化することが示され、概日リズムの乱れと不安との関連性も裏付けられました出典[10]。
このように、メンタル疾患とも関連が深い概日リズム。メンタルを安定させるためにも、概日リズムを乱さないようにしたいですね。
理由5.吐き気や下痢などの胃腸に障害が起きる
概日リズムが乱れは、吐き気や下痢などの胃腸障害にも繋がるため注意が必要。
胃腸の運動にも概日リズムは存在しています。腸は日中とくに起床後や食事後に活発に動き、夜間の活用は最小限に抑えられるのが通常。
しかし、概日リズムの乱れが生じると、胃腸運動のバランスが乱れ、吐き気や下痢などが起こると考えられているのです出典[11]。
二度寝をすることで吐き気や下痢が起こるとは言いきれませんが、概日リズムの乱れが続くと胃腸の健康をも害してしまうことは確かでしょう。
二度寝がいらない良質な睡眠を取ろう
さて、ここまで二度寝をしないほうが良い理由を解説してきました。
結局のところ二度寝をしてしまうのは、睡眠時間が足りていない、もしくは睡眠の質が悪い可能性があります。
まず、睡眠時間は7~8時間が理想ということが多くの研究でも報告されています。睡眠のために生活スケジュールを見直し、理想の睡眠時間を確保するようにしましょう。
さらに睡眠の質を高めることも二度寝の防止のために重要です。睡眠の質は日中の行動や就寝前の習慣で整えることが可能。
以下の記事に睡眠の質を高める方法をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
出典
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