監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。
執筆者
株式会社アルファメイル
NP+編集部
「オトコを科学する」をキーワードに男性の悩みや課題の解決を科学的根拠をもってサポート。運動や睡眠、栄養など、健康に関する正しい知識を提供するためにコンテンツを製作中。
目次
毎日の筋トレが逆効果と考えられている理由3つ
筋トレはやりすぎると逆効果になる...。トレーニーであれば誰しもが聞いたことがある噂。
ハードに筋トレを頑張っている方は、嘘だと信じたいことでしょう。
しかし、まったく根拠がなければ噂にもなりません。では一体なぜ、このような噂が広まっているのでしょうか?
まずは毎日の筋トレが逆効果と考えられている3つの理由について解説します。
1.筋肉の合成効率が落ちてしまう
毎日の筋トレが逆効果と考えられている最も大きな理由は、「筋肉の合成効率が低下してしまうから」です。
そもそも筋トレとは、筋肉合成のスイッチを入れる行為。スイッチが入った後に適切な栄養摂取と休養を行うことで、筋肉が大きく成長します。
一度スイッチが入ると、筋肉の合成は24~48時間続きます出典[1]。
この期間に、再度筋トレをしてしまうと合成がストップするのではないかと考えられているのです!
実際に1985年にラットを用いた研究では、48時間以内に次のトレーニングを行った場合、筋肉の合成反応が弱くなることが示されています出典[2]。
古い研究であり、また動物実験のため、人で同じ反応が起きるかは分かりません。
ただ、筋肉の合成が続いているなら新たにトレーニングをする必要はない気がしてきますね...。
2.神経伝達効率が落ちる
筋力を決定する要因は筋肉の大きさだけではありません。実は脳からの神経伝達も大きく関わっているのです。
少し細かい話をすると、人は脳の指令を運動神経を通じて筋肉に伝えることで身体を動かすことができます。脳の指令を伝えるために、様々な神経伝達物質が放出されます。
しかし、毎日トレーニングを行うと神経系が疲弊し、神経伝達物質がうまく放出できなくなるのです。
2016年に日本で行われた研究では、15名の女性にアームカールを実施してもらったところ、トレーニングの1~2日後は神経機能が12~24%低下していたことが報告されています出典[3]。
最大重量に挑戦して、ギリギリ潰れてしまった後のセットは非常にきついことは経験的にご存じかと思います。これは神経系が疲労してしまっているのが一因と言われています。
神経系は1度に発揮する力が大きいほど疲弊しやすいです。高重量を扱うトレーニーは毎日の筋トレと相性が悪いかもしれません。
3.テストステロンが低下してしまう
毎日の筋トレが逆効果と言われる最後の理由は「テストステロン低下」の問題。
テストステロンは男性ホルモンの1種。性欲向上やモチベーション維持、体毛の成長、骨密度の向上など男らしい心身の形成に深く関わっています。
もちろん筋肥大の作用もあり、テストステロンレベルが低い人ほど筋肉量が少ないことが研究で明らかにされています出典[4]。
しかし運動量が多いと、テストステロンが大幅に減少してしまうことも...。
市民ランナーの月間走行距離とテストステロン値の関係を調べた研究では、月に200km以上走ると、月100km程度の人と比べて最大50%もテストステロンが少ないことが明らかに出典[5]。
運動をしすぎると、ストレスホルモンのコルチゾールが分泌されます。慢性的にコルチゾールが高い状態が続くと、精巣でのテストステロン合成が抑制されてしまうのです出典[6]。
月200kmのランニングの消費カロリーは約15,000kCal(体重75kgの人の場合)。
これを筋トレに換算すると、月に32時間になります。
毎日1時間強の筋トレを行っている人はテストステロンが低下し、筋トレ効率が悪くなっているかもしれません...。
「毎日の筋トレは逆効果!」は本当なのか?500名の筋トレ男性のアンケート結果から判明した真実とは
先の章で紹介した3つの理由はあくまで間接的な研究データから推測されること。
実際に毎日筋トレを実施して変化を調べた研究はないのが現状です。
そこでナイトプロテインは、500名の筋トレ男性を対象に、トレーニング頻度と筋肉のつきやすさに関する調査を実施しました。
<アンケート概要>
- 集計期間:2023年5月24日~2023年6月6日
- 調査方法:インターネット集計
- 調査対象:日常的に筋トレをしている男性
- 調査人数:500名
早速、結果は下記の通り。
ご覧のように、筋トレ頻度が週に1回未満の方はあまり効果を実感できていません。
一方で週に1回以上行っている方は頻度に関わらず60%以上の方が筋肥大効果を実感しています。
ほぼ毎日行っている方も、その他の頻度の方と同じくらいトレーニング効果を実感できていることはわかります。
またトレーニングの種類別で結果を分類しました。
まず自重トレーニングをしている人の結果がコチラ。
全体の結果と同様に週に1回未満の場合、あまり筋肥大効果を実感できないことがわかります。
また、週に1回以上行っている人の中でも、ほぼ毎日行っている人は少しだけ、トレーニング効果を実感する人の割合が多いことがわかりました。
自重トレーニングは1回の負荷が小さいため、疲労が溜まりづらいです。高頻度で行った方が高い効果が得られるのかもしれません。
続いてウエイトトレーニングの結果がコチラ。
コチラも全体の結果と大きくは変わりません。しかし自重トレーニングと比べて、ほぼ毎日行う人は筋肥大効果を実感している人がやや少ない傾向にあります。
ウエイトトレーニングは高重量を使用するため、疲労に繋がりやすいです。また神経系も疲弊しやすいため、毎日行うと、少し効率が落ちるのかもしれません。
まとめると、筋トレを毎日行うと逆効果になるとは必ずしも言えないことが分かりました。
ただし、1回のトレーニングが激しい人は適度にオフをとった方が効率が高まる可能性があります。
毎日筋トレするなら気をつけたいポイント
ハードにトレーニングをすると、毎日筋トレをすると、少し逆効果になる可能性が示されました。
しかし、それでも毎日トレーニングをしないと成長が止まってしまうのでは..?と不安になるのがトレーニーという生き物。
そこで最後に毎日トレーニングを行いたい人向けのポイントを5つ紹介します。
①分割法を取り入れる
連日でトレーニングをすると、筋肉の合成効率の低下や神経系の疲労が生じることは最初に述べた通り。
しかし、これはあくまでトレーニングをした部位に関する話です。
1日目と2日目でそれぞれ違う部位を鍛えれば、効率を落とさずトレーニングすることができるでしょう。
例えば、胸のトレーニングをした次の日は脚のトレーニングをするといった具合です。
筋肉の合成は、筋トレをしてから24~48時間続きます。つまり同じ部位は2~3日置きにトレーニングをすることで、十分に回復させることができます。
下記のように3分割にすることで、2日空けてトレーニングをすることができます。
- 1日目:胸・肩(前部・中部)・上腕三頭筋
- 2日目:背中・上腕二頭筋・肩(後部)
- 3日目:下半身
毎日トレーニングをしている人は日々のトレーニングプログラムを見直してみてくださいね。
②1日あたりのトレーニング量を減らす
オーバーワークになるかどうかは、トレーニング頻度ではなく1週間の合計のトレーニング量によって決まります。
20kgのバーベルスクワット1セットを毎日行っても、オーバーワークにはならないことは感覚的に理解いただけるかと思います。
逆に8回ギリギリできる重量でのバーベルスクワット5セットを毎日行うと、日が増すに連れて使用重量やレップ数は落ちていきます。
最適なトレーニング量は個人差がありますが、1週間に1部位あたり10~20セットと言われています。
1週間に30セットを超えている場合は、1回のトレーニング量を減らしてみてもよいかもしれません。
③栄養摂取を完璧にする
毎日のトレーニングで疲れた筋肉を回復させるには、適切な栄養摂取が重要です。
まずは筋肉の材料となるたんぱく質を十分な量、確保しましょう。トレーニング量が多めな人は、通常よりも多くのたんぱく質が必要になります。
目安としては体重1kgあたり1.6~2.2g/日。たんぱく質が豊富な食材には肉、魚、卵、乳製品、大豆製品等があります。
だいたい手のひらサイズで20gのたんぱく質が摂れます。5~8品目ほど摂るようにしましょう。
またハードにトレーニングをする人は疲労からテストステロンが低下してしまう恐れがあります。
そこでテストステロンブースターを摂取することはおすすめ。テストステロンブースターとは体内のホルモン分泌システムを活性化し、テストステロンの分泌を向上させるサプリメント。
ボディビルダーのトップ選手も摂取しており、毎日の筋トレには欠かせない必需品です。
④十分な睡眠時間をとる
もちろん筋肉の回復には栄養だけでなく睡眠も重要。睡眠には、テストステロンを始めとして、成長ホルモンやインスリンなど筋肉の合成に必要不可欠なホルモンの正常な分泌を維持するはたらきがあります。
また、16~30歳の大学生10,125人を対象に行われた大規模調査では、6時間睡眠の男性は7時間以上眠る男性よりも握力が平均1kg程度低かったことが示されています出典[7]。
「たった1kgならあまり気にする必要はないかな」と思うかもしれませんが、この研究の対象者はトレーニングを行っていない人がほとんどです。
毎日トレーニングをして筋肉を痛めつけている人なら、短時間睡眠の影響はもっと大きいことでしょう。
睡眠時間を削ってまで毎日トレーニングをしているのなら逆効果。必ず7時間睡眠をとった上でハードに鍛えるようにしましょう。
⑤体調を適宜チェックする
ここまで述べてきたポイントはあくまで一般論。全ての人に当てはまるわけではありません。
そこで逆効果になっているか否かは個々の体調やトレーニング状況を基に判断するようにしましょう。
下記はオーバートレーニングの時によく見られる症状。2つ以上当てはまる場合はトレーニング量を見直しましょう。
- 挙上重量の停滞
- 集中力の低下
- 慢性的な関節痛
- 風邪っぽい
- ジムに行く気がおきない
- 睡眠の質の悪化
- 安静時心拍数の増加
- 食欲の低下
まとめ:自分に合ったトレーニング方法を知りたいなら公式LINEで相談を!
今回の調査から、毎日の筋トレは必ずしも逆効果にならないことがわかりました。
ただし、ウエイトトレーニングでハードに追い込む場合は、少し効率が低下する可能性があります。
毎日ウエイトを担ぎたい人は、トレーニングプログラム・食事・睡眠をケアしましょう。
とはいえ、今回紹介したケア方法はあくまで一般論にすぎません。適切なトレーニングプログラムや食事法は個々人によって異なります。
もし自分に合ったトレーニングや食事、サプリメントを知りたい場合は、ナイトプロテインの公式LINEをご活用ください。
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