監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。
執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
減量期に筋肉量を維持するには?食事の基本を解説
立派な筋肉の付いた体を目指すためのボディメイクでは、増量期と減量期を交互に取り入れることが推奨されています。増量期や減量期における体重の増減を減少させるためには、トレーニングに加えて食事管理が非常に重要です。
ボディビルダーの減量期は、コンテスト前に体を引き締めて、筋肉を形よく見せるために設けられます。体脂肪はより多く落としたいものの、筋肉の減少はできるだけ防ぎたいものです。
そのため減量期においては、減少した体重のうち、体脂肪の割合をより多く、筋肉の割合をより少なくすることが目標となります。
トレーニングだけでは効率的に体脂肪を落とせません。
2011年にアメリカの南イリノイ大学から発表された論文では、週5日、6週間に及ぶ腹筋トレーニングを行ったところ、筋持久力は大幅に向上したものの、腹部を中心とした皮下脂肪の減少は確認できなかったと報告されています出典[1]。
トレーニングと食事管理を組み合わせることで、体脂肪の減少と筋肉量の維持を両立しやすくなります。減量期に推奨される食事内容について、まずはカロリーや栄養素のバランスを確認しましょう。
カロリーバランス
減量期には当然ながら摂取カロリーを減らして体重を落とす必要があります。しかし筋肉を維持しながら体重を落とすには、カロリー制限が過度になりすぎないよう注意しなければいけません。
まずはカロリー制限と減少した体重、体重に占める徐脂肪体重の割合を調べた研究を2つ比較してみましょう。
【カロリー制限食の体重等への影響】
カロリー制限 | 期間 | 体重減少量 | 減少のうち 筋肉の割合 | |
2003年、アメリカ 南イリノイ大学出典[2] | 40%カット食 | 30日 | 3.3kg | 58% |
2009年、アメリカ ルイビル大学出典[3] | 25%カット食 | 3か月 | 6㎏ | 33% |
このように、消費エネルギーから40%カットした過度な制限食では、短期間で体重を大きく落とせるものの、同時に筋肉も失われやすいことが分かります。
過度なカロリー制限により筋肉が減りやすくなる理由として、テストステロンの減少が考えられます。
2010年に行われたフィンランドの研究では、アスリートが1kg/週の減量を4週間行った場合、血清テストステロンが30%も減少し、ベンチブレスの強度も5%減少したと報告されています。一方、0.5kg/週の減量ではテストステロンの減少は3%に留まっていました出典[4]。
テストステロンは筋肉の合成効率を高めたり、やる気や活力を高めたりする重要なホルモンです。急激な減量によるテストステロン濃度の低下は、筋肉量の維持を難しくするばかりでなく、トレーニングの効率を落とすことにも繋がります。
除脂肪体重を維持しやすいカロリー制限の目安として、消費カロリーから500~700kcalほど少なくなるような設定が推奨されています出典[5]。減量ペースが緩やかであるほど筋肉やテストステロンの低下を抑えられます。
理想体重との差とコンテストまでの期間を見ながら、減量期に入るタイミングを調節しましょう。
合わせて読みたい:効果大!筋トレ効率を高めるテストステロンサプリの摂り方
PFCバランス
体脂肪を落として筋肉を増やしたい場合、カロリー調整に加えて栄養素のバランスを整えることも重要です。
私たちが必要とする栄養素のうち、エネルギーの原料となるたんぱく質、脂質、炭水化物を「エネルギー産生栄養素」と呼びます。エネルギー産生栄養素の比率を調節することで、体脂肪を効率的に落とし、筋肉量の低下を抑える効果が期待できるでしょう。
減量期におけるたんぱく質:脂質:炭水化物のバランスは、全体を100とした場合、25~30:15~20:50~60が理想と考えられています。
それぞれの栄養素の必要性や調整の注意点について、詳しく解説しましょう。
たんぱく質
たんぱく質は1gあたり4kcalのエネルギーを持つ栄養素であり、動物性食品や豆類から効率よく摂取できます。
【食品100gあたりのたんぱく質量(日本標準食品成分表(八訂)増補2023年版より)出典[6]】
食品 | たんぱく質量(g) |
肉類 | 15~25 |
魚類 | 17~25 |
貝類 | 5~20 |
卵類 | 10~12 |
牛乳・豆乳・ヨーグルト | 3~4 |
豆腐 | 5~7 |
納豆 | 約16 |
たんぱく質の密度が高く、摂取に効率的な食品はやはり肉類や魚類です。しかし脂身の多い部位を用いるとカロリーや脂質の過剰摂取につながるため、種類や部位を選ぶことが重要になるでしょう。
筋肉量を維持したい場合、少なくとも体重1kgあたり1.6gのたんぱく質が必要です。さらに増やして2.3g/kg摂取すると除脂肪体重の減少をより抑えられたという報告が、2010年にイギリスのバーミンガム大学から発表された論文により示されています出典[7]。筋肉量を維持しやすくするためには、2.3g/kgの摂取がより効率的と考えられるでしょう。
一方で、腹筋を割るためにはたんぱく質の摂りすぎも問題です。正確にはたんぱく質を摂りすぎることにより、脂質や炭水化物を十分に摂れなくなることが筋肉量の減少に繋がると考えられているのです。
2014年にニュージーランドのAUT大学から発表された論文において、アスリートがたんぱく質の摂取比率を総カロリーの28%から32~33%まで増やしたところ、除脂肪体重が1kg減少したと述べられています出典[8]。
たんぱく質は私達の体内で、満腹感に関わる消化管ホルモンの分泌を増やす性質があります。先程の研究でも、脂質や炭水化物を十分量摂取できなかったことが、除脂肪体重減少の原因になったのではと考察されています。
脂質や炭水化物を必要量摂取できるよう、減量期には2.3~3.1g/kgの範囲での摂取が推奨されています出典[8]。エネルギー比率が全体の30%を大きく上回らないよう、この範囲でたんぱく質量を調節しましょう。
脂質
脂質は1gあたり9kcalと、たんぱく質や糖質の4kcal/gに比べて非常にカロリー効率がよい栄養素です。肉や魚の脂身、チーズや生クリームなどの乳製品、調味料などが主な摂取源となります。減量期においてはカロリーの摂りすぎを防ぐため、脂身や乳製品は控えるようにしましょう。
体脂肪を落としたい場合には、脂質量のカロリー比率を全体の15~20%に抑えましょう。カロリー密度の高い脂質を控えることで食事量を減らさずに済み、ストレスなくカロリーカットが行えます。
また、体脂肪や体重を増やしやすい脂質と、エネルギーとして消費されやすい脂質を把握しておくことも食事管理には重要です。
肉類に豊富な飽和脂肪酸、およびマーガリンやショートニングに豊富なトランス脂肪酸は、体脂肪合成や体重増加のリスクの高い脂質です。
一方で魚類の油やアマニ油、エゴマ油などのω‐3系脂肪酸、オリーブオイルのような一価不飽和脂肪酸などは、エネルギーとして優先的に使われやすい性質があります。
全ての脂質が減量期における悪者というわけではありません。絞るべき脂質と摂るべき脂質を見極めて、効率的に体脂肪を落としましょう。
炭水化物
炭水化物は1gあたり4kcalのエネルギーを持ちます。速やかに吸収されてエネルギーとなるため、トレーニング前後の栄養補給には欠かせません。
原料においては炭水化物を控える必要があると考えるかもしれませんが、過度な制限はトレーニングの効率を下げてしまいます。炭水化物からのエネルギー供給が滞ると、体は食事由来のたんぱく質や筋肉のたんぱく質を分解してエネルギーを得ようとします。
食品や筋肉のたんぱく質を守るため、エネルギー源である炭水化物の過度な制限は避けるべきでしょう。
2013年にブラジルのアラゴアス連邦大学から発表された論文では、炭水化物の比率を25%まで落とすと、運動パフォーマンスが著しく低下したと報告されています出典[9]。このように、炭水化物の比率が総カロリーの半分を大きく下回るような極端な制限は、トレーニングの効率を落としてしまうようです。
炭水化物は、全体のカロリーからたんぱく質と脂質を差し引いた残りで摂ることになります。たんぱく質量を増やしすぎて、炭水化物の摂取が抑えられることのないよう気を付けましょう。
食事回数
体重を増やす増量期においては、食事回数を増やすことで自然と食事量が増えるような調整を一般に行います。そのため減量期においては食事回数を減らすことで自然と食事量を減らしたいと考える方がいるかもしれません。
しかし減量期においても、3食以外のタイミングで補食を取り入れることは重要です。
補食の意義は、トレーニング時の栄養補給と、筋肉の分解を防ぐことにあります。
トレーニング前に炭水化物食品を取り入れることで、筋グリコーゲン貯蔵に役立ちトレーニングの効率を上げる効果が期待できます。
高たんぱく質食品は、筋肉の消耗が激しいトレーニング後や、長時間たんぱく質を摂取できず筋肉の分解が起こりやすい睡眠前に摂るとよいでしょう。
このように、栄養素を補給したいタイミングは3食のほかにも複数あります。トレーニングの効率化や筋肉量の維持のためには、5~6回の頻回食が推奨されるでしょう。
頻回食では摂取カロリーが増えやすいため注意が必要です。2022年にアメリカで発表された論文においては、1日6食以上食べるグループは1日3食のグループよりも総エネルギー摂取量が76~330kcalほど多かったと報告されています出典[10]。
全体のカロリーから1回量を計算し、多めに摂りすぎることのないよう調整しましょう。
減量期に避けたい食品5選
減量期においては限られたカロリーから良質な栄養素を摂取する必要があります。体脂肪の合成や筋肉量の減少を防ぐため、摂取を避けるべき食品も少なくありません。
そこで今回は、減量期に食べるのはリスクの高い食品として5種類紹介します。減量期の間だけでも食べるのをやめることで、ボディメイクの効率が大きく上がるはずです。
ボディメイクをしている方でこれらの食品の摂取頻度が多い場合には、食事内容を見直してみましょう。
1.揚げ物
基本的に、衣をつけて油で揚げた食品は高脂質高カロリーになることを覚えておきましょう。調理法でカロリーや脂質が大きく異なる例として、2つの食品を取り上げ比較します。
【豚肉100gあたりの栄養素(日本標準食品成分表(八訂)増補2023年版より)出典[6]】
カロリー(kcal) | 脂質(g) | |
豚ロース肉(焼き) | 310 | 22.7 |
豚ロース肉(とんかつ) | 429 | 35.9 |
ただでさえ脂身が多い豚ロース肉は、とんかつにすることでさらに脂質量が増えてしまいます。
【エビ100gあたりの栄養素(日本標準食品成分表(八訂)増補2023年版より)出典[6]】
カロリー(kcal) | 脂質(g) | |
ブラックタイガー(養殖) | 77 | 0.3 |
えびフライ | 236 | 11.6 |
生の状態では低脂質であったはずのエビも、揚げ物にすることで一気にカロリーと脂質量が増えることが分かるでしょう。
揚げ物を献立に取り入れると、脂質のカロリー比率を15~20%に抑えることは難しくなります。減量期における適切なPFCバランスを保つため、揚げ物のメニューは避けるべきでしょう。
また、揚げ物の脂質は長時間の高温加熱により酸化を受けています。酸化した脂質は体の細胞にダメージを与えるため、筋肉の成長や疲労回復の妨げになり、トレーニングの効率を落としてしまいます。
肉は焼き調理、魚は刺身や煮込みでの摂取が脂質摂取量を抑えるカギとなります。良質な高たんぱく質食品である肉や魚を摂取する際は、調理法にも十分注意しましょう。
2.超加工食品
超加工食品とは、カップ麺や冷凍ピザ、菓子パンにスナック菓子など、既におおよその調理がされている食品のことです。お湯を注いだり電子レンジで解凍したり、あるいは袋を開けるだけで食べられるため、頻繁に活用されている方もいるかもしれません。
しかしこのような食品は基本的に高糖質かつ高脂質です。減量期において積極的に摂りたいたんぱく質の摂取には適しておらず、脂質量としては明らかに過剰です。
また、カップ麺やスナック菓子は高塩分食品でもあります。高糖質・高脂質・高塩分の濃い味付けは食欲を増進させる性質が強く、つい食べ過ぎてしまいがちです。超加工食品自体が高カロリーであることに加え、食べ過ぎにより量が増えればカロリーオーバーは避けられません。
さらに、スナック菓子やカップラーメンなどの超加工食品にはトランス脂肪酸がよく含まれています。トランス脂肪酸は体重増加と非常に相関の高い脂肪酸です出典[11]。減量の妨げとなるため、体重を落としたい場合には意識して避けるべきでしょう。
残念ながら、超加工食品はボディメイクの妨げにしかなりません。カップ麺やスナック菓子の摂取が習慣化している方は、まずこれらの食品を断ち切るところから始めましょう。
インスタント食品やスナック菓子のコーナーへ立ち寄るのをやめる、自宅への買い置きをしない、などの意識付けで、毎日の食生活から超加工食品を取り除きましょう。
3.サーロインやバラ肉
肉類はたんぱく質密度の高い食品であるため、減量期におけるたんぱく質源として非常に重要です。
しかし肉類の中にはたんぱく質以上の脂質を含むものもあります。脂質の摂取量を抑えて効率的に体脂肪を落とすため、食べる肉の部位や種類の選び方を工夫してみましょう。
肉の種類や部位におけるカロリーと脂質量を簡単に比較すると次のようになります。
【肉類100gあたりの栄養素(日本標準食品成分表2020年版(八訂)より)出典[6]】
カロリー(kcal) | 脂質(g) | |
牛サーロイン | 273 | 23.7 |
牛ばら肉 | 338 | 32.9 |
牛もも肉 | 176 | 10.7 |
牛ヒレ肉 | 123 | 4.8 |
豚ばら肉 | 366 | 35.4 |
豚かたロース肉 | 237 | 17.1 |
豚ヒレ肉 | 118 | 3.7 |
鶏もも肉(皮なし) | 119 | 5.0 |
鶏むね肉(皮なし) | 113 | 1.9 |
牛サーロインや牛ばら肉、豚ばら肉には脂質が多量に含まれており、カロリーを押し上げる原因となっています。ステーキや焼肉などの焼き調理は脂質をカットする方法として優秀ですが、すべての脂を溶かし落とせるわけではないため注意すべきでしょう。
柔らかいサーロインやばら肉の食事が習慣化している方は、カロリーと脂質量の調整のため、脂質の少ない部位の摂取に切り替えましょう。
良質なたんぱく質源として肉類の摂取を積極的におこないたい場合には、牛ヒレ肉やもも肉、豚ヒレ肉の摂取がおすすめです。鶏もも肉や鶏むね肉も高たんぱく低脂質の食品ですが、高脂質である皮は取り除いて調理しましょう。
4.清涼飲料水
コーラやサイダーのような清涼飲料水は、いわば炭酸ガスの入った糖液です。液体としての糖は消化の必要がほぼないため、血糖値を急激に上げてしまいます。
血糖値の上昇に伴い分泌されるインスリンというホルモンは、血中の糖を中性脂肪に変えて体へ蓄積するよう働きかけます。
とくに炭酸飲料には私たちが舌で感じられる甘さ以上の砂糖が含まれているため、血糖値が上がるスピードも、その上がり幅も大きくなりやすいのです。体脂肪合成のリスクが非常に高い飲み物であるため、常飲は絶対に避けるべきです。
さらに砂糖入り飲料を頻繁に摂取していると、砂糖や甘いものへの依存が生じやすくなります。
2018年にアメリカのカリフォルニア大学が発表した論文では、砂糖入り飲料を習慣的に摂取する10代の若者が一時的に砂糖入り飲料断ちをすると、砂糖摂取量が1日あたり80gも減少したという結果が得られています出典[12]。
また、砂糖入り飲料の制限中、参加者にはモチベーションや満足感、集中力、全体的な幸福度などの低下が見られました。砂糖入り飲料には依存性があり、継続摂取により砂糖への欲求も高まることが分かるでしょう。
砂糖入り飲料の摂取の習慣化は、体脂肪合成のリスクを高めることに加え、精神面のパフォーマンスを損なう要因にもなります。身体的にも精神的にも良好な状態でボディメイクを成功させるため、清涼飲料水は控えましょう。
5.アルコール飲料
ボディメイクや筋力トレーニングとアルコール飲料との相性は残念ながらよくありません。減量期に限らず、ボディメイクを考える方は思い切って禁酒するのが最適解と言えるでしょう。
アルコールの問題点として次の4点が考えられます。
- アルコール自体のカロリーにより体脂肪合成のリスクが増加する
- テストステロンを減らして筋肉の合成効率を下げる
- コルチゾールを増やして筋分解を促進させる
- 睡眠の質が下がり筋肉の合成効率や疲労回復効率が大きく下がる
アルコール自体にもカロリーが含まれるほか、ビールや日本酒、ワインのような醸造酒からは糖類も同時に摂取することになります。体脂肪合成のリスクを高める高カロリーな飲料である点をまずは覚えておくべきでしょう。
加えてアルコールには、テストステロンを減らしてコルチゾールを増やす作用があります。
2019年にイタリアのパレルモ大学から発表された論文では、運動後のアルコール摂取により、運動で上昇したストレスホルモンのコルチゾールが下がりにくくなること、テストステロンが減少することが確認されています出典[13]。
テストステロンは筋肉の合成効率を高めるホルモンですが、コルチゾールはストレスホルモンとして筋肉の分解を促す性質を持ちます。筋肉を維持したまま体重を落としたい減量期において、筋肉の維持を困難にして分解を促すアルコールは大敵と言ってもよいでしょう。
また、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドは交感神経を活発にするため、夜の眠りが浅くなってしまいます。さらにアルコールには利尿作用もあるため、尿意から夜中や早朝に目覚めてしまう可能性も考えられるでしょう。アルコール飲料により十分な睡眠が確保できなくなると、筋肉の合成や疲労回復の効率も大きく落ちてしまいます。
このように、アルコール飲料には様々な悪影響が想定されます。減量期においては禁酒に努めるのが理想的ですが、難しい場合は以下の点に注意して飲みましょう。
- 寝る4時間前に飲み終えられるよう、タイミングを調整する
- ウイスキーや焼酎のような、糖質を含まない「蒸留酒」を選ぶ
- 1回の飲酒量は1合以下に
- 週に何度かお酒を飲まない「休肝日」を設ける
アルコールの影響を最小限に留めるため、お酒を飲む機会がある場合にはぜひ意識してみてください。
減量期の食事メニュー1週間分を紹介
それではここまでのカロリー量やPFCバランス、避けるべき食品を踏まえて、減量期のメニュー例を1週間分紹介しましょう。
1日にどれだけのカロリーが必要であるかは消費エネルギーにより異なりますが、今回は以下の設定で献立を組んでいます。
- 1日2200kcalの摂取(消費エネルギー2800kcalと想定し、-600kcalのカロリーカット)
- 1食あたり500kcal前後(補食を2~3回挟むことを想定)
- PFCバランスは25~30:15~20:50~60
自身の消費エネルギーを計算し、この値から大きく異なる場合には主菜や主食の量を調節しましょう。
1日目
<朝食:420kcal、P32g、F9g、C56g=30:20:50>
- オートミール粥(卵と鶏ささみ) 200g
- ワカメスープ 180g
- バナナ 80g
- 低脂肪乳 200mL
<昼食:510kcal、P32g、F9g、C56g=26:17:57>
- おにぎり2つ 200g
- 焼き鮭 80g
- ブロッコリーとタコのサラダ 150g
- 冷奴 100g
<夕食:490kcal、P33g、F10g、C63g=30:20:50>
- 五穀米 150g
- 焼き鳥 150g
- ほうれん草のおひたし 80g
- 根菜の味噌汁 180g
2日目
<朝食:440kcal、P34g、F8g、C65g=31:16:53>
- しらす混ぜ玄米 165g
- 焼き鮭 80g
- 豆腐入り味噌汁 200g
<昼食:530kcal、P35g、F9g、C76g=26:14:60>
- 納豆巻き2本 220g
- サラダチキン 120g
- 海藻サラダ(ごまドレッシング) 100g
<夕食:500kcal、P34g、F9g、C62g=28:15:57>
- 玄米 150g
- 豚ヒレステーキ(付け合わせに玉ネギ) 150g
- 豆腐とワカメの味噌汁 180g
3日目
<朝食:420kcal、P32g、F9g、C56g=30:20:50>
- オートミール粥(トマトと鶏ささみ) 200g
- 卵スープ 180g
- バナナ 80g
- 低脂肪ヨーグルト 150g
<昼食:490kcal、P35g、F9g、C72g=30:17:53>
- 玄米 150g
- カツオのたたき 100g
- なすとカボチャの焼き浸し 100g
- アサリの味噌汁 150g
<夕食:500kcal、P28g、F10g、C66g=25:20:55>
- チキンリゾット 300g
- ミネストローネ 200g
4日目
<朝食:490kcal、P29g、F15g、C65g=24:27:49>
- 玄米 200g
- しらす入り卵焼き 50g
- 葉物野菜の味噌汁 180g
<昼食:510kcal、P31g、F9g、C82g=24:16:60>
玄米 150g
- 鶏つくね豆腐バーグ 200g
- ニンジンとゴボウのきんぴら 100g
- リンゴ 50g
<夕食:460kcal、P27g、F12g、C56g=28:23:49>
- カレーオートミール 300g
- ミネストローネ 200g
5日目
<朝食:400kcal、P32g、F9g、C51g=32:20:48>
- オートミール粥(卵と鶏ささみ) 200g
- ワカメスープ 180g
- キウイ 100g
- 低脂肪乳 200mL
<昼食:480kcal、P36g、F7g、C74g=30:13:57>
- しらす混ぜおにぎり 165g
- バンバンジー 200g
- 根菜の味噌汁 180g
<夕食:490kcal、P32g、F12g、C69g=27:22:51>
- 水炊き(鶏肉、野菜類など) 300g
- 雑炊(玄米と卵) 150g
6日目
<朝食:440kcal、P34g、F8g、C65g=31:16:53>
- しらす混ぜ玄米 150g
- 焼き鮭 80g
- 豆腐入り味噌汁 200g
<昼食:520kcal、P32g、F9g、C82g=25:16:60>
- 玄米 150g
- 鶏つくね豆腐バーグ 150g
- ブロッコリーとコーンのサラダ 100g
- みかん 100g
<夕食:480kcal、P25g、F10g、C83g=21:19:61>
- 玄米 150g
- サワラと香味野菜のポン酢蒸し焼き 150g
- さつまいもときのこの味噌汁 180g
7日目
<朝食:440kcal、P32g、F9g、C56g=29:19:52>
- オートミール粥(卵と鶏ささみ) 200g
- ほうれん草と大根のスープ 180g
- バナナ 80g
- 低脂肪乳 200mL
<昼食:470kcal、P30g、F9g、C69g=26:17:57>
- キャベツの海鮮お好み焼き(小2枚) 300g
- 卵とワカメのスープ 180g
<夕食:500kcal、P34g、F11g、C58g=29:20:51>
- 全粒粉小麦パン 60g
- 牛ヒレステーキ 120g
- サラダ 150g
カロリー・PFCバランスを計算して緩やかな減量を!
減量期においては体重と体脂肪を落としつつ、増量期で増やした筋肉量をいかに落とさず維持するかが課題となります。以下のポイントに注意することで、適切な減量が行えるでしょう。
- 体重減少は週0.5~1kgのペースで
- 消費エネルギーから500~700kcalカット
- PFCバランスは25~30:15~20:50~60を目安に
- 少量頻回食を心掛け、たんぱく質を均等に摂取する
実際の食事への実行においては、いかに脂質をカットするかがカギとなります。脂身のある肉類の使用はもちろん、牛乳や卵の多用もPFCバランスを脂質に偏らせる原因となります。高たんぱく低脂質な食品を意識して摂り入れましょう。
減量ペースを緩やかにすれば、筋肉の減少を最小限に抑えられます。コンテストまでの期間と必要な体重減少量とを考え、適切なカロリー制限で理想の体重に運べるよう計画を立てましょう。
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