執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
はじめに
私達には、ウイルスや細菌による疾病から体を守るためのシステム、免疫が備わっています。免疫は体調を脅かされないようにする働きがありますが、一方で免疫自体も体調を整えなければ十分にその力を発揮できません。この記事ではそうした免疫力を高めるための手段のひとつ、食事からのアプローチについて紹介します。
そもそも免疫とは
ウイルスや細菌といった病原体が体内に侵入したとき、体にはそれを「異物」として排除しようとします。そのための防御システムは以下の3つに大別されます。
- 物理的・生化学的防御:皮膚、あるいは消化管や呼吸器の上皮のような物理的な壁や、胃酸のような分泌液などを指します。病原体を体内に入れないようにしたり、病原体をpHの作用により死滅させたりする役割を担います。
- 免疫細胞:造血幹細胞から分化した多種類の細胞であり、白血球中に存在しています。病原体を取り込んだり、異物の侵入を伝えたり、細胞の過剰な攻撃を抑制したりと様々な役割を持ちます。
- 抗体:免疫グロブリンというたんぱく質であり、体はこのたんぱく質を目印として異物に結合させます。この目印によってマクロファージなどの免疫細胞が病原体を除去しようとします。
これら免疫力は身体の様々な状態の影響を受けます。不規則な生活による自律神経の乱れ、過食や欠食などの偏った食生活、ストレスや疲労、他の疾病による体力の消耗などにより免疫力は低下するため、日頃から体調を整え、免疫力を維持することが重要です。
栄養不足は免疫機能を低下させる
私達が摂取する栄養素は、様々な防御システムの支えとなっています。免疫細胞が正常に働くため、十分な栄養素の補給は欠かせません。また良質な食品から得られる乳酸菌、および食物繊維やオリゴ糖などの栄養素は腸内環境を整えます。これにより腸壁の物理的防御が十分に機能し、免疫力の向上に繋がることが判明しているのです。
栄養不足はこれらの免疫機能に大きな影響を与えます。栄養素をエネルギーとして活躍する免疫細胞の働きが鈍り、免疫細胞が活性化されなくなるほか、乳酸菌、食物繊維、オリゴ糖などが不足することにより腸内環境が崩れてしまいます。
また食物を十分に摂取することは消化管の状態維持にも不可欠です。長期間の欠食が続き消化管が使われない状態になると、消化管上皮のバリア機能が大きく損なわれ感染しやすい状態になってしまうのです。そのため、口からの食物の摂取が困難となった高齢者は免疫力が落ちやすく、感染リスクを上げるとしてケアの大きな課題となっています。
免疫細胞を活性化させ、腸内環境や腸壁を良好な状態に保つため、日頃から過食や欠食をせず、バランスのよい食事を心掛けて五大栄養素を不足なく摂取しておくことが重要です。
免疫を高める食べ物15個
免疫力の維持・向上には、過不足なく栄養素を摂取することと腸内環境を整えることが重要です。また、ある特定の免疫細胞の数を増やしたり、細胞を活性化させたりすることで免疫力を高められる栄養素も幾つか明らかになっています。以下ではそうした特定の免疫細胞に作用する栄養素を多く含む食品や、腸内環境を整えるために有益となる食品、また現代の食生活において不足しがちな栄養素を多く含む食品、などについて紹介します。
サーモン
サーモンなどの魚類にはEPAやDHAなどのω-3系脂肪酸が豊富に含まれています。強い抗酸化作用を持つことで知られるω-3系脂肪酸ですが、免疫細胞のための栄養素としても非常に有用であるとして注目されつつあります。
免疫には、私達が生まれながらにして持っている「自然免疫」と、ワクチンの摂取や一度目の感染によって得られる「獲得免疫」とがあります。ω-3系脂肪酸の投与によって、自然免疫に関わるNK(ナチュラルキラー)細胞やマクロファージ、獲得免疫に関わるB細胞やヘルパーT細胞、などの分化や増殖が促進されることが明らかになっています出典[1]。自然免疫と獲得免疫、どちらの細胞に対しても有効に働き、また炎症を抑えることで疾病の重症度を軽減できる可能性があるω-3系脂肪酸は、免疫力を高める栄養素として適していると言えるでしょう。
和食でも洋食でも様々な形で食べられているサーモンですが、ω-3系脂肪酸は加熱に弱く、揚げ物や炒め物などの高温調理では特に壊れやすくなっています。ω-3系脂肪酸をより効率よく摂取するためには、刺身など、生の形で摂取できる料理を選ぶようにするとよいでしょう。
ブルーベリー
ブルーベリーに含まれるフラボノイドというポリフェノールは、酸化ストレスの低減による集中力の向上や血流の改善など、様々な効果が期待できる成分です。このフラボノイドが免疫系にもたらす効果について、幾つかの研究により述べられています。
ブルーベリーの摂取による免疫細胞への影響を調べたランダム化比較試験において、ブルーベリー250gの摂取を6週間続けた群は、摂取しない群と比較して、自然免疫に関わる細胞であるNK細胞の数が有意に増加したことが明らかになりました。
また激しい運動後にブルーベリーを摂取した群とそうでない群との比較においては、運動後に増える酸化ストレスや炎症状態が摂取群において低く抑えられていたことも分かっています。ブルーベリーの持つ抗酸化作用と抗炎症作用により、免疫細胞や抗炎症性サイトカインが活性化され、免疫力を高めたり過剰な炎症を抑えたりする効果があるとして注目されています出典[2]。
ブルーベリーは凍結させることにより細胞膜が壊れ、フラボノイドをより吸収しやすい状態で摂取できるようになります。保存も利くため冷凍ブルーベリーを常備しておき、毎日食べるようにするとよいでしょう。
アボカド
アボカドは果物の中でも群を抜いて脂質が豊富であり、その中でもオレイン酸やビタミンEの持つ抗酸化作用が、免疫力の維持や過剰な炎症の抑制には有効に働きます。
オレイン酸は不飽和脂肪酸であり、酸化されやすいデリケートな脂肪酸です。しかしオリーブオイルやアボカドはポリフェノールを多く含んでいるため、不飽和脂肪酸の中では酸化されにくく、抗酸化物質として体内に入りやすいという特徴があります。
不飽和脂肪酸やビタミンEなどの抗酸化物質は酸化ストレスの低減に役立ちます。酸化ストレスにより蓄積された体へのダメージは炎症反応の引き金となるため、抗酸化物質を摂取することは免疫の増強や炎症のコントロールに重要であると言えるでしょう。
アボカドの脂質は良質ではありますが、摂りすぎるとカロリー過多など別の問題を招いてしまいます。アボカドの摂取を習慣化したい場合には1日半分、2日で1個を消費するペースを目安にしてみましょう。
キノコ類
免疫力を高めるためにキノコ食品を、という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。キノコ類を食べることには大きく二つのメリットがあります。
一つ目は腸内環境を良好に保てるという点です。キノコ自体が「菌食材」であるため、腸内に有益な菌を摂取できるプロバイオティクスとして優秀です。またキノコに含まれる食物繊維は有益な菌のエサとなるため、プレバイオティクスとしての効果も期待できます。
二つ目はキノコの食物繊維が持つ生理活性化合物により、免疫細胞の活性化が期待できるという点です。キノコに含まれる食物繊維成分であるβグルカンの作用について調査したランダム化比較試験において、しいたけ由来のβグルカンを6週間摂取した群では、摂取していないプラセボ群よりも、獲得免疫に関わるB細胞が有意に増加したという結果が得られています出典[3]。日本ではβグルカン由来の成分が抗がん剤として既に使用されており、がんに対する免疫効果も実証されています。
腸内環境を整える効果はどのキノコでも十分に得られますが、βグルカンによる免疫増強効果を期待したい場合は、含有量の多いしいたけでの摂取をオススメします。
柑橘系の果物
柑橘系の果物にはビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは皮膚や粘膜を健康的に維持するために必要な栄養素であり、病原体から体を守るための物理的防御を高めるために有用です。
またビタミンCは優れた抗酸化作用を持ち、酸化ストレスによる損傷や炎症性サイトカインの発生を防ぐことができます。更に白血球やリンパ球など免疫に関わる血液成分はビタミンCを多く含んでいるため、ビタミンCを十分に摂取することはこれら免疫細胞の活性化に役立つと言えるでしょう。
野菜にも豊富なビタミンCですが、熱に弱く水に溶出しやすいため、茹で調理や揚げ物などの高温調理ですぐ失われてしまいます。そのため野菜だけでビタミンCを十分量摂取することは難しく、果物を食べる習慣がない場合には不足しがちであるため注意が必要です。柑橘系を中心とした生の果物を毎日の食事に取り入れ、ビタミンCの不足を防ぎ、免疫力の向上に役立てましょう。
ブロッコリー
ブロッコリーはビタミンEやビタミンCなど、抗酸化物質として機能するビタミンを豊富に含みます。加えてブロッコリーなどのアブラナ科の野菜に含まれる成分、スルフォラファンの有用性についても注目したいところです。
スルフォラファンはブロッコリーやキャベツなどに含まれる辛み成分で、強力な抗菌作用と抗酸化作用を持ちます。血管や細胞へのダメージを軽減し、炎症性サイトカインの産生を抑えて免疫力を維持することができる食品として、積極的に摂取したいところです。
また、スルフォラファンの持つ抗がん作用についても注目が高まっています。マウスあるいはヒトを対象とした試験が複数行われており、胃がんや皮膚がん、大腸がんや膵臓がんなどの進行を阻止する可能性があるとして注目されています。
ブロッコリーは「株」の形ではなく、ブロッコリースプラウトと呼ばれる「芽」の形で食べるとより多くのスルフォラファンを摂取できます。カイワレ大根と同じ感覚でトッピングしたりサラダに混ぜたりすると手軽に食べられ、より効果が期待できるでしょう。
ほうれん草
ほうれん草はビタミンCやビタミンEの優秀な供給源ですが、更にβカロテンというカロテノイドもまた、免疫力の向上に役立つ成分として豊富に含まれています。
βカロテンは「プロビタミンA」とも呼ばれており、体内で必要に応じてビタミンAに変換されます。ビタミンAには皮膚や粘膜を保護し丈夫に保つ効果があるため、肌はもちろんのこと、消化管や肺など外気に接する部分の物理的防御を高めるために役立ちます。
ほうれん草は茹でることでかさが減り食べやすくなりますが、ビタミンEやβカロテンは脂溶性であり、油と一緒に摂取することで吸収率が増すため、炒め物などに活用するとよいでしょう。またビタミンCは夏物と冬物で含有量が変わり、低温で育った冬物の方がビタミンCが豊富です。ビタミンCは水溶性であり水に溶出してしまうため、スープでの摂取をオススメします。
キウイ
果物の中でも、キウイはビタミンCやビタミンE、カロテノイドなどの抗酸化物質を豊富に含んでおり、酸化ストレスの低減や炎症性サイトカインの産生抑制に役立ちます。またキウイには食物繊維が豊富であり、腸内環境の維持に貢献してくれる食品でもあります。
キウイの食物繊維における特徴は、ペクチンとアラビキシランと呼ばれる成分を豊富に含むという点です。ペクチンは腸内で短鎖脂肪酸に変換され、腸内を酸性環境にして善玉菌を増殖しやすくします。アラビキシランは善玉菌のエサとなり増殖を促すプレバイオティクスとして機能します。
また、ペクチンからなる短鎖脂肪酸のうち、酪酸はデフェンシンと呼ばれる自然免疫に関わる成分を活性化するため、消化管免疫のより一層の強化が期待できます。
キウイには実が黄色いサンゴールドキウイと緑色のグリーンキウイがありますが、グリーンキウイの方が倍程度の食物繊維を含んでいます。ペクチン等による免疫作用を期待する場合は、グリーンキウイを選んで食べるようにしましょう。
ヨーグルト
ヨーグルトは言わずと知れた発酵食品であり、乳酸菌の摂取により腸内環境を整えるプロバイオティクスの効果が期待できます。乳酸菌は長期間、腸に留まることはできないため、プロバイオティクスの効果を得たい場合には毎日継続して食べるようにしましょう。
また、ヨーグルトなどの動物性食品にはビタミンDも含まれています。ビタミンDは免疫細胞を活性化する働きがあり、特に気道上皮での抗菌ペプチドの産生をサポートするため、呼吸器系の感染症予防に役立つとされています。
ビタミンD欠乏と呼吸器系の感染症リスクとの関係については結核やインフルエンザなど、複数の疾病において明らかになっています。新型コロナウイルスにおいても、ヨーロッパの20か国の感染者と血中のビタミンD濃度との関連を調べた結果、罹患率や死亡率の高い国ほどビタミンD欠乏者の割合が高いことが判明しています出典[4]。
ビタミンDは魚類に最も豊富ですが、毎日魚を欠かさず食べるのはやや難易度が高いかもしれません。ヨーグルトであれば食後のデザートや間食として取り入れやすいため、供給源としてオススメです。
ニンニク
ニンニクにはビタミンやミネラルなど栄養が豊富であるほか、抗酸化作用や抗炎症作用を有する食品であることも分かっており、免疫力を高めるほかにも、疲労回復や腸内環境の改善などが期待できます。
ニンニクには、辛みや匂いの成分であるアリシンを始め、様々な生理活性物質が含まれています。これらは強い抗酸化作用や抗菌作用を持つとともに、免疫力を向上させる可能性があるとして、様々な研究が進んでいます。
ニンニク抽出物と免疫との関連を調べたランダム化比較試験においては、ニンニクエキスを摂取した群において、免疫細胞であるNK細胞やT細胞が有意に増加していました。摂取群においては風邪やインフルエンザの重症度も低下しており、確かな免疫力の向上が確認できています出典[5]。
免疫力向上に大きな効果が期待できるニンニクですが、強い臭いのためやや摂取が難しい食品でもあります。しかし熟成させた黒ニンニクであれば臭いや辛みが格段に少ないため食べやすく、またポリフェノールやアリシンなどが熟成により増加しており、免疫力向上のサポートとしてより優秀です。1日1粒の摂取で十分な効果が期待できるでしょう。
ショウガ
喉の調子が悪い時に生姜湯を飲んだことがある方もいるのではないでしょうか。ショウガを摂取した際の「身体が温まる感覚」や「喉がスッキリしたような感覚」は、ショウガ特有の成分であるジンゲロールに由来するものです。
ジンゲロールは加熱や乾燥によってジンゲロンやショウガオールと呼ばれる成分に変化し、新陳代謝を高める効果、血行促進効果、殺菌効果、抗炎症効果、などをもたらします。
新陳代謝の向上や血行促進により体温が上がりますが、この体温上昇と免疫力は密接に関わっています。免疫細胞が働きやすい体温は36.5℃とされており、これより体温が上がれば免疫細胞は活性化し、逆に下がれば免疫細胞がうまく働かなくなります。風邪を引いた際に体温が上がるのは、免疫細胞を活性化させ病原体を死滅させようとしているからです。
このように、感染時に体温を上げることは免疫の観点から重要ですが、普段の体温も上げておくことで、免疫力の高い状態を維持することができます。感染症が流行する季節には体温を落とさないよう、ショウガの摂取を習慣化しておくとよいでしょう。
ターメリック
ターメリックは独特の香りとほろ苦い風味、鮮やかな黄色い色素が特徴的なスパイスです。ウコンとも呼ばれ、カレーなどの料理によく使われています。免疫力の向上に関わる成分としては、このターメリックに含まれるクルクミンが挙げられます。
クルクミンは黄色い色素を持つポリフェノールの一種です。その有効性についての研究は長年行われており、特にその抗酸化作用と抗炎症作用が注目されています。
精製したクルクミンの供給と酸化ストレスの程度を調べたランダム化試験においては、クルクミン供給群において酸化ストレスが減少したこと、抗酸化物質の活性が高まったことが明らかになっています。またクルクミン供給群では炎症に関わるサイトカインやインターロイキンといった物質が減少したことも確認されており出典[6]、抗酸化作用および抗炎症作用がクルクミンの摂取により期待できるでしょう。
ウコン茶の形でも摂取できるクルクミンですが、クルクミンは脂溶性であるため油を使った料理で摂取することで吸収率が高まります。カレーだけでなく、カレー粉を使用したソテーなどでも摂取することで、クルクミンの効果を十分に得られるでしょう。
緑茶
茶葉の生産量日本一を誇り、お茶の県としても知られる静岡では、感染予防のうがいにお茶を使用することがあるようです。このように緑茶の持つ抗菌作用は古くから知られていますが、近年ではその成分の特定と分析がより詳しく進んでいます。
茶葉の渋み成分といえばカテキンですが、カテキンにも様々な種類があり、中でもエピガロカテキンガレート(EGCG)と呼ばれる成分が注目されています。EGCGは強い抗酸化作用を持つことに加え、DNAウイルスやRNAウイルスに対する抗ウイルス活性を有しており、ウイルス感染を妨害する効果が期待できます出典[7]。
EGCGは茶葉を発酵させずに作る緑茶に最も多く含まれているため、紅茶や烏龍茶よりも緑茶を飲むことで抗ウイルス・抗菌の効果をより効率よく得ることができます。
貝類
貝類には亜鉛が豊富に含まれています。亜鉛は細胞の生成に必要な栄養素であり、免疫細胞の活性化や増殖にも欠かせません。
亜鉛は普通の食事をしている分には不足の起こりにくい栄養素ですが、過度な食事制限や欠食をしている場合には亜鉛欠乏を招いている可能性があります。また亜鉛はアルコールの摂取により排泄が増加するため、飲酒の頻度や量が多い場合にも注意が必要です。感染症の流行時には亜鉛の必要量が増すことを考え、貝類を日頃から食事に取り入れて亜鉛の不足が起こらないように気を付けましょう。
亜鉛は水溶性であり、調理の過程で水に溶けてしまいます。そのため溶出した亜鉛ごと摂取できるスープの形で食べることをオススメします。また亜鉛はビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に食べることで吸収率が上がります。貝類を食べることで既に動物性たんぱく質は摂取できているため、ビタミンCの供給源としてスープには野菜も一緒に入れるようにしましょう。
ハチミツ類
風邪を引いたときにハチミツを勧められたことはありませんか? ハチミツの持つ抗菌作用や抗酸化作用は古くから知られており、のど飴にもハチミツ由来の成分が使われることがあるなど、現在でもあらゆる食品に活用されています。
ローヤルゼリーはミツバチが女王バチのエサ用に体内で作る物質であり、厳密にはハチミツではありませんが、こちらも免疫力を高める食材として有名です。特にローヤルゼリーにのみ含まれるデカン酸という成分が強い抗菌作用を持つほか、免疫細胞を活性化する働きがあることも分かっており、免疫力の向上に役立つと考えられます。
またハチミツにミツバチ自身の分泌液が混ざった物質であるプロポリスも、免疫力を高める食品として注目されています。特に口や呼吸器の粘膜を保護する効果への評価が高く、のど飴にも使用されています。
ハチミツ、ローヤルゼリー、プロポリスはいずれもビタミンやミネラルをバランスよく含んでおり、栄養補給の手段としても適しています。料理などで使う砂糖の一部をハチミツ類に変えてみることで、毎日無理なく食べることができるでしょう。
まとめ
免疫力を高める食品について、古くから「風邪に効く」とされてきた食品たちの解説に加え、近年の研究により新しく明らかになった有効成分についても紹介してきました。これらは風邪を引いた際にももちろん有効ですが、日頃から継続的に摂取することで強い予防効果が期待できます。是非日々の食事に取り入れて免疫力を高め、感染症への罹患や重症化を防げるよう意識していきましょう。
出典
- 1.
Saray Gutiérrez, Sara L Svahn, and Maria E Johansson. Effects of Omega-3 Fatty Acids on Immune Cells. Int J Mol Sci. 2019 Oct; 20(20): 5028.Published online 2019 Oct 11.
- 2.
Lisa S McAnulty, David C Nieman, Charles L Dumke, Lesli A Shooter, Dru A Henson, Alan C Utter, Ginger Milne, Steven R McAnulty. Effect of blueberry ingestion on natural killer cell counts, oxidative stress, and inflammation prior to and after 2.5 h of running. Appl Physiol Nutr Metab. 2011 Dec;36(6):976-84.
- 3.
Jean-Michel Gaullier, Jowita Sleboda, Erik Snorre Øfjord, Elling Ulvestad, Minna Nurminiemi, Cecilie Moe, Albrektsen Tor, Ola Gudmundsen. Supplementation with a soluble β-glucan exported from Shiitake medicinal mushroom, Lentinus edodes (Berk.) singer mycelium: a crossover, placebo-controlled study in healthy elderly. Int J Med Mushrooms. 2011;13(4):319-26.
- 4.
Petre Cristian Ilie, Simina Stefanescu, Lee Smith. The role of vitamin D in the prevention of coronavirus disease 2019 infection and mortality. Aging Clinical and Experimental Research (2020) 32:1195–1198
- 5.
Susan S Percival. Aged Garlic Extract Modifies Human Immunity. Randomized Controlled Trial J Nutr. 2016 Feb;146(2):433S-436S.
- 6.
Susan J. Hewlings, and Douglas S. Kalman. Curcumin: A Review of Its’ Effects on Human Health. Foods. 2017 Oct; 6(10): 92. Published online 2017 Oct 22.
- 7.
Kunihiro Kaihatsu, Miyuki Yamabe, and Yasuhito Ebara. Antiviral Mechanism of Action of Epigallocatechin-3-O-gallate and Its Fatty Acid Esters. Molecules. 2018 Oct; 23(10): 2475.
参考文献
- 上代淑人, 清水孝雄 | イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書28版 | 丸善出版 | 2011
- 加藤保子, 中山勉 | 食品学Ⅰ 食品の化学・物性と機能性 改訂第2版 | 南江堂 | 2012年
- 武田英二 | 臨床病態栄養学 第3版 | 文光堂 / 2013年
- 香川靖雄, 近藤和雄, 石田均, 門脇孝 | 人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 各論 改訂第2版 | 南江堂 | 2013年
LINEで専門家に無料相談
365日専門家が男性の気になる疑問解決します