男性ホルモンを下げる?男性が亜麻仁油に期待できる5つの効果とは
2024年5月29日更新

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

亜麻仁油ってどんな油?

亜麻仁油とは、「亜麻」という植物の種子から抽出された油のことです。エゴマ油と並び、ω-3系脂肪酸のα-リノレン酸の含有量が高いことで知られています。

亜麻仁油の脂質における脂肪酸の内訳は次のとおりです出典[1]

脂肪酸の種類

含有量

飽和脂肪酸

9%

一価不飽和脂肪酸

18%

多価不飽和脂肪酸

73%

(うちα-リノレン酸が39~60.42%)


不飽和脂肪酸の中ではα-リノレン酸の含有量が最も高く、続いて一価不飽和脂肪酸のオレイン酸、ω-6系脂肪酸のリノール酸と続きます。

エゴマ油とα-リノレン酸の含有比率はほぼ変わりませんが、味わいにはやや違いがあります。

どちらも植物由来の青臭さがややありますが、エゴマ油の方がクセが強いため、生食にする場合には一般に亜麻仁油が適しています。同じような効果が期待できるため、味わいや香りの好みでどちらを摂るか決めてもよいでしょう。

亜麻仁にはたんぱく質や食物繊維、リグナンやβカロテン、ビタミンEが豊富ですが、亜麻仁油を精製する過程でこれらは失われています。これらの成分を摂取したい場合には、精製前の粒や粉末の状態で食べる必要があるでしょう。
 

男性が亜麻仁油に期待できる効果5選

亜麻仁油の健康効果は、ω-3系脂肪酸であるα-リノレン酸によるところが大きいようです。ω-3系脂肪酸は抗酸化・抗炎症物質として機能する必須脂肪酸であり、継続摂取によりさまざまなメリットが得られます。

男性が亜麻仁油を摂取することで期待できる効果を、ω-3系脂肪酸の特徴とともに詳しく確認しましょう。

1.降圧効果

ω-3系脂肪酸に認められている抗酸化作用は活性酸素の働きを抑えるように働き、血圧を下げる効果が期待できます。

私たちの呼吸や運動、代謝といったあらゆる生命活動は、エネルギー生成と同時に「活性酸素」と呼ばれる物質を生み出しています。過剰に蓄積した活性酸素は「酸化ストレス」となり、体のあらゆる細胞にダメージを与えます

とくに血管の細胞が傷付くと血管が柔軟性を失い、動脈硬化を引き起こすと、血圧をコントロールする力が弱まってしまいます。また動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中のような重篤な心血管疾患を引き起こしかねません。

抗酸化能力は私たちの体内にも備わっていますが、食品からも十分に摂ることでより高い高圧効果を得られます。

たとえば2022年に中国のマカオ科学技術大学から発表された論文では、1日2~3gのω‐3系脂肪酸を摂取し続けることで、収縮期血圧が約2.61、拡張期血圧が1.80低下したと報告されています出典[2]

ω-3系脂肪酸が豊富な亜麻仁油を続けて摂ることで、血管へのダメージを軽減でき、血管の柔軟性を保ちやすくなるでしょう。

 

2.血中脂質の改善

亜麻仁油に含まれるα-リノレン酸には、血中脂質のバランスを整える効果が期待できます。

2004年にアメリカのペンシルベニア州立大学から発表された論文では、α₋リノレン酸の摂取により総コレステロールが約10.3%、LDLコレステロールが約11%、中性脂肪が約8.4%したと報告されています出典[3]

中性脂肪やLDLコレステロールの増加は血液をドロドロにするため、高血圧の原因にもなります。また過剰なLDLコレステロールは体内で酸化されやすく、血管にダメージを与えて動脈硬化のリスクを高めてしまいます

同論文にて、α-リノレン酸には炎症反応のマーカーとして知られるCRPを減少させる効果も確認されています出典[3]。亜麻仁油の摂取により血液をサラサラにしたり、脂質の酸化を防いで血管へのダメージを防いだりする効果が期待できるでしょう。

 

3.血糖コントロール

亜麻仁油にはインスリン感受性を高め、血糖コントロールをサポートする効果も確認されています。

2018年にイランのイスラム・アザド大学から発表された論文では、亜麻仁油由来のω‐3系脂肪酸を摂取することで、血中インスリン値が3.9μIU/mL減少し、インスリン感受性にも有意な改善が見られたと報告されています出典[4]

α-リノレン酸を含む食品は、DHAやEPAを含む食品よりも、血糖コントロールや肥満の防止に効果が高いことで知られています出典[5]

2016年にアメリカのケンブリッジ大学で行われた研究では、α-リノレン酸の摂取量とⅡ型糖尿病の発症リスクに逆相関が見られたものの、同じω‐3系脂肪酸であるEPAやDHAの補給ではⅡ型糖尿病予防に対する有益な効果が確認できなかったと報告されています出典[6]

血糖コントロールや糖尿病予防には、食蚋由来のα-リノレン酸の習慣的摂取が有効であるようです。血糖値が気になる方は、ぜひ亜麻仁油を取り入れてみましょう。

 

4.抜け毛の改善

ω‐3系脂肪酸は抗酸化物質や抗炎症物質として機能するため、髪の健康を保つために有益に働く可能性があります。酸化ストレスを減らすことで髪へのダメージを防ぎ、若々しい髪を保つ効果が期待できるでしょう。

また、α‐リノレン酸を含む不飽和脂肪酸は5α-リダクターゼ活性を阻害する効果が確認されています出典[7]。5α-リダクターゼは男性ホルモンであるテストステロンを、ジヒドロテストステロン(DHT)に変えるように働きます。

DHTは脱毛因子と呼ばれるTGF-βの分泌を促し抜け毛を誘発するため、男性型脱毛症(AGA)の原因になると考えられています。

もちろん、健康な髪には抗酸化物質に加え、ビタミンやミネラルなどほかの栄養素のサポートも重要です。毎日の食事から髪を整える方法のひとつとして、亜麻仁油の活用を検討してみましょう。

 

5.アレルギー症状の緩和

ω‐3系脂肪酸は「n-3系」とも呼ばれ、アレルギーにおいては炎症を促進する「n-6系」と拮抗するように働きます。

アレルギーとn-3系との関係を複数の研究から分析した論文では、n-3系が自然免疫や適応免疫の過剰な活性化を抑えるように働くこと、n-3系の摂取量が多くn-6系の摂取量が少ないと、若い段階でのアレルギー発症を防ぎやすくなることが説明されています出典[8]

2022年に中国の西安交通大学から発表された論文では、α‐リノレン酸の抗炎症作用による、卵白アレルギー反応の軽減と、炎症を促すサイトカインの放出の減少が報告されています出典[9]

アレルギーによる炎症反応を抑えるため、亜麻仁油のω‐3系脂肪酸は有効に働く可能性があるでしょう。
 

亜麻仁油と男性ホルモンの関係は?

亜麻仁油は男性ホルモンを減らす、との噂を聞いたことがある方もいるかもしれません。

男性ホルモンの減少は男性においてやる気や活力を失わせ、性機能や筋肉の合成効率を低下させる原因となります。男性ホルモンへの影響があるのであれば摂取を控えたい、と思うのは当然の心理でしょう。

そこでここからは亜麻仁油と男性ホルモンの関係について、現在判明していることを解説します。

亜麻仁油の摂取で健康な男性の男性ホルモンは低下しない

亜麻仁に含まれるリグナンには、男性ホルモンを低下させる作用が報告されています。

しかし一般的な亜麻仁油は精製の過程でリグナンが取り除かれています。そのため市販の一般的な亜麻仁油には、男性ホルモンを低下させる作用はないと考えられるでしょう。

一方、亜麻仁油のω‐3系脂肪酸は、男性ホルモンの合成にプラスの働きをすることが予想されます。2020年に南デンマーク大学から発表された論文では、ω-3脂肪酸の摂取量が多いほど、男性ホルモンの一種であるテストステロンも多く確認されています出典[10]

男性ホルモンの合成場所である精巣は酸化ストレスに非常に弱い組織です。ω‐3系脂肪酸の補給により精巣へのダメージを減らせれば、男性ホルモンを効率よく合成できるでしょう。

合わせて読みたい:【テストステロン2.0】男性ホルモンを増やす最新戦略

 

過剰な男性ホルモンによる疾病リスクを低減

では、亜麻仁油の原料である亜麻仁に認められている「男性ホルモンを低下させる作用」について詳しく確認しましょう。

亜麻仁に含まれるリグナンは、前立腺がんや多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、男性ホルモンが過剰に増える疾病において、男性ホルモンを調節するように働くことが判明しています。

2001年にアメリカのデューク大学から発表された論文では、前立腺がんの患者が30gの亜麻仁サプリメントを34日間続けたところ、血中の遊離アンドロゲン指数が平均約7%低下したと報告されています出典[11]

女性の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)においてはさらに強い効果が確認されています。

2007年に同大学から発表された論文では、リグナンを含む亜麻仁サプリメント30gの摂取を4か月続けたところ、血清総テストステロンが約70%、遊離テストステロンが約89%減少し、遊離テストステロンの全体比率も3.1%から1.1%に低下したとの結果が得られました出典[12]

このように、亜麻仁のリグナンは過剰な男性ホルモンを調節し、疾病の改善に役立つ可能性があるようです。

 

DHTの生成を抑えて脱毛や肌荒れ防止に

リグナンを含まない亜麻仁油には、過剰な男性ホルモンを減らす働きはありません。しかし亜麻仁油に含まれるα-リノレン酸には、テストステロンからDHTへの変化を抑える作用があります出典[7]

DHTの増殖により男性型脱毛症(AGA)を生じたり、皮脂分泌を過剰にしてニキビや肌荒れを引き起こしたりする場合があります。

男性においてはやる気や活力、性機能などを高めるテストステロンはなるべく増やしたいものです。しかし5α‐リダクターゼによりせっかくのテストステロンがDHTへ変換されてしまうと、脱毛や肌荒れなど、好ましくない体の変化が起きることも。

亜麻仁油からα‐リノレン酸のような不飽和脂肪酸を摂取すれば、テストステロンの保護効果が得られ、活力や性機能の維持といった、男性に嬉しい作用が得られるかもしれません。
 

亜麻仁油はどう食べる?

健康な男性においては、亜麻仁油は生活習慣病の予防をはじめ、脱毛の防止やアレルギー症状の改善など、さまざまな効果が期待できます。

ここからは亜麻仁油を実際に食べる際のポイントについて解説しましょう。

加熱には適さず生食向き

ω‐3系脂肪酸は酸化されやすく、とくに熱に弱いため加熱は禁物です。亜麻仁油やエゴマ油を食事に取り入れる際には、鮮度の高いものを生の状態で食べましょう。

亜麻仁油はエゴマ油よりも味や香りのクセが少なく、様々な料理に合わせやすいでしょう。納豆や味噌汁に加える方法や、自作ドレッシングのベースに用いる方法が一般的です。

ドレッシングに用いる際には鮮度を保つため、作り置きせず、作った分はその都度食べきるようにしましょう。

 

1日小さじ1杯を目安に

亜麻仁油をω‐3系脂肪酸の摂取源として活用する場合、1日小さじ1杯程度が望ましいでしょう。

多様な効果が期待できる亜麻仁油ですが、1gあたり9kcalとエネルギー密度が高く、摂りすぎれば太りやすくなることに変わりありません。「いくら食べてもよい油」との認識は捨て、適度な摂取を心掛けましょう。

また、活性酸素による酸化ストレスは毎日の生命活動の中で絶えず産生されています。そのため酸化ストレスを減らしたい場合には、抗酸化物質も毎日摂る必要があると考えられます。

アレルギー症状が出たときや健康診断の前にのみ食べるような方法は避け、毎日の継続摂取を心掛けましょう

 

普段の食事に亜麻仁油をプラスして男らしさを高めよう!

亜麻仁油にはω‐3系脂肪酸の一種であるα-リノレン酸が含まれています。血圧、血糖、血中脂質をコントロールしたり、抜け毛を改善したりする効果が期待できるでしょう。

また、亜麻仁油が男性ホルモンを下げるという噂は、亜麻仁由来のリグナンが過剰な男性ホルモンを調整するように働くところから来ているようです。

一般的な亜麻仁油にはリグナンが含まれていないため、男性ホルモンへの作用は起こりません。むしろ不飽和脂肪酸によりテストステロンのDHTへの変化を防ぐように働くよい効果が期待できるため、男性が亜麻仁油を避ける必要はありません。

サラダや納豆、味噌汁などに小さじ1杯の亜麻仁油をプラスして、健康維持や体質の改善に役立てましょう。
 

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