生姜がテストステロンを高める5つの理由と効果的な食べ方
2024年4月24日更新

監修者

NP+編集長/NESTA-PFT

大森 新

筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。

執筆者

管理栄養士

井後結香

管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。

ショウガに特徴的な成分とは?

ショウガはピリッとした辛さが特徴的な野菜であり、一般的にはスパイスとして使用されることが多いでしょう。ショウガの味わいや香りを特徴づけているのは、重量の約1~3%を占めるジンゲロールなどの揮発性の油です。

ショウガに特徴的な成分として次のようなものがあります出典[1]

揮発性の油ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン
抗酸化ビタミンビタミンC、ビタミンE
カロテノイドβカロテン、リコピン
ポリフェノールケルセチン、タンニン、ルテイン、ゲニステイン

ジンゲロールやショウガオールのような揮発性の油には、鎮静作用や抗菌作用をはじめとするさまざまな生理活性が確認されています。

また抗酸化ビタミンやカロテノイド、ポリフェノールは抗酸化物質として機能します。体内で過剰に発生した活性酸素の働きを抑え、酸化ストレスから体を守る効果も期待できるでしょう。

さまざまな栄養素や機能性成分を効率的に摂取できるショウガは、健康食品としても人気が高く、幅広い世代から注目されています。

 

ショウガがテストステロンを高める理由5選

テストステロンは男性において、やる気や活力、筋肉の合成効率、性機能などを向上させるように働くホルモンです。

テストステロンの体内量は20代がピークであり、40歳を超えると急激に減少します。たくましい心身を維持するため、テストステロンを高める方法を知りたい方も多いのではないでしょうか。

そこでここからは、ショウガとテストステロンの関係について現在判明している情報を紹介します。ショウガを摂ることでテストステロンにどのような効果があるのか確認しましょう。

抗酸化物質が精巣を保護する

ショウガに含まれる多様な抗酸化物質は、体のあらゆる組織へのダメージを軽減するように働きます。

とくにテストステロンの合成場所である精巣は酸化ストレスに非常に弱い組織です。ショウガ由来の抗酸化物質を摂ることで精巣のダメージを防ぎ、テストステロンの合成効率を高める効果が期待できるでしょう。

実際、2014年にイランのタブリーズ医科大学でおこなわれた、ラットを用いた動物実験においては、ショウガの摂取により抗酸化能力が1.2倍に上昇したことが確認されています。

とくに酸化ストレスの原因となる脂質過酸化分解生成物のマロンジアルデヒド(MDA)への効果が大きく、ショウガの摂取により約77.5%もの減少が見られました出典[2]

また、2012年にイラクのティクリート医科大学から発表された論文では、19~40歳の不妊に悩む男性がショウガを3か月間摂取したところ、テストステロンが17.7%増加し、さらに総精子数が16.2%、精子の運動性が47.3%、精液量が36%増加したと報告されています出典[3]

このように、ショウガ由来の抗酸化物質は精巣を保護する効果が強いことが分かります。テストステロンの合成効率に加え、精液量や精子の質といった性機能の向上にも役立つでしょう。

 

テストステロン合成を活性化させる

テストステロンの合成は、複数のホルモンの働きによりコントロールされています。ショウガの摂取により、テストステロンの合成を促す黄体形成ホルモン(LH)の分泌量が増加する可能性が指摘されています。

先程の不妊男性へのショウガ摂取による効果を分析した論文では、3か月間のショウガ摂取により、血中のLH濃度が43.2%も増加したと報告されています出典[3]

また動物実験においても、抗酸化能力の向上やMDAの大幅な減少に加え、LHが47.7%増加したとの結果が得られています出典[2]

このように、ショウガはLHの分泌を高めることでテストステロンの合成を活性化させるように働く可能性があります。テストステロンを保護する効果に加え、量を増やすようにも作用するショウガを、ぜひ積極的に取り入れたいものですね。

 

血流改善でテストステロンの運搬効率が高まる

精巣と同じく、血管もまた酸化ストレスの影響を受けやすい組織です。血管が傷付き硬くなると血圧調節能力が低下し、良好な血流を保つことが難しくなるでしょう。

精巣で合成されたテストステロンは、血液を通して全身に運ばれます。テストステロンの効果を得るためには、血流の改善も重要であると言えそうですね。

抗酸化物質は、活性酸素の働きを抑えて血管の柔軟性を保つために役立ちます。2004年にフランス保険医療研究所から発表された論文では、ビタミンC、ビタミンE、βカロテンなどの摂取量が増えるほど、血圧が低下し動脈硬化のリスクが下がるとの結果が得られました出典[4]

さらにショウガ特有のジンゲロールやショウガオールにも抗酸化作用があります。酸化ストレスから血管を守る効果が強いため、血行促進効果がより期待できるでしょう。

また、血流は血管の状態に加え、血液の粘性にも左右されます。血中脂質や体重とショウガの関係に関する複数の研究を分析した論文では、ショウガの摂取により次のような結果が得られています出典[5]

血中脂質12.54mg/dL減少
総コレステロール6.53mg/dL減少
LDLコレステロール5.14mg/dL減少
HDLコレステロール1.13mg/dL増加
BMI0.49低下

このように、ショウガの摂取では血中脂質やLDLコレステロールなど、血液をドロドロにする要素となる脂質成分が減少し、HDLコレステロールのような血液の状態を良好に保つ脂質成分が増加するという、非常に理想的な作用が見られました。

テストステロンの作用を正常に受け取るためにも、血管と血液の状態を良好に保ちましょう。

 

肥満改善によりテストステロンを守る

ショウガが血中脂質のバランスを大きく改善した先程の論文においては、BMIの低下も確認されています出典[5]

肥満はテストステロンを下げる原因のひとつです。2010年にオーストラリアのヘンリー王子医学研究所から発表された論文では、BMIが35~40以上の男性は、痩せた男性よりも総テストステロンや遊離テストステロンの濃度が50%以上低下していたと報告されています出典[6]

反対に、減量によりテストステロンが増加するケースも確認されています。2003年にフィンランドのヘルシンキ大学中央病院が実施した臨床試験では、肥満男性がダイエットにより体重を14%落とすと、テストステロンが3.0 nmol/L増加したとの結果が得られました出典[7]

肥満によりテストステロンが増加すること、減量によりテストステロンが回復することから、BMIとテストステロンには逆相関の傾向があると言えそうです。

さらにテストステロンが低いこと自体も肥満の悪化につながるため出典[8]、肥満の改善は非常に重要です。

テストステロンを減らさない体づくりのため、ぜひショウガを活用してみましょう。

 

食後高血糖を抑えて酸化ストレスを減らす

ショウガには食後高血糖を抑える効果もあります。ショウガ由来の食物繊維やポリフェノールが、血糖値の上昇を緩やかにするように働いていると考えられています。

2004年に近畿中国四国農業研究センターで行われた研究では、ショウガを投与されていない通常のマウスの血糖幅が食前の約250mg/dLから食後約500mg/dLへ上昇したところ、ショウガ抽出物を投与したマウスでは食前約200mg/dLから食後約340mg/dLにまで抑えられていました出典[9]

食事による血糖値スパイクの防止に加え、食前の血糖値を低下させる働きも確認できています。ショウガの成分は、食後高血糖や随時血糖を抑えるように働く可能性があるでしょう。

血糖値スパイクは強い酸化ストレスを生むため、精巣を傷付けてテストステロンの合成効率や運搬効率を損なうおそれがあります。「血糖値スパイク」によりテストステロンの濃度が平均で25%低下するという報告があることからも出典[10]、酸化ストレスの影響が非常に大きいことがわかるでしょう。

また酸化ストレスにより血管が傷付くと、動脈硬化が起こり血流も滞る可能性があります。テストステロンの運搬効率を下げることにも繋がるため、血糖値スパイクによる体のダメージは無視できません。

料理にショウガを取り入れて血糖値スパイクを防ぎ、酸化ストレスからテストステロンを守りましょう。

関連記事:【科学的根拠アリ】テストステロンを増やす食べ物15選

 

ショウガの効果的な食べ方

このように、ショウガにはテストステロンに関わるさまざまな効果が確認されています。ショウガを毎日取り入れて、テストステロンの低下を防いだり、血流改善に役立てたいと考える方もいるのではないでしょうか。

そこでここからは、ショウガを食事へ取り入れる際のポイントについて解説します。1日の摂取量や使用方法など、ぜひ参考にしてください。

1日10g前後を目安に調整

ショウガは辛味が強い刺激性の食品であるため、胃に負担をかける可能性があります出典[11]。多量摂取や空腹時の単体摂取はあまりおすすめできません。

消化器系への負担を避けるため、1日10gを目安に、ほかの食品とあわせて摂取しましょう

ショウガはスパイスや薬味としての活用が主であるため、多量に摂取する機会はそうありません。食べ過ぎが起きやすい例としては寿司でよく食べられる「ガリ」に注意が必要です。

甘い味付けで箸が進みやすいものの、ショウガを丸ごと使用しているため胃に負担のかかりやすい食品です。小さいもので5枚前後を目安にするとよいでしょう。

 

料理のアクセントやドリンクに効果的

ショウガを用いた料理と聞くとイメージしづらいかもしれませんが、すりおろしショウガや薄切りショウガは、さまざまな料理のアクセントに使用できます。

すり下ろしたものは冷奴に乗せたり、ポン酢とあわせて「たれ」として使用したりできます。千切りショウガや薄切りショウガは、魚料理や肉料理の臭み消しに活躍します。カレイの煮付けや豚のしょうが焼きなどからおいしく摂取しましょう。

より手軽にショウガを摂取したい場合には、ショウガ湯やジンジャーティーの活用もおすすめです。朝に1杯飲んで体を温め、元気に1日をスタートしましょう。

 

加熱での摂取がよりおすすめ

ショウガの成分であるジンゲロールは、加熱により一部がショウガオールへと変化します

ジンゲロールにもショウガオールにも優秀な生理活性が認められていますが、一部の効果においてはショウガオールの方が優れているようです。

たとえば1984年の古い研究では、血圧を下げる効果はジンゲロールとショウガオール、ともに高いと述べられています出典[12]。しかし韓国の梨花女子大学は2019年に、ショウガの抗酸化活性は、加熱によるショウガオールの増加とともに高まったとの論文を発表しました出典[13]

ショウガの抗酸化作用を期待したい場合には、現状加熱によるショウガオールの摂取の方が効率的との見方が一般的です。熱を加えられる煮物や焼き物、ホットドリンクなどを取り入れて、より多くのショウガオールを摂取しましょう。

 

ショウガを上手く活用してテストステロンを高めよう!

ショウガからはジンゲロールやショウガオールをはじめ、さまざまな栄養素や機能性成分を摂取できます。とくに多様な抗酸化物質は、血流改善や酸化ストレスの低減、肥満の改善などにより、体内のテストステロンを守るように働いてくれることでしょう。

一方で、ショウガは一般にスパイスや薬味として使用される食品であり、単品では刺激が強いことに注意すべきです。空腹時の摂取や多量摂取を避け、1日10gを目安に、ほかの食品と組み合わせて摂取しましょう。

ショウガ特有の成分であるショウガオールを効率的に取れるジンジャーティーや生姜焼きの活用で、テストステロンへのよい効果を期待しましょう。

 

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