監修者
NP+編集長/NESTA-PFT
大森 新
筑波大学大学院でスポーツ科学について学んだ後、株式会社アルファメイルに入社。大学院では運動栄養学を専攻し、ビートルートジュースと運動パフォーマンスの関係について研究。アルファメイル入社後は大学院で学んだ知識を基に、ヘルスケアメディア「NP+」の編集やサプリメントの商品開発に携わる。筋トレ好きが高じて、NESTA-PFT(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会トレーナー資格)も取得。ラグビー、アイスホッケー、ボディビルのスポーツ経験があり、現場と科学の両面から健康に関する知識を発信できるよう日々邁進中。
執筆者
NSCA-CPT、調理師免許
大里 亮太(筋肉料理研究家Ryota)
激太り&うつで入院するも入院中にTeststerone氏の「筋トレが最強のソリューションである」に出会い、退院後に筋トレとお料理で体重-25kgに成功。精神的にも立ち直り、パーソナルトレーナー資格のNSCA-CPTを取得。元々所有していた調理師免許を生かし、筋肉料理研究家として活動するように。昔の自分のように心身ともに悩んでいる方のサポートになればと、日々簡単ダイエットレシピを発信している。
内臓脂肪とは?皮下脂肪との違いは?
内臓脂肪と皮下脂肪、ダイエットや健康管理をする上ではどちらもよく聞く名前ですよね。
それでは、その違いは一体どこにあるのでしょうか。
まずは、内臓脂肪の特徴をご説明します。
内臓脂肪というのは、その名の通りお腹周りの内蔵付近に付く脂肪。
いわゆる「ぽっこりお腹」の原因となり、高血糖や高血圧、脂質異常などのメタボリックシンドロームとも深い関わりがあります。
放置しておくと糖尿病などの生活習慣病を引き起こすリスクも高まってしまうので、注意が必要。
内臓脂肪による肥満はその形からリンゴ型肥満とも呼ばれ男性に多いタイプの肥満ですが、閉経後は女性にも表れやすくなります。
また、内臓脂肪は溜まりやすいですが落としやすいという性質を持つ脂肪。
このあと紹介するようなバランスの良い食事と適度な運動習慣を身に付ければ、皮下脂肪に比べて簡単に減らすことができるんです。
次に、皮下脂肪の特徴を見ていきましょう。
皮下脂肪というのは主にお尻や太もも、腰回りなどの下半身の皮膚の下に付きやすい脂肪。
生活習慣病などの病気を引き起こすリスクは少ないものの、放置しておくと腰やひざへの負担が増え、関節を痛めてしまうことも。
皮下脂肪による肥満はその形から洋ナシ型肥満とも呼ばれ、女性や子供に多いタイプの肥満。
さらに、内臓脂肪に比べてつきにくいですが、落としにくいという性質を持っています。
このように内臓脂肪と皮下脂肪は同じように見えて、まったく異なるタイプの脂肪なんです。
ちなみに、内臓脂肪と皮下脂肪の最も分かりやすい見分け方としては、つまむことができるかどうか。
内臓脂肪は腹筋の内側に付いているので、お腹に力を入れるとつまむことができません。
一方、皮下脂肪は皮膚の下に付いているので、ぷにぷにと簡単につまむことができます。
しかし、つまめるかどうかは、あくまでも目安。
正確に脂肪の種類を判断したい場合は、医療機関を受診して確認してもらいましょう。
内臓脂肪が減る仕組み
この項目では、内臓脂肪が減少する仕組みについて、3つのステップに分けて解説します。
STEP1:空腹や運動によりアドレナリンが放出される
「脂肪燃焼」というのは、ダイエットサプリメントのキャッチコピーなどでもよく目にする言葉ですよね。
しかし、じつは脂肪はそのままではエネルギーとして利用することができず、複雑なメカニズムを経てエネルギーに変換されます。
まず、人間は空腹時や運動したときにアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンというホルモンを放出します出典[1]。
このカテコールアミンが司令を出すことで、脂肪の分解がスタートするのです。
STEP2:内臓脂肪が遊離脂肪酸とグリセロールに分解される
アドレナリンが放出されると、脂肪分解酵素である「リパーゼ」が活性化されます。
リパーゼは、内臓脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールという物質に分解。
こうして分解されることで、内臓脂肪はようやく血中から全身の筋肉に運ばれることになります。
STEP3:遊離脂肪酸とグリセロールがエネルギーとして使用される
運動などの活動を行い、筋肉で遊離脂肪酸とグリセロールがエネルギーとして使用されることで、はじめて内臓脂肪は消費されます。
しかし、消費されなかった遊離脂肪酸やグリセロールは筋肉に留まってはいられず、再び体脂肪として蓄積されてしまうことに。
つまり、消費エネルギーよりも摂取エネルギーが上回っていれば、内臓脂肪は増えてしまうのです。
従って、内臓脂肪を落とすためには、食事量と運動量のバランスが重要なんです。
内臓脂肪を落とす具体的な方法
それでは、具体的にどうやって内臓脂肪を落とせば良いのでしょうか。
この項目では、食事・運動はもちろん、心身のケア、サプリメンテーションなどの項目に分けて詳しく解説します。
●食事で意識すること
ポイントを意識しながら食事をすることで、内臓脂肪は格段に落としやすくなりますよ。
摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくする
先ほども紹介したように、内臓脂肪を落とすためには摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくする必要があります。
「じゃあ、具体的にどれくらい少なくすれば良いの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
ここで、目安になるような2009年にペニントン生物医学研究センターにより発表された論文をご紹介しましょう出典[2]。
研究では、食事と運動によるカロリー制限が内臓脂肪に与える影響を分析。
体重過多である36名の被験者たちは、ランダムに以下のグループに分けられました。
- 体重を維持できるカロリーを摂取するグループ
- 摂取カロリーを25%制限するグループ
- 摂取カロリーを12.5%制限し、運動でエネルギー消費を12.5%増加させるグループ
6ヶ月の実験後に体組成を測定。
その結果、カロリー制限のみのグループと運動も行ったグループは、どちらも内臓脂肪を27%減らすことに成功。
さらに、その値に大きな差は見られませんでした。
つまり、食事や運動を組み合わせてカロリー収支を25%減らせば、効率よく内臓脂肪を落とすことができるということ。
しかし、そもそも自分の摂取カロリーや消費カロリーが分からないという方も多いはず。
最近は、1日の食事内容を入力するだけで自動的に摂取カロリーを計算してくれるアプリが数多くリリースされています。
多くのアプリでは消費カロリーも計算してくれるので、ぜひ利用してみましょう。
炭水化物は白から茶色へ
「ダイエット中は炭水化物を減らした方がいいんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。
しかし、炭水化物は体を動かすための重要なエネルギー源。
カットし過ぎると、筋肉量を減らしてしまったり体調不良を招くことも。
そのため、内臓脂肪を落とすための食事でも、適度に摂取する必要があるんです。
そこで注目するべきなのは、炭水化物の色。
具体的には、白米を玄米に、食パンを玄米パンやライ麦パンに…と白いものから茶色いものに置き換えるのがおすすめ。
じつは、玄米や玄米パンなどの茶色い炭水化物は精製されていない分、食物繊維が豊富で吸収が緩やか。
白米や食パンなどの白い炭水化物よりも、脂肪に変換されにくい性質を持っているのです。
2009年にタフツ大学から発表された論文でも、全粒穀物の摂取量が多い人は精製穀物を摂取している人に比べ、内臓脂肪の付く可能性が17%も低いというデータがあります出典[3]。
ただし、玄米や玄米パンは消化吸収に時間がかかる分、胃腸が弱い方や子供、高齢者が食べるとお腹を壊してしまうことも。
従って、いきなり全食置き換えるのではなく、まずは1食だけ取り入れてみるなどしてみるのもおすすめ。
お腹が慣れてきたところで茶色い炭水化物を増やしていけば、体への負担も少なく済みますよ。
たんぱく質を多く摂取する
食事は肉や魚、卵や豆といったたんぱく質を中心にメニューを組み立てましょう。
筋肉の材料となるたんぱく質を多く摂取すれば、内臓脂肪を効率よく落とすことが可能。
高タンパクの食事は、内臓脂肪蓄積の判断に使われるウエスト周囲径の低さと関連しているというデータもあります出典[4]。
だからといって…「カルビ!バラ肉!鶏もも肉!」となってしまっては、脂の摂り過ぎでカロリーオーバーになってしまいます。
例えば、牛肉や豚肉ならヒレ肉、鶏肉ならむね肉やささみを選べば、カロリーを抑えながらたんぱく質を摂取することが可能。
さらに、「蒸す・茹でる」などの油を使わない調理法で調理することでも、カロリーを抑えることができます。
また、豆腐や納豆などの大豆加工食品は高たんぱくながらもヘルシーで、お腹もちも良い食材です。
ただし、いきなり「全食ささみ」などと極端なことをしてしまうと、かえってストレスの原因に。
「明日は飲み会だから、今日は抑えておこう」
…のように2~3日の食事でバランスを取るようにすれば、精神的にも楽に過ごすことができますよ。
脂質は"質"を意識する
炭水化物・たんぱく質は1gあたり4kcalですが、脂質は1gあたり9kcalと三大栄養素の中でも最もカロリーが高い栄養素。
摂取カロリーを少なくするためには、量を減らしたいところですね。
しかし、脂質は細胞膜やホルモンの材料になったりと、体にとって重要な働きを担っています。
そこで意識したいのが、脂質の”質”。
脂質は大きく分けると「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。
そのうち、内臓脂肪を落とすために摂取したいのは魚やオリーブオイルなどに多く含まれている不飽和脂肪酸。
2024年にベルリン・フンボルト大学から発表された論文でも、不飽和脂肪酸の摂取は内臓脂肪の減少に効果的であるというデータがあります出典[5]。
逆に避けたいのは、マーガリンやショートニングなどに含まれている「トランス脂肪酸」と呼ばれる脂質。
トランス脂肪酸は血液中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きを持っています。
そのため、内臓脂肪の蓄積につながるだけでなく、脳卒中や糖尿病などのリスクも高めてしまうと言われているのです。
2007年にウェイクフォレスト大学から発表された論文でも、同程度のカロリー摂取だったにも関わらず、トランス脂肪酸を与えた猿は与えなかった猿に比べて内臓脂肪が33%も増加したというデータがあります出典[6]。
ちなみに、トランス脂肪酸はファーストフードやケーキ、スナック菓子などにも多く含まれています。
よく食べているという方は注意してみてくださいね。
水溶性食物繊維を積極的に摂取する
食物繊維は食べ物の中に含まれる、人間が消化できない物質。
大きく分けて、水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類があります。
内臓脂肪を落とすためにはどちらも重要ですが、より積極的に摂取したいのは水溶性食物繊維。
水溶性食物繊維には食後の糖の吸収を緩やかにしてくれる働きがあり、内臓脂肪蓄積のリスクを減らすことができるんです。
生活習慣と内臓脂肪の関係を調査するために1,114名を対象にした米国の研究では、水溶性食物繊維の摂取が10g増加するごとに内臓脂肪の蓄積率が3.7%減少したというデータもあります出典[7]。
水溶性食物繊維が多く含まれている食品は以下の表に示しているので、ぜひ食生活に取り入れてみてください。
なお、データが無いため表には記載していませんが、わかめなどの海藻類も水溶性食物繊維が豊富な食材です。
【食品中の100gの水溶性食物繊維含量(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年参照】
食品 | 水溶性食物繊維含量(mg/100g) |
らっきょう(生) | 18.6 |
大麦(七分つき押麦) | 6.3 |
切り干し大根(乾) | 5.2 |
にんにく(生) | 4.1 |
いちじく(乾) | 3.4 |
オートミール | 3.2 |
ごぼう | 2.3 |
水分補給はお茶か水で
「のどが渇くとついコンビニや自販機でジュースを買ってしまう」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、内臓脂肪を落とすためには甘い飲み物はNG。
例えば、2009年にカルフォルニア大学から発表された論文では、果糖の一種であるフルクトース入り飲料を体重維持に必要なエネルギー量の25%、8週間摂取した場合に内臓脂肪が大きく増加したというデータがあります出典[8]。
また、果物ジュースなら栄養もあって健康にも良さそうですが、こちらも内臓脂肪を落とすためにはおすすめできません。
医学雑誌「ランセット」に掲載された論文では、1日480mlのぶどうジュースを3ヶ月摂取したところウエスト周囲径が増加したという研究データに触れ、果物ジュースに対する警鐘を鳴らしています出典[9]。
内臓脂肪を落とすためにおすすめの飲み物は、緑茶かお水。
特に、緑茶に含まれる茶カテキンには食後の血糖値上昇を抑え、脂肪の代謝を促してくれる働きがあると言われています。
量の目安としては、1日800mg以上飲めばウエスト周囲径の減少により効果的であるというデータがあるので、参考にしてみてください出典[10]。
●運動で意識すること
内臓脂肪を落とすためには、運動も重要なファクター。
この項目では、効率よく内臓脂肪を落とすために運動において意識したいことを解説します。
有酸素運動と筋トレを組み合わせることがベスト
有酸素運動は消費カロリーが大きい運動。
さらに、筋トレによって筋肉量を増やして基礎代謝を上げれば、効率よくエネルギー消費することができるようになります。
つまり、運動は有酸素運動と筋トレを組み合わせるのがベスト。
2014年にサンパウロ連邦大学から発表された論文でも、有酸素運動+筋トレは有酸素運動だけ行うよりも内臓脂肪の減少に有効であることが分かっています出典[11]。
また、有酸素運動と筋トレの中間のような運動「HIIT」もおすすめ。
HIITは日本語に訳すと「高強度インターバルトレーニング」という意味。
高負荷で短時間の運動と休憩を交互に繰り返すトレーニング方法で、体脂肪の減少や筋量のアップに効果的。
2022年に北京体育大学から発表された論文では、いろいろな運動の中でもHIITは内臓脂肪を減少させるために最も効果的な運動であると述べられています出典[12]。
HIITの基本のやり方は「20秒間運動→10秒間休憩」を8回繰り返すだけなので、トータルのトレーニング時間は5分ほど。
時短でできるので、仕事や学業などで運動時間の確保が難しい方にもおすすめのトレーニング方法なんです。
動画サイトなどでもさまざまなパターンのHIITが紹介されているので、ぜひ検索してみてください。
強度は「息が上がるくらい」を意識
せっかくの運動も、「スマホを見ながらダラダラ…」では効果が半減してしまいます。
前述の通り、内臓脂肪を分解させるためにはアドレナリンが必要。
つまり、運動はアドレナリンを分泌させるだけの強度を確保しなければなりません。
2013年にアントワープ大学から発表された論文でも、中〜高強度の有酸素運動は内臓脂肪を減少させる可能性が最も高いというデータがあります出典[13]出典[14]。
ちなみに、論文では有酸素運動の強度を以下のように分類しています。
- 低強度…最大心拍数の60%未満、または最大酸素消費量の45%未満の強度で運動
- 中強度…最大心拍数の60~70%、または最大酸素消費量の45~55%の強度で運動
- 高強度…最大心拍数の70%以上、または最大酸素消費量の55%以上、または心拍予備能の60~80%の強度で運動
最大心拍数はアプリやスマートウォッチでも測定することができますが、数字だけを見てもイメージしづらいかもしれません。
強度の目安としては、「息が上がるくらい」を意識してトレーニングしてみましょう。
1週間で最低限1時間の運動をする
「忙しくて運動する時間が無い!」という方でも、内臓脂肪を落とすためには最低でも1週間に1時間は運動したいところです。
2007年に日本の研究機関である国立健康・栄養研究所から発表された論文では、内臓脂肪を減少させるためには、少なくとも週に10メッツ・時以上の有酸素運動が必要であることが分かっています出典[15]出典[16]出典[17]。
なお、メッツ(METs)とは身体活動の強さを表す値。
安静時(座って楽にしている状態)を1としたときと比較して、何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示します。
ちなみに、10メッツの有酸素運動の具体的な例としては、ランニング(161m/分)、水泳(平泳ぎ)などが挙げられています。
しかし、運動量を確保できるのであれば、ウォーキングやジョギング、自転車など種目はあまり気にしなくてもオーケー。
また、昔は20分以上運動しなければ脂肪が燃焼しないなどと言われましたが、現在は短時間でも効果があることが分かっています。
つまり、自分に合った種目を1日10分だけでも行うことができれば、内臓脂肪は落とすことができるんです。
●心身のケアで意識すること
内臓脂肪を落とすために見落としがちな心身のケア。
この項目では、睡眠とストレスに分けて意識したいポイントを解説します。
7時間の睡眠
「1日4~5時間しか眠れない」「休みの日は寝溜めしている」というあなたは危険信号。
じつは、睡眠時間が短かったり、逆に長過ぎたりしても内臓脂肪が増えやすくなる可能性があるんです。
それでは、具体的に一体どれくらい眠れば良いのでしょうか。
ここで目安になるような、2014年にイースタン・オンタリオ小児病院研究所から発表された論文をご紹介しましょう出典[18]。
研究では、睡眠時間と内臓脂肪の関係を分析するために、293名を対象に最長6年に渡る調査を実施。
その結果、睡眠時間が1日7~8時間の者に比べて6時間以下と短い場合、また9時間以上と長い場合でも内臓脂肪が大きく増加。
ところが、睡眠時間を1日6時間から7~8時間に増やしたところ、内臓脂肪の増加量は約26%減少したのです。
論文では、健康的な睡眠パターンを身に付ければ食欲のコントロールがしやすくなることに言及。
さらに、食習慣や運動の参加にプラスの影響を与え、体重や脂肪の増加を抑えられる可能性があると述べています。
このエビデンスからも内臓脂肪を落とすためには、睡眠時間は7時間程度を目安にするのがおすすめなんです。
ストレスケア
内臓脂肪にとってはストレスも大敵。
人間はストレスを受けると、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。
なんと、このコルチゾールにはお腹周りの脂肪を増加させてしまう働きがあるんです。
さらに、お腹に脂肪が増えるとコルチゾールの分泌量も増えてしまうと言われています。
つまり、ストレスを受けると内臓脂肪が増えて、さらにストレスを感じやすくなって内臓脂肪が…と悪循環に陥ってしまうことに。
2021年にサンディエゴ州立大学から発表された論文でも、慢性的なストレスレベルが高いほど内臓脂肪が溜まりやすくなることが分かっています出典[19]。
ここまで、食事や運動について意識すべきポイントについて解説してきました。
しかし、何度か述べているように、厳しすぎる食事制限や運動は体への負担も大きく、かえってストレスになってしまいます。
内臓脂肪を減らすためには、たまには好きなものを食べたり飲んだり、趣味の時間を楽しんだり…
と、ストレスが溜まらないような生活を送ることも大切なんです。
●サプリメンテーション
サプリメントの重要度は食事や運動に比べても低め。
しかし、サポートとして活用すれば、より効率よく内臓脂肪を落とすことができますよ。
ω-3脂肪酸
ω-3脂肪酸(オメガ3)は、サバなどの青魚に含まれているDHA・EPA、エゴマなどに含まれているα-リノレン酸などの脂肪酸の総称。
人間の脳や臓器にも存在していますが、体内では生成できないので食事から摂取する必要があります。
オメガ3は血管や脳などに対してさまざまな健康効果があると言われ、数多くの研究でその効果が分析されている成分。
ダイエットや肥満予防のためのサプリメントとしても、幅広く販売されていています。
そんなオメガ3の効果を示すような、2022年に東地中海大学から発表された論文をご紹介しましょう出典[20]。
研究にはオメガ3の摂取が体重減少に与える影響を分析するために、成人ボランティア40名が参加。
被験者たちはランダムにサプリメントを何も飲まないグループと、毎日オメガ3を1020mg飲むグループに分けられました。
その上で12週間のダイエットプログラムを実施し、実験終了後に体組成を測定。
結果として、オメガ3を飲んだグループの内臓脂肪量は、何も飲まなかったグループに比べて約3kgも減少していたのです。
また、別の論文では、NASH患者に1日3000mgのオメガ3を1年間毎日投与したところ、肝臓の脂肪が減少したというデータもあります出典[20]。
※NASHは非アルコール性脂肪肝炎のことで、肝硬変や肝癌を引き起こす可能性のある疾患。
つまり、オメガ3を飲んでダイエットすれば、より効率よく内臓脂肪を減少させられる可能性があるんです。
ガセリ菌
ガセリ菌とは乳酸菌の一種で、人間の腸内に存在している腸内細菌。
脂質の吸収を抑えてくれたり、脂肪の蓄積を防いでくれたりする効果が期待されています。
また、生きたまま腸まで届きやすく、さらに腸の中に長くとどまる働きがあると言われ、注目を集めている成分です。
2013年に雪印メグミルク株式会社から発表された論文では、内臓脂肪型の肥満患者にガセリ菌を含む発酵乳を1日200mg、12週間に渡って摂取したところ、内臓脂肪が8.5%減少したというデータがあります出典[21]。
また、発酵乳の摂取を4週間中止すると、内臓脂肪減少の効果は弱まることも判明。
ガセリ菌の効果を維持するためには、継続的な摂取が必要なようです。
ちなみに、ガセリ菌はサプリメントやドリンク、ヨーグルトに配合されたものなどいろいろなタイプの商品が販売されています。
気になる方は、自分に合ったものを習慣的に取り入れてみてくださいね。
ブラックジンジャー
ブラックジンジャーは、黒しょうがや黒ウコンなどとも呼ばれるショウガ科の多年草。
タイ原産の植物で、現地ではクラチャダイムと呼ばれて古くから滋養源として使用されてきたそう。
ブラックジンジャーにはポリフェノールの一種である「ポリメトキシフラボン」という成分が含まれています。
このポリメトキシフラボンが脂肪の代謝を助ける働きがあるとして研究が進められ、注目を集めているのです。
2018年に発表された論文では、1日1回150mgのブラックジンジャー抽出物の12週間に渡って肥満気味の被験者に摂取させたところ、何も飲まなかったグループに比べて内臓脂肪が4.3cm²、総脂肪面積が13.85cm²も減少したというデータがあります出典[22]。
ちなみに、ブラックジンジャーはお腹の脂肪を燃やすためのサプリメントとして幅広く販売されていています。
気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
内臓脂肪の落とし方に関してよくある質問
この項目では内臓脂肪を落とすにあたって、よくある質問に対してエビデンスを交えながらお答えします。
内臓脂肪は簡単に落とせますか?
冒頭で、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて落としやすいと説明しました。
しかし当然ながら、サプリを飲むだけで簡単に落ちるというものではありません。
内臓脂肪を落とすためには、ここまで解説してきたような食事管理や運動を地道に行うことが重要。
さらに、睡眠やストレスケアなど、場合によっては生活習慣を見直すことも必要です。
しかし、何度も言っているように厳しい食事制限や激しい運動はかえって挫折のもと。
毎日の通勤で階段を使う、1日のうち1食をオートミールに置き換えてみる、毎朝同じ時間に起きる…
など、できそうなことから1つずつ取り入れて、無理なく痩せられる習慣を身に付けていきましょう。
内臓脂肪を最速で落とすには?
「どうにかして最速で内臓脂肪を落としたい!」
という方は、VLCD(ベリーローカロリーダイエット)を用いればスピーディーに内臓脂肪を落とすことができるかもしれません。
VLCDは、その名の通り1日の摂取カロリーを大幅に落とし、200~600kcalに設定するという食事療法。
2008年にモナシュ大学から発表された論文でも、VLCDなら短期間(4週間未満)で内臓脂肪を落とすことができるというデータがあります出典[23]。
しかし、VLCDは医師の管理のもと行ったり、ボディメイクコンテスト参加者が絞り込みのために行うようなダイエット法。
摂取カロリーを大きく減らせば筋肉も減らしてしまいますし、体への負担も大きくなります。
健康面から見ても良くないダイエット法なので、積極的にはおすすめしません。
筋トレだけで内臓脂肪は減りますか?
ここまで、食事管理と運動の重要性や、有酸素運動と筋トレを組み合わせがベストだということを解説してきました。
それなのに、こんなことを紹介するのは何なのですが…
じつは、2021年にテヘラン大学から発表された論文では、カロリー制限をせずに筋トレだけをしていても、内臓脂肪を減少させることができるというデータがあります出典[24]。
また、中~長期的に継続することで、より内臓脂肪が大きく減少することも明らかに。
さらに、筋トレにカロリー制限をプラスしても、減少効果は変わらないことも判明。
つまり、継続していれば、筋トレだけでも内臓脂肪が減る可能性はあると言えるんです。
食事管理と運動で無理のない内臓脂肪燃焼を目指そう!
内臓脂肪が減る仕組みや、効果的に落とすための具体的な方法についてお分かりいただけたかと思います。
紹介した通り、内臓脂肪は食生活の乱れや運動不足だけでなく、睡眠不足や慢性的なストレスなどでも増えてしまいます。
しかし、何度も言っているように、いきなり食習慣・生活習慣をガラリと変えることは体や精神的への負担も大きくなります。
まずは、紹介したポイントの中から取り入れられそうなものを1つ試してみて、習慣付けてみてください。
良い習慣が1つ身に付けば、また1つ、さらに1つ…とプラスのサイクルはどんどん大きくなっていきます。
そうなれば、あとは継続していくだけ。
ぜひ、記事を参考にして、効率よくお腹周りをスッキリさせてください!
出典
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