執筆者
NSCA-CPT、調理師免許
大里 亮太(筋肉料理研究家Ryota)
激太り&うつで入院するも入院中にTeststerone氏の「筋トレが最強のソリューションである」に出会い、退院後に筋トレとお料理で体重-25kgに成功。精神的にも立ち直り、パーソナルトレーナー資格のNSCA-CPTを取得。元々所有していた調理師免許を生かし、筋肉料理研究家として活動するように。昔の自分のように心身ともに悩んでいる方のサポートになればと、日々簡単ダイエットレシピを発信している。
目次
ソイプロテインは女性の飲み物?
そもそも、「ソイプロテイン」とは一体どんなものなのか、簡単に特徴を解説します。
プロテインにはさまざまな種類があり、代表的なものとしては牛乳由来のホエイやカゼインが挙げられます。
一方のソイプロテインは、大豆を原料にした植物性タンパク質由来のプロテイン。
大豆から油脂を取り除いて残ったタンパク質を粉末状に加工したもので、大豆の栄養を効率よく摂取することが可能。
さらに、ホエイプロテインに比べて体内にゆっくり吸収されるため、お腹持ちが良くダイエットに利用しやすいというメリットも。
また、日本人には牛乳に含まれている乳糖という成分を消化吸収できない、乳糖不耐症と呼ばれる方が多いと言われています。
そのため、牛乳由来のプロテインを飲むとお腹がゴロゴロしてしまうことも。
しかし、そんな乳糖不耐症の方でも、乳糖が含まれていない植物性由来のソイプロテインなら安心して飲むことができます。
加えて、ソイプロテインには体内で女性ホルモンと同じような働きをする、「イソフラボン」という成分が豊富。
従って、美容面への効果が期待できることから、女性らしい体作りのサポートのためのサプリメントとしてもおすすめ。
以上のように、ソイプロテインはタンパク源として優秀ながらも、ダイエットや美容へのメリットも大きいという特徴があります。
このことから、どちらかというと女性向けにおすすめされることが多いプロテインなんです。
男性がソイプロテインに期待できる効果5つ
とは言え、男性がソイプロテインを飲んではいけないということはありません。
この項目では、男性がソイプロテインを摂取することで期待できる効果を、エビデンスを交えながら5つご紹介します。
1.筋肥大のサポート
「筋肉を大きくするためにはタンパク質が重要」ということは、一般の方にも広く知られるようになりました。
そして、そのタンパク質を構成しているのが「アミノ酸」という物質。
さらに、20種類のアミノ酸のうち、人間の体内で合成できない9つのアミノ酸を「必須アミノ酸」と呼びます。
じつは、植物性タンパク質の中には、必須アミノ酸の一部が不足しているものが多くあります。
しかし、ソイプロテインは食品が持つ必須アミノ酸のバランスを表す値であるアミノ酸スコアが最大値の100。
つまり、ソイプロテインは筋肥大のためのタンパク質源としても十分に活用することができるんです。
実際に、2023年にイランのスポーツジムが発表した論文では、ソイプロテインはいくつかの研究において、ホエイプロテインと同等の筋肥大効果があることが分かったと紹介されています出典[1]。
ただし、ソイプロテインは動物性タンパク質に比べ、必須アミノ酸の「ロイシン」が少ないと言われています。
ちなみに、ロイシンは筋肥大に働くタンパク質同化作用が最も強いと言われるアミノ酸。
そのため、植物性タンパク質のみからタンパク質を摂取していると、筋肥大効率が低下してしまう恐れも。
しかし、他の動物性タンパク質も摂取している場合であれば心配は無用です。
また、植物性タンパク質が中心でも、タンパク質の総量が十分であれば大きな問題は無いでしょう。
2.筋分解の抑制
筋肥大というと、筋肉の合成やどんな栄養を摂るかなど、プラスの働きのことばかりを考えがち。
しかし、体作りにおいては、筋分解などのマイナスの働きを抑制することも重要なポイントになります。
そこで、ソイプロテインの登場。
じつは、ソイプロテインには大豆の抗酸化成分が豊富に含まれているので、筋分解の抑制に働く可能性があるんです。
実際に、2019年に川崎医療福祉大学から発表された論文では、大豆タンパク質を摂取したラットの筋力低下やタンパク質の分解が軽減されたというデータが紹介されています出典[2]。
加えて、人間の抗酸化作用は加齢とともに衰えてしまうので、高齢者の方はソイプロテインを摂取するメリットが大きいと言えます。
2023年にイランのフェルドウスィー大学から発表された論文では、高齢男性の体組成や筋力に対する豆乳の効果を分析出典[3]。
被験者である30名の健康な高齢男性が、ランダムに以下のグループに分けられています。
- 無調整豆乳240mlを摂取してトレーニング
- プラセボを摂取してトレーニング
12週間の実験後にデータを測定すると、両グループの体組成や筋力には大きな差が。
中でも筋肉量はプラセボグループが平均0.81kg増だったのに対し、豆乳を飲んだグループはなんと平均で2.5kg増。
以上のことから、「最近肉体の衰えを感じる…」という方は、運動後にソイプロテインを摂取するのがおすすめ。
大豆の抗酸化成分が働くことで、筋肉のパフォーマンスを改善してくれるかもしれませんよ。
3.筋肉痛の軽減
トレーニーの中には、「筋肉痛が来ないとトレーニングした気がしない」という筋肉痛マニアの方も多いはず。
一方、「パーソナルトレーニングで追い込まれ、全身筋肉痛で辛い…」という方もいらっしゃるかもしれません。
じつは、抗酸化成分が豊富なソイプロテインは、そんな筋肉痛を軽減できる可能性があるんです。
2016年にインドのグル・ナナク・デヴ大学から発表された論文では、ソイプロテインが筋肉痛の回復に及ぼす影響を調査出典[4]。
被験者であるボクサー・サイクリスト各20名がランダムに以下のグループに分けられ、筋肉痛を引き起こす運動を行っています。
- 1日2回ソイプロテイン25gを4週間摂取
- 1日2回プラセボを4週間摂取
実験後の測定の結果、ソイプロテインを摂取したグループの筋肉痛は、プラセボグループに比べ、回復速度が早いということが判明。
このことから論文内では、ソイプロテインは損傷後の筋肉のサポートに不可欠であると述べられています。
筋肉痛マニアの方もそうでない方も、回復を早めたいなら、ソイプロテインを飲んでみましょう。
4.前立腺癌リスクの低下
男性の膀胱付近にある前立腺に発生するがん、「前立腺癌」。
加齢とともに発症率が高まる上、初期には自覚症状がほとんど無いと言われ、中高年の男性にとっては気になる病気の1つです。
じつは、大豆食品の摂取は、この前立腺癌発症のリスクを軽減させる可能性があります。
2018年にイリノイ大学から発表された論文では、大豆食品の摂取と前立腺癌発症のリスクとの関連性を調査するために、30件の論文を分析出典[5]。
結果として、大豆食品の総摂取量は、前立腺癌の発症リスク低下と大きく関連していることが分かりました。
また、研究では豆腐や豆乳などの未発酵大豆食品、納豆や味噌などの発酵大豆食品と前立腺癌の関係も分析。
意外(?)にも、未発酵大豆食品は発症のリスク低下と関連していたものの、発酵大豆食品は関連がなかったとのことです。
ちなみに、先述の通り前立腺癌は自覚症状が感じにくいと言われています。
病気を予防して末永く健康でいるためにも、普段から食生活にソイプロテインを取り入れておくのが良いかもしれませんね。
5.落込みの予防
何かとストレスの溜まりやすい現代社会において、メンタルヘルスの問題は避けて通れないもの。
しかし、大豆食品の摂取は、そんなメンタルヘルスにも効果的に働く可能性があるんです。
2022年に中国・荊州理工大学から発表された論文では、大学生7,742名を対象に、大豆食品の摂取と精神的な状態の関連を調査しています出典[6]。
分析の結果、大豆食品の摂取頻度が週1回以下の学生は、週5回以上の学生に比べ、約2倍も精神症状のリスクが高まることが判明。
特に、この研究はコロナ禍に行われたこともあって大豆食品の消費量が少なく、精神症状の検出率も高かったと述べられています。
また、同じく2022年に中国の疾病予防管理センターから発表された論文では、6,253名の高齢者を対象に調査を行ったところ、大豆食品の摂取頻度が週4~7日の場合、全く摂取しない人に比べてうつ病のリスクが約50%も低かったというデータが紹介されています出典[7]。
落ち込みなどのメンタルの不調は遺伝的なものや、ストレス・環境などの後天的なものなど、いろいろな要素が絡んで起こるもの。
体だけでなく、心も健やかに過ごすためには、ソイプロテインの摂取は優れた選択肢と言えそうです。
ソイプロテインでテストステロンは下がるのか
ここまでの解説で、ソイプロテインは男性にとっても優秀なタンパク源であることがお分かりいただけたかと思います。
しかし、中には「ソイプロテインはテストステロンを下げる」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
というのも、前の項目でも紹介した通り、ソイプロテインにはイソフラボンという抗酸化成分が含まれています。
じつは、このイソフラボンは体内で女性ホルモンと同じような働きをすると言われる物質。
そのため、ソイプロテインを飲むとテストステロンが低下してしまうという話題に及ぶことがあるんです。
と言っても、心配には及びません。
2021年に英国・エセックス大学から発表された信頼性の高い研究において、大豆タンパク質やイソフラボンの摂取は量や期間に関わらず、男性のテストステロンレベルには影響を与えないというデータが示されています%%%出典8%%%。
ただし、ソイプロテインの効果を最大限に引き出すためには、飲み方にいくつかポイントがあります。
次からの項目で、具体的なポイントについて見ていきましょう。
関連記事:【テストステロン2.0】男性ホルモンを増やす最新戦略
ソイプロテインの効果的な飲み方
ここでは、男性がソイプロテインの栄養を効率よく摂取するための飲み方を、3つご紹介します。
1日1杯まで
先ほど紹介した分析結果にもあった通り、ソイプロテインを飲むことで直ちにテストステロンが低下するということは無さそうです出典[8]。
しかし、個別に研究を見てみると、1日100mg以上のイソフラボンを摂取するとテストステロンが低下したというデータも。
また、日本の食品安全委員会では、イソフラボンの安全な1日の摂取量目安の上限は70~75mgとされています。
さらに、ここに特定保健用食品として上乗せして摂取する場合の上限は1日30mgとのこと。
ちなみに、ソイプロテインに含まれるイソフラボン量には、メーカーやフレーバーなどによって差があります。
栄養成分表示にも未記載であることがほとんどなので、正確に数値を計算するのは難しいというのが現実。
従って、思わず摂り過ぎてしまわないよう、ソイプロテインの摂取は1日1杯にとどめておくのがおすすめです。
ホエイ・カゼインと混ぜて飲む
先ほども紹介した通り、牛乳由来のプロテインとして代表的なものと言えば、ホエイとカゼインが挙げられます。
じつは、ソイプロテインはこれらの牛乳由来のタンパク質と混ぜて飲むことで、筋合成率が高まる可能性があるんです。
2013年に米国栄養学会から発表された論文では、大豆タンパク質と乳タンパク質のプロテインブレンドの摂取が筋合成に与える影響を調査出典[9]。
実験では、19名の若年成人がランダムに以下のグループに分けられています。
- 高強度の脚トレの1時間後に約19gのソイ・ホエイ・カゼインのプロテインブレンドを摂取
- 高強度の脚トレの1時間後に約18gのホエイプロテインを摂取
分析の結果、トレーニング直後の血中アミン酸濃度はホエイプロテインを摂取したグループの方が高くなるという結果に。
ところが、筋合成率はプロテインブレンドを摂取したグループの方が高くなるということが判明。
恐らく、ホエイならホエイ、カゼインならカゼイン、ソイならソイ…とそれぞれのプロテインを単独で飲んでいる方が多いはず。
しかし、ソイ・ホエイ・カゼインを混ぜて飲めば、より効率よく筋肉を合成させられるかもしれませんよ。
朝に飲む
間食代わりに、トレーニング前後に、寝る前に…と、プロテインを飲むタイミングは人や目的によってさまざま。
しかし、ソイプロテインに関しては、朝に飲むのがおすすめ。
というのも、大豆タンパク質は朝に摂取することで、腸内環境が良好に保たれる可能性があるんです。
実際に2020年に早稲田大学が発表した論文では、マウスを使っての実験で、大豆タンパク質は朝に摂取すると、より効果的に腸内環境を改善させられるというデータが紹介されています出典[10]。
腸内環境を整えることは、テストステロンなどのホルモンや自律神経のバランスを整えたり、免疫や代謝にも影響を与えます。
また、以下の項目に当てはまるような方は、腸内環境が悪化しやすいので注意が必要です。
- お肉やスイーツ、インスタント食品をよく食べる
- 睡眠時間が6時間以下など短い
- 運動習慣が無い
- 日ごろから便秘や下痢になりやすい
- にきびなどの肌荒れが出やすい
とは言え、いきなり全てを改善しようとするのは現実的ではありません。
思い当たる項目がある方は、腸内環境改善のために、まずは朝の1杯にソイプロテインを飲んでみてはいかがでしょうか。
ソイプロテインを活用して健康な心身を手に入れよう!
ソイプロテインを摂取すれば筋肥大のサポートや筋分解の抑制、筋肉痛の軽減などが期待でき、効率よく体作りを進めることが可能。
さらに、前立腺癌や落ち込みなど、心身の健康にも役立ってくれます。
ぜひ、紹介した情報を参考にしてソイプロテインを摂取し、その効果を最大限に引き出してください。
出典
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