

監修者
上級睡眠健康指導士 /NR・サプリメントアドバイザー
関川裕大
睡眠と運動と栄養の3つ面から皆様の健康的なライフスタイルをサポートします。睡眠と運動は特に男性のQoLにおいて非常に重要な役割を果たします。睡眠が不足すると筋肉が付きにくく太りやすくなりますし、運動が十分でない男性は睡眠の質も低下し易いと言われております。そして栄養が不足すると運動効率も睡眠の質も悪化してしまいます。医療に頼らない心と体の健康促進を目指します。

執筆者
管理栄養士
井後結香
管理栄養士の資格取得後、病院に勤務。献立作成や栄養指導を経験後、健康相談員として地域の特定保健指導業務や疾病の重症化予防事業などに取り組む。健康管理の要となる食事の記事では、無理なく日々の生活に取り入れられるような内容を心掛けている。手軽かつ楽しい食改善で体質の向上を目指せるよう、読みやすく分かりやすい文章での紹介に努めている。
クロセチンってどんな成分?

クロセチンはクチナシの実やサフランから摂取できる黄色い色素であり、カロテノイドの一種、キサントフィル類に分類されるものです。カロテノイドとは自然界に存在する赤や黄色の色素を指し、水に溶けにくく油に溶けやすい特徴があります。
クロセチンの鮮やかな黄色は、たくあんやパエリア、栗の甘露煮などの料理のほか、衣類の染料としても長年使用されてきました。そんなクロセチンを含むカロテノイド類の抗酸化作用が近年注目され、活性酸素を除去する効果がとくに高いことが判明しています。
活性酸素は私たちの生命活動において、呼吸や代謝とともに発生するものですが、過剰に蓄積すると酸化ストレスとして細胞にダメージを与えてしまいます。抗酸化物質として機能するクロセチンは、体を酸化ストレスから守ってくれる存在と言えそうですね。
クロセチンは分子量が小さく、水にも油にも溶ける性質を持つため、ほかの抗酸化物質よりも速やかに吸収され、細い血管の先まで広く効果を及ぼすものと考えられています出典[1]。
とくに作用が期待されているのが、細い血管が集まる目の疾患である、加齢黄斑変性や緑内障、糖尿病黄斑症など。ほかにもアルツハイマー病などの神経疾患、虚血性心疾患などの循環器疾患などの治療にも役立つ可能性があるとして注目されているのです出典[1]。
ただしクロセチンは一般的な食品にはほぼ含まれておらず、通常の食事から多めに摂ることは困難。成分の恩恵を得たい場合にはサプリメントからの摂取が基本となるでしょう。
クロセチンに期待できる効果とは?
クロセチンはその強力な抗酸化作用から、さまざまな疾患の治療や予防に役立つ可能性が指摘されています。ではサプリメントとしてクロセチンを摂取した場合、私たちにはどのような効果が期待できるのでしょう。
ここからはクロセチンのサプリメントを飲むことで得られる可能性がある効果について解説します。
睡眠の質の改善
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クロセチンは睡眠の質を改善する可能性があるとして注目されています。論文にて確認されているのは、眠ってからしばらくして夜中に目覚めてしまう「中途覚醒」を減らす効果と、睡眠の質を高めて朝の目覚めをよりスッキリとさせる効果です。
まず中途覚醒については、睡眠に軽度の問題がある男性が、夕方6時から8時までの間にクロセチンを7.5mg/日、2週間摂取したところ、プラセボ(偽薬)を摂取した場合よりも、夜間の覚醒回数が減ったことが明らかになりました。またアンケート結果からは睡眠の質を改善する傾向も確認できています出典[2]。
また目覚めたときのスッキリ感の向上も同様の臨床試験で確認できています。軽度の睡眠障害を持つ成人の参加者が、7.5mg/日のクロセチンを2週間摂取したところ、起床後の主観的な眠気の消失度合いや爽快感が、プラセボ(偽薬)を摂取した場合よりも高く計測されていました出典[3]。
また、シングルチャネル脳波計という機械を用いて睡眠パラメーターの観測をおこなったところ、クロセチンを摂取した場合では、深い睡眠状態に入っていることを示すデルタの波長、デルタパワーがより多く観測されたこともわかっています出典[3]。
デルタパワーが観測されている時間帯には、ノンレム睡眠と呼ばれる、脳がより深く休息できる状態にあることがわかっています。クロセチンによりノンレム睡眠の質を高められたことで、より効率的に脳を休めることができ、目覚めのスッキリ感に役立てられた可能性がありますね。
疲労の軽減

クロセチンの抗酸化作用により活性酸素の働きが抑えられることで、疲労の軽減につながる可能性があります。
たとえば活性酸素は筋疲労の原因になります。クロセチンにより筋肉において活性酸素の働きを抑えられれば、筋疲労が軽減され、パフォーマンスの低下や筋肉痛をより防ぎやすくなるでしょう。
実際に疲労を誘発する身体作業を行う健康な男女がクロセチンを摂取した際の効果を調べた研究が存在します。この試験では、男性が運動前に15mgのクロセチンを摂取したところ、同じく抗酸化物質として機能するアスコルビン酸(ビタミンC)を摂取した場合や、プラセボ(偽薬)を摂取した場合よりも、自転車エルゴメーターによる運動テストのスコアがより高かったことが確認されています出典[4]。
クロセチンはビタミンCよりも、運動時の疲労においては効果を発揮しやすいことが分かりますね。
活性酸素はマラソンやトライアスロンのような持久力運動においてより発生しやすい特徴があります。持久力運動の前にクロセチンを摂ることで、パフォーマンスを高めたりや疲労を軽減したりする効果が期待できるかもしれません。
血流の改善
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クロセチンの抗酸化作用は、血流を改善するためにも機能しているものと考えられています。
私たちの体内で生成されている血管拡張物質といえば一酸化窒素(NO)。NOが血管の平滑筋を弛緩させることで血管が拡張し、より多くの血液を流すことができるようになるのです。
NOは酸化されやすい物質のため、酸化ストレスが多い状態では血流を良好に保てません。しかしクロセチンのような強力な抗酸化物質の存在があれば、クロセチンがNOを守るように働くため、NOが血管拡張の機能を十分に発揮できるようになるでしょう。
実際に実際にクロセチンの摂取により肺、脳、眼の血流が改善することが報告されており出典[5]、高血圧の改善にも役立つと考えられます。
臨床試験では冠動脈疾患の患者にクロセチンのカプセルを2か月間摂取した場合、プラセボ(偽薬)を継続摂取した場合よりも血圧が低下していたとのデータも存在しているほど。また動脈硬化の進展に関わる血清ホモシステイン濃度にも有意な減少が見られており、冠動脈疾患のリスク自体を下げるように働いていたことが分かりますね出典[6]。
血流を改善して血圧を安定化させたり、動脈硬化の進展を抑えて血管に関わる種々の疾患のリスクを下げたりする効果が、クロセチンには期待できるようです。ただし現段階で血管系の疾患の治療を受けている場合には、無断で摂取を始めず、サプリメントを飲む前に担当医へ相談しておくとより安心です。
目の健康のサポート

クロセチンは睡眠に並び、目への作用も有名です。抗酸化物質のなかでも小さい物質であるクロセチンは、目の血管のような微細なところにまで届き、抗酸化作用を発揮できると考えられています。
目は紫外線や酸素を直接浴びる器官であるため、外的刺激により活性酸素が発生しやすい特徴があります。クロセチンで酸化ストレスから目を保護できれば、眼精疲労の軽減はもちろん、目にダメージが蓄積することによるいくつかの眼疾患のリスクも減らせるでしょう。
活性酸素の蓄積を原因のひとつとする疾患に緑内障があります。緑内障患者が、クロセチンを含む抗酸化物質のサプリメントを8週間摂取した臨床試験では、8週間後の酸化ストレスの有意な低下が確認できています出典[7]。
また、クロセチンは近視を改善させる、もしくは近視の進行を抑えるように働く可能性があります。血流を良好に保つこと自体が近視の改善に役立つことに加え、近視を抑制する遺伝子として知られる「EGR1」を活性化する力があることが指摘されているのです出典[5]。
たとえば6~12歳の小児がクロセチンを7.5 mg/日、24週間にわたり摂取した臨床試験においては、プラセボ(偽薬)を摂取した場合よりも、近視の進行が抑制されたという結果が得られています出典[5]。
クロセチンの持つ抗酸化作用はこのように、眼精疲労の軽減、緑内障のリスク低減、近視の抑制など、さまざまな目の健康に役立つ可能性がありそうですね。
肌の炎症やシミの軽減

過剰な活性酸素による酸化ストレスは、脳や目のみならず、肌にも悪影響をもたらします。
皮膚においては酸化ストレスの影響がシミやくすみといった、体へのダメージが見えやすい形で現れます。酸化ストレスは体を老化させると言われるのはこのためですね。
クロセチンの抗酸化作用により、紫外線を浴びることで生じる活性酸素の働きを抑えられれば、シミやくすみをより防ぎやすくなるでしょう。
クロセチンがシミやくすみの予防に役立つもうひとつの理由として、チロシナーゼの活性を下げる作用が指摘されています。チロシナーゼはシミやくすみの原因となるメラニン色素を合成するための酵素。クロセチンによりチロシナーゼの働きが弱まることで、シミやくすみが現れにくくなると考えられているのです出典[8]。
シミやくすみのように皮膚に生じる黒い点はメラニン色素によるものですが、このメラニンを合成するための酵素はチロシナーゼと呼ばれます。
マウスの皮膚由来の細胞におけるチロシナーゼとクロセチンとの関係を調べた実験において、クロセチン処理を行った細胞ではチロシナーゼのたんぱく質活性が低下していたことが明らかになりました出典[8]。
また、マウスを用いた動物実験のレベルではありますが、クロセチンには皮膚がんの腫瘍形成を抑える働きがあるとの可能性も指摘されています出典[9]。紫外線による活性酸素は皮膚がんへのリスクを高めるため、抗酸化物質として機能するクロセチンに皮膚がんのリスクを下げる効果があるというのも、理に叶った話ではあるでしょう。
シミやくすみの少ない肌を目指したい方や、紫外線による肌への悪影響全般を防ぎたい方にも、クロセチンが役立つ可能性がありそうですね。
クロセチンのサプリメントで効果が出ない理由は?
このようにクロセチンのサプリメントには、睡眠の質の改善をはじめ、疲労の軽減や血流の改善など、複数の効果が期待できます。しかしこれらの作用を目的にクロセチンを飲みはじめたものの、十分な効果を実感できなかった方もいるのではないでしょうか。
そこでここからは、クロセチンのサプリメントで効果を得られない理由として考えられるものと、その対策について解説します。
摂取量が少ない

効果を実感できない理由として真っ先に考えたいのが、摂取量の不足です。1日の摂取量が少なすぎる場合には、十分な効果を得られないでしょう。
これまでのクロセチンに関係する論文では、クロセチンをそれぞれ次の量で摂取していました。
以上より、クロセチンによる効果を得るための必要量としては7.5mgが目安になると考えられるでしょう。市販のサプリメントにおいても1日7.5mgの摂取で機能性表示が取得されているため、7.5mgのクロセチンを摂れるものを選ぶべきと言えそうですね。
市販のサプリメントのなかには「クロセチン入り」との目立つ記載があっても、十分な量のクロセチンが含まれていないものがあるかもしれません。パッケージの成分表や公式サイトで成分量を確認のうえ、十分量を摂取できるものを選ぶようにしましょう。
なお、クロセチンは基本的に安全な成分であり、成人においては24週間、7.5~22.5mgのクロセチン摂取を続けたケースでも有害な影響が見られていなかったと報告されています出典[5]。ただし摂れば摂るほどよい効果をもたらすものではないため、目安量以上の摂取を続けるのはやめたほうがよいでしょう。
摂取のタイミングが悪い
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睡眠の質を高める目的でクロセチンを飲む場合には、摂取のタイミングにも注意する必要があります。
たとえばクロセチンの摂取により中途覚醒を減らせたという研究においては、参加者は18~20時の間にクロセチンを摂取していました出典[3]。
クロセチンの体内での代謝の過程を見ていきましょう。クロセチンは分子量が小さいため、速やかに体内に吸収されます。血中濃度は摂取後4時間ほどで最大になり、そこから徐々に低下。摂取から6~7時間後には血中濃度が最大時の半分にまで下がることが判明しています出典[10]。
以上より、比較的代謝の早いクロセチンの効果を得るためには、夕方から夜にかけて飲む方がよいことがわかるでしょう。朝起きてすぐや昼間の摂取では、クロセチンの血中濃度が下がってしまい、眠るべき夜のタイミングで効果を得られない可能性も。眠りのサポートを期待する場合には、夕方から夜にかけての摂取を意識しましょう。
継続できていない

クロセチンの効果を実感するためには、ある程度の継続摂取が必要であることを覚えておきましょう。
本記事で紹介した論文では、次のようにクロセチンを摂取していました。
比較的短い期間で効果が現れているのが睡眠の質の改善ですが、それでも摂取を2週間継続していることが分かります。
数日飲んで変化がなかったからとやめてしまった場合、継続期間が足りなかったために効果を実感できなかったという可能性も。摂取量とタイミングを確認のうえ、それぞれの目的に応じた期間、もう一度飲み続けてみるとよいかもしれません。
効果を打ち消すような悪習慣がある

クロセチンはあくまで体質の変化をサポートするためのもの。クロセチンさえ飲んでいれば安眠が保証される、確実に血圧が下がる、という類のものではないため、サプリメントの効果を出しやすくするためにも、毎日の過ごし方にも気を付ける必要があるでしょう。
たとえば睡眠の質においては、夜間のカフェイン飲料の摂取、およびアルコール飲料の摂取に注意したいところです。カフェインの覚醒作用はよく知られているため、夕方以降の摂取を控えた方がよいことは想像しやすいでしょう。
アルコール飲料は眠気を催すため入眠のサポートに役立つのではないかと考える方もいるかもしれません。確かに入眠はスムーズにできるようになりますが、その後、アルコールは交感神経を刺激するため、中途覚醒が増えやすくなってしまいます。またアルコールの利尿作用によりトイレが近くなるため、さらに睡眠が中断されやすくなるでしょう。
血圧においても、暴飲暴食を繰り返していたり、濃い味付けのものばかり食べて塩分の摂取量を減らせなかったりする場合には、血圧も下がりにくくなります。また喫煙はNOを減らすように働くため、血圧の改善もより難しくなるでしょう。
このように、目的とする効果を打ち消すような悪習慣が残っている場合には、クロセチンの効果も十分に発揮できません。クロセチンを飲むと同時に、食事や飲酒、喫煙など、毎日の過ごし方に問題がないかを、今一度振り返ってみましょう。
睡眠の質を最大限まで高める方法とは?
分子量が小さく、体に浸透しやすいカロテノイドであるクロセチンには強力な抗酸化作用があり、睡眠の質の改善をはじめ、疲労の軽減や目のサポートなど、さまざまな効果が期待できます。
一方で、サプリメントの摂り方を誤ると十分な効果を実感できないことも。自身の目的に合わせて、クロセチンを飲む時間帯や継続期間を調整してみましょう。
クロセチンの効果のなかでもとくに注目されているのが睡眠への効果。睡眠をサポートできるサプリメントを探している方も多いでしょう。
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